周辺諸国最強のお嫁様   作:きりP

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そもそもNPCの声は『こんな声』とかって設定があったんだろうか。
そういうの考えすぎると何も書けなくなるよねw



3 いつもは抱き枕を使っています

 

 

 やってやる! やってやるぜ! と彼女の豊満な胸に再び手を伸ばす。

 

「あ、あん♪」

「……」

 

 なんなの、なんでそんなに嬉しそうなの……ってちがう。ソーコのアイテムボックスに手を入れられない。

 ゲーム時代はそこら中にアイテムをほっぽっておいても勝手に回収してくれて、手を伸ばせばコンソールに何を持っているか表示されたのに……コンソールが消えたからかな? まさか中身まで消えたとか?

 確かナザリックのNPCには出来ないよって聞いてたから、高額課金NPC専用機能なんだろうけど。

 

「ソーコ、あなたにアイテム結構預けてるよね?」

「はい! 何をお出ししましょうか?」

 

 あーあるのね。 頭に思いついた回復アイテムを言ってみれば、さっと手元に出してくれる。便利になったような逆に不便になったような……眼で見てソート出来ないのは困るよなぁとは思うがしかたがない。

 

「これは命令。あなたが持っている金貨やアイテムはあなたが必要だと思ったら、私の許可を得ずに使ってね。さっきみたいに『ダグザの大釜』を使うたびに許可を求めなくていいから。これはあなたや他の誰かが傷ついたら躊躇せずにアイテムを使いなさいって事も含まれているからね? お願いよ」

「はっ、はい! ありがとうございます!」

 

 そう言って嬉しそうに頬を染め、にこっと微笑む。よし、可愛い可愛い。なんか忠誠心が高すぎて心配だったけど大丈夫そうかな?

 モモンガちゃんに聞いてはいたけど、フレンドリーファイアが有効になってる上に、多分この家の中も安地ではなくなっている可能性がある。私がいない間にソーコに何かあったら怖いもの。なるべく自由にしていてほしいんだけど、戦闘職じゃないから不安だなぁ。

 なんてことを考えながら暖炉の前の揺り椅子に座り、昼間の出来事を思い返す。ソーコは夕飯の後片付けだ。

 昼食にエモット一家を招いた際、見せてはいないが結局地下があって眠るところもありますからと教えることになった。

 

『私はネムと一緒に寝ますから、この毛布使ってください』

 

 なんというかお隣さんの善意が痛かったのだ。家族総出で使ってない日用品なども持ってきてくれて、本当に居た堪れなかったのだ。なんか自分が恥ずかしくなってしまって泣いてしまったし……今度はお風呂も使ってもらおうと決意する。

 午後は私たちも畑のお手伝いをさせてもらおうと思ったのだけど、ドレス姿とメイド姿の私たちを見て遠慮されてしまった。

 ユグドラシルなら誰もなんとも思わない装備だけど……そりゃぁそうだよね。リアルでこんなの着てる娘を肉体労働に呼べないって。

 その後モモンガちゃんに無事を知らせたあと、貨幣の事や魔法の事を聴いておいてほしいと頼まれ、村長宅へお話を伺いに。やたらと食事や生活に対して心配されてしまい、本当にやるせない気持ちになって村長夫妻を夕食に招待したのだが、その際にも『無茶をしちゃだめよ』と心配されてしまう。そうだよね、食料のストックが無限にあるなんてわからないもんね。

 

 ゲームじゃないリアルなんだと分かってはいても、ゲームの延長線上に物事を考えてしまう。今はまだ仕方がないことかもしれないけど、考え方を変えていかなければならないなぁと思考しながら、モモンガに連絡を取るアイコであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『なんかですね、どこへ行くたびにも儀仗兵って言うんですか? あーゆうのが付いてきてですね、何とか今自室の部屋のお風呂で一人になれました』

「もう自分の心配事が吹き飛ぶぐらい大変そうでワロタ」

 

 そして今日あった出来事をお互いに話し合っていく。昨日の長電話よろしく長<伝言(メッセージ)>の続きだ。

 はっきり言って私とモモンガちゃんはそれほど仲が良いわけではない。別に仲違いしているというわけではなく、お互いにゲーム内の知り合いのうちの一人という認識だった。確かに先週ペア狩りに出かけたけど、その前は何カ月前だったか。

 プレイスタイルの違いはあるけど、なんか彼女楽しくなさそうだなーってモンハウにぶん投げたっけ。『なにするんですか!?』って怒ってはいたけど、そこからは楽しそうにやってくれていたのを覚えている。確か最終日に資金集めに出れないからその分を今回多めに稼いでおこうって考えてたことを説明され、『そんなことはいいからモモンガちゃん前衛よろ』と無茶ぶりをしたんだった。あれ? そういえば、

