Another Trainer   作:りんごうさぎ

7 / 146
6.昨日の敵は今日の友って

「あの暴走族と共闘だって!?」

「なんやかんやあってな。ま、あいつらは手懐けておいた方が悪さもされねえと思ってな」

「なんやかんやって……いったい向こうで何があったんだ……」

「暴走族って手懐けられたのか。ほえー」

 

 こいつはいつも間抜け面だな。クリムガン、ビビリ、アホ面でよかったかもしれない。……さすがにひどいか。すでにクリムガン呼ばわりしておいてあれだが。

 

「そういうわけだ。お前らのことも言っといたから、もう二度とあんな目には合わねぇだろうよ。俺はバトルのために準備することがあるからしばらくは顔を出さない。向こうで野宿する」

「はえー」

 

 3人共目が点になっているな。ちょっと面白い。だがのんびりしてらんねぇ。速く完成させないとな……ほのおタイプ最強の技、“オーバーヒート”を。

 

 ◆

 

「エビワラーリベンジ」

「ばっ、バカな! ドードリオが相性のいいエビワラーに負けただと! あんた、やっぱりタダモンじゃねぇ」

 

 グレンが練習する傍らで暴走族に借りるポケモンの調整もしていた。言うことを聞かせるため俺がバトルで使って格上を倒し、順調に信頼を獲得していった。ちなみに今使ったのは最初の下っ端との戦闘の際に相手だった3体のうちの1体。対戦相手はゴウゾウだ。

 

「よし、よくやった。上手くリベンジを使えてたな。やればできるじゃないか」

「ッビー!」

「おれより手懐けてる……」

「もしかしてよぉ、レインは手持ちが同じならチャンピオンにも勝てるんじゃねぇか?」

 

 ゴウゾウがしょうもないことを聞いてきた。

 

「はぁ? バカかお前」

「だよな! さ、さすがにそれは」

 

 ねぇよな、ははっ、と続けようとしたところで俺がさえぎってしまった。

 

「当たり前だろ。ワタルなんてレベルに任せてゴリ押しで勝っているだけだろ? 同じ戦力ならトレーナーの差で俺の圧勝だ」

 

 場の空気が凍った。

 

 ◆

 

 いよいよ決戦の日、あっというまだったな。

 

「用意はいいな」

「へい、こいつらです。レインさん、頼みますよ」

 

 下っ端連中からモンスターボールを受け取り、言葉数少なく橋に向かった。橋にはいかにも頑固じじいという風貌のいかついじいさんがいた。あれが番人か。イメージ通りだな。

 

「またお前らか。前のバトルで諦めたと思うたが案外しつこいのう。少しは腕を上げて来たか?」

「残念ながら戦うのは俺じゃねぇ。こっちで助っ人を用意した。さすがにあんたには俺じゃ勝てねぇからな」

「助っ人じゃと? チンピラのお前に頼る相手なぞおったのか」

 

 挑発だな。ゴウゾウは意外とプライドが高くて挑発には乗りやすい。ペースを握られないために自ら前に出た。

 

「あんたの相手は俺だ、橋の番人」

「お前が? ゴウゾウよりもちっこいのが出てくるとはな。どうやら今回もつまらん戦いになりそうじゃ」

「御託はいい。バトルして俺が勝てば橋を開放しろ。それだけだ。実力はすぐにわかること、今ごちゃごちゃと並びたてることじゃない。違うか?」

「口先は一人前だな。じゃが橋の管理はわしが一任されとる以上別に開放する必要はないんじゃがのう」

 

 この言葉に焦ってゴウゾウが乗せられてしまった。

 

「なっ、くそじじい、話が違うぞ!」

 

 わざわざペースを握るために俺がしゃべっているのにこれじゃ意味ないだろ。ゴウゾウには暗に黙るように言った。

 

「落ち着けゴウゾウ。こっからは俺に任せておけ。あんた、バトル強いんだろ? 俺はゴウゾウに頼まれたのもあるが1番は強い奴とバトルするのが楽しみでここにきたのさ。橋はたしかにあんたの自由だが、俺と1戦やっていくぐらいは断る理由がないだろ?」

