周辺諸国最強のお嫁様   作:きりP

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コメディタグは付いておりませんが、今まで書いてきた感じのほのぼの系で行こうと思います。



第一章
1 私の名前はネタネーム


 ここはナザリック地下大墳墓、第六階層闘技場。ログアウトできない等の異常事態に対してアルベドやセバスに指示を出した後、モモンガがここに訪れたのは魔法の確認をするためだ。

 

 さて、アウラとマーレを前にして感覚で魔法が使えるということの確認は済んだ。それではと目的の実験をするために<伝言(メッセージ)>を起動する。対象はGMであるが、頭の中で糸のようなものが伸び何かを探っている感じがするのだが繋がる気配もなく、魔法の効果時間が終わる。

 落胆もあったが続いて40名のギルメンにも<伝言(メッセージ)>を起動するがこれも不発に終わる。

 最後にと一番可能性がある、先週もペア狩りに付き合ってもらったご近所さんはどうだろうと試してみた結果、びっくりするほどあっさりと<伝言(メッセージ)>が繋がった。

 

『あれ? モモンガちゃん? 今ちょっと忙しいからまたあとでね』

「ちょっ!? まっ、ダンチ(・・・)さん!? 切るのは勘弁してくださいよ……」

 

 再度<伝言(メッセージ)>を起動するものの何故か防がれる。え? 着信拒否とか出来る魔法なのか? とも思ったが、ある意味『攻勢防壁』すらぶち抜く魔法だと考えるとそれは無い。いや違う、保留状態になっているんじゃなかろうか。え? でも保留って出来るの?

 うーん、これは完全にあっちの『忙しい』が解消されるまで待つしかないかと考え、知り合いがいることにちょっとだけ気が楽になったと思いながら、外に偵察に出しているセバスへと連絡を取るモモンガだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユグドラシル最終日最後の数分前。その最終日ということをすっかり忘れているプレイヤーがログインしていた。

 

「んっふふ~、やっぱりこっちで読む方がいいわよね」

 

 自室の汚部屋の惨状をどうにかするのが先だとは思うのだが、そこはそれ。今日発売のホワイトブリムさんの新刊は電子書籍としてユグドラシルに落としていた。

 数年前に始まったユグドラシルの書籍ダウンロードサービスだったが、他のゲームにも徐々に浸透し始めている。

 暖炉の前で揺り椅子に座りながら優雅にマンガを読む。あぁ、あの犯罪者っぽい瞳の娘もメイドになっちゃうのかなーと思いながらページをめくっていく。

 

 ここはナザリックから10kmほど離れたグレンデラ沼地の最端。安全地帯とは言えないけれど中央よりはましといった部類のこの場所は、紫毒の沼地に巨大な蓮の花が咲き乱れ、ノンアクティブの『光虫』が飛び交う幻想的な光景を醸し出している。

 そこには、その景観を損なわせない様にとの配慮なのか、小さなログハウスが建てられていた。

 

 平屋建てなのか二階部分が無い、いわゆる豆腐建築。三方に大きな出窓があるものの、なぜか中の様子はうかがえない。

 入り口部分は片開の簡素な扉。豆腐を囲うようにして、おざなりな柵があり、直径5m程の噴水が家と一緒に囲われている。

 

 そんな家の中で揺り椅子を揺らしながら読書に勤しむ少女はまさに天使のような美貌の……っていうかぶっちゃけ天使だった。

 さらさらした腰ほどまである長い金髪、その上部には天使の輪が輝いている。優し気というか垂れ目というか、柔らかな蒼い瞳にピンクの唇。白と青を基調にしたドレスに銀の胸当ては、まるで戦乙女のような佇まいであり、揺り椅子の背もたれにグチャっと潰され、めり込んでいる三対六枚の翼の残念さが無ければ完璧な美少女であった。

 

「うぇひっ、うぇひひ」

 

 いや、残念美少女だった。

 

 そんな彼女の後ろには、茶色い髪をポニーテールにした愛らしい十代半ば程のメイドが佇んでいたのだが、ある時刻を過ぎた境にピクリともしなかった身体が、いや胸がぽゆんと揺れる。

 

 おかしい。窓辺を飛び交っていた光虫が消えた。これはすぐさま愛子(・・)様にお知らせしなくてはとも思ったが、自身のレベルは16だ。100レベルの愛子様がこの異常事態に気づかないわけがないと思いなおす。

 それにあんなにも楽しそうに読んでいるのは、自身の創造主のもう一人、ホワイトブリム様製作の本だと聴いた。それを邪魔するのは憚られると思い、小さな声で「簡単な軽食でも作ってまいりますね」と一言を残して、豊満な胸をたゆんぽゆん揺らしながらキッチンへと移動していった。

 

 そんな声に「うん」と生返事をしながらマンガを読み進める残念天使に、ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』のギルド長から<伝言(メッセージ)>が繋がるも華麗にスルー。

