あと文章の書き方変えてみました。
────あぁ・・・、
────ようやく命を果たす事が出来た・・・。
────千年以上にも及ぶ我が不忠を・・・。
────あぁ、願わくば・・・、
────どうか・・・ご無事で我が主よ・・・。
────某日本のとある場所
「・・・あれは?」
とある神社の境内で一人の巫女が呟く。その視線は空を翔ける一条の流星に注がれていた。
「白・・・うぅん、違う銀色の流れ星・・・?」
その流星は白銀に輝いていた。普通ならありえない銀の流星。だが〝ここ〟ではそんな事は日常茶飯事である。
やがて流星は山の向こうに消えていった。数瞬後、山の向こう側が光ったと思うと一斉に鳥達が羽ばたき、山から遠ざかって行く。巫女はその様子を眺め、
「・・・また何かの異変かしら。ハァ・・・仕方ないわね。」
巫女は〝浮かび上がり〟流星が落ちた方向へと向かう。巫女の名は〝博麗霊夢〟。ここ《 幻想郷》最強の巫女であり、一流の戦士でもあった。
「うぅ・・・?ここ・・・は?」
薄暗い森の中で“彼”は目覚める。彼の風貌は如何にも騎士と言った感じの格好だった。銀の鎧に白無地のマント、艶のない銀髪を後ろで束ねている。その容貌は美青年と言った言葉が良く似合う。────そして何よりも目を引く銀に染まった右腕。甲冑の類ではない。関節部でさえ銀色に染まっている。どう言う仕組みか分からないがそれは``義手´´であるという事が朧気に理解出来た。彼は困惑した様子だ。
「ここは・・・?私は王に聖剣を返還して・・・そうだ、そして間違いなく消えた筈・・・なら何故・・・。」
彼は酷く困惑している。何故自分が生きているのか理解出来ていないようだ。
────彼の名はベディヴィエール。アーサー王の配下である円卓の騎士の末席である隻腕の騎士であり、円卓内で最も王に近かった騎士。彼はアーサー王の死の間際、聖剣返還の任を果たした人物として知られている────表向きは。彼は聖剣返還の任を果たせず、聖剣の呪いによりアーサー王を探し千年以上も世界をさまよい続けた。結果、彼は全て遠き理想郷へと辿り着き、人類を救う為の戦いに身を投じることとなる。その際に〝花の魔術師マーリン〟により義手を与えられていた。その際、彼は人類最後のマスターの手を借り聖剣返還を成し遂げ、消滅した────否、する筈だった。しかし、彼は今どことも知れない森の中にいる。しかも────
「これは・・・受肉している?」
彼の肉体は聖剣の呪いによって崩壊を留めていたに過ぎない。聖剣が無くなった今朽ち果てている筈────にも関わらず受肉しており、なおかつ健康体のようだ。が、それだけならまだしも、
「・・・何故この腕が?」
────彼の腕は〝花の魔術師〟がケルトの戦神であるヌァザの腕をモデルに“聖剣を核にして”創り上げた義手。つまり聖剣返還の際に王へ返還した筈のもの。自身の手元に残る筈が無いのだ。
「・・・今はここが何処か知る事が先決、か。」
ベディヴィエールは悩んでも仕方ないと言うように立ち上がり、歩き出す。────自身の状況も確認せずに────
「しまった・・・これは・・・。」
────数十分程歩き続けた彼は自分が迷った事を悟った。彼は円卓では数少ない常識人であり────常識に当てはまらない天然でもあった。よくよく考えれば自分が居たのはどことも知れぬ森の中。そんな所で何も考えず歩き続ければ迷うのは必然。ベディヴィエールは頭を抱えながら考える。
「(どうしたものか・・・。まさかモードレッド卿の様に森ごと薙ぎ払う訳にも行かないでしょうし・・・。)」
何をやっているんだモードレッド卿。そしてベディヴィエールよ、冗談でもそんな事を考えるんじゃない。ベディヴィエールが早速天然を発揮していると少し開けた場所に出る。彼の目の前には小さな一軒家があった。
「ここの住人でしょうか・・・取り敢えず話を聞かなくては。」
ベディヴィエールは家の扉の前に立ち、軽くノックをする。
「はーい、今行くぜー。」
中から男口調の女性の声が聞こえてくる。ベディヴィエールはようやく人に会えたと安堵して────
「どうしたんだよ霊夢?ノックなんかせずにさっさと入って────」
────中から下着姿の少女が出てきて硬直する。それは目の前の少女も同様でそのまま見つめ合う。目の前の少女は金髪でくっきりとした目をしている中々の美少女だ。少し女性としての凹凸に欠けるが、まだまだ未来があるだろう。こんな状況ながらベディヴィエールはそんな事を考えていた。両者の間を沈黙が支配する。そのまま数秒間、先に復活したのは少女だった。
「うっ、うわぁぁぁぁあああ!?」
顔を真っ赤にしてドタバタと家の中に戻って行く。ベディヴィエールはその音を聞いてようやくハッとなる。どうしたものかと考えていると先程の少女が戻って来た。今度は服を来ているがそのデザインが少々奇抜だった。如何にも魔女と言った服装をしている。その姿を見て思わずと言った様にベディヴィエールは顔を顰める。