「それで勝てたならなし崩し的に橋を開放させようってわけか、え? 全く以て大した自信じゃな……面白い。わしの実力をわかった上でそこまで言うなら、勝てばここを開けることは、約束してやってもええがの」

「レインの奴、あの番人から譲歩を引き出したぞ!」

 

 こいつ、まだいらんこと言ってんな。はぁー。交渉事には向かないな、こいつは。一々一喜一憂するな。

 

「ただし!」

「ただしなんだ?」

 

 やっぱりまだなんか注文つけてきたな。予想通りなのですぐに聞き返した。ゴウゾウはもっとこういう言葉の機微に敏感になれ。

 

「代わりに小僧、お前が負ければ今後何があろうと永久にここは開かん。この条件でどうじゃ? これでもまだバトルする勇気があるか?」

 

 ニヤリと笑っていうその表情はどこぞの悪代官のようだった。だがそれで怯む俺じゃない。こっちも笑いながら言い返した

 

「上等。その言葉を待っていた。今の約束、忘れんなよ」

 

 さすがの番人も少したじろいだが、すぐに鋭く言葉を返してきた。

 

「その鼻っ柱へし折って存分に後悔させてやるわい。ならついてこい。バトルの厳しさを叩き込んでやるわ」

 

 場所を移して仕切り直し。そしてとうとうバトルが始まった。

 

「ではいくぞ! ゆけい、ユンゲラー」

「任せた、グレン」

 

 アナライズ!

 

 ……レベル38、予想よりちょい高いな。が、ゴウゾウが倒せたように穴はある。それが俺には視えている。周りのギャラリーは沈黙して戦いを見守っていた。俺よりもよっぽど緊張してそうだな。

 

 ユンゲラー Lv38 いじっぱり 84-40-33-90-63-90

 

 グレン   Lv25 むじゃき  86-83-50-60-44-83

 技 1かえんほうしゃ 

   2かえんぐるま 

   3しんそく 

   4ひのこ 

   5まもる 

   6みがわり    

   7おにび    

   8オーバーヒート

 

 能力の差は大してない。この力……アナライズはホント便利だ。だがフルバトルなら長引くことも考えられる。まだ不慣れなこの力は必要なところだけに絞って使うことにしよう。

 

「先手必勝、サイコキネシス」

 

 おっと、いきなりそう来るか。

 

「3、右から突っ込め」

 

 技の番号は暴走族戦の時のままだ。“しんそく”は後ろを取るなど移動に用いるときは方向の指示は何も言わず、当てるときはこのように方向を言うと決めてある。後ろに回るのはだいたい技の連携をして3,1と繋ぐようなパターンが多いから、指示は短くする方が都合がいいためだ。

 

 グレンは俺の指示の通りにすぐ動き、“サイコキネシス”の軌道を避けながら攻撃。“しんそく”は相手に直撃した。

 

「なかなかの威力じゃが無駄じゃ、じこさいせい」

「ヤバい、あの回復が決まったら!」

 

 ゴウゾウが慌てるがどうということはない。ユンゲラーが起き上がって技を始めるときにはもう“しんそく”の硬直時間は過ぎていた。

 

「隙だらけだ。3」

「シェエエイィィ………」

「ユンゲラー!?」

「「おおおっ!」」

 

 まず1体目。あっさり無傷で勝ったことでギャラリーからは歓声が上がった。

 

「そいつはもう戦えない。次を出せよ」

「たしかに少しはやるようじゃが、この次はそうはいかんぞ。任せたゴローン」

「戻れ、グレン」

「えっ、戻すのかよ」

「いい感じなのに」

 

 周りは不思議がっているな。番人も便乗してきた。

 

「いいのか? そんなことをすると流れを失うぞ?」

 

 無傷でやられたのに、浮足立つどころかこっちを煽ってくるとは恐れ入る。さすがに熟練しているな。精神的に揺さぶってくる手並みは見事。相手が俺じゃなきゃ動揺ぐらいはしただろう。

