私と羽沢さんが出会ったのは、っというより、一方的に知ったのは4月の始め頃のこと。
まぁ、二人とも知ってるとは思うけど、私他の学校から受験してきたんだよね。
だからここの学校のことはよく知らなくてさ。
早くこの学校に慣れようと思って、放課後になると、よく校舎内をあちこちふらふら歩き回ったり、いろいろな部活に体験入部したりしてたんだ。
そんなことをしてたある日、私はあることに気がついた。
気がついたことというのは、高確率でとある少女と出会うことだ。
そう、それが羽沢さん。
まぁ、その時の私はそんなこと知ってる訳もなく、最初は双子でも居るのかと思ってたよ。
まぁ、興味を持った私が色々観察してたら、そんなことないってことがわかったけどね。
あっ!!さ、最初に言っとくけどっ、べ、別に、す、ストーカーとかそんなんじゃないからねっ!!?
私はただ純粋に観察してただけなんだからっ!
ほ、本当だからねっ!?
ご、ごほんっ。
ま、まぁそんなことは置いといて。
結果として分かったのは、
羽沢さんの名前と、
羽沢さんが生徒会役員であること、
そして羽沢さんが多忙で努力家な人であること。
だから羽沢さんをよく見かけたわけだね。
っとまぁ、そんなわけでいろいろ知れた訳だけど、少し心配でもあった。
だって、あんなに忙しそうにしてるのを見たら、いつか倒れてしまいそうな気がしてハラハラしちゃうでしょ?
そしてそんな羽沢さんを観察する日常のある日。
その日もその日で、忙しなく働いている羽沢さんを見ていた。
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相変わらず、頑張ってるなぁ~。
図書室で書類をチェックしながら真剣に仕事をしている羽沢さんが視界に映る。
廊下越しからだけど、充分にその様子が分かった。
そんな姿をみていると、不思議とこちらも頑張ろうと思えてくる。
羽沢さんはもしかすると魔法が使える魔法使いなのかもしれない。
なんて馬鹿なことを考えていると、図書室で頑張っている羽沢さんに危機が起こった。
突然、地震が発生したのだ。
そこまで大きくも長くもなかったが、老朽化した本棚は耐えられなかったようで、羽沢さんの隣にあった本棚がグラリと揺らいだ。
当の羽沢さんはその事に気がついていないようで、書類に何かを書き込んでいた。
"危ないっ!!"
そう本能的に感じた私は急いで図書室に駆け込み、懸命に羽沢さんへ腕を伸ばした。
それと同時に、羽沢さんが倒れてくる本棚の存在に気づいたようだが、どうやら驚きすぎて硬直してしまっているようだ。
そんな羽沢さんに向かって、残酷にも迫り行く本棚。
"間に合えっ!!!!"
パシッ!
何かを掴む。
私は思うがままにそれを引き寄せた。
その瞬間、私に柔らかく華奢な感触が伝わった。
暖かい温もりに、ほっと安心すると同時にドシンッ!!!っという派手な音をたてて本棚が地面についた。
私はそれを確認すると、とりあえず抱き止めていた羽沢さんを解放するべく、腕の力を緩めた。
すると安心したのか、ふにゃっと音がなりそうな勢いで
腰から崩れ落ちそうになってしまっていたので、慌ててまた羽沢さんの腰に腕を回して支えた。
『だ、大丈夫?』
少し心配になり、そう声を掛けた。
『はっ!ご、ごめんなさいっ!!』
すると羽沢さんから返事が返ってきたので、私はさっきみたいなことになっても大丈夫なように、ゆっくり腕の力を緩めた。
羽沢さんはそれに気づき、そっと私から離れた。
……………少し残念な気がするのは気のせいということにしておこう。
『あ、あのっ!た、助けていただき、
あ、ありがとうございましたっ!!』
そう言って、羽沢さんはバッと見事なお辞儀をした。
って!見惚れてどうするっ!!?
私も慌てて返事を返した。
『どっ、どういたしまして?』
疑問形になってしまったことは、どうかスルーしてほしい。
『は、羽沢さんは怪我とかしてないですかっ?』
先程までの失態を誤魔化すように慌てて話を変える。
『えっと、大丈夫ですよ。
って、あれ?
私の名前教えましたっけ?』
あ"っ"!!
ツーっと嫌な汗が背中に流れる。
やってしまったぁああああああああっ!!!!
こ、ここで何とか誤魔化さないと、
しゃ、社会的地位が終わる……っ!!!
《えっ?私のことを観察してたんですか?
す、ストーカーっ!!いやっ!変態っ!!》
なんて言われたりしたら………
サァアっと私の顔から血が引いていくのを感じた。
『そっ!それはっ!そのっ!ほ、ほらっ!
は、羽沢さんって生徒会じゃんっ!?
そ、そういうのでよく名前を聞いててさっ!!
あ、あははっ!』
慌てて誤魔化す。
ど、どうだ?い、いけるか?
『あぁっ!そうだったんですねっ!
あはは、びっくりしたぁ~。
あの有名な神崎さんに
名前を知られているなんて
想像もつかなかったですから』
よかったぁ、成功……って、ん?
ゆ う め い ?
『ゆ、有名って、ど、どういう……?』
説明プリーズっ!
