Another Trainer   作:りんごうさぎ

96 / 146
5.運命の選択

 レインは後悔していた。みゅーが姿を消したあの日、当初はいつもの家出だと思いレインは深刻に考えていなかった。しかしいつまで経っても帰ってこず、翌日になってようやくみゅーが絶交という言葉を真に受けたのだと悟った。レインは手を尽くしてシンオウ中を探したが見つからず、みゅーはギアナへ帰ったのだと判断して諦めた。

 

 レインは激しく後悔した。たとえ許されるものではなくても、みゅーの愛は本物で、レインは唯一の心の支えだった。その支えを失ったみゅーの心中は推し量れないが、想像を絶する痛みを伴ったことは確かだろう。

 

 レインにとって絶交というのは脅し文句のつもりで本気ではなかった。もし破ってもそれを盾にして次はないぞと言うつもりだったのだ。だがみゅーはそれを重く受け止めてしまった。

 

 レインが思い出すのは一度見た狂気をはらんだあの瞳。いつかみゅーが自分を殺しにやってくるのではないか、そんな恐ろしい考えまで浮かんでいた。逆に自殺する心配はそれほどしていなかった。今のみゅーには執着するものがある……その間は死ぬことはない。レインの直感だった。

 

 問題はみゅーの持つ力が絶大であること。みゅーがそれを濫用すればどうなるか……。最悪の場合、レイン自身の手でケリをつけることも考えていた。

 

 シンオウの旅を終えるまでレインは後悔し続け、自らを責め続けた。口数はめっきり減り、ポケモン達からは心配されたが旅の中で気が晴れる時間は一度もなかった。だが、準備は怠らなかった。いつみゅーが現れてもいいようにできることだけはやるようにしていた。

 

 旅の最後、シンオウチャンピオンであるシロナから耳寄りな情報を得た。

 

「レイン君、あなたイッシュ地方って知っているかしら? 実は相談があるの。これは私の友人から聞いた話なのだけど……」

 

 遠く異国の地、イッシュ地方で謎のエスパーポケモンによる凶行の頻発。各地で無差別に野生のポケモンが襲われ、変わり果てた姿となって発見されていた。確認されていないものも考慮すればとんでもない数の被害。当然四天王やジムリーダー、果ては時のチャンピオンまでが解決に乗り出すがことごとく惨敗。手が付けられなくなっていた。

 

 レインはシロナから解決を任され、すぐにこれを引き受けた。野生のポケモンでここまで強いとなればもうみゅーの仕業としか考えられない。恐れていたことが起きてしまった。これ以上野放しにしておくわけにはいかない。

 

  レインはすぐにイッシュへ向かうことにした。ブルーには毎年顔見せをする約束があったので、ブルーは乗り継ぎを行うクチバに呼び出して待ち合わせ、すぐに船に乗った。

 

 船に乗り込み、カントーまでの船旅の間、レインは以前みゅーが話していた夢の内容を思い出していた。知らない場所で怖いことをする夢……イッシュでの大量殺戮……偶然とは思えなかった。

 

 ギアナはイッシュとは距離がありみゅーの知らない場所というのは十分符合する。大量殺戮は言わずもがな。レインが内容を尋ねてもみゅーが口を濁したことにも納得がいく。当時、夢はしょせん夢と軽く見ていたが結局その通りになってしまった……。もっと真剣に考えるべきだったのではないか。レインは後悔が募る一方だった。

 

「何とかまずは話し合いで説得。どうしてもダメならこいつの出番か……」

 

 手にしているそれはマスターボール。究極の捕獲アイテム。これさえあれば相手が幻のポケモンであろうと簡単にゲットできる。悪の組織と戦って得た戦利品だ。レインはそれをカバンではなくポケットにしまった。

 

「できればこれは使いたくないが、状況によってはこいつで封印してしまうことも考えないといけない。封印する可能性がある以上、このことはブルーには黙っておくしかないか。みゅーをどうしたか聞かれるとマズイ。封印しなかったとしてもあいつは何かと多忙だし、変な心配かけて迷惑はかけられないな」

 

 レインはブルーやみゅーと共に旅をした頃を思い出した。あの時はそれが当たり前だったが、今となってはもう傍に2人はいない。バラバラになって初めてあの時間がかけがえのないものだったと気づいた。