 

「もしかしてユグドラシル終了してる?」

『今更そこですか!?』

 

 転移した日付の確認をしたところやはり同日最終日。終了せずに異世界へ、といった流れだったようだ。

 

「じゃぁ、最終日の最後までログアウトせず残ってた人は全員こっちに来ているってことかな?」

『可能性は高いですよね。確実にヘルヘイムだけでも数百人以上はいたはずですし……ここへきてPKKギルドの弊害が……』

「もう、何年前の話してるのよ。そんなの最近話題にもなってなかったよ」

 

 それはそれで複雑ですねなどと言ってはいたが、合流というか情報交換ぐらいはしておきたい。私たちみたいに拠点ごと飛ばされたなんてのは稀じゃないだろうか。逆に拠点の中にいた人だけが拠点ごと飛ばされたなんて仮説も思い浮かぶけど。

 

「あーやめやめ! 昨日の二の舞になるよ!」

『ですね。 そういえば現地民はどれくらいのレベルだとかわかりましたか?』

「レベルで言えば一桁じゃないかなぁ? 多分ものすごく弱いと思う。レベルで言わないならリアルの私たちよりかは逞しそうだったよ」

『なるほど……私もゲームの延長線として考えちゃってたみたいです……そうですよねリアルの私たち身体ボロボロでしょうからね』

 

 そうだ『弱すぎる』などと思ってしまったが、そういう見方も出来るよなと、モモンガも考えを改めていく。

 

『でも今のところアイコさんに現地勢の脅威が無いのは安心できますよ』

「わかんないぞー。もしかしてどっかの集団がおそってきたりするかもよ」

 

 まさか、そんな田舎の村になんてと軽口を言って笑い合ってはいたが、三日ほど先にそんな状況に陥るとは、この時の二人は露ほども思っていないのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 モモンガとの通話を終えて一息ついていると、ソーコが飲み物を持ってきてくれる。

 

「ありがとう。ソーコも一緒に飲みましょう、私もテーブルに行くよ」

 

 真っ白だ……なんだろう? 牛乳ってやつかな? カップから湯気を上げる飲み物を見つめながら、そういえばと一日中付けていた手袋を外す。

 両の手の指に色とりどりの10個の指輪。咄嗟の判断だったけどいい選択だったと思う。はっきりいって成金が過ぎる。いやもう手遅れか? 『天使貴族』とかいう痛い二つ名は嫌だなーと思いつつ、カップに口を付ける。

 

「美味しい! ホットミルクっていうので良いのよね? 甘くてあったかくて、なんだか落ち着くよ」

「ありがとうございます! ええ、ホットミルクとこちらはお茶請けのクッキーです」

 

 そう言って又山盛りの色とりどりのクッキーが差し出される。うん、相変わらず多いからね。まあ一瞬で彼女の胃の中に消えるのだから大丈夫か。

 さて、クッキーを頂きながら思考に集中しよう。ん、おいしい。

 

 まず指輪を外すかどうか。これは否だ。不安材料が多すぎる。かといってこの見た目のままでは問題がありすぎるのも難点だ。リアルにいたとしたら富裕層のパーティ……いや結婚式の主役より目立つんじゃないだろうか。

 

「ソーコ、初心者(ノービス)装備って持ってたりする?」

「私は持ってはおりませんが、アイコ様が地下三階倉庫に仕舞われたかと」

 

 あーそうか、ここにいる間中はソーコがいつも付き従ってたもんね。全部覚えているのか。とにかくそれなら話が早い。革靴・革のズボンに・長袖のシャツだっけか? 早着替えのアイテムを装備するなら指輪も外して大丈夫か……いや『課金復活指輪』だけは常備だな。

 

「良かった……これからは私はその服で生活するから用意しておいてくれるかな。それとソーコも外に出る場合は鍛冶用の装備に変更しましょう」

 

 最近は使ってなかったけど、鍛冶・錬金用の装備はそんな目立たない物だったはず。 確かジーンズっぽい繋ぎだったよね。

 

「アイコ様の素敵なお姿を拝見できないのは残念ですが、了解いたしました。ご用意しておきます。私の装備は……こんな感じでよろしいですか?」

 

 くるっと一回転すると装備が変わる。あーそうか、アイテムボックスからか。首元のリボン帯が早着替えアイテムなんだった。そんなことを思い出すが、その姿にいらぬ考えが吹き飛ぶ。

 

「うーん……裸にオーバーオールか……ゲームじゃ見えないところまで見えちゃって……ダメだこれ」

 

 完全に痴女だった。横からおっぱい丸見えだった。

 

