目の前に果てしなく続く青い海、見上げれば地平線まで続く白い空。頭の中がクリアになり大自然の中で自分までひとつになるような壮大な感覚。まるでこれは……
「……とけそう」
「あきたー」
頭の中はグチャグチャで思考能力はほぼゼロになり、体は周りとの境界線がグニャグニャになったような錯覚すら覚える。
同じ景色の連続で時間の感覚もおかしくなり、ブルーの方はとうに船旅に飽きてしまったようだ。
今、俺達は海の上で暑さと暇さでどうにかなりそうな地獄の船旅を満喫していた。
「もうダメー。ずっと同じ格好で足痛ーい。ふかふかベッドで寝たーい」
(ブルー、ごめんなさい。狭くて硬い背中で大変ですよね)
「あ、いや、違うの。違うくはないけど。あー、しんどい」
「ブルー……お前もう本音がダダ漏れだ。そもそもこんなことになったのはお前が妙なこと言い出すからだろ」
「なによっ、シショーもいいなって言ってたわよ!」
「……すまん、やめよう。こんなこと言い合っても不毛だ。俺が悪かった」
「そうよね。しゃべったら余計にしんどい」
ことの始まりはどうやってグレン島まで行くか相談した時。俺は船があることは調べていたのでそれで行くつもりだったが、ここでブルーがラプラスに乗って行こうと言い始めた。なんでもポケモンに乗ってなみのり船旅を楽しむのが夢だったとかなんとか。俺もそれを聞いた時にたしかに一度はやってみたいな、と言ってしまったのが運の尽き、地獄の幕開けだった。
俺達は冷静じゃなかったんだ。普通に考えればわかる。こんな長距離間をポケモンの狭くて硬い背中の上でずーっとやることもなくただ日干しになりながらゆっくり進むなんて正気の沙汰じゃないってことは。それがわからない程度には浮かれていた。つまりかなり浮かれていた。頭どっか打っていた。頭エリカ。
最初は海の中はどうなっているだろうとか楽し気に会話していた。しばらくしてようやく事のヤバさに気づき、その時には引き返せるような場所でもなくなり立ち往生。結局ラプラスにスピーダーを使いまくってなんとか速く着こうとする状況に陥った。今じゃ会話1つなくだらしなく寝転がってダウンしていた。
しばらくすると島が見えて、ブルーも目聡くそれを見逃さなかった。
「あ、島! 着いたのね! やっとグレン島に……」
「そんなはずはない。あれはふたご島だろう」
(そうですね。あそこはふたご島。心地良い冷気を感じます。グレン島へはまだ半分といったところです)
「そんなぁー! わたしもうダメ、ここで死んじゃうかも」
「ブルー、それならいい案があるぞ。もうこんな狭くて硬い足場とはおさらばできる」
「え、なになに、教えて! すぐにそうしましょう、早くそうしましょう!」
「それじゃ、今日はあの島に泊まろう」
「え」
ブルーの顔が凍り付いた。
しかしなんだかんだと言いつつホントに上陸してしまった。ブルーは相当参っていたようだ。陸地に上がれる誘惑には抗えなかったらしい。
洞窟の前に立つと中から冷気が吹きつけ肌を突き刺すようだった。風がけっこう強い。外部は暖流と夏の気候で温かいが、それとは対照的に内部は凄まじく冷えているため温度差で対流が起きて強い風が生じるのだろう。
科学的には当然の現象。だが、この風はまるでこの洞窟の主が侵入者を拒み警告しているかのようにも思えてしまう。入ればタダでは済まないぞと無言で語りかけているようだ。
「ホントに大丈夫なの、こんなところに来てさぁ。キョウさんの話でここは危ないって言ってなかった?」
「なんだお前、怖いのか? ロケット団に立ち向かったりしてたくましくなったのかと思っていたが、案外そうでもなかったか」
「ばばばっ、バカねっ! そりゃあ、あの時に比べたらこんなところ何でもないわよ。ただシショーはいっつもすぐに危ない目に遭うから心配しただけよっ!」
「そうか。なら問題ないな。奥に進むぞ。ちゃんと俺についてこいよ」
「えーウソでしょ……」
チラリとブルーを一瞥すると泣きそうな顔になっている。本気で怖いんだな。死者数え切れずって言っていたし無理ないが。まぁそれで中断したりするわけはないけど。
◆
中は全面氷に覆われており、気温がマイナスなのは間違いないだろう。内部はさながら真冬の北国だな。
「さっむ! 何よこれ、おかしいわ! ここらは温暖な海流で年中暖かいはずなのに! 中は全部凍ってるじゃない!」
「ほら、これ着てスプレーしとけ。ポケモンが全部俺達に集まってくるからな」
「あ、あったかそうなコート。ありがとう。さっすがシショー、いっつも準備がいいわね」
こいつ、気づいてないのかバカなのか。準備がいいのは最初からここに来る気だったからに決まっているだろう。誰が真夏にこんなコートを用意するんだ。単純なところは相変わらずだな。今は都合がいいから黙っているが。
「ヴヴヴ、サヴヴヴ」
「震え過ぎだ」
「だって、シショーはグレンちゃんにぴったりくっついているからいいけど、わたしはさぶいもん!」