「(魔女・・・か。どうしてもモルガンを思い出してしまいますね・・・。)」
モルガン────アーサー王物語に登場する魔女であり、裏切りの騎士モードレッドの母親にして、円卓崩壊の切っ掛けでもある。円卓の騎士である彼があまりいい感情を抱かないのも当然である。目の前の少女は顔を真っ赤にしながら、
「・・・見たのか?」
か細い声で聞いてくる。ベディヴィエールは少しどもりながも答える。
「え、えぇ・・・その・・・すみません。」
「い、いやいや私の勘違いのせいだから気にしないでいいぜ!とっ、ところで!あんたはどうしたんだ?なんで魔法の森に?」
「(魔法の森?)」
ベディヴィエールは地球上にそんな場所があったのかと思いながら考える。そんな様子を見て少女は、
「もしかして・・・あんた〝外来人〟か?」
「・・?すみません、その外来人というのは?」
「あぁ〜、説明が長くなりそうだから取り敢えず上がってくれ。」
「良いのですか?申し出は有難いのですが・・・。」
「いいってことよ。困った時はお互い様だぜ!(まぁ〝あれ〟はなんとかなるか)」
少女はそう言ってニカリと笑う。魅力的な笑顔だとベティヴィエールは思った。
「それではお言葉に甘えて。」
ベディヴィエールは家の中に入っていった。その様子を見ていた者が居たが殺気が無かったので彼は特に注意は払わなかった。
「これは・・・大スクープですよ・・・!」
その見ていた者がいわゆるマスゴミと呼ばれる類の者だと言う事を彼は知らなかった。それがこの世界において彼の最初の不幸だろう。
「これは・・・。」
家の中に入った瞬間彼は絶句してしまった。少女の家はいわゆるゴミ屋敷の類であった。所々に本や服が散乱している。・・・明らかに下着類と分かる物もあった。どう考えても年頃の少女の家出はない。
「ちょっと散らかってるけど気にしないで寛いでくれ。
」
「・・・“ちょっと”?」
一瞬聞き間違いかと思ったが目の前の惨状がそう出ない事を示している。彼が唖然としているのも気づかず少女は話し始める。
「私の名前は霧雨魔理沙!よろしくだぜ!」
「・・・私はベディヴィエールと申します。早速ですがミス・霧雨。」
「ん?なんだぜ?」
「掃除をしましょう。」
「・・・えっ?」
「ほぇ〜。」
魔理沙が素っ頓狂な声をあげる。家の中は見違えるほど綺麗になっていた。彼────ベディヴィエールは円卓の騎士ではあるものの、執事としての役割もこなしていた。その家事スキルは赤い外套のオカン系サーヴァントや、良妻系腹黒狐にも劣らない。
「全く・・・ミス・霧雨?若いうちに家事くらい出来るようにならないと将来苦労しますよ?」
「うっ!いや、その、」
「いいですかミス・霧雨?貴女も女性である以上、将来は誰かと契りを結び、子を産み、母になります。その時に家事が出来なければ困る事になりますよ?」
「どっ、どうせ私みたいな可愛げのない女を貰ってくれる奴なんて居ないからいいのぜ!(うぅ、言ってて悲しくなってきたのぜ・・・。)」
「全く・・・ミス・霧雨。私からしたら貴女は充分魅力的な女性ですよ?」
「えっ・・・。」
ここでベディヴィエールは見事天然を発揮し、魔理沙を赤面させる。本人にはそんなつもりは一切無いのだが傍から見たら完全に口説き文句である。そんな事に気づかずにベティヴィエールは掃除を再開するために家の奥の部屋に向かう。彼が扉に手を掛けた所で魔理沙が再起動する。そしてベディヴィエールをみて、
「あっ!そっちは!」
慌てて止めようとするが、既に遅かった。ベディヴィエールが扉を開くとそこには────
────自身が敬愛する主を討った騎士が眠っていた。
「なっ・・・!?何故・・・貴女が?」
魔理沙はベディヴィエールの尋常ではない様子に尻込みしながらも彼に近寄る。
「お、おい!?どうしたんだ!?」
「・・・ミス・霧雨。彼女とはどこで?」
「へっ?あ、あぁ・・・三日前だっけか、森で倒れてたんだよ。傷はないけどかなり顔色悪かったから医者に見せたんだけど過労らしい。で、未だに目を覚まさないんだけど・・・。」
「・・・そうですか。」
ベディヴィエールはそれだけ言うと寝ている騎士に目を向け────
「────起きているのでしょう?モードレッド卿。」
「・・・チッ、やっぱり騙せねぇか。」
そう言ってムクリとモードレッドと呼ばれた騎士起き上がる。
「へっ!?寝てたんじゃ・・・?」
「起きたのはついさっきだよ。こいつの気配を感じたから起きたんだ。それで?なんでお前がここに居るんだ?サー・ベディヴィエール卿。」
「それはこちらの台詞だ、サー・モードレッド卿。」
────今ここに彼らの幻想郷生活が幕を開けた────