___________AM. 10 : 00。
私は今、今までにないくらいお洒落をして駅前広場にてポツンと立っていた。
それも緊張でガチガチ状態で、である。
だが、それにしたって………
【どうしてこうなった_______っ!!?】
--------------------------------------------------
-----------------------------------
--------------------
-----------
------
---
--
-
___________時は遡り、1週間と1日前。
上原さんに恋愛相談をして、私の恋のきっかけを話した後、本格的に上原さんにこれからどうしていけば良いのかを相談したところ、即答&サムズアップ付きの満面の笑みで………
『そんなのデートするしかないでしょっ!!』
っと言われ、その流れのままに上原さんと蘭に背中を押され、その場でデートに誘うことになった。
すると了承の主旨が私に伝えられた。
その場で思わず、叫びたくなったが羽沢さんに引かれたくないので、その場では我慢して家に帰った後に思いっきり叫んだ。
まぁ、その後に有栖ねえに怒られたのは言うまでもない。
まぁそんなわけで時がたち、前日の夜。
私はあることに気がついた。
《当日の服装どうしよう………っ!?》
《それに当日の予定とか動きとか…っ!!》
そう、私はデートに行けるということにはしゃぎすぎて、すっかりデート当日のことが頭から抜けていたのだ。
焦りに焦って、ベットでゴロゴロ転がりながら、
悩みに悩み耽ってると、ある1つの作戦が頭に浮かんだ。
しかし、私としては出来るだけ避けたいことであったがために、また大いに悩んだのだが、やむを得ずその作戦を実行することにした。
決行は夕食時だ。
--------------------------------------------------
-----------------------------------
--------------------
------------
-------
----
--
-
『________っというわけで、
ご協力お願い致しますっ!!』
私は羞恥心と理性との間で葛藤しながら、丁寧に頭を下げた。
『いやぁ、あの零にも春が来たとはねぇ~。
っていうか、もっと早く言いなさいよっ!
まったく姉に隠し事なんてダメ絶対じゃないっ!』
『あらあら、まぁまぁ。
零ちゃんってば、好きな子とデートに行くの?
初々しいわねぇ~』
『ほぅ………
零にもとうとう"気になるあの子"が出来たか……
ふっ。まぁ、安心したまえ。
何せ、少女漫画を知り尽くしている
この私がついているからなっ!
はーーっ!!!はっはっはっ!!!』
上から順に有栖ねえ、結愛ねえ、菫ねえ。
っていうか、菫ねえっ!!?
誰だよっ!?それっ!!
普段はそんな話し方しないでしょうっ!!?
……………いや、ある意味いつも通り…?
あっ!それと有栖ねえっ!!
絶対に酔ってるよねっ!それっ!!
普段なら『ダメ絶対じゃないっ!』なんて言わないしっ!!
心なしか、お酒の臭いも……
私が呆れた目で見ていると、我らが姉達がふいに真面目な顔つきになった。
『まぁ、妹の頼みだし協力は惜しまないつもりよ。
その代わりっ!何かあったら報告することっ!
良いっ!?わかった!?』
『あ、有栖ねえ……?』
さっきまで酔っぱらいをやっていたはずの有栖ねえが、
軽くツンデレっぽいことを言いながら、真剣な眼差しを向けてきた。
急な変化に思わず首をかしげてしまった。
報告?どういうこと?
何かあったらって具体的になんだろう…?
『ふふっ。それは私もだからね?零ちゃん。
大事な妹のためなら、
本領発揮しまくっちゃうんだから♪
あっ!もちろん、報告もお願いねっ?』
『結愛ねえ……っ!!』
お母さんみたいな包容力でそう言ってくれた結愛ねえに思わず、うるっときてしまった。
って!結愛ねえにも報告っ!?
『おいおいお~い。
この私を忘れてもらったら
困るんだな~?これが。
現役少女漫画作家、なめんなよ~?』
『菫ねえ……』
にやっと笑う菫ねえ。
……………一人だけ、凄く残念…
まっ!菫ねえらしいけどね~。
そう思いながら、私は苦笑を浮かべた。
いや、それにしても……
『うぅ~っ!お姉ちゃん、ありがとうっ!!』
代表して、有栖ねえに抱きつく。
何か色々なものがじわじわきて、目の前の光景がだんだん歪んでいく。
『ちょっ!急に抱きついてこないでよっ!』
『あらあら。やっぱり零ちゃんは昔から、
有栖ちゃんっ子ね~』
『ぐぬぬ。何故だ……何故なんだ……っ!!