「じゃあ反対側にくっついたらいいだろ」
「いいの!? やったー」
別に最初からそうすればいいのに変なところで遠慮するなぁ。
「ちゃんと俺からはぐれないようにしろよ。はぐれたらたぶん死ぬからな」
「ひっ!……でもシショーなら、もしはぐれても、見つけてくれるわよね。ねっ?」
「見つけた時に氷の彫像になってなければいいが」
今ので一気に顔色が悪くなったな。
「わたしのバカー! なんでこんなとこについてきちゃったのよ! もう帰りたい! もしフリーザーに出くわしたらどうするの!」
「何言ってんだ? なんのためにここへ来たと思ってる?」
「え、今日泊まる場所探してるんでしょ?」
え、逆にこっちが引くわ。ブルーはこんな寒い場所で寝るつもりだったのか。さすがにそれは冗談抜きで死ぬんじゃない?
「だったら洞窟の外でいいだろ。目的はもちろん、フリーザーを見つけるためだ」
「もう、バカバカバカーーッ! あー、なんでこんな人について来ちゃったんだろ。今だけ弟子やめたい。ラーちゃんの背中が恋しい。なんであそこがイヤだなんて思ったんだろう。安全で安全で……安全なのに」
安全以外に何か言ってやることはなかったのか。……まあ実際何もないんだけれども。
「それでも安全しか取柄は思いつかなかったんだな。こんなところ来たら死んじゃうとかセキチクジムで散々言ってたが、本当にその通りになったりして」
「うう、こわいぃぃ! さぶい、さぶい! えーん、もうやだぁー」
もう顔がぐちゃぐちゃだな。すぐに固まっているけど。何がとは言わないが。今はもう強がる余裕もないのか最近では珍しく俺の手にすがりつくようにして離さない。はぐれたらって言ったのが怖かったのかな。グレンにくっつくのも忘れている。ちょっと微笑ましい。
ポケモンとの戦闘がないのでスイスイ奥へ進めた。アカサビの“かいりき”で岩を動かし、何度も上の階と下の階を行き来して仕掛けを動かした。岩が無いときは“いわくだき”で岩を作り、時には“サイコキネシス”で岩を持ち上げ、足りないものは自力で補った。
自然にできたものだから答えが用意されているわけではない。強引に切り開くことも必要だった。
「すっごい力押しね。あとどれくらい?」
「もうすぐだな。ん、これは……」
ふと目に着いたのは水晶のような少し普通の氷と違うように見える物体。少し青みがかっていて光っている。これはおそらく……。
「どうしたの?」
「ブルー、お土産ゲットだ。これは“とけないこおり”。こおりタイプの技を強化する。この洞窟の中でとれる道具なのか……。ブルー、お前もほしいだろ? もう少しこれを探そう」
「え……わたし早くここから出たい! シショーだって寒いでしょ!?」
「ん? 俺は別にそんなの気にならないけど。とにかくこれもっと探すぞ。こんなの採れる場所相当限られてるだろうし。そういやこれって一応こおりなんだよな。ここから出てもとけないのか? 名前通りならとけないだろうがそもそもとけないこおりって矛盾してるし、それに……」
「あああぁぁーーっ!! わかったから早く探しに行きましょ!! いますぐ行きましょ! ここで実験とか考察とか始めないで!!」
やっぱりブルーも欲しいんだろ。言わなくてもわかっている。この道具は一言で矛盾しているが詳しいことはここを出てからゆっくり調べよう。
とけないこおりは無事集め終わり、さらに下の階へ進んでいった。
「シショー……まだなの? いつ終わるの? もうこんなとこ出ようよ」
「ここの岩を押してっと。これで下の海流が止まったはず。ようやくフリーザーのいる奥まで進める。いよいよお待ちかねの時間だ。水辺に着いたらラプラスを出してくれ。今から下の階に向かうぞ」
下に降りて“なみのり”で奥の孤島に向かった。道中のブルーの言葉は黙殺して聞き流した。
「ねぇ、ホントに行くの? やっぱりやめましょうよっ。こんなの自殺行為よ! お願い、考え直してっ! 伝説のポケモンなんてあったら幸運なんてよく言うけど、ホントは逆よ! 目にした人はとびっきり不幸なのよっ。めっちゃ強いのよ? チャンピオンでも苦戦するのよ? わたし達じゃ死ぬわよ! シショー、やめましょう?」
「それなら安心しろ。伝説のポケモンなら倒したことあるからどうすればいいかわかってる」
「……え?」
「あと、せっかくだから最初はお前に戦わせてやるよ。いきなり俺が倒してもいいが、けっこう強くなってきたブルーのバトルを見てみたい。どうやって伝説をさばくのか、俺に見せてくれよ」
「なんでこんな時にそんな期待をするのよ! そんな顔で言われたら断れない……だいたい、伝説のポケモンなんていつの間に倒したのよ!」
「別行動の時しかないだろう。さて、そろそろ準備しとけ。近くにいる。あちらさんもこっちに気づいたな」
「ウソでしょ、まだなんの準備もしてないのに! 冗談じゃないわよもう!」
「ボオー、オオー!!」
アナライズ!
