周辺諸国最強のお嫁様   作:きりP

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※今回のみアインズ様視点になっています

ガゼフが死なないようにするにはどうすればいいのか。オリ主とくっつければいいんじゃね? 的な感じで書き始めたこの小説。予定では清楚なオリ主にガゼフが惚れて、一巻終了ぐらいのところで大団円予定でした。

無理です!w
 


8 周辺諸国最強の嫁(仮)

 

 

 村人を村長の家とアイコの家に分けて避難させ、村長、アインズ、アルベド、アイコの四人で騎士風の一団を迎えるという事にはなったが、さてどうなるやら。

 

「アイコさんと奥方は危険です。避難されていた方が良いのでは」

 

 という上ずりながらも放たれた村長の言葉に「ウルフやデスナイトがいるから大丈夫です」という事で説得はしたが、アイコさんに聞いていた通り本当に出来た人だなあと感心する。奥方発言によりアルベドの態度も村長に対して柔らかくなっているのも良い傾向だろう。

 

 やがて見えてくる騎士風の一団とやらはどうにも正規軍には見えないバラバラの様相。先ほどの偽装兵の方が装備が整っていたような気がしないでもないが、こちらの方が歴戦の傭兵団のような力強さを感じる。

 二十人ほどの騎馬隊はアインズたちの前に見事に整列し、その中から馬に乗ったまま一人の男が進み出てきたのだが、

 

「きたこれ……」

 

 とか言い出す金髪少女に時を止められる。あーそうね、きちゃったね……確か筋肉質で髭がダンディーで、あの『指輪物語』の主人公格の人だっけか? 似てなくもないよね。

 でもちょっと待ってね、今そういう状況じゃないから……アルベドも思わず口をあんぐりと開けて見つめてしまう程のアイコの表情は『恋に落ちる瞬間を見てしまいました』のキャッチフレーズがドはまりするほどに蕩けていた。

 

 そしてその男はデスナイトを警戒しながら進んではいたのだが、私たちを一瞬視界に納めると驚愕の表情を見せて声を上げる。

 

「!? いや違う……ラナー殿下より……」

 なんだかわからないが後ろの方で整列している騎士からも「ラナー様だろ?」「いやラナー様より大人っぽいし美人じゃないか?」「正直あっちの黒髪の美女に踏まれたい」などの小声が漏れ聞こえている。

 おい、そっちで勝手に盛り上がるなと思いはしたが、すぐさまリーダー格の戦士が手で制し、声を上げる。

 

「大変失礼した、少々そちらの少女が我が国の王女に似ていた物でな。非礼を詫びよう。私は王国戦士長、ガゼフ・ストロノーフ。この近隣を荒らしている帝国騎士を討伐するために、村々を回っているものである」

「ストロノーフさまぁ……」

 

 ごめんね、後でやってね。こんな人だったかなあ? と、ちょっとアイコの行動にあっけにとられてしまうが、自分が何とかしなくてはと正気に戻る。

 

「王国戦士長……確か王国の御全試合で優勝し、王直属の騎士になった方とか」

 

 ぼそりと呟いた村長はアインズに顔を向けて説明する。

 それはすごいとは思うが本当に本人なのだろうか。村長も見たことは無いらしく、そもそもアイコがこの国の王女に似てるなら村人がそれを知らないのも……そもそも王族や戦士長の顔なんて末端には知られてないのか。

 

「村長だな。それで……この方々は一体?」

 

 獰猛な視線を注がれているのは俺のみか? ああ、はい、怪しいですよね。アルベドやアイコにも目線を向けていたが、その視線の先は両者の翼だった。村の人間には何とも思われていなかったので気にしてはいなかったが大丈夫だろうか。まあアイコのは装備アイテムだしなんとかなるだろう。

 村長が話そうとするのを手で制し、ここは私がと口を開く。

 

「はじめまして、私はアインズ・ウール・ゴウン。この村が騎士たちに襲われていたのを見かけましてね。助けに入った魔法詠唱者(マジック・キャスター)です。こちらは妻のアルベド。あちらは娘のアイコです」

 

 うん、演技は大事だけどアルベド? そのギュッて握ってくる手の握力が半端ないんですけど。アイコさんはなんかアルベドの背中に隠れながらチラチラとこの戦士を見ているし……だめだ身内が役に立ちそうもない。

 そんなことを考えていると、さっと馬を下りた戦士長がこちらへ歩みだし、数メートル手前で止まると頭を下げる。

 

「この村を救っていただき、感謝の言葉も無い」

 

 ざわっと空気が揺らぐのも分かる。王国戦士長という肩書が本物なら、なかなかに出来ることではない。だけどその人柄をしのばせる行動が多分ジャストミートしたんだろう。

 

「主人公だ……主人公きちゃった……」

「アイコさっ!? 締まってます! 腰がっ!?」

 

 多分俺だったら腰骨が折れてたんじゃないだろうか……「ひぎぃ!?」とか言う初めて聞いたような声を上げるアルベドを助けるために、何とかアイコを落ち着かせ、続きは村長宅でということに。

