少女と奏でる、竜の詩。   作:奈々歌

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個人的にだけど、隔週か毎週の木曜日に更新できるように、何となく努めてしまっているという(笑


Act.0‐3

 時間はあっという間に過ぎていく。

 そんなに多くは語っていたつもりはなかったのだが、ふと、懐中時計を確認して見ると、昼より少し前。十一の時刻を長短の針が示しているのに気が付いた。

 

 

 †

 

 

 ロードしますか?

 →はい。

 いいえ。

 

 ……。完了しました。

 

 

 †

 

【ノエル】

「もうこんな時間か。じゃあ、そろそろ……」

 

 懐中時計をパタンッと閉じ、そう言いつつ、車窓から汽車の進行方向を覗く。視線の先には小さな町と、この汽車に乗った駅よりひと回り程、大きめな駅が見えて来ていた。

 

 そう。アティスマータ王国へ向かう為には乗り継ぎが一度あるのだ。今の汽車にこのまま乗車していると、目的地であるアティスマータ王国を越えて北の大国、ユミル教国へと向かってしまうことになる。

 来る際には寝過ごしかけ、親父に起こされた覚えがあった。それを思うと、夜架が声をかけてきたことで眠るのを諦めたのはもしかしたら正解だったかも知れないな。

 

 丁度良い。確かあの駅には売店が何件か出ていたはず。行きでも昼の飯として買って行った記憶がある。今回もそうするとしよう。時間もお昼に近いことだしな。

 

 ………。

 ……。

 さて、ここで気になることが一つ。試しに聞いておこうか、この引っかかりの正体を。

 

【ノエル】

「あのさ、夜架は乗り継ぎがあるのは知っていたよね?」

【夜架】

「あら、そうなのですか?」

 

 予想通り。案の定というか。

 ……やっぱりそうか。

 あまり深くは踏み込めないけど―――。

 そこまでの仲という訳ではないし。

 詮索は……聞くのは止そう。

 

【ノエル】

「この先の駅で乗り継ぎしないと。この汽車ではアティスマータ王国には行けないよ。あの駅には売店もあるし、ついでにお昼でも買って行こう」

【夜架】

「もうそんな時間なのですか? あっという間ですわね」

【ノエル】

「俺も夜架が楽しそうに聞いてくれたから時間なんてあっという間だったよ。でも、俺ばっかり話していてつまんなかったでしょ?」

【夜架】

「そんなことないですわ。ノエルさんのお話はとても面白かったですわ。懐かしそうに、楽しそうに話すノエルさんが羨ましかった程に……」

 

 何かを懐かしむような笑みを浮かべると、青い瞳をノエルから窓の外へとふっと向けた。彼女のどこか寂しそうなその表情が妙に気に掛かってしまった。

 

【ノエル】

「夜架?」

【夜架】

「……何でもありませんわ、お気になさらずに」

【ノエル】

「……ならいいけど」

 

 寂しさを隠す為なのか、小さく微笑み、再びこちらを向いた夜架。触れてしまえば崩れてしまいそうな弱々しい笑顔。

 

【ノエル】

「(この子は一体……)」

 

 そんな疑問が頭に浮かんだ時。数時間前にも聞いたあの音が思考を遮る。

 汽笛が鳴った。駅に到着した合図。

 車輪の隙間から蒸気が漏れ出し、金属同士の擦れる音が甲高く響く。やがて音が遠くへ消えると、汽車は足を止める。

 

 曇りの晴れないままだったが、いつまでも乗っているわけにはいかない。車両がしっかりと止まった後、ノエルは鞄を持ち、席を立った。

 夜架も自分の荷物を手に持って腰を上げる。

 

 さぁ、ここだ!