 彼女が事の重大さに気付くのは、それから1時間後の事であった。

 

 

 

 

…………

 

……

 

 

 

 

 

 うん、それ軽食って量じゃないからね。

 

 テーブルの上の大皿に、山盛りに乗せられたサンドイッチに目を見開いてしまう。私ひとりじゃ……とも思ったが、「くぅ」とお腹を鳴らし顔を赤らめさせるメイドの種族ペナルティに気づき、「それじゃぁ一緒に食べましょうか」と席に座らせる。

 

 忠誠心の高さなのか、説得に少々時間がかかったが、「これからは一緒に食事をすること!」と不本意ながら命令し、サンドイッチを口にする。

 そのあまりの美味しさに少々惚けてしまったが、その惚けている間にサンドイッチの山が半分になり、口元にパンくずを付けてご満悦なメイドには笑うしかなかった。

 

 さて、モグモグしているメイドを堪能しながら考察を進めようか。

 

 まず彼女、ソーコがしゃべりかけてきた。変な名前かもしれないが大切な貴重品倉庫(・・・・・)として大事にしているのだ、そこは置いておいてほしい。

 しゃべるNPCもいないことは無いのだが、まず口が動かないし、モグモグもしない……食べるのすごい早いな……

 

 次に背中の二対四枚の自分の翼が『天使セット』の翼に絡まりちょっと痛かった。どれだけ痛かったかというと、足がつった時のようなよくある痛みなんだけど、こんなもんがゲームに実装されたのだとしたら怖いものがある。つまりゲームだったら絶対にありえない痛みだったと言うことだ。

 翼が消せることを思い出し、いったん消してから再度出すことにより元には戻ったけど、翼に感覚があって自由に動かせるのには驚いた。結構羽抜けちゃったけど……また生えてくるよね?

 

 用意された紅茶に手を伸ばして一息。そしてこれも美味しい。鎮静効果とかもあるのだろうか? 少々昂っていた気持ちが落ち着いたものになる。

 

 コンソールが出ない、ログアウトが出来ない他上述の異常事態を、短絡的に考えるなら『ゲームの中に取り込まれてしまった』って幼稚な考えが一番正解に近いのだとは思うのだけど、窓の外の風景がもう一つのラノベ的展開を指しているのが笑えない。

 

 ここは一体どこだろう? ソーコには暗すぎてぼんやりとしか見えないようだけど私には見える。町のはずれだろうか、小さな寒村だろうか? 小さな家がぽつんぽつんと建っているのが見える。

 ユグドラシルの別の場所に転移したのか、それとも『異世界に転移』してしまったのか。

 

 扉を開けて外を確認してみたくもあるが、その好奇心を抑え込む。

 

 この家の中は安地だ。『課金三万円拠点制作』で得た小さな安全地帯だ。街中と一緒でこの中ならPKされることもない。まぁMobは対象外なんだけど。一応カエル(ツベーク)が踏んでも大丈夫なくらい頑丈には出来ている……はず。

 とにかく現状分かる範囲の事を調べ終わるまでは外には出ないと決意する。

 

「あっ!? 倉庫!」

「ふわっ!? すっ、すみません……全部食べてしまって……」

「いや、それはすごいね……じゃなくてソーコ、地下階段のボタン押してきてくれない」

「はいっ!」

 

 さっと立ち上がると再びキッチンへとたゆんぽよん移動していく。あーリアルの私の胸あんな感じなのかと思いはしたが、そこはそれ。自身も立ち上がり室内を見回す。

 

 六畳間四つ分。二十四畳ほどの広さの長方形の室内は、天井まで4mほど。中央にシャンデリアがぶら下がり柔らかな光で室内を照らしている。

 その部屋の四分の一を占めるキッチンの中の戸棚を開き、隠し扉の中のボタンを押すソーコを確認して反対側に目をやる。床の一角がスライドし階段が現れ光で照らされる。

 

 良かった……上層部分だけ転移したとかなっては困ってしまうところだった。さっそくトントンと階段を下りて確認をする。ここは所謂仮初の生活空間で、ゲーム中は使用することが無かった部屋である。

 部屋の半分が寝室兼私室で、半分がお風呂になっており、何故かるし★ふぁー君が増設してくれたトイレもある。

 当時はまた余計なことをと思ったりもしたが、どうなんだろ私……てか天使ってウンコ出るのかな……

 今のところ尿意も無いので確認はできないが、ソーコはナザリックの一般メイドと同じホムンクルスだ。後の憂いがなくなったと思えばるし★ふぁー君さまさまである。

 

 そして折り返してもう一つ下の階層へと降りていく。ここが一応この拠点のメインというか、お宝倉庫であり錬金術工房と鍛冶工房を兼用している。

 金貨を含めたお宝は、賊に持っていかれても支障がない代物であり、本来のお宝はソーコのアイテムボックスに全部しまってあるという寸法だ。PKが出来ないとはいえ自身がログアウト中に忍び込まれないとは限らないからね。