 

 ……俺には本当に冗談でも言っているようにしか聞こえないが。

 

「分の悪い相手に無理をするのは三流だ。わかって聞いてんだろ?」

「ほう。ま、わしは構わんがな」

 

 食えないじいさんだな。尤も、俺も親切に理由を話してはいない。半分は建前。グレンは基本的に倒しちゃ引っ込めを繰り返すつもりだ。

 

「いけ、ウツドン」

「ドンッ!」

 

 こいついっつもドンッ! ってしてんな。

 

「面白い、ウツドンか。ならいわなだれ」

「“はたきおとし”ながら避けろ」

「ロックブラスト」

「くっ、はっぱカッター本体へ」

 

 この番人技選択に隙がない。ジリ貧になる前に最低1発、運良く2発入れれば御の字だがどうだ?

 

「5回連続か。ツいてねえな」

「これでイーブンじゃ」

 

 表情は悔しそうにするが、これは想定内。技の選びに隙がなさそうなのもわかったし、もうこいつは圏内に入っている。レベル差はあれど“はっぱカッター”は4倍弱点だからな。

 

 尤も、この世界じゃ弱点は正確に2倍という認識はないらしい。良く効く程度の感覚のようだ。測定できないから当然ではあるが。

 

「グレン」

「ヴォウ!」

 

 再び現れたグレンに周りは湧くが、じいさんはしめたと頬が緩むのを見逃さなかった。やっぱり相性をわかってるんじゃねーか!

 

「やはりそいつが切り札らしいの、小僧。じゃがこいつには勝てんよ。鉄壁の防御じゃからな」

「鉄壁……もしかしてレインのやつ」

 

 ゴウゾウは気づいたか。思い当たる節はあるだろうからな。

 

「行けい、調子のいいロックブラストで押しまくれ!」

 

 ラッキー、“じしん”じゃなくて助かった。これは躱しやすい。

 

「3,8」

 

 “しんそく”により一瞬で背後を取って“オーバーヒート”をぶちあてた。これでたまらずゴローンはダウン。1発で倒せることは確認していた。確定1発。

 

「ゴローン戦闘不能だな」

「なんじゃ今のは!?」

 

 驚くじいさんにこっちも煽るのを忘れない。

 

「どうした、自慢の防御力は? 鉄壁じゃなかったのか?」

 

 練習していたのは8つ目の技、“オーバーヒート”。何度もグレンを使い回して“いかく”と“オーバーヒート”をフル活用するのが今回俺の立てた策だ。能力のリセットはほとんど認知されてないらしいから狙いがバレることもないだろう。

 

「くっ、おのれぇ」

 

 おーおー悔しそうだな。これで楽に戦えたらいいが。

 

「間違いない、あんときと同じ。レインは俺達にはわからない境地にいる。あっさりと2本とっちまうなんてなぁ。さすがにここまで上手くいくとは思ってなかったぜ」

「この借りはこいつで返す! 小手調べは終わりじゃ、ゆけいゴースト」

「こっからは未知のポケモンだが、いきなりゴーストタイプだと!? 本当に今までのは小手調べだったってのかよ!!」

 

 やけに驚くな。ゴーストは珍しかったりするのか? とすると、勝負をかけに来ているのか。煽りが効いたか。一応ステータスを確認しておくとしよう。

 

 ゴースト Lv38 いじっぱり 93-59-50-93-58-88

 

「交代だグレン、出てこい、パルシェン」

「そのパルシェン、もしやゴウゾウの……小僧、これはどういうことじゃ?」

 

 へぇ、わかるのか。よく見ているな。

 

「さすがに6体全てグレンで倒すのは無理だ。だから一時的に借りているのさ、こいつらからな。苦労したぜ、バトルがものになるまでな」

「バカなっ、前のときから大して時間も経っとらんのに5匹も手懐けたのか! しかも他人のポケモンを! 信じられん。……じゃが使いものにならねば烏合の衆。わしが以心伝心の技を見せてやろう。さいみんじゅつじゃ!」