 

「みゅー……」

 

 何気なく取り出したのはみゅーがかつて入っていたモンスターボール。レインは大事そうにそれを手に取った。

 

 これはたった1つだけ残ったみゅーの忘れ形見。みゅーと別れ、結局形あるものは何も残らなかったことにレインは気づかされた。本当に幻のように、何も残さずにみゅーは消えた。ただのモンスターボール1つに執着する自分の姿を顧みて、レインはそのみっともなさに自嘲的な笑みを浮かべた。

 

 未練の現れだろうか。無意味なことと知りつつ、よせばいいのにと思いながらも、レインはそのボールをマスターボールと同じポケットにしまった。レインは自分自身に呆れ果てていた。

 

 らしくもなく、レインは意味のないことだとは知りつつも、どうしても願わずにはいられなかった。

 

「戻りたいなぁ……あの頃に」

 

 コンコン

 

 もの思いに耽っているとドアをノックする音が聞こえた。無情にも現実に引き戻され、レインはため息をついて応えた。

 

「スチュワーデスさんか? 何の用?」

「……お客様に直接うかがいたいことがあります。お時間よろしいですか?」

「……? 中に入るならカギは空いてるけど?」

「そうですか。ふふ」

 

 不気味な笑みと共に入ってきたのはレインと同じ年頃の女の子だった。派手な服装で露出もそれなり、アクセサリーの類もつけていてよりチャラくなったカントーの大人のおねえさんという感じだった。髪は美しい青髪でサングラスをかけている。あまり品が良いとは言えない恰好にレインは顔をしかめる。少なくとも乗務員には見えない。

 

 レインは最初から変だとは感じていた。騙し討ちのようにして人の客室に入るとはどういうことだとレインが口を開こうとした。だが相手の顔を見た際、僅かに引っかかりを感じた。初めて見る相手なのに妙に既視感がある。デジャブというやつだろうか。それに相手の表情……サングラスをかけていてはっきりはわからないが、何か訳知り顔とでもいうのかそんな表情で、直感的にただのイタズラ客ではないと察せられた。注意深く観察すれば相手からただならぬオーラを感じる。今まで相対してきたチャンピオン達にも決して劣らない。危険な空気が漂っている。

 

「お前……何者? 騙すような入り方をしてきて、何が目的?」

 

「へぇ、さすがね。もう警戒されちゃったか。相変わらず良い殺気ね。あぁ、うっとりしちゃう」

 

 チッ、不気味な奴め! と、レインは内心で毒づきながら警戒度をさらに上げた。レインは相手の容量を測りかねていた。

 

「悪いけどさっさと出ていってもらえるか? 俺は今虫の居所が悪い。痛い目見たくなければ出ていく方が賢明だ」

「あーあ、つれないのね。ふふ、でもそれはウソ。脅そうとしてもムダよ。今あなたは手持ちのポケモンを持っていない。本当は焦ってるんでしょ?」

 

 これにはさすがに驚きが顔に出てしまった。図星だった。レインは船にいる間はいつも手持ちは全てボックスに預けるのが習慣になっていた。だがそのことを知る者は自分しかいないはずだった。レインは激しく混乱した。

 

「……何者だ? いい加減名乗るぐらいしたらどう? あんたは俺のこと知ってるみたいだし、そっちも名乗ったらどうだ?」

「やっぱり私のこと気づいてないんだ。仕方ないか。私は生まれ変わったから。……それとも、あなたは捨てた奴のことなんかすぐに忘れるのかな。まっ、覚えてないならそれはそれで構わない。今度は二度と忘れないように心の芯にまで刻み付けてあげるから……ねぇ、愛しいレイン?」

 

 その言葉と共にサングラスを外した。その目を見てようやくレインは全て理解し、驚きの声を上げた。

 

「まさか……! もしかしてお前はみゅーなのか。なんでこんなところにいるっ! ずっとイッシュにいたはずじゃ……」

「あっ! 覚えていてくれたんだ! イッシュにいたことも知ってるなんて……やっぱりあなたは私から逃れられない。引かれ合う運命。そう、私はみゅー。あなたに捨てられたみゅーよ」