 なんか戦士長も聞きたいことがあったようだが、家族のじゃれあい(?)に毒気を抜かれ、ウルフやデスナイトを気にしながらも笑顔になる。

 だがそこへ駆け込んできた騎兵の言葉に、再びこの場に緊張感が舞い戻って来るのだった。

 

「戦士長! 複数の人影が村を囲うように接近してきます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にゴメンね……アインズさん、アルベドさん」

「いや、私もアルベドもちょっと驚いたくらいだからいいんですけど、よく止めませんでしたね」

 

 村長宅から外を窺うとアークエンジェルフレイムという天使を連れた兵士が、等間隔で村を囲っているのがわかった。ガゼフが言うにはスレイン法国の特殊部隊であり、敵の狙いは自分であろうと。

 囮としてあいつらを引き付けると言って出て行く前に、出来れば村を守ってほしいと言われ快諾したが、本当は共闘を望んでいたのかもしれない。まあ家族連れにそんなことは言えなかったのだろうが。

 

 ここでさっきまで散々惚けていたアイコが引き止めるなり、「私も戦う!」などと言いだすかと思えば、アルベドの手をギュッと握りアインズとガゼフの会話を見つめているだけだったのだ。時折二人で何か話していたようだが。

 

「うーん、自分の理想が目の前に現れちゃって動転しちゃったんですけど……あの人の立場がものすごく面倒くさいなって気づいてちょっと冷静になれました」

「確かに私から見てもカッコいいなって思いましたけど」

「アインズ様!?」

「アインズさん取っちゃだめだよ!?」

「取らねーよ!!」

 

 確かに人物としては好感が持てるけれど、どうにも納得がいかないところがあるのはわかる。あの偽装兵たちがどれだけの村を襲ってきたのかは知らないが、そこまでして殺したいと思うほど恨まれるような人間にも見えないのだ。だが村人たちにとっては、いやアイコにとってもガゼフのせいで村が襲われたと言っても過言ではないからだろう。

 

「アインズさんアレ渡してたよね? やっぱり介入するの?」

 

 ハズレガチャアイテムの木彫りの人形。<位置入れ替え(キャスリング)>アイテムの事だろう。ガチャはやったことがないと言っていたアイコさんでも知っているのは、露店で捨て値で売られていたからですね。わかります。

 

「うーん……この世界の闘いを見てみないと何とも言えませんが、脅威を感じられなかったらですけど介入しますよ。あの櫓に縛ってる兵士どうする気ですか?」

「あー……完全に忘れてたわ。両国の後ろにプレイヤーがいたら面倒ですもんね。ガゼフ様に持って帰ってもらった方が無難ですか」

 

 うん、なんか名前呼びになり始めたね。どっちにしろガゼフ側が負けたとしたら、この村にアイコさんが住んでいる以上戦わないという選択肢は無いわけで、両陣営がつぶれてしまうのは拙い。蘇生も出来るがいろいろと面倒も予想されるだろうし。うーん、自身が強者的で嫌な考えだったかもしれないけど、どうにもガゼフに脅威を感じれなかったのもあるんだよね。

 それにアークエンジェルか……まあどっちにしてもアイコさんの脅威にはなりそうも無いな。

 

「一応私もフル装備になっておこうかなあ」

「うーん……いや村長がまた心配しますし、アイコさんは待機でお願いします」

「そうでございますね。ここはアインズ様と私にお任せを。アイコ様は戻ってくる人間を抱き受ければよろしいかと」

「それでお願いします!」

 

 なんでこんなに仲良くなってるんだ? と、手を取り合ってピョンピョン跳ねるアイコと柔らかに微笑むアルベドを見ながら不思議に思うアインズであったが、アインズとガゼフの会話中、

 

「正直アイコ様、不敬ではありますが人間などを相手にしなくてもと……」

「えー? じゃぁアインズさん貰っていい?」

「よく見れば人間の割にあの者は素敵でございますね! アイコ様にお似合いかと!」

「そお? んふー、私もアルベドさんとアインズさんはお似合いだと思うよ」

 

 なんてやり取りがあったようである。

 

 

 

 

…………

 

……

 

 

 

 

 

 アインズは村長宅から少々ばらけていた男性陣を村の倉庫に移動させ、魔法で防備を張って置く。アイコの家の方は扉さえ閉めておけば問題ないだろうとのことで、三人は倉庫前で魔法による戦況観察をしていた。

 

「『武技』って言ってましたね。これは驚いた」

「きぁー♪ ガゼフ様ー♪」

「あっ、あのアイコさ」

「見た!? 今の必殺技! クソ天使を六体同時斬りしたよ!」

 

 アルベドと二人で処置無しと判断する。あなたも天使でしょうにと言いかけたが、ユグドラシルでの天使の人気のなさは本物だ。

 初期では選べない種族であるが『天使』という名前だけで選んだプレイヤーは、その課金必須の外見に草々に匙を投げる。そして種族としての進化がなんと9位階に分かれており、全部をフルで取るとレベル50を超えてしまう。つまり職業(クラス)レベルが50も取れず、似たり寄ったりな天使が出来上がってしまうのだ。