「目を閉じろ」

「面白い躱し方じゃが、それでは隙だらけよのう。ナイトヘッド」

「右へ躱して左後ろにオーロラビーム」

 

 うまく躱して反撃するがこっちの攻撃はゴーストをすり抜けた。大きくなった部分は幻影か。続けて“ナイトヘッド”が来るが今度は目を開けさせ、こっちの攻撃は的の真ん中を狙わせたが今度は動いて避けられた。

 

「やるのう、ダメージがないことに即座に気づいたか。しかも呼吸も合っとる。思ったよりも信頼されとるな。少々面倒じゃ。あやしいひかり」

「ちょうおんぱ、オーロラビーム」

「シャドーボール」

 

 避けきれないと判断して相打ちを狙う。お互い混乱するが今度はこっちにツキが来た。ゴーストが先にファンブルして“オーロラビーム”が直撃。これはこいつの得意技。だから対グレンでも最初に使ったらしく、これを使うと調子が上がるらしい。そういうのもあるのかと感心したが、今回はそれが吉とでたな。“つららばり”で畳み掛けるが運悪く2連射止まりで耐えられ、今度こそ“さいみんじゅつ”をかけられた。

 

「そのままゆめくいじゃ!」

「なにっ!? くっ、戻れ」

 

 やや回復されたか。このじいさんえげつないな。まともには催眠を食らわないと見て、混乱させてからの催眠。しかも“ゆめくい”コンボで回復まで狙ってくるとは。“ゆめくい”が本命のはずだから必然的に“シャドーボール”は一度間を置いたことになる。自滅まで込みの戦略とは恐れ入った。自滅読み行動なんて絶対真似できないな。

 

「ずいぶんとおっそろしいことしてくるな。あんた本当に強いよ」

「まさかすぐに交代されるとは。そっちこそ、わしの戦術に気づくとは、少しは勉強しとるようだの。ゴウゾウが頼るだけはある」

 

 やっぱり狙っていたか。ゴウゾウらは目が点になっているな。知らなければ恐ろしさもわからない。そういう意味で勉強している、といったのだろう。お互い実力がわかりはじめ、ニヤリと互いに笑い相手を称えあった。そっちがそう(催眠で)くるなら、こっちは……。

 

「グレン頼む、6」

 

 交代させながら技を指示して即“みがわり”を準備させる。間に合ってくれよ。

 

「あやしいひかり」

 

 よし、“ナイトヘッド”じゃない。やはり回復を優先させてコンボを狙いにきたな。“みがわり”がなきゃ眠らされてジリ貧になるしかないから相手からすればこれは安定行動。やはり強い。そして強いからこそ、その考えは読みやすい。俺の一番得意なレベルの相手だ。読みがハマりニヤリと笑ってしまった。

 

「1、2」

 

 “かえんほうしゃ”を打たせ、その火の後ろから同時に突っ込ませて“かえんぐるま”を当てにいく。囮の“かえんほうしゃ”はギリギリ躱されるが、追撃の“かえんぐるま”は避けられない。相手は接近されたことに慌てて“さいみんじゅつ”をかけてきた。チャンスだ。

 

「2」

「ヴォウ!」

 

 相手が技を失敗している間にもう一度“かえんぐるま”。残りが30程だったためゴーストは倒れた。初見殺しもいいとこだが、こいつは厄介だからこうでもしなきゃ倒せないだろう。悪く思うなよ? 口には出さないが。

 

「あの至近距離で外したのか? いや、ありえん、どうしてじゃ……」

「勉強不足のようだな。悪いがタネは教えないぜ」

「こやつ……言ってくれる。ならば来い、ポリゴン」

 

 ポリゴン Lv38 いじっぱり 109-68-69-72-73-47

 

 堅い。だが技はフルアタ。“じこさいせい”もなしか。とすると強引に一気に削ってしまうのもありだな。小細工は要らない。

 

「8」

「トライアタック」

 

