2017/11/25 加筆修正しました。
2017/11/29 誤字を修正しました。
────翌日。昨夜、慧音達と共にミスティアの店に呑みに行った際にモードレッドに紫から聞いた話をすると、
「行くぞ!あの
モードレッドは何故かチルノ達バカルテットと相性が良い。根本的な事が似ているからだろうか。モードレッドは本気で焦っていて、クラレントを担ぎ、今にも太陽の花畑に突撃して行きそうな勢いであった。流石にもう遅いという事で何とか彼女を諫め、今日今現在、彼らは太陽の花畑を目指している。
「しっかし、なんでよりにもよってアイツ何だ!?マーリンの野郎どれだけこっちに迷惑かけんだよ!」
モードレッドは相変わらず憤慨している。それもそうだろう。自分の友人達が幼女愛好家の被害に逢おうとしているのだ。気が気でないのもわかる。確かにガウェインは「女性は若ければ若い程良い」などとほざくロリコン野郎であるが・・・何故円卓の騎士は変態が多いのであろうか・・・。
「モードレッド卿。落ち着いてください。マーリン殿も何か考えのあっての行動でしょう」
「考えがあったらあの変態をこんなとこに送り込むか!?まだトリスタンとかの方がマシだぞ!」
「・・・そもそも何故マーリン殿は我々を此処に送り込んだのでしょうか?」
ベディヴィエールが疑問を口にする。それはモードレッドも薄々考えていた事だ。ベディヴィエールはまだ分からないでも無い。気まぐれなかの魔術師の事だ。「面白そう」という理由で消えゆく彼を此処に送り込んでも不思議ではないが、何故モードレッドや────恐らくだが────ガウェインまでもを送り込んだのか。その疑念が彼らの中で渦巻いていた。
「・・・考えてもしょうがねぇ。今は奴がいるのかどうかの確認だ」
「そうですね・・・行きましょう」
彼らは太陽の花畑を目指し、歩き続ける。花畑の番人が待ち受けているとも知らずに────
「────此処か」
「その様ですね」
あれから数十分程経った。彼らは英霊の身体能力にものを言わせてろくに舗装されていない幻想郷の道を踏破し、僅か数十分で太陽の花畑に辿り着いていた。(ちなみに空を飛ばなかったのは幻想郷の地形を細かく把握する為であり、彼らが地上に慣れているという事もある。)
「しかし・・・、これは凄いですね・・・」
「あぁ・・・だが────」
二人は目の前の光景に目を奪われていた。司会を覆い尽くす幾万本の向日葵達。その光景はいっそ、幻想的ですらあった。ただ────
「────これはおかしいだろ」
目の前の向日葵達は全てが太陽に背を向け、とある方向を向いている。その先からは彼らのよく知る雰囲気が流れて来ていた。しかし────
「なぁ・・・こいつは・・・」
「えぇ・・・ガウェイン卿“では無い”。よく似てはいますが・・・」
そう・・・それは彼らよく知る雰囲気とは似て異なるものだった。更に────
「似ている・・・」
「あ?何にだよ?」
ベディヴィエールはその名を口にする。
「『約束された勝利の剣』・・・」
「ッ!?」
モードレッドはその名を聞いて驚愕する。それは己を討った騎士であり、実父でもある騎士の愛剣の名であった。
「まさか・・・父上が?」
「いえ、王の気配はしません。それにどちらかと言うとこれは・・・」
ベディヴィエールは何事かを考え、数瞬首肯すると、
「────行ってみましょう」
モードレッドにそう告げて歩き始める。モードレッドは慌てて彼について行った。
「────そう、ありがとう」
向日葵に囲まれたとある一軒家。その中で一人の女性が花に話しかけていた。女性は一言、二言花と会話したかのような素振りを見せると花に礼を言って立ち上がる。