 

 以前の清楚な服装からはかけ離れたケバケバしい見た目に惑わされていたが、体の1つ1つをとってじっくり見てゆくとびっくりするほど色濃くかつての面影が残っていた。見れば見るほど瓜二つ。年を考えれば“へんしん”をかけ直したと考えるべきだろうが、そう思うよりむしろ以前の姿から成長したと考える方がレインはしっくりきた。

 

「みゅー、帰ってきたのか……」

「レイン……」

 

 どうして今ここでみゅーが現れたのかはわからない。だがレインにはそんなことはもうどうでも良かった。気づけば全身から力が抜けていき、そのまま膝をついてみゅーに謝っていた。

 

「すまなかった! もう遅いだろうが謝らせてくれ。本当にごめん。ずっと後悔していた。お前を追い込み過ぎたこと、何度も何度も反省した。みゅーのことを考えなかった日は1日もない。お願いだからもう一度戻ってきてくれ。そしてこれからはもうあんな恐ろしいことはやめよう」

 

 レインの真剣な謝罪にみゅーは顔を歪めた。だがみゅーにとってレインがここまで真剣に謝っているのを見たのは初めてのこと。その事実に思い当たり、みゅーの顔に徐々に歓喜が広がった。

 

「そう……。レイン、後悔してくれたんだ。私はまだ必要なのね。……レイン、顔上げて。じゃあ1つ聞かせてよ。あのとき、私が最後にしてしまったこと。約束を全て破ったことはもう怒ってないの?」

「それは……」

「ウソはすぐにわかる」

 

 言いづらそうなレインを見て間髪入れずにみゅーが言った。かつてとはもう違う。エスパーとしての力は本来の力を取り戻しているように思えた。レインは慎重に言葉を選んだ。

 

「もちろんまだ怒っている。みゅーには約束も信用も裏切られたと思っている。だけどあのとき本気で絶交する気なんてなかった。お前に約束を守らせるために仕方なく引き合いに出しただけ。あの時のみゅーは俺と一緒にいることに躍起になっていたから必ず守ってくれると思っていた。今は本気ではなかったとしても安易にあんなこと言うべきじゃなかったと反省している」

「えっ! そうだったんだ。あの時はショックでどうにかなりだったから……。すぐに飛び出してしまって、その後は怖くて顔を見る勇気すらみゅーにはなかった。そんなことなら勇気出して戻ってれば良かった……」

 

 これを聞いてレインはさらに続けて言った。

 

「だったらまた一緒に旅をしよう。次はジョウト地方とかどう? まだ行ってないだろ?」

「レイン……嬉しい、本当に嬉しい。じゃあね、みゅーからもお願い」

「なに?」

「私のこと……愛してほしい。今度こそ私を受け入れて!」

「っ……それは……」

 

 レインにはわかっていた。この言葉への返事の仕方によって、今後の2人の運命は大きく変わってしまうと。

 

 レインはとっくにわかっていた。みゅーに会う前から全てわかっていたのだ。どんなに上手く説得しても、どんなに仲直りしようとも、結局最後にはこの壁に突き当たる。人とポケモンの種族の壁がある限り問題は決して解決しないのだとわかっていた。

 

 だが、わかっていても難しいことはある。次の一言……さすがのレインといえど、運命を握った次の選択の重圧を前にしてどうしても口が重くなり、何度も口を開きかけては閉じてを繰り返していた。

 

「レイン……」

 

 まっすぐレインを見つめるみゅー、その姿を目にして、レインはようやく覚悟を決めた……己を捨てる覚悟を。

 

「ダメだ! みゅーを受け入れることはできない」

 

 言い終えた瞬間レインに凄まじい衝撃が襲い掛かった。火花が飛び、視界が真っ白に染まってそのままレインは意識を失った。レインはめのまえがまっくらになった。

 

 ◆

 

 どれほど時間が経ったのだろうか。レインが目を覚ますと体の自由が利かなくなっていることに気づき、視界が戻ると周りの景色も一変していた。

 

「ここはっ!? まさかっ……ぐぅっ!!」

 

 体が締め付けられる感覚を前にレインはうめき声をあげることしかできない。みゅーの“ねんりき”だ。

 