 “みがわり”を盾にして“オーバーヒート”を叩き込んだ。64入ったな。残り45……ここでエビワラーにチェンジ。特防が厚いし相性もいい。“みきり”で一度攻撃を躱してから“マッハパンチ”を決めるが、17残った。“トライアタック”を受け、さらに運悪く“やけど”を引いて二発目のマッハパンチも耐えられてやられてしまった。確2だから本当は今の攻撃で仕留め切っていたはずなんだが……エビワラーが耐えれば、後々先制技による削り要員として有力な交換先になっただろうが、仕方ない。

 

「グレン、3」

 

 グレンは掛け声ひとつで勝手に出てきてくれる。相手は虫の息。先制技である“しんそく”の前ではなす術もない。ポリゴンも倒れた。

 

「速い。そうかその技はしんそくか。カイリュー以外にも扱えるポケモンがいたとはな」

「ご名答。しんそくはこの地方じゃウインディとカイリューだけに許された強力な技だ。簡単には攻略できないぜ?」

「カイリューと同じ技っ?! レイン、お前のポケモンすっげえな!」

 

 カイリューというだけでこの反応……もしかしてチャンピオンや四天王の使うポケモンは強ポケみたいな風潮があるのかもしれない。だったらゴーストはキクコの使う強ポケってことになるし、ありえるな。それぐらいここの奴らは単純そうだ。

 

「だったらイワーク出てこい」

「戻れ! 出番だ、ドガース」

「特性ふゆうか、ならばいわなだれ」

 

 イワーク Lv38 いじっぱり 86-55-138-35-50-69

 

 意外と攻撃力は低い。ポッポと同じだしな。一発は受けられる。

 

「耐えてどくガス」

「どく状態か、めんどうな。アイアンテールじゃ!」

「まもる」

 

 時間を稼ぎじわじわ削りながら、最後は“じばく”でダメージを稼いだ。もう少しで削りきれるがグレンが下手にダメージを負うと残り次第で不味いしな。最後はなんだ? 今まではどうだった? そういや全部レベル38、性格いじっぱりだったな。で、ユンゲラーゴローンゴーストポリゴンイワーク…………この面子はもしかして……? いやいやいや、これはもしかしてもしかするのか?!

 

「小僧、はよう次を出せ。時間稼ぎする気か」

「今は置いとくか。出てこいパルシェン」

 

 防御の高さはこのイワークともタメを張れる。時間を稼いでくれ。1発耐えたが結局眠ったままやられた。続けてグレンを出して“まもる”と“しんそく”の躱しで時間を稼ぎ倒し切った。

 

「こんな形でイワークがやられるとは、攻めるだけではないらしいな。が、そやつも疲れが見えてきている。残り2体でわしに勝てるかな」

 

 相手は余裕を見せるが既に俺はわかっていた。番人の最後の1体、これはもう間違いない。

 

「なら、最後の1体当ててやるよ。ゴーリキー、レベル38 いじっぱりな性格」

「な、なんじゃと! 小僧、どこでそれを」

「驚くことじゃないだろう。他の奴がみんな進化前で、判で押したかのようにレベル38で意地っ張りばかりとくれば簡単に予想できる。そしてそこまで読み切った俺に、最後に抜かりなんてあるわけないだろ」

 

 開いた口が塞がらないとはこういうことなのか。見れば暴走族も似たような顔だな。こういうリアクションはやった側としては最高だな。やっぱり楽しいぼっちパか。

 

「お前、実はブリーダーなのか……いや、そこまでの腕でそんなわけは……それにいくらレベルがわかろうがなぜゴーリキーと断定できる、ありえん!」

「あんた、手持ちのポケモンは進化“してない”んじゃなくて、進化“できない”んだろ。ぜんぶ進化方法が特殊な奴だ。そして同じ方法で進化する奴はゴーリキーだけ」

 

 俺の言葉によほど驚いたのか、番人は大袈裟過ぎる程のリアクションを取った。

 