 彼女も試行錯誤した上での中位天使なのだろう。天使のことはそこまで良く知らないが、画面に見える天使の外見にトラウマでもあるのかもしれない。

 

 それはともかく見ていておいて正解だった。やはりこの世界まだまだ知らなければならないことが沢山あるようだ。

 

「なんか不謹慎だけど、映画を見ているようね」

「あはは、なるほどそういう見方も出来ますか」

「えいが……とはなんでございますか? アイコ様」

 

 なるほど……NPCのことももっと知っておかなければならないな。ユグドラシルの知識もあり頭が良いと設定されていてもリアルで普通なことを知らなかったりもするのか。そんなことを考えていたアインズであったがアイコの言葉に時を止められる。

 

「うちにも何本かダウンロードしてあるし今度一緒に観ましょう。そういえばアインズさんはホワイトブリムさんの新刊買ったの? なんかこっち来てソーコも読めるようになってるから、読んでないなら貸すよ?」

「えええ!? 新刊出てたの?」

 

 そう言ってアイテムボックスから書籍を取り出すアイコ。

 

「まあ、ナザリックの一般メイドによく似ておりますね」

「うわぁ……マジか……もしかして全巻持ってたり?」

「もちろん」

 

 後にこの書籍を読んで、次巻が来年発売だと知ったアインズは大層落ち込み、この世界に来て初めて元の世界に戻ってもいいかなーと考えてしまったのは余談である。

 

「おおっと、こんな話してる場合じゃなさそうですね」

「うわぁ……ちょっとやばいですね。そうだアルベドさんこれ上げるよ」

「こっ、これは?」

 

 アイコがアルベドに渡したのは淡く輝く輪っか。『天使の輪』であった。

 

「アインズさんは一応フル装備みたいだけど、アルベドさんは戦闘装備じゃなさそうだしね。一応聖属性耐性装備だからこれ」

「そのような大事な物を……よろしいのですか?」

「いいんですか? アイコさん」

「私は自前のリングがあるから装備できないんだよ。それって『天使セット』の片割れなんだよね。翼だけしか使ってなかったからお蔵入りしてたものなんで、遠慮せずに貰っちゃって」

 

 確かにアルベドを少々急がせすぎたかもしれない。あの時ちょっとノリノリになってた自分に反省し、アルベドと一緒に礼をし、感謝の言葉を述べる。

 それでは行きますかと、三人で倉庫に入り村の男性たちに声をかけ少々わきによってもらった。

 

「ではちょっと行ってくるぞ……アイコ」

「頑張ってくださいねアイコさん」

「はい!んふっ」

 

 なにを頑張るんですかねぇ……などと思いはしたが、ガゼフにメッセージを繋ぎ早々に入れ代わることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「くくっ……あの村には俺より強い御仁がいる。ふぅ……はぁ……村を守ると約束されたあの方に勝てるなど不可能だ」

「とんだハッタリを……天使たちよ、ガゼフを殺せ!」

 

 最後の悪あがきをと走り出そうとしたガゼフの耳元に声がかかる。

 

 

 ――そろそろ交代だな――

 

 

 その瞬間視界が全く変わっていた。どこかの土間のような……広い室内に部下たちの姿も映り、村の男性たちの姿も散見される。

 そして目の前には目を潤ませ、何故か頬を上気させながらこちらを心配そうに見つめてくる先ほどの少女が。改めて目の前にすると、そのとてつもない美貌に息が止まるほどだ。

 

「こ、ここは……」

「ここは村の倉庫です。お父様が魔法で防備を張ってくれているから安心ですよ。あとはお父様たちに任せてください」

 

 ふと思い立ち先ほどゴウン殿より頂いた木彫りの人形を取り出すと、脆くも崩れる。そうか……あの声はあの方のものであったか……

 張りつめていた力がフッと緩み剣を取り落とし、倒れこみそうになったのを優しく抱きしめられる。あぁこんなにも安らぐ抱擁を受けたのはいつ以来だろう。優しい甘い匂いと言うのだろうか。そんな柔らかな少女に抱きしめられながら『これはあとで部下たちにどやされるな』と思考しつつ意識を手放すガゼフであった。

 

 

 幸いなことに

 

「あぁ……すごい……いい……汗臭くて……どうしよ、このまま押しつぶされようかな……」

 

 なんてアイコの独り言は誰にも聞かれてはいなかった。ただ大柄な戦士を抱き受ける少女に、驚愕の視線を向けられてはいたが……

 

 




新刊巻頭の挿絵のアルベドの頭の上に輝くアレはなんなのか。ネイアちゃんの心象風景なのか、念のための耐性装備なのか気になるところです。

さてゴールを決めて書きだしたのはいいのですが、オリ主にあまりにも魅力がなく、ネタを盛り込みたい症候群を併発してしまい、どうにもゴールできませんw
この先長考の為、投稿間隔が開くと思いますのでご了承ください。 年末だしねw
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