フリーザー Lv50 おだやか
個30-31-16-12-25-4
実165-94-88-106-156-92
ほんとにいきなり戦闘が始まった。まさに「やせいのフリーザーがとびだしてきた!」という感じだな。
個体値はほぼ2Ⅴだし、性格も三鳥共通の種族値125の部分、フリーザーで言えば特防に補正が乗っている。今回はかなりいい……ように思える。
だが、実際はどうか。まずAは無駄。そして一番重要なSが4だけ。下降補正かかっているよりはマシだがこれはきついな。HD寄りで育てることになるだろうができたらHSかCSで育てたいんだよな。飛行ポケモンを最低1体は欲しいし、恐るべきコンボが使えるから育てて見たかったんだけど、やっぱり伝説育てるのはどう考えても大変だろうしなぁ。近くにいるだけで寒くなるし。
「どうせこおりタイプでしょ。レーちゃん、頼むわよ! ロックオンしてからでんじほう!」
「ボオー、オオー!!」
「ジリリーーッ!?」
「いきなり氷漬け!? し、死んじゃう! 戻って!」
今の連携は“こころのめ”からの“ぜったいれいど”! フリーザーのみに許された極悪コンボ。交換をしない変態ばかりのこっちの世界なら凶悪極まりないコンボだ。まさか実際にお目にかかれるとは。野生で使いこなすとは驚いた。
“こころのめ”も“ロックオン”も同じ技同士だったので素早さで勝る分フリーザーが先手をとりレアコイルがひんしになった。“がんじょう”だったら効かなかったのだろうが、ないものを考えても仕方ない。
その後ブルーはソーナンスを出し“みちづれ”を狙うが“こうそくいどう”で粘られた。野生にしては賢い。ならばと“ミラーコート”を狙ってみれば“こころのめ”なしでいきなり“ぜったいれいど”がきて倒れてしまった。
「なんでよりによって今その技なの?! しかも当たるし! 運悪過ぎ!!」
「バカ、ソーナンスは微動だにしないのだから簡単に当てられる。狙いをつける必要もない。少しは考えて行動しろ!」
「くっ。ならラーちゃん、ほろびのうた!」
相性的に最後の希望ラプラスを出して、“ほろびのうた”に希望を託した。“こころのめ”の後の攻撃はしっかり“まもる”ことで凌いだが、その後“ぜったいれいど”を連打され何発目かで鈍足も祟り運悪く被弾。次のフシギバナが“れいとうビーム”を根性で耐えたところでなんとか“ほろびのうた”の効果が発動してブルーが辛勝した。
「ギリッギリね。でも、野生のポケモンって“ほろびのうた”さえあれば恐るるに足らずって感じね。思っていたよりは何とかなったわ。もっととんでもないと思っていたのに」
「あんなに追い込まれてよく言う。もう残りは相性悪くて瞬殺される奴しかいないし実質壊滅。それに、まだちゃんと勝ったわけでもない。今回はお前の負けだ」
「え、なんでよ?」
「ボオオーオオオッッ!」
「げっ、復活してる! ウソでしょ!? 今“れいとうビーム”をくらったらやられる!」
「アカサビ、助けてやれ」
バシン!!