「なんと、今なんと! お前、わしのポケモンの進化方法がわかるのかっ!!」

「え、まぁな。それより早く来いよ。こっちはドードリオで相手してやる」

「……わしは、たとえ進化前でも負けやせん。これで最後じゃ! ゆけいゴーリキー、じごくぐるま」

「よけてドリルくちばし」

 

 すばやさの差から十分避けて攻撃できたが、攻撃後の隙を狙われ、“クロスチョップ”を当てられた。本命はこっちだったらしく一撃で倒された。最初は見せ技を使う辺り抜け目ない。だが十分仕事は果たしてくれた。

 

「よくやったドードリオ。さぁ最後だ! 頼むぞグレン!」

「ヴォウオオンン!!」

 

 今日1番強烈な“いかく”が決まった。張り切っているな。

 

「まだ気合十分か。ゆくぞ、クロスチョップ!」

「引きつけろ」

「ハッ! 避けられんだけじゃろうが」

「これ、前と同じなんじゃ……」

「3,8」

 

 ゴウゾウが言い終わるかどうかのタイミングで指示を出した。最後の指示、グレンの十八番の“しんそく”連携。

 

 ゴーリキーはいきなり消えたグレンを見失い、その隙に最大火力の“オーバーヒート”を叩き込んだ。ゴーリキーは特防が薄い。耐えるべくもない。そして、すでに素早いドードリオ相手にこの連携を決めているグレンが、それより格段に遅いゴーリキー相手に外すわけもない。勝負あった!

 

「俺の勝ちだ、橋の番人っ!」

「「うおおおおーー!!」」

 

 暴走族達の歓喜の嵐はしばらく止むことはなかった。

 

 勝負に勝ち、晴れて橋は自由。グレンもレベルアップしたし言うことなし。

 

「じいさん、約束だ。橋は開けてもらう」

「わかっとる、二言はない。じゃが、お主に頼みがある」

「俺にか? またこの流れ? 今度はポケモン退治でもさせようってか?」

「頼みはわしのポケモンのことじゃ。こいつらは長年育ててきた大切なポケモンじゃが、どうしても進化できなくてな。今となっては立派に進化させてやれなんだことだけが心残りじゃが、諦めて引退したんじゃ。だから、どうかその進化方法を教えてはくれんか!」

 

 ぼっちパで意地っ張りだからそういうことなのかと思っていたが、単に方法を知らなかっただけか。ということは進化方法自体知られてないのかもな。進化方法を調べたりはしただろうし、見落としたってことはないだろう。

 

「そうか。そういうことならいいぜ、教えても。いいバトルができたしな。その代わり俺から聞いたことは他人に言わないでくれ」

「本当か! 感謝する少年、これで悔いもなくなる。じゃがなぜ口留めなんぞ」

「あんたが知らないようなことを俺が知っているとわかれば色々面倒だろうし、そういう面倒事は嫌いなんだよ。進化方法自体は至って単純。ポリゴンとイワーク以外はすぐにでも進化できる」

「まことか!」

「条件は通信交換。交換先で進化が起こる。だから一旦誰かに送ってまた戻すことを4回やれば全員進化できる。相手は……そうだな、ゴウゾウ、お前がやってやれ」

「俺か? 別にいいが、あんたじゃダメなのか」

「俺はグレンしか持ってない。交換には2体以上手持ちが必要なんじゃないのか?」

 

 言ってからここじゃそんな仕様ないかもしれないと思い直したが普通にあったようだ。

 

「おっと、そういや1匹だけだったか。すご過ぎてすっかり忘れてたぜ。最近2匹いないと交換できなくなったんだよな」

「ゴウゾウ、わしの進化を手伝ってくれるのか」

「たりめーだ。レインに言われたのもあるが、橋開けてもらうんだ。その程度は頼まれてやるよ。そんじゃ、さっさと行こうぜ。タマムシのセンターはケーブルおいてあるぜ」

 

 ゴウゾウならそう言うと思った。任せて大丈夫だな。

 