「うふふ、誰だか知らないけれど・・・花達を害そうと言うのなら容赦はしないわよ?」
サディスティックな笑みを浮かべ、女性は家を出て歩き始める。その方向はベディヴィエール達が向かっている方向であった。
「……」
ベディヴィエールは向日葵達を掻き分けて進む中、終始無言であった。モードレッドは周囲を警戒しながら彼の後をついて行く。
「(ベディの奴一体どうした?さっきから無言で・・・、ていうか約束された勝利の剣と似ているってどういう意味だ?・・・ダメだ、わかんねぇ・・・取り敢えず黙ってついて行くのが正解か?)」
そんな事を考えながらベディヴィエールについて行くモードレッド(結局、ベディヴィエールは長いからという事でベディ呼びに落ち着いた)。更に進むと、少し開けた場所に出た。向日葵が全て中心を向いている円形の広場だ。そしてその中央には────
「なっ・・・」
モードレッドは驚愕する。そこにあったのは────
「やはり────【
「これは・・・何モンだ!」
「────あら、人間にしては中々の反応速度ね。楽しめそうだわァ」
そこには緑髪紅眼の美女が日傘を携えて佇んでいる。平時ならその美貌を楽しむ余裕があるのだろうが────彼女から漂う殺気がそれを許さない。
「ふふっ。随分と不躾な人達ね。勝手に花畑に入った挙句に、そこにあるものを持って行こうとするなんて」
「「・・・」」
ベディヴィエール達は驚愕する。自分達に接近を気付かせない程の技量、そして彼女から漂う英霊クラスの雰囲気。例え人外の存在だとしても“ありえない”。此処がどんな所だろうと現代に英霊クラスの妖魔が存在するはずが無い。あるとすればそれは人為的な────
「ッ!?まさか・・・転輪する勝利の剣の!?」
「!ッチ!そういう事かよ・・・ッ!」
そう────太陽の聖剣が発する強大な力、それが垂れ流しになっているのだ。妖怪が影響を受けても何ら不思議ではない。しかし、それにしたって強化の度合いが異常である。ベディヴィエールはそこから彼女の正体を導き出した。
「貴女は・・・植物系の妖怪ですね?」
「あら、よく分かったわね。そうよ私は花妖怪の風見幽香。ここの向日葵達を育てている者よ」
やはりと、ベディヴィエールは自分の推測があっていたことを確信する。植物が有す光合成に近い事を行って彼女は聖剣の力を吸収しているのだ。
「そうですか・・・。ミス・風見、その剣を回収させてはもらえないでしょうか」
「あら、何故?」
「〝それ〟は人の身には余るものだ。もちろん妖魔にも」
「そう・・・。残念だけど受け付けられないわね」
「オイ・・・」
モードレッドが剣呑な声を上げる。いざとなれば力ずくで奪う構えだ。
「あら、怖い怖い・・・。ふふっ。あぁ、受け付けられない理由だけど、この剣が花達に活力を与えてくれるからよ。貴方達も分かるでしょう?」
そう────此処の花は異常な程活力に満ちている────それこそ注ぎ込まれる活力に耐えきれず、朽ちてしまいそうな程。それは目の前の彼女も同様である。一介の妖怪如きが太陽の聖剣の力を浴び続けて平気な訳が無いのだ。このままでは幽香は命を落とすだろう。
「どうしても・・・回収させる気はありませんか?」
「言ったでしょう?それに私は花妖怪よ?花の健康を害する様な事を許すとでも?」
「それは────」
「────もういい」
モードレッドはベディヴィエールを遮って前に出る。殺気が漲り、幽香の殺気とぶつかり合い空間が震える様な錯覚を引き起こす。
「渡す気が無いってんなら・・・力ずくで奪うまでだ!」
「野蛮ね。でも────」
モードレッドが燦然と輝く王剣を構え、幽香が日傘を構える。
「────嫌いじゃないわ!」
ベディヴィエールが止める間も無く戦いは幕を開けた────