少女と奏でる、竜の詩。   作:奈々歌

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初めまして、奈々歌です。
お久しぶりの人はすいません。

何があったか? 簡潔に説明すると、入退院を繰り返していました(笑)

最弱無敗の神装機竜では、他に第零遺跡の『管理者』たるものを投稿しておりますが、原作が進むにつれ、考えていた設定がことごとく使用出来なくなってしまいました。

その為、息抜きも兼ねて、こちらを投稿させて頂きます。

下手ではありますが、暖かい目で見てくれると嬉しいです_(._.)_


それでは、どうぞ!




Act.0 Prologue。
Act.0‐1


 ―――、深々と雪が降っていた。

 

 季節は冬。

 鐘の音が鳴り、聖なる夜を告げ、街では祭りのような賑わいを見せている。クリスマス……、そう呼ばれるものだと聞いたことがあった。

 この寒さのせいか。忙しなく道を急ぐ人もいれば、親しげに並び歩く男女。親……家族だろうか? 大人に挟まれ手を繋ぎ、小さな子供が間で幸せそうな笑顔を浮かべている。

 

 白く雪が積もる。

 冷え切った石畳の地面に座り込む黒髪の少年。

 真紅――だが、その瞳は虚ろ。赤というよりは赤黒く。

 少年は大通りを眺めながら黙々と硬くなってしまったパンを口に運んでいた。でも、それは子供とはいえ、人一人分としてはあまりにも乏しい大きさ。

 

 ここは国の端。貴族や平民たちが暮らす街から弾かれた者の暮らす場所。日の当たらない暗い場所。ここでは何が起きようとも、誰も気に留めやしない。そう、何が起きてもだ。

 

 人として、国民として、認められない者たちの溜まり場。

 そこで少年は一人だった。いや、もう一人になってしまった。頼れた人たちは先に旅立った。でも、あの人たちから学んだことを忘れなければ、生かしていれば「ここ」では十分に暮らしていける。

 

 先人の知恵……。そう言っても過言ではないのかも知れない。顔が隠れるほど深く被ったボロ布のフード。地面へ放ってあるナイフに染みつく「色」がそれを物語っていた。

 

 毎日。毎日、毎日。毎日、毎日、毎日。

 同じ日々の繰り返し。変わる事といえば、季節の移り替わりだけか。その日をどう生き延びるか。食料にどうすればありつけるか。考えることはそればかりの日々。

 救いは寝床の心配はいらないこと。今、座っているこの場所で横になろうとも、誰も文句は言わないのだから。

 

 将来? 未来? そんなものに希望なんてない。

 ……どうしてこんな生活になったのだろうか? 生きている意味が無くなっていく。

 

 でも――。それでも生きようとするのは何故だろう? もう何回も考えた、もううんざりした。でも、それでも、考えてしまうことがある。

 

 だけど、辿り着く答えはいつも同じ。何故なのか……。

 きっと、それは思い返せば今でも耳に、記憶に残るあの言葉の所為。

 

 ――生きてさえいれば良い事があるものだ。お前はもう底を生きた。……だから、それまで必死に生きろ。きっと、きっと、大切な「何か」が見つかるはずだ。そして見つけた大切な「何か」為に残りの命を使え。それが「幸せ」というものだから……。

 

 死ぬ間際。そう言い残し、この世を去った恩人。残していく者、「少年」の為を思って伝えた言葉。だけど、そんな思いとは裏腹に、その言葉は少年を苦しめていた。

 

【少年】

「分からない、分からないんだ。もう……」

 

 その言葉を胸に、これまでを生きてきた。決して褒められたことなんてしていない。今、この手にある食べ物だって……。

 冷え切った手にぽたぽたと小さな跡が出来る。潤んで視界が歪む。何か熱いものが頬を伝っていく。でも、何故かそれは、とても、とても冷たかった。

 季節は冬。

 きっと寒さのせいだ、そのせいだ。

 きっと、きっと、全部―――。

 

【???】

「―――あ、あの。これ、使いますか?」

 

 俯く顔に声が掛けられた。聞いたことのない、幼い声。白く染まった地面を見つめていた視線が自然に上を向く。

 見上げた先には、年もさほど離れてないであろう小さな少女いた。心配そうにこちらの様子を窺っている。

 雪と似たような白のコートを着込んではいるが、寒さに耳を赤らめ、吐く息は白い。差し出された手には花の刺繍がされた可愛らしいハンカチが握られていた。

 