 二人して地下に移動して着れそうなものを探していく。くそー、確かナザリックにブティックあったよなー。合流出来たら無難な服を買わせてもらおう。

 そんなことを考えながら出てきたのは、なんで捨てていないのかビキニアーマー。そうだよなー、ジャージとかトレーナーでいいんだけど、無いよね……クラフト系統のクラスがあれば……って服はどうだろう、作れるかな? と思い付き加工しやすいアダマンタイト繊維の布を取り出す。テーブルクロスにも使っていたものだ。

 

「ソーコ、ハサミある? あと針とか作れるかな?」

「おまかせください!」

 

 そう言って彼女は鍛冶工房まで移動して、針と糸、そしてハサミを持ってくる。

 

「鍛冶でも使用するものです。それでいったい何をするのですか?」

 

 マジで? 鍛冶キットだか鍛冶セットだかのアイテムの中にあるのかな? とも思ったがあるなら話は早い。さっとハサミを入れてみるが切れないこともなく、糸も通せる。料理は出来なかったけど裁縫は出来そうだぞと頬が緩む。私にもできそうなことがあるみたいだ。

 

「んふふ~、今夜中にソーコの服を……っていっても簡単なシャツだけど、作っちゃおうかなって。サイズは……あはは、大丈夫覚えてる覚えてる」

 

 そこまで難しいものは作れないけれど、ワンピースぐらいまでなら作ったことがある。編み物も一回やったことがあるけどあれはダメだ。まあやればわかる、性格が向いていないんだろう。

 

「アイゴ、ざまっ……わだじのだめ、にっ……ううっ……ありがと、ござまず……」

 

 どうしようこの娘……嬉しいけど若干面倒くさいぞ、と思いながら体形の確認のためにもと、涙と鼻水で顔がぐちょぐちょのソーコを引っ張ってお風呂に連れていくのだった。

 

 

 

 

…………

 

……

 

 

 

 

 

「毛が生えてないのはわかるんだけど、いろいろと納得がいかないな」

 

 鏡の前ですっぱだかで仁王立ちする。慣れないモデリング作業で四苦八苦して創った身体だ、なかなかのプロポーションだと自画自賛したくなる。だけど乳首を造った記憶も、アソコを造った記憶もない。なんであるんだ? ソーコはどうだろうと鏡越しに伺うが、やはりある。ソーコの原画はホワイト・ブリムさんに描いてもらったけど、他はすべて私がツールと格闘しながら一年がかりで創ったのだ。

 ニコッと笑顔を作ってみる。今更だけど歯なんて見えない部分造った覚えもないよ……

 だめだだめだ、これ本当に考え出したらキリがない。 よし受け入れよう。

 

 二人でキャッキャワシャワシャと洗いっこをしてから湯船に浸かる。

 

「ふぁ~、昇天しそうね。天使なだけに」

「気持ちいいです~。初めて入りましたけど広いですねぇ」

 

 うん、広すぎる。あと10人くらい入れそうね。大きなお風呂に入ってみたかったからって理由で作ったんだけど、現実になるともうね……やりすぎたかもしれないね。

 そんなことを考えながら浴槽内で身体をまさぐっていく。いろいろとアレだ。確認だ。

 

 さて、これからどうしよう。モモンガちゃんにも伝えたがこの世界には魔法もありモンスターもいるのだそうだ。村にも野良のゴブリンが現れたこともあり、エモット夫人がフライパンで撃退したと話していた。どんだけだよあの奥さん。

 ぶっちゃけ私はゲームは好きだが、リアルの戦闘なんて興味もない。だけども自分の力の把握はしておかないと拙いのもわかる。

 明日はそっち方面の確認をと考えるのだが、今まさにちょっと拙いことになっている。ものすごく眠いのだ。考えてみれば天使は異形種だけど睡眠、飲食不要じゃないんだった。指輪の効果で貫徹してたってことか。

 

「ソーコ……ごめん服は明日造るよ。お風呂あがったら今日はもう寝ましょう……って、あ!?」

 

 うつらうつらと、湯船に沈みそうなソーコを見て申し訳ない気持ちになる。転移から20時間近くたっているのだ。アイテムボックスから『リング・オブ・サステナンス』を取り出し、ソーコの指にはめる。だめか……指輪をなじませるのに確か時間がかかるんだっけ。

 

「よいしょっと、<転移門(ゲート)>」

 

 ソーコを抱え上げて寝室に転移。ほんとうにゴメンね。だってゲームの時はあなた寝ていなかったよね? もしかしたら私がログインしていないときは睡眠状態だったのかなぁと考えながら、この時間までのソーコの献身に感謝しつつ、彼女と自身の身体を拭いてから一緒に眠りにつくアイコであった。

 

 




戦闘とか書きたくないんだけど、この先出てきちゃうね。 どうしよw

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