 工房は私が使用するわけではなくソーコの物だ。ホムンクルスLv1のソーコは他に職業Lvとしてアルケミスト、鍛冶士、コックを取っている。低級クラスなので大したことは出来ないが、こんな辺境だとかなり役には立っていたのだ。

 本名『十六万円 倉子』 ナザリックなどとは違ってNPC製作Lvなどがもらえない課金拠点では、NPCを製作するのにも課金をするしかなく、その名前から察していただければありがたい。

 

 そしてもう一つ折り返して地下四階への階段があったような形跡があるのだが、私が埋めている。

 

『ナザリックまで10kmくらいだから掘ってみたら繋がるんじゃね?』

 

 とか言ってたるし★ふぁー君が作ったナザリックへの直通通路なのだが、なぜか黒檻(ブラック・カプセル)に繋がっていた。

 

『メンゴメンゴ、いやー偶然てある物なんですね』

 

 とか言ってたが絶対嘘だ。あっちから掘ったに違いない。

 というか掘れるの? また勝手に拠点拡張機能でも使ったんじゃないだろうか。

 

 

 そういえばナザリックで思い出したが先ほどモモンガちゃんから<伝言(メッセージ)>があったような気がする。魔法って使えるんだろうか、あの<伝言(メッセージ)>は転移前だったのか転移後だったのだろうか……

 とにかくやってみるしかないかと考え、<伝言(センディング)>を発動してみる。

 とあるテーブルトークRPGを色濃く受け継ぐMMOではあるが魔法の仕様などは結構変わっているのだそうで、短距離でしか使えないはずの『メッセージ』同様『センディング』もメールのような魔法から通話の魔法に変わっていた。

 魔法名を呟きながら念じると、頭の中で糸のようなものが伸びて対象に繋がる感覚が分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつら……マジだ……」

 

 などと赤い瞳を光らせてうなだれていたモモンガであったが、先ほどの光景を思い返す。ダンチさん……いや愛子さんと呼んだ方が良いのだろうか。守護者達も彼女の事を覚えていたのは僥倖だった。

 

 彼女は所謂古参ユグドラシルプレイヤーであり、一時期は自分よりレベルが高かった時代もあるほどで、彼女のパーティにはギルメンが何度か誘ってもらったと聴いた覚えがある。

 だが多くても週に一度あるかないか。タイミングが合わなけれ数カ月に一度ほどの邂逅であった。

 

 彼女の仕事やプレイスタイルに理由があるのだが、基本週に二日ほど。昼前から夕方当たりまでしかログインしていないのだ。

 そして誰彼構わず、勿論人間種だろうが異形種だろうがかまわず『即席パーティ』を作って遊んでいる所謂ソロプレイヤー……いや臨時専門のエンジョイ勢であった。

 うちのギルドでは誰が最初に誘ったのかは覚えてはいないが、休日などで朝からログインしていた場合ソロだと行動範囲が狭まるのは明白だ。そんな折、信仰系魔法詠唱者の彼女は言っちゃ悪いけれど都合がいい存在であったようだ。

 

『いいよー、アンデッドでも回復させちゃるよ』

 

 レベルカンスト付近になって、自分も何度か狩りにお誘いしたこともあるのだが、彼女の支援は堅実で、任せられる人であり、多少不可思議なところがあったものの、こちらに合わせてくれるというか、安心して魔法をぶっ放していられる存在であった。

 他のギルド同様、自分達も何度もギルドに誘いはしたが、

 

『夜の仕事だからね、それにソロの方が気が楽だし勘弁ね』

 

 と断られたのだが、なかなかに彼女のファンは多いようであった。

 

 ナザリックが出来て『玉座の間』が完成した際に、お披露目としてやまいこさんの妹の明美さん。そして唯一人、外部から招待したのも彼女だった。

 

 どうやら自分の知らない所ではあったが、アウラやマーレの言葉から女性メンバーでの第六階層での茶会にも参加していたようでもある。

 

「先週も維持資金集めに協力していただいてな、どうやら彼女もこちらに来ているようだ」

 

 と守護者を前に先ほどの<伝言(メッセージ)>の件を説明したのだが、アウラやマーレ、それになぜかシャルティアにも、ものすごく喜ばれていた。他の守護者達も一応の容姿は覚えていたようで、ナザリックに貢献して頂いていたことを知り歓喜に震えていた。うん、お前ら重いからね。

 

「まさか『昼下がりの団地(・・)妻ー愛子』様がいらっしゃるなんて! 早く会いたいです!」

 

 どうしよう……プレイヤーネーム、アウラ覚えてるんだけど……

 彼女の胃の為にも『アイコさん』で統一しようと、彼女との合流の前に周知させていこうと決意するモモンガであった。

 

 




マインクラフトってゲームをやってて思いついた転移ネタ。 これなら同時転移もアリじゃないかな? ダメかなw

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