 泣いている姿を見られた。男としては少し恥ずかしかったが、駄目だった。感情が溢れ出し、袖で涙を拭おうにも止まらない。

 頼れる人たちはもういない。心の拠り所がなかったんだ。

 ずっと、ずっと、我慢してきた。でも、どうしても、時にはこうして零れてしまう。その時はただ一人で、いつも一人で―――。

 でも……。この子は声を掛けてくれた。手を差し伸べてくれた。少年はその優しさに縋るように手を伸ばして、「それ」を手に取っていた。

 

 そこで意識は途絶えた。夢の終わりだ―――。

 

 

 †

 

 

 駅のホームに汽笛が届き、ふと目を覚ます。長椅子に腰を下ろし、汽車を待っている内に、どうやら眠ってしまったようだ。

 少し顔を上げたことで、顔に乗っていた本が膝元へと落ちた。

 春。

 出会いと別れ、新たなる門出。そして、新たな生活の始まり。寒さが終わり、暖かな日々と共に訪れる季節。勿論、生活に変化がない人もいるだろう。

 これは若い内の特権な気もする。

 ―――「青春」というやつか?

 斯く言う自分は新たな生活が始まる側の人間だ。

 いや、正確に言えば久々に地元へ帰る為、元の生活に戻ると言う方が正しいか。この春から、三年ぶりに母国へと帰国することが決まったのだ。

 

 俺が小さかった頃から父の仕事は長期的な出張が多かった。これは家柄の立場からして仕様がない。家では母と妹、俺の三人で過ごすことは珍しくはなかった。

 だが、今回の出張は今後と将来の為。社会勉強の一環として、俺がついて行くことになった。

 

 母と妹を残して家を離れ、更には母国から国境を三つ程も越えた初めての国。右も左も見たことの無い。友人も一から作ることになる。

 最初はそんな心配から大丈夫かと不安にもなった。

 だが、自分なりに上手く出来たと思う。 一月も経つ頃には、新しい生活に馴染めていた。環境に対しての適応力でも高かったのだろうか?

 

 今年に入り暫くして、父の仕事も一通り片付いた。

 父は世話になった他所への挨拶周りをしていくと言い、俺は一足先に国へ帰ることになったので、こうして汽車を待っている。父は明日の汽車で戻って来るとのこと。

 

 ―――シュュュゥゥゥ。

 先程、汽笛を鳴らしていた汽車が蒸気を噴き出しホームに停車した。

 乗り込む車両が目の前に止まったのを確認すると、足元に置いていた革鞄を持ち上げる。木造の床に足を掛けて乗車すると、席と席の間の通路を歩いて行き、席を探した。

 別にこれといった席の指定はない。けど、何となく探してしまうもの。車両の中は二人掛けの長椅子が向かい合わせで並び、一つの空間で四人が対面に座ることの出来る造りとなっている。

 その席を贅沢に一人だけで使う。それくらいこの車両には乗客がいなかった。田舎だから。人気が無い。……という訳ではない。

 乗ったのが始発だからだ。まだ日も昇って間もない。こちらで暮らしていた家を出た時には、まだ空は薄暗かったからな。

 

【ノエル】

「まだ、随分と時間があるなぁ……」

 

 これから国境を三つも越えるとなると、母国の駅に着く頃には夕方になってしまうだろう。こっちに来る際にも長く感じたもの。来た時同様、本を読んで時間を潰してもいいのだが……。

 

【ノエル】

「……うーん。いや、寝るか」

 

 この時間に合わせるように今朝早く起きたということのもあり、まだ眠い。

 窓枠に頬杖をつき、そこに頭を預けると瞼を閉じた。窓からは日の出から間もない、優しく暖かい光が差し込んでおり、丁度良く眠気を誘う。

 

 また、夢の世界に沈む―――。

 

 それは、そう、うとうととし始めた時のことだった。

 

【???】

「―――、相席、宜しいでしょうか?」

 

 と、声を掛けられたことで目を開けた。

 声の主を確認する為に、顔を通路へと向ける。

 すると、そこには女の子が立っていた。

 一言で表すと、絶世の美少女だ。

 

 

 †

 

 

 ここで、セーブしますか?

 →はい。

  いいえ。

 

 ……。完了しました。

 




後で活動報告も更新します。

評価、感想、頂けると嬉しいです。

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