「おはよう寝坊助さん。よく眠れた?」

「ねんりきか……くそっ、力が強過ぎる!」

「ねぇ、さっきみゅーはよく聞こえなかったの。もう一度、よーく考えて答えて。レインはみゅーが好き。だからレインは一生みゅーのモノになると誓う。そうよね?」

「何回も言わせるな。みゅー、いつまで現実から目を背ける気?」

「黙れっっ!!」

「ガハッッ!?」

 

 拒否した瞬間、またしても衝撃を受け、今度は壁と激突して息が詰まった。今度はさすがに何をされたのかわかった。とんでもない速さの“サイコキネシス”を受けたのだ。今まで見たこともないような恐るべき攻撃だった。

 

「なんでっ! どうしてなのっ!? 私の何がいけないの? どうすれば良かったの? どうしたら正解だったの!? こんなのおかしいっ! なんで私を受け入れてくれないのっ!? 種族の差が、私達を全て否定しているのっ!? あああぁぁぁっっっ!!!」

 

 みゅーはヒステリックに大声で叫んだ後、レインからバッグを“ねんりき”で取り上げ、渾身の力を込めてレインに“10まんボルト”を浴びせた。

 

「ぐぁぁぁっっっ!?」

「はぁ……はぁ……あぁ、ふぅー、少し落ち着いた。レイン、これが最後ね。もう一度…」

「ダメだっ」

 

 みゅーが言い終わる前にレインは言い切った。みゅーはピクリと眉を動かすが、今度は無表情になって淡々とした調子でレインに語り掛けた。

 

「ねぇ、知っているでしょ? 私がイッシュで何をしてきたのか。あれはね、全部この日のためにやってきたの。あなたへの恐怖を克服し、そして自分の手を血に染める覚悟を決めるために練習してきたの。もう私は優しいみゅーちゃんじゃない。立派な殺戮ポケモン。今私の機嫌を損ねるとどうなるか、賢いあなたならわかるよね、レイン?」

 

 ――殺すよ――

 

 最後に小さく、だがハッキリと聞こえる声でみゅーは言った。同時に黒く怪しい色合いに変わった眼差しで睨まれ、魂が縛られるような感覚に襲われた。

 

「くろい……まなざしっ!!」

「もう逃がさないからね……アハァ……でも、念には念を入れてこっちもしておこうかな。あなただけは油断ならないものね」

「これは……ふういん!?」

「獲物を捕まえるときの鉄則。あらゆる自由を奪ってからじっくりと追い詰める。あなたが教えてくれたのよ? これでレインは全ての技が使えない。つまり攻撃することができないってこと。ふふふ……すごいでしょ? これが私の負けない秘密。私を倒せる者なんてこの世にいないのよ。たとえチャンピオンだろうが私は片手間で倒せてしまう。それはレイン、あなたが相手でも同じ。さぁ、覚悟はいい? 徹底的にいたぶってあげる」

 

 みゅーは“ふういん”をした後さらに“ねんりき”でレインの体を縛った。優越感に浸りながらジュルリと舌なめずりをするみゅー。レインは追い詰められていた。みゅーの言う通り、レインは一切の攻撃手段を失い、さらに逃げることもままならない状態になっていた。当然ボールはパソコンの中なのでポケモンもいない。

 

 “ふういん”は特殊な効果を持つ技。自分が覚えている技を相手は使えなくなる。普通はポケモン毎に覚える技はバラバラでありこの技の実用性は低いと言わざるを得ない。特にシングルバトルではダブルバトルにおける“まもる”のような必須といえる技もないのでなおさらだ。

 

 だがこれをみゅーが使えば一転して凶悪な技に化けてしまう。ミュウはあらゆる技を習得可能なポケモン。その特性を活かし、ゲームでは習得機会のない技も含めてみゅーは全ての技を会得していた。それは全ての技を“ふういん”できることを意味する。相手は一切の技の使用が禁じられる。

 

 その上レインは“くろいまなざし”の効果で逃げる行動も封じられた。残された行動は僅かとなった。

 

 ひりつくようなプレッシャーがレインの肌を撫ぜる。みゅーが容赦する気がないこと、そして状況によっては殺しも辞さない心積もりであること、これらはレインとて言われるまでもなくわかっていた。イッシュの事件を聞いた時から、レインはこの状況を想定していた。