「かたじけない」

「これで本当に万事解決か。ゴウゾウ、これからはこんなことないようにしろよ。部下の管理が甘いから周りと軋轢を生むんだ。ちゃんと教育しろ。暴れる時も、やるのはいいがせめてバレないようにやれ。目立つからダメなんだよ」

「耳が痛いな。善処しとくわ」

 

 どこのお役人だお前は。しばらく待つと満面の笑みで番人とゴウゾウが帰ってきた。

 

「いやーありがとう。無事に進化できた。たまたま近くにいた町のもんも驚いとったよ。これで丁度橋を開けてやる口実もできたし、お主の考えた通りというわけじゃな」

 

 そうか。周りからはゴウゾウが進化させてやったように見えるから、橋も俺もハッピーって寸法か。そこまで考えてこいつにやらせたわけじゃないがまぁいいか。

 

「そういうことだな。ちなみに、ポリゴンはアップグレードという道具を持たせて交換、イワークはメタルコートという道具を持たせて交換させれば進化する。ポリゴンはその後あやしいパッチを持たせて交換すればさらにもう1回進化したはずだ。一応教えとく」

「そうなのか。しかしそんな道具聞いたことないのう」

「シルフで取り扱ってるはずだ。近くだし見に行けばいい」

「そんなことまでよく知っとるのう。やはり旅のトレーナーはよくものを知っとる」

 

 どうやら勝手にトレーナーだと思われていたらしい。いや、普通そう思うか。

 

「あいにく俺はトレーナーじゃない。そもそも戸籍もないから申請しないと作れないんだ。あんた、何かカードを作るための実力を示すてっとり早い方法を知らないか」

「なんと、その腕でトレーナーでないとは」

「もしかしてやることがあるって言ってたのはそのことかレイン」

 

 あれは言葉の綾で言っただけだが、乗っかって話を合わせておくか。

 

「ああ。手っ取り早くここのジムリーダーでも倒してやろうかと思っていたが、トレーナーカードなしでは入れないらしくて困っていた。この前行った時は問答無用で門前払いだ」

 

 今思い出しても屈辱だ。男ってだけで変態扱いから即締め出し。間違いなくあのピーピングじじいのせいだろうが、とんだとばっちりだ。

 

「そういうことならわしに任せい。こう見えてもわしはリーグ認定のトレーナー推薦資格を持っとる。わしが一筆入れればそれは問題なかろう。実力は見せてもらったし、お主になら何でも協力してやろうというもんじゃ」

 

 マジか! これはまたすごいのが来た。まぁバトルした時点でただものじゃないとは思っていたが、推薦資格って……そんなものあるのか。こうも都合よく事が進むとは。

 

「本当か! そりゃ助かる」

「戸籍とかは俺らに任せろ。うちのカントー連合の力があればジョーイを嫌でもうんと言わせてやれる」

「「おれ達も協力しますぜ!」」

「ゴウゾウ、お前ら……」

 

 いける、いけるぞ。随分道草食っちまったと思っていたが回り回って逆に最短の道を進んでいたのかもしれない。急がば回れ、とは少し違うが遠回りも悪くないということか。

 

 思えば3人組に始まり、最初は敵だった奴がこんなに仲間になるなんて思いもしなかった。最初は敵は敵と割り切っていたが、世の中そう単純でもないのか。そんな感じの古い言葉もあった気がする。お金とポケモンはあるから、後はトレーナーカードさえあればここを出ていける。ぐっと手応えを感じ、トレーナーカード獲得へ向けて動き出した。

 




今後含めて、ネタはわかる人だけニヤリとしてもらえれば(ポケモン以外のネタも混じってます)
わざわざ説明とかは基本ここではしません、長くなりますし

ちなみに番人が交代をしなかったのは本人も意地っ張りだからです

今後ダメージ計算は昔の技の威力を参照してます
オーバーヒートだと威力130でなく140みたいな
これに関しては手直しがややこしいので
リアル乱数マジックのせいに出来なくはないですが……
本当にいらん変更してくれましたよ。
やるならそんなん直す前にエアスラが外れるバグを修正して下さい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。