あと幻想郷の時間軸は春雪異変が終わってから一ヶ月くらい経っている設定です。
2017/11/22 クラレント→燦然と輝く王剣に変更しました。
2017年11/28 一部修正しました。
「オレが此処にいる理由ねぇ・・・」
目の前の騎士────モードレッドは考え込む様に唸る。やがて納得した様に頷きベディヴィエールを見る。
「・・・“アイツ”が原因だろ。間違いなく。てかそれしか考えられねェ」
「・・・やはり“彼”ですか」
呆れた様に二人は嘆息する。魔理沙はそんな二人の話についていけずオロオロと狼狽える。
「な、なぁ・・・“アイツ”とか“彼”とか一体全体誰の事なんだ?」
「誰って・・・なぁ?」
「えぇ・・・間違いなく────」
二人は顔を見合わせ全く同じタイミングで、
「「花の魔術師マーリン」」
と、言い放った。魔理沙は何を言われたか分からず数瞬瞬きをして、一気に爆発した。
「ええええええええええええええええええええええええええええええ!!!???ま、ままままままマーリンって!?あのマーリンか!?ソロモン王と並ぶ大魔術師っ!?ふっ、ふふふふふ二人はマーリンと知り合いなのか!?」
「知り合いっつーか・・・」
「元同僚ですね」
「元同僚ォ!?そんなの円卓の騎士ぐらいしかいな・・・え?ちょっと待てよ?モードレッドってことは・・・え?でも女だし・・・」
「オレは男だっ!!!」
魔理沙のこいつは女発言にブチ切れるモードレッド。彼女は過去の召喚で女扱いされてマスターを殺しかけている。それほど男にこだわる人物であった。・・・まぁ某水着のサモさんには面影が残っていなかったが。最終的に日焼けサモさんまで進化するし。
「いやどう見ても女だろ!?ッ・・・胸だって私よりあるじゃないか!」
「これは母上似だ!!」
「母親に似るだけで男に胸があってたまるかぁっ!!」
それは持たざる者の魂の叫びであった。魔理沙は涙目でベディヴィエールの方を向く。
「ハァ・・・ハァ・・・でことはベディもそうなのか?」
「ベディ・・・いえ何でもありません。私は確かに円卓の騎士の一員で古参の部類なのですが・・・まぁ伝説では〝あの時〟以外殆ど語られないですしね」
「あの時?」
するとベディヴィエールは苦い顔をし、
「・・・聖剣返還の際です。」
「聖剣返還・・・あぁ!!アーサー王が死の間際、配下の騎士に命じて聖剣を返しに行かせたあの!ってことはベティがその騎士なのか!?」
魔理沙が大興奮するのとは対象的にベディヴィエールは苦い顔のままだ。魔理沙はそれに気付き、
「・・・どうかしたのか?」
「いえ・・・何でもありません」
「所でよぉ〝ベディ〟?」
ベディヴィエールを先程魔理沙が呼んだ呼び方で呼ぶモードレッド。思いっきりニヤついている。傍から見たらからかっているようだが、ベディヴィエールはそれが〝彼女なりの気遣い〟だと気付き、心の中で感謝すると共に、マスターといい、何故自分の名前を略したがるのだろうかと悩む。
「・・・何でしょうかモードレッド卿」
「お前は何処まで憶えてるんだ?」
それが特異点での事だと察したベディヴィエールは自身が体験した事を全て話す。マーリンからこの腕を与えられた事、円卓の騎士と対立したこと、アーサー王と戦ったこと、聖剣返還については魔理沙がいるので誤魔化したが、自身が憶えている全てを話した。
「そうか・・・オレは第四の記憶しかねェんだ。第六の話はマスターから聞いただけだからな・・・つーわけでお前のその〝腕〟の事も知らねェ。まぁ興味無い訳じゃねェけど今更だ・・・。所でよぉ・・・」
モードレッドは一度言葉を切り、
「〝気付いてるか〟?」
真剣な眼差しでベディヴィエールを見る。
「えぇ勿論。〝敵意を持った存在〟がこちらに接近していますね。それも物凄い速度で」
「え!?マジか!?そんなの全然感じられ────」
「────でしょうね。敵意は全て我々に向いています。」
「────ハハッ!面白れェ!丁度体が鈍ってたんだ。リハビリ相手に叩き潰してやる!」
そう言ってモードレッドは壁に立てかけてあった大剣────クラレントを肩に担ぎ扉へ向かう。
「待ちなさいモードレッド卿」
そんな彼女をベディヴィエールは止める。モードレッドはイラついた様に、
「なんだよ?暴れちゃダメだってか?」
「いえ、そういう訳ではありません。ただ────」
ベディヴィエールは真剣な表情で、