わ、私、なんか悪いことしたっ!?
そういうので有名だったら、
だいぶショックなんだけど……
『えっと、うちって中高一貫校じゃないですか?
だから皆中学部から繰り上げの人が多くて、
他の中学校から来た人って少ないんですよね。
あとは単純に格好良いからだと思いますけど……
薫先輩に負けず劣らずの格好良さだと
よく聞きますしね。
まぁそんな感じで、
校内ではちょっとした有名人なんですよ?』
ふむ。なるほど…
私が格好良いかとか薫先輩?とかも知らないし、そこは置いておくとして……
まぁ、何となく理由が分かった。
はちゃめちゃな理由で有名だったらショックだったけど、とりあえずは一安心ってところかな。
『それにしても私ってやっぱりダメですね……
まともに書類チェックもできないし、
本棚は倒しちゃうし、
他の人に迷惑もかけちゃうし…』
さっきとは打って変わって、しょぼんとしている羽沢さん。
よく見ると、目が潤んでる。
って!それは違うでしょ!
まともに書類チェックが出来ないとか言ってるけど、
本棚が倒れてきちゃったんだからそれは別に仕方がないことだし、きっと他の人がこの仕事を任されていても
出来なかったに違いない。
それに本棚が倒れてきたのも地震が原因だし、羽沢さんは何も悪くない。
他の人に迷惑をかけるっていうのも、もし私のことを言ってるんだったらそれは違う。
私は迷惑だなんて思ってない。
羽沢さんを助けることができたことを誇りに思ってる。
だからそんな風に言われると、こちらとしても悲しい。
そんな想いが頭の中を一瞬にして巡った。
そして気づいた時には、守ってあげたいと思い始めていた。
一所懸命頑張ってる羽沢さんを。
すぐに自分を追い詰めてしまう羽沢さんを。
こんな悲しい顔にはしたくない。
泣かせたくない。
守ってあげたい。
そう思った。
胸の奥底からじんわり暖かいものが溢れてきてるのを感じた。
そして高鳴り始めてるこの鼓動にも密かに気づき始めていた。
その時、口が自然に動き始めた。
『羽沢さんはダメなんかじゃないよ。
羽沢さんはいつだって頑張ってる。
それを私は知ってるよ』
気づいたら、羽沢さんを引き寄せていた。
コツンっと羽沢さんの額と自分の額を合わせて、真っ直ぐ羽沢さんの瞳を見つめる。
『だからそんな風に自分のことを
卑下しないでほしい。
誰も頑張ってる羽沢さんを見て、
迷惑だなんて思わないよ。
もしそんな人がいたら、私がぶっ飛ばす』
羽沢さんを抱き締める。
耳元で囁くようにして、言い聞かせる。
『もっと自分を大切にしてほしい。
でないと、私が悲しいよ』
あぁ………こんな華奢な身体で今まであんなに頑張っていたんだな…
急激に愛しくなった。
胸がじんわり暖かい。
早まる鼓動がこの想いを強くさせていった。
不思議と安心できる鼓動で、しばらくこの状態でいたいと思えた。
そしてその考え通り、私と羽沢さんは暫くこの状態を保っていた。
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っとまぁ、この出来事がきっかけで
私は羽沢さんを好きになったわけです。
「うぅ~。青春だね~」
「あ、あれ?上原さん?」
「………………ひまり…」
気がつくと、上原さんが涙目になっていた。
そして蘭はそんな上原さんを呆れた目で見つめていた。
「神崎さんが想像以上に格好良すぎてツラいっ!」
「…………馬鹿」
えっ?なに?今、なにか言った?
蘭の"馬鹿"しか聞こえてこなかったんだけど。
ちょっとボーッとしててさ。
なんか大事なことだったら、もう一回言ってもらえません…?
「…………こんな馬鹿のどこが格好いいのやら…」
そう言って深いため息をつく、蘭。
いや、今のはちゃんと聞いてたからねっ!?
馬鹿とは何だねっ!!
馬鹿とはっ!!!
私は馬鹿じゃないよっ!
格好良くもないけどっ!!
もし格好良く見えるんだったら、それは雰囲気的なものだけだよ。
私、服装と髪型だけは自信あるし。
何せ、現役モデルの有栖ねえと現役カリスマ美容師の結愛ねえがいつもセットしてくれるしね。
だから私が格好良いんだとしたら、雰囲気的なものだけだよ。
うん。自慢な姉達だしね。
そう言ってもらえるのは、妹として実に嬉しいことである。
「…………っはぁ~」
一人で納得してると、蘭に呆れた目で見られた後、大きなため息をつかれた。
えっ?なに?
何か変なのついてる?
《零の姉》
神崎 有栖
金色のさらさらしてる髪を腰までの長さ(ロング)
赤色の瞳
零の姉でかなりの美形(モデルしてる)
※知る人ぞ知る有名モデル
モデルは中1の頃からで、
モデルを始める直前に武術を止める
(姉も両親の影響で習っていた)
※やめた理由はムキムキになりたくないから
年齢は25歳
無類の酒好き
(絡み酒の面倒くさいタイプ)
家事とかは基本零に任せっきり
零の洋服管理者
[モデル気質ゆえ]
結構愚姉
一人称 私
ツンデレ系姐御姉ちゃん