“バレットパンチ”で行動を許さず気絶させた。待っている間に当然能力は限界まで上げている。あとはサンドバッグを続けるだけ。
「うひゃあー、アカサビさんってめちゃつよじゃない! 1発で倒しちゃった」
「情けないな。お前の悪いクセだ。相手のネームバリューに変にビビる割に、隙だらけですぐに油断する。もう少し用心深く慎重に行動しろ。相手は唯の野生のポケモンだぞ? もっと余裕を持って普通にやれば何回復活されようが負けるわけないだろ」
俺とバトルする時は凄まじい集中力を見せて全く隙のない立ち回りをするし、シルフのときだって迂闊な行動はあまりなかったらしいとラプラスから聞いている。サカキ相手に物怖じしない心もあるのに、スイッチが入ってないと簡単にフリーザー如きで腰が引ける。わからない奴だ、ブルーは。
「うう、だってこんなの聞いてないわよ! すぐに復活するなんて!」
「俺も最初にやったときは知らなかったがそれでも勝ったぞ? イナズマが1体で相手していとも簡単にな」
「ええーっっ!! イナズマちゃんってやっぱりすごいんだ。まれにみる速さだもんね」
「ボオオ…」
バシン!!
いつもどおり和やかにしゃべっているが、もちろんその横ではせっせとフリーザーを何度も倒している。ついでにユーレイ達も出して経験値稼ぎをしている。それを見てブルーが同情の言葉を述べた。
「……ねぇ、これ何回倒したら気が済むの? グレンちゃん達までスタンバイして過剰戦力気味だし、ちょっとかわいそうな気が」
延々と俺達がおしゃべりする傍らで黙々とアカサビが“バレットパンチ”でフリーザーを倒し続けるのはさすがにブルーも気になり始めたようだ。やっぱりこの構図はあんまりよろしくはないな、わかっていたことだとはいえ。
「実は伝説のポケモンは倒すとすごいアイテムが出てくるんでな。ほら、これ」
「何これ? アメみたいな形ね」
「これはふしぎなアメといって、食べるだけでレベルが1上がるんだよ」
「………………え、もう1回言ってくれない? わたしよく聞こえなかったわ」
「これはふしぎなアメといって、食べるだけでレベルが1上がるんだよ」
「そのままリピート! うっそー!? それホント?! ヤバイわよ! しかも今何個取ってるのそれ!」
これ全て使えば1体だけなら最強にしてしまうこともできるだろうな。
「伝説のポケモンについては前も自分で色々考察してみたが、俺の仮説ではおそらくこいつの経験値の結晶がこうして固形化してアメみたいになっていると考えている。今こいつを見て確信に変わった。伝説は丁度レベル50なのが前から気になっていて、たぶんそれを超える分が体内に蓄積されたままで、気絶すると体外に放出されるのだろう。それがこのアメ。また、伝説ポケモンは自分の周囲の環境を自分の住みやすいように変化させる。この中にいる間は永続的に体力が超回復し、その上自身のタイプの技、ここなら氷技の威力が割り増しになる。ここでは伝説のポケモンは無敵で、故にふしぎなアメを体に蓄え続けられる。そんな奴が各地の秘境に隠れているから、俺はそいつらを探し回りふしぎなアメをがっぽり稼がせてもらうつもりだ。今回はその第一歩だな」
効果がゲーム通りかどうかは試していない。単に勿体ないからだ。もしかしたらレベル50の必要経験値分だけ増える仕様とかに変わっている可能性もあるが、たぶんゲーム通りだと予想している。半分希望でもあるけど。
「すっごーい! こんなこと誰も知らないわよ絶対! やっぱりシショーってカントーで1番すごいトレーナーだわ! 意地でもシショーに弟子入りしといて良かったぁ」
「……さっきまで弟子やめたいとか言ってなかったか?」
「え、そんなこと言ったかしら。ホホホホッ」
調子のいい奴。いい加減俺は無意味なことはしないって学習しろよな。
「まぁいい。アメはもう出ないし取り尽くしたな。ほら、お前にもお駄賃。ここまで頑張ってついて来たからな」
「さっすがシショー! 太っ腹! じゃ、さっそく……」
「あ、バカ! 今使ってどうする! それは使わず大事にとっておけ!」
いきなり使おうとしたので心底驚いた。即使用とかお前は小学生か!