 ―――俺もそこまで気の利かない男ではないのだ。しっかりと彼女の荷物は持ったぞ? 何か、見た目の割には軽い荷物だったけどな。

 

 乗降口から降り、木造の床から、硬い人工物の地面に変わる。始発の汽車に乗って来たからか、時間の割にはこの駅にもあまり人の姿はない。

 多分だが、この後ろに続く汽車に沢山乗っているのだろう。

 何せ、今日は休日。仕事の日でもないのに、誰が好き好んで、早朝の汽車になんて乗ることか。

 乗り継ぎに使う汽車が来るのは、駅員に聞いた所、予定では数分で来るとのこと。時間も余り無いようだし、もう一つの目的である売店に向かうことにする。

 客がまだ少ない時間帯だと知っているのか、開いている店は疎らだった。

 

【ノエル】

「適当にあの店にしようか?」

 

 ノエルが指を差したのは手頃な軽食を売っている店。あちらではあまり目にしなかった

「サンドイッチ」というパンの生地で他の食品を挟む食べ物。

 

【夜架】

「わたくしはどの店がなんなのか知りませんので、そこはノエルさんに任せますわ」

 

 それならとノエルは歩き出した。夜架はその後ろを付いて来る。店に顔を出すと、店員のおじさんが威勢のいい声で迎えてきた。

 これは俺の勝手な偏見かも知れないが、店先にいるおじさんは大体声が大きい気がする。耳に響くくらいにな。魚介類を売っている店なんかはそうだろう?

 まぁ、その方が気軽にものの良し悪しを聞けるから楽な部分もあるけどな。

 

 こう言ってはあれだが、品揃えは多くはなかった。まぁ、元々幅の狭い食べ物だから仕方がないのかも知れないが。

 でも、別にあれこれ拘りはないので、俺は無難なサンドイッチを二つ買うことにする。

 

【ノエル】

「夜架は何にするか決めた?」

 

 隣で並んでいる商品を眺めていたので尋ねた。

 

【夜架】

「……。どうやらわたくしの持っているお金では買えないようですわ」

 

 持っているお金では買えない?

 夜架の言葉を聞いて「ああ」とノエルは気が付く。ここでは、彼女の国と通貨が異なるのだ。

 この大陸ではどの国でも共通の通貨を使用している。そのせいか、普段は気にすることがなかった。気が付くのが遅れたのもその為。

 彼女はこの国の出身ではない。珍しい服装や容姿からでも分かるように。

 

【ノエル】

「そっか。換金所通してないのか……。港にはなかったの?」

 

 ノエルの問いかけに夜架は可愛らしく小首を傾げ、きょとんとしていた。

 おい、マジかよ。アティスマータに着けば、駅にもある。そこで通貨を変更させよう。というかさせよう。じゃないとこの子……。

 

【ノエル】

「ま、まぁいいや。ここは奢ってあげるから選んでいいよ」

【夜架】

「いえ、わたくしは食べなくても平気ですわ、お気になさらず」

【ノエル】

「いやいや、誤魔化すなって。見れば分かるぞ、今日まだ何も口にしてないだろ?」

【夜架】

「……分かりましたわ。では、わたくしもこちらをお願いしますわ」

 

 夜架の指が示した商品を確認した店員は「あいよ」と包み紙にパンを挟み、夜架にも渡す。手に取ったのは俺が買った片方と同じもの。野菜がメインのお腹に優しいサンドだ。

 

【ノエル】

「同じもので良かったのか? 違うものでも……」

【夜架】

「こちらの食べ物は見たことのないものばかりですわ。なら、ノエルさんが選んだのと同じものを食べた方が失敗はないと思いますの」

【ノエル】

「そっか、なら食べ方とかも教えておくよ。初めてだもんな」

【夜架】

「ええ、助かりますわ」

 

 

 †

 

 

 セーブしますか?

 →はい。

 いいえ。

 

 ……。完了しました。

 

 




セーブ書きの有能さ。
切りたい所で切れる。これすなわち、ギャルゲー風の強み。

評価、感想貰えるとモチベが上がるかもしれません。

他の更新が途絶えている?
書いているけど、溜めてから更新したいだけなんだ。時間がある時と無い時の差が激しいからね……。

長い長い夜架との掛け合いも次で一旦お終いです。
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