お姉ちゃん力なら、私が一番のはずでは……っ!?』
-
---
-------
------------
-------------------
-------------------------
---------------------------------
------------------------------------------
--------------------------------------------------
__________なんてことが前日の夜にあり、お恥ずかしながら、結局今回のデートの準備やプランは姉たちにやってもらうことに……
つ、次はっ!次はその、じ、自分で、き、きちんとやるつもりだから……っ!
た、たぶん……
ちなみに今日の髪のセットは美容師である結愛ねえが、
今日の服のファッションはモデルである有栖ねえが、
今日のデートの予定とかは少女漫画作家である菫ねえがそれぞれ担当してやってくれた。
ありがたい限りである。
はてさてと、こうして振り返ってる内に本来の待ち合わせ時間である、AM .1 1 : 0 0の10分前程になった。
ごくり……
も、もうすぐ……もうすぐでデート本番……っ!!
そう意識するだけで、一気に胸の鼓動が激しくなった。
…………ふぅ~。
とりあえず深呼吸でもして落ち着こう。
すぅ~~……はぁ~~っ。
すぅ~~……はぁ~~っ。
すぅ~~……h__________「お待たせしましたっ!」
「ふぁっ!?」
3回目の深呼吸の息を大きく吐こうと思った瞬間、声をかけられ、思わず変な声が出てしまった。
「げほっ!ごほっ!は、羽沢さんっ!?」
ものすごい驚きにより、むせりながら相手の顔を見ると、そこには普段着姿の羽沢さんがいた。
うわぁ……っ!!
か、可愛い……っ!!!
初めての羽沢さんの普段着姿に思わず見とれてしまう。
こ、これは………っ!!
想像以上の破壊力……っ!!!
「ごめんなさい、
待たせちゃいましたか?」
不安そうにこちらを恐る恐る見る羽沢さん。
「そ、そんなことないですよっ!!
ぜ、全然待ってないですっ!!
わ、私も今さっき来ましたからっ!
あ、あはは」
私は菫ねえ直伝必殺、『「俺も今さっき来たよ」と全然待ってないですアピール作戦』を発動した。
何でも、この技を発動したら、絶対に実際の待ってた時間を口にしてはいけないそうな。
えっ?私が実際に来た時刻……?
この話の最初に戻ったら分かるよ⬅
っとまぁ、メタイ発言は置いておいて、私はしどろもどろしながらだが、しっかり必殺技を発動することができた。
心の中でこっそりガッツポーズをする。
「あの、今日はまずどうしましょうか?」
「へっ!?あ、あぁっ!!そ、そうですねっ!
ご、ご飯なんてどうでしょうかっ!
ま、まだ少し早いですけど……
だ、ダメですかね……?」
私も少し早いと思うけど、菫ねえ曰くスケジュール調整してたら、そうなったらしい。
まぁ、だからといって、私から文句があるわけでもないし、寧ろ言えるような立場ではないから、全然この時間の昼食は良いんだけど、唯一心配なのは羽沢さんなんだよね。
羽沢さんに嫌だと言われたら、もうどうしようもないわけだし。
「あははっ。
そんなに心配そうにしなくても、
全然大丈夫ですよっ!
どこで食べましょうか?」
優しく微笑みながら、そう言ってくれた羽沢さん。
良かったぁ……っ!!
これでひとまず、第一ステップはクリアできそうだ。
「あ、あの、さ、circleっていう所の
カフェなんてどうでしょうか…?
あ、姉からおすすめだと聞きまして、
ちょっと気になってるんです」
「良いですねっ!あっ!でも!だからって、
羽沢珈琲店に来てくれなくなっちゃうのは
だめっ!ですからね?」
人差し指を立ててにこやかに笑いながら、羽沢さんがそう言った。
……………やばい…
羽沢さんが可愛すぎてツラいっ!!
思わず、顔を両手で覆う。
っはぁ~っ!顔が熱いっ!!
初っぱなから可愛さ全開じゃん……っ!
「それじゃあっ!早速行きましょうか!
って、あれ?どうしたんですか?」
羽沢さんが私の様子を見て、きょとんと首をかしげた。
その仕草でさえ、可愛いなんて……っ!!
反則過ぎる……っ!!!
《零の姉》
神崎 結愛
零の姉で有栖の双子の姉
年齢は25歳。
カリスマ美容師
※芸能人も何人かカットをお願いするほど
金色のゆるふわな髪をポニーテール
瞳 桃色
少々マイペース気味なお姉さん系姉ちゃん
(あらあら系)
一人称 私
零の髪型管理人
(有栖や菫にもやっているが、やはり一番は零)
※なんでも零は髪をいじりやすく、
色々なジャンルの髪型でも
結構似合う珍しい広範囲OK型だかららしい
いろいろ忙しく、家事は零に巻かせっぱなし
(しかし零に良くコーヒーを淹れてあげたりと、
家事ができない分はそこで補ってる)