……よく考えたらブルーは小学7年生だった。それにここのレベルだと大半の奴の思考はキノガッサに“ギガドレイン”、グラードンに“10まんボルト”覚えさせるみたいなキッズレベルしかいないんだったな。
「え、なんでよ?」
「それはレベルを1上げるが、その効果はいつ使っても同じ。レベルってのは高い程上がりにくいから、当然高レベルで使った方がいい。さらにレベルが上がる場合後少しの経験値で次のレベルになる時も上がったばかりで次までに大量の経験値がいる時でも使えば同じレベルになるから、できるだけレベルが上がった直後に使うのがいい」
「ふーん。たしかに一理あるかも。じゃあ、結局いつ使うのがいいの?」
さすがに理解はできるのね。ブルーは賢いしな。
「レベル70になったぐらいで使えばいいんじゃないか? 理想はレベル99だが、逆にそれは勿体ないとも言えるし、レベル95ぐらいでもいいかもしれないがそこまでたどり着くことがあるかは怪しいしな」
「なんで理想がレベル99なの? もっと高いレベルで使ったらダメなの?」
一瞬何を言っているのかわからなかったがすぐに合点がいった。ブルーはレベルの上限を知らないんだ。それも無理はない。上限なんて誰かたどり着くものがいなければ確認しようがないし、最大でも現時点ならシロナのレベル80ぐらいが上限のはず。レッドはまだまだの状態だからな。とするとこれをそのまま説明するとマズイかもしれない。
「そうだな。まあお前はそんなに考えなくていい。とにかくレベルが上がりきって壁に当たったと感じるまで取っておけ」
「あんまりよくわかんないけど、要するに当分はお預けか。つまんないのー」
「ほんとに大事にしろよ。一生に何個かしか手に入らない代物だからな。どうしても使うしかないとかじゃなきゃ使うなよ」
そう言うとようやく納得してくれた。
「……たしかにそうね。わかったわ。ラーちゃんも回復したし、早くここを出ましょう。寒くて死にそうだわ。特にこの最下層は。あ、そういえばフリーザーは捕まえないの? この状態ならほんとにモンスターボールで捕まえられるわね。マスターボールは不要とか以前言っていたけど、シショーならほんとにいらないかも。……ねぇ、シショーってホントは何者なの? 絶対現時点でもうとんでもないことになっているわよね」
「何者も何も、俺はただのレインでお前のシショー。それ以上何かあるか? フリーザーの捕獲は考えたけどもうやめた。……寒いのは懲り懲りだろ?」
「……それもそうね。もったいない気もするけど、シショーには似合わないかも」
似合わない、か。たしかにそうかもな。グレン達はなんか仲間になるべくしてなったような不思議な縁みたいなものを感じる。こんな考え方じゃ、まるでエスパーみたいだな。俺も意外とナツメとかに毒されている。
そそくさと洞窟を抜けて反対側の島から外に出た。暖かい空気が心地いい。
「やっと出られた。それに今日は陸で寝られるわね。ちょっと肌寒いけど毛布があるならギリギリいけるわね。というか、これだけ用意しているってことはだいぶ前からここに来る気満々だったのよね? 元々ここにフリーザーがいること知っていたの? 前に伝説と戦ったって言っていたし」
今頃気づいたか。毛布まであればブルーでもおかしいとは思うんだな。
「まぁな。目ぼしい伝説ポケモンの居場所はだいたいわかる。ひとところに定まってない奴も多いからそんなにはわからないが」
「え、サラッと言ったけど、それおかしいわよね。なんでそんなことがわかるの?」
「余計な詮索はしない! 企業秘密だ」
「やっぱりどっかの裏組織のボスなのね……闇の情報網……」
「違うからな」
一応ユーレイを見張りに立てたりしながら無事に夜を明かし、何事もなく島を出た。万一例の水柱が来ても大丈夫なように警戒したが、空振りだったらしい。
もちろん何もないに越したことはない。だが、今はそれすらも嵐の前の静けさのようにしか思えなかった。昔、海に引く潮が大きい程次に来る波は大きくなると聞いたことがある。……高波の予兆。あのポケモンは今も何か機を待っていて、ずっとこちらを見ながら俺を狙っているのではないか? そんなバカげた考えまで浮かび、心の奥に一抹の不安を残していた。
よっし閲覧数伸びてる!
これはどう考えても前回の水着効果ですね(違う)
計算通りっ(白目)
伝説のポケモンはとりあえず捕まえてキープしておきサファリの時のように売り払うとかトレードの弾にするとかしないのかと思われるかもしれませんが、さすがのレインもそこまで非道ではないと思ってください
なりふり構わないという宣言はしていましたが、それでもポケモンの使い捨てなどには抵抗があるようにそういうモノ扱いをすることもしないです
サファリのラッキーショックは別です
あれはそもそもサファリがポケモンを景品として扱っていたので
まぁ仲間にしたらちゃんと面倒を見るだけで野生の伝説をサンドバッグにすることにはなんのためらいもないですが
あくまで経験値稼ぎのためであって無意味にいじめているわけではないからセーフという認識
最初にポッポと戦った時から思考が弱肉強食ですから負けた方が悪いという考えです
そこはドライですね