 

 みゅーの犯罪はレインを殺すための準備であることは薄々察していたし、今はっきりと憎しみを抱かれていることもわかった。

 

 そしてこの場所にもレインは見覚えがあった。グレン島、ポケモン屋敷の地下にあるひみつのへや。ここは外部から特殊な隔離をされていてたとえエスパー人間だろうが生半可な力では絶対に助けには来れない。わざわざこんな場所を用意していることを踏まえれば計画的な行動であることは明白だった。

 

「いっつぅー、きっつい縛り方しやがって……1ミリも動けなくする気? 容赦のかけらもないな。でもな、みゅー。俺が何年お前と一緒にいたと思う? お前の考えなんざ全てオミトオシ。殺す気なのは言われなくてもわかってる。むしろわかってないのはみゅー、お前の方だ」

 

 ピクッとまた眉が動くが、みゅーは努めて冷静に答えた。

 

「わかってるなら、らしくないのはレインだよ。いつものあなたならウソでも、いや、自分の気持ちを曲げてでもいったんは私に従って、一時的に私を満足させてから殺そうとするはず。違う?」

 

 物騒だなぁ、と呟きながらレインは笑った。

 

「わかってるじゃないか。御慧眼」

「っ!! だったら、おとなしく私の言うことに黙って頷いていればいいのよ! それをなぜっ!」

 

 とうとうみゅーは沸点を超えた。対照的にレインは静かに答えた。

 

「どうでもいい奴が相手ならそうするさ。でも、お前にはウソをつきたくないし、自分の信念を偽る気もない。きっとお前は真っ赤なウソだとわかっていても満足したんだろうが……へへ、悪いな?」

「んっく、こんのォ……なんでそんなに頑固なのっ! どうあっても私を否定しないと気が済まないの?! ぐぅぅぅ、ニクイニクイニクイッ! レイン、あなたが憎くて仕方ないっ!」

「っし! 解けた!」

「しまった!? これが狙い!?」

 

 精神的に乱れたことでレインでも“ねんりき”を外せるようになった。拘束されてからレインはずっとこれを待っていた。しゃべりながらも頭は打開策を考え続けていたのだ。常人ならとっくに気絶しているはずの攻撃を耐えながら僅かな活路に勝機を見出す。レインの恐るべき力にみゅーは戦慄した。

 

「くらえっ!」

「みゅっ! けむりだま!?」

 

 なぜけむりだまを持っているのか……レインは緊急時に備えて常に護身用としてすぐ取り出せる場所に戦闘用の道具を仕込んでいた。特に今回は上着まで取られなかったことが幸いした。みゅーは完全に不意を突かれて動けず、精神の乱れで探知能力も落ちていた。

 

 みゅーは選択を誤った。レイン相手に“ふういん”は失敗だ。みゅーは“さしおさえ”を使うべきだった。

 

 “さしおさえ”は相手のあらゆる道具の使用を禁ずる。レインの強みは道具を駆使した戦い方。“さしおさえ”ならこれを完全に封じ込める。

 

 しょせん人間の力ではたいそうな攻撃などできようはずもない。ましてやみゅーとレインでは力の差は歴然。ならば警戒すべきは道具の使用だったのだ。

 

 けむりだまの効果でみゅーは攻撃できない。みゅーが動けないうちにレインは素早く態勢を整えた。レインはサーチを使ってみゅーの位置を正確に把握している。

 

「くっ、なんでレインは動け……みゅぅぅ、視てるのね」

「……ここだ!」

 

 みゅーが立ち往生している間にポケットに忍ばせたボールに手を伸ばした。手に触れたのは2つのボール。みゅー捕獲の最終兵器マスターボールと、かつてみゅーが入っていた思い出のモンスターボール。一瞬レインの手が止まった。だがみゅー相手に悠長なことはできない。レインが選んだのは……。

 




いよいよ最終ステージに突入!
申し訳程度のバトル要素を挟んだ話でした

レイン……バトルとかでは思い切りがいいのに女の子には未練たらたら……
悲しき人の性ですね
この状態で正しい判断ができるのかどうか
うーん……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。