「────やり過ぎないように。決して殺してはいけませんよ?手加減を忘れないでください」
「・・・チッ、わーったよ。手加減すりゃいいんだろ?」
モードレッドはそう言って部屋を出ていきベディヴィエールもそれに続く。一方魔理沙は二人の会話に唖然としていた。
「(冗談だろ?いくら円卓の騎士を名乗ってるとはいえ・・・ていうか本当かどうかも分からないし・・・それなのに〝手加減〟?いくら何でも幻想郷を舐め過ぎだぜ・・・。それにこの気配・・・まさか・・・)だとするとやばい!あの二人じゃ敵わない!」
魔理沙は焦って家を飛び出した。その心配が杞憂であり危険なのは己の親友だと言う事に彼女は気付かなかった。
「────貴女が異変の主犯かしら?ま、答えなくても良いけどね、倒すから」
「────ハッ。随分と余裕だなァオイ?」
魔理沙の家から少し離れた場所で二人の少女が対峙────片方は宙に浮かんでいるが────していた。ベディヴィエールは少し離れた場所から様子を伺っている。黒髪の少女────博麗霊夢は目の前の金髪の少女────モードレッドを冷静に観察する。
「(強いわね・・・人間にしては。魔理沙と同じくらいかしら?だったら勝ち目はある・・・でも)」
霊夢は彼女の持つ大剣に目を向ける。
「(幻想郷で大剣使い?あの半人半霊ならまだしも・・・こいつは人間みたいだし・・・)」
「なぁオイ」
霊夢が思考に耽っているとモードレッドが話し掛けて来る。
「・・・何かしら?」
「さっさとヤろうぜ?こっちは戦いたくてウズウズしてんだ」
そう言ってクラレントをブォンッと振るう。
「(こいつ戦闘狂か・・・)・・・いいわ、なら────遠慮なく食らいなさい!」
そう言って霊夢は大量の御札をモードレッドへ放つ。モードレッドはそれを躱し────
「おぉっ!?」
────たと思ったらその御札はモードレッドをホーミングし、追い掛けてくる。そのあいだも霊夢は大量の御札を飛ばしてくる。
「ハッ!いいなぁそう来なくちゃ!」
モードレッドは立ち止まりホーミングしてくる御札を迎え撃つ。
「ッラァ!!」
モードレッドは追い掛けてくる御札を全てクラレントで切り払う────しかも片腕で。ベティヴィエールの「手加減しろ」と言った言葉を律義に守っているのだ。
「(クハハッ!楽しいなぁ!やっぱり戦はいい!)」
モードレッドはこの戦いを楽しんで居たが霊夢はそれどころではない。
「(嘘でしょ!?あの大剣を片腕で!?どんな力してんのよ!?剣筋が全く見えない!こうなったら・・・)」
霊夢は表情を引き締め、一枚の札を手に持つ。
「霊符《夢想封印 》」
霊夢が札を構え前に突き出すと、色とりどりの球体が現れる。一つ一つが霊夢の数倍はある球体だ。それはモードレッドに次々と襲いかかる。が、モードレッドは慌てた様子を見せず不敵な笑みを浮かべる。
「『燦然と輝く王剣《クラレント》』!!!」
愛剣の名を呼び横薙ぎに一閃する。すると剣から魔力の奔流が迸り、夢想封印をあっさりと薙ぎ払う。
「嘘・・・」
霊夢は信じられないと言った様に呟く。だが忘れてはいけない。これはただ剣閃に魔力を纏わせ飛ばしただけである。宝具の真髄である“真名解放”を彼女は行っていないのだから。モードレッドは呆然としている霊夢の所にまで飛び上がり剣を振り下ろす。
「っ!?うあぁっ!?」
咄嗟にお祓い棒でガードする霊夢だが、そのまま地面に叩きつけられる。そのままモードレッドは霊夢に剣を突き立て────
「んなっ!?」
────ようとしたところで霊夢が“消える”。そして思わず狼狽えたモードレッドを何かが縛り付ける。
「なっ!これは・・・糸か!?(解けねぇ!魔力が込められてやがる!)」
「無駄よ。人間如きに解かれるほどヤワじゃないわ。」
モードレッドは振り向こうとし、自身の喉元に刃が突きつけられているのに気づく。
「(あっちゃぁ油断したか・・・)」
「そのまま大人しくしていろ人間。こちらも無益な殺生は望むところではない。」
刀を持った銀髪の少女はモードレッドに警告する。離れた場所には霊夢と指から糸を飛ばしている金髪の少女。そして銀髪のメイドがいた。
「咲夜・・・アリスに妖夢も・・・助かったわ。」
「それより霊夢彼女は?」
咲夜と呼ばれたメイドが霊夢に問いかける。
「・・・多分貴女達と同じよ。あの銀の流れ星を追いかけていったらこいつに出会ったのよ。あとはこの通りよ。」
「そう・・・じゃぁこのまま目的を聞きだしましょう。その方がさっさと・・・ッ!?妖夢ッ!!」
「ッ!?はァっ!」
咲夜が焦った声をあげる。何事かと妖夢と呼ばれた刀の少女は振り返ろうとする前に刀を振るう。が、あっさりと受け止められる。妖夢に攻撃を仕掛けたのは細身の長剣を持った銀騎士────ベディヴィエールであった。彼はそのまま妖夢を吹き飛ばし、モードレッドに近寄って彼女を拘束している糸を斬る。
「申し訳ありませんモードレッド卿。どうやら彼女達を甘く見ていたようです。」
「・・・ったりめーだ。ハナから本気出しときゃさっさと終わってたんだ」
「あれぐらい言わなければ貴女はいつもやりすぎるでしょう」
ベディヴィエールはハァと溜息をつく。相当過去に苦労していたようだ。そんな二人を警戒しながら金髪の少女────アリスが話し掛ける。
「・・・貴方達は何者?何が目的なの?」
「我々目的はありません。そこの彼女がこちらに敵意を持って我々に戦いを挑んだのです」
「そう・・・貴方達の名は?」
「私はベディヴィエール。彼女はモードレッドと言います」
「・・・ふざけてるのかしら?」
咲夜がどこからかナイフを取り出し、殺気をぶつけてくる。ベティヴィエールはそれを涼して顔で流す。
「別に巫山戯ている訳ではなく本名です」
「・・・取り敢えず、貴方達を拘束させて貰うわ。何をするか分からないもの」
「断わる。お前らに構う理由なんてないからな」
モードレッドはきっぱりと断り、ベディヴィエールもそれに反対する様子はない。彼らは目の前の少女達を信用していない。自らの戦力を晒したくないのだ。
「────なら無理矢理にでも従ってもらうわ」
そう言って四人の少女達は戦闘態勢に入る。それを見た騎士達もだ。両者達の間に重苦しい空気が流れ────
「ちょっと待つんだぜーーーー!!!!」
────少女の声でそれが霧散する。それは魔理沙であった。空から箒に乗って飛ぶという如何にも魔女といったスタイルである。そのまま魔理沙はベディヴィエール達の傍に降り立つ
「魔理沙!?なんでそいつらの方に!?」
アリスが驚きの声をあげるが、それは魔理沙も同様だ。
「それはこっちのセリフだぜ!なんでベティ達とお前らが戦かってるんだ!?」
「・・・ちょっと魔理沙?その人達と知り合いなの?」
「えぇっとそうだな今説明する。」
────少女説明中
「・・・つまり全て私達の勘違いだったと?」
「そういう事なんだぜ」
霊夢達は頭を抱える。つまり自分らの勘違いで目の前二人に迷惑を掛けてしまったということだ。そして何より信じられないのは────
「お二人が円卓の騎士────という事ですよ」
咲夜とアリスは信じられない様子だ。一方霊夢と妖夢は何のことか分からない。
「あの・・・咲夜さん?円卓の騎士って?」
「・・・五、六世紀頃に存在したと言われるある王の配下の騎士達の事よ。王を含め、騎士達は聖剣魔剣の類を携え、王の為に戦ったと言われているわ」
「したと言われるって・・・架空の人物って事ですか?」
「それはよく分かっていないわ。ハッキリしているのは騎士達は何れも一騎当千の勇者だったという事。この人達が本人なら私達が敵わないのも納得出来るけど・・・伝説と性別も違うし・・・貴方達は何故幻想郷に?」
「それが分かれば苦労しねーよ。あの魔術師に聞け」
「あの魔術師って・・・まさか?」
「花の魔術師マーリンの事です」
「あの大魔術師マーリン!?」
アリスを見て強烈な既視感に襲われる騎士達であった。
「あの・・・ベディヴィエール卿?貴方は伝説では隻腕だった筈ですが・・・」
咲夜の質問にベディヴィエールは右腕を上げ、
「これは義手ですよ。マーリン殿に造って頂いたものです。」
「「あのマーリンお手製のマジックアイテム!!!???」」
魔女二人は大興奮してベディヴィエールの右腕に迫る。完全に獲物を狙う肉食獣の目であった。霊夢は嘆息し、
「・・・取り敢えずうちの神社移動しましょ。話はそこで出来るわ」
ちなみに神社への移動ですが、モードレッドはモルガンに習った魔術で、ベディヴィエールも似たような感じで魔術を使った飛行で移動しました。特異点で使わなかったのははぐれサーヴァントだったので魔力を自由に使えなかったのと、ベディヴィエールは霊基が限界近かったので使えなかったということでオナシャス。
2017年12月17日 やうゆうさん。誤字報告ありがとうございます。