それ逝けあんちんマン!   作:アビャア

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連続投稿です。

今回は分けたぶん清姫要素たっぷりです。どうぞ







幕間の章『とある女性達の会話 後編』

ケース参 どきゅめんたりー『その頃の清姫』

~時間を遡り安珍が武蔵(♀)と珍道中の頃~

 

「......」ソワソワ

 

 

 

陸奥の国にある白河のとある屋敷、その屋敷には出張の為に紀伊国牟婁郡(和歌山の熊野街道沿い)から来た熊野国造の分家『真砂の庄司』こと庄司清治が住んでいる屋敷でもある。

そんな屋敷の部屋の一つ、障子造りの窓を開けながらある存在が来るのを待っている可愛らしい笑みを浮かべた少女がいた。

 

チチチ...!

 

「っ来た!安珍様に返事の紙を書くから少し待って下さいますか?」

 

チチチ...!

 

「有り難う小鳥さん!此を食べて羽をのばしていて下さいね♪」

 

チチ♪

 

待っていたのはある僧侶が書いた手紙をくくりつけた彼の父所属の式神の伝書担当の小鳥でその小鳥から手紙を貰うと、お礼を言いながら鳥用の餌が入った小皿を窓際に置きワクワクしながらその手紙を読んでいた。

 

 

「わぁ!流石だわ!様々な地域の景色を絵と一緒に書いているから鮮明に分かるし、各地で起きるどんな難関だろうと『破ァ!』と武術で蹴破る姿、他の読物にもない予想外の展開の連続、何度読んでも飽きません!」

 

「しかし、一緒に旅をしている女武士さんは色々と気になりますが彼女の生き方は憧れるなぁ。後で父上に武芸の稽古頼んでみようかしら?」

 

「返事は何て書こうかしら?っそうだ!あの景色を和歌にして送りましょう!後はえっーと、今の生活とこの地域の気候に慣れた事と......」

 

まだ年が八歳と幼いためか少し我が儘なところもあるがその姿はとても愛いらしく、目を輝きながらも筆を走らせ想い人に綴っている。

 

 

「あぁ、私も()()様と一緒に旅が出たい...。」

 

 

そんな彼女の名前は『清姫』そう、史実で『安珍清姫伝説』で蛇になり安珍と呼ばれる僧を焼き殺す(未定)のあの『清姫』その人だ。

ちなみに差出人は我等が主人公サイタマ顔の安珍である。

本来なら数年後に出会う筈の二人だがどういう因果か彼が修行の旅の途中出逢ったのだ。

その後色々あり、今では文通するほどの仲だ。

 

(でも毎回安珍様を思う度、この胸を締め付けられる気持ち...何でしょうか?)

 

此は安珍が日向寺を手に入れるまでの彼女の行動を簡単に纏めた誰も知らない記録である。

 

 

~安珍が京に着き三つの難題を受諾した頃~

 

ブンッブン!

 

「フッ、セイ!」

 

強い女性に憧れて薙刀を習い初めては良いものの中々上達しなかった彼女は、薙刀?を上手く使う安珍にどうしたら上手く使えるか手紙の中に綴っていた。

安珍は返事の手紙と一緒に一通りのアドバイスや使うコツ、立ち回りを書き記した文を送ったのだが....

 

「セヤァァ!!」ブンッ!

 

スパパパーン!

 

なんということでしょう(震え声)。

最初は振るうことで精一杯だった彼女がそのアドバイス?のお陰で数日のうちに宣言通り妖怪を倒せるぐらいには成長したのだ。

 

 

「.....ふぅ。まさか安珍様の助言通りやってみたら、ここまで上達出来るなんて流石安珍様です!

 

しかも、ただ教えるだけではなくあえて有耶無耶な表現や示唆をすることで、教えられる側にも自分が求める答えを導きだすよう仕向ける厳しさ感服の極みですわ!」

 

※安珍の表現力が雑なだけです。

 

「この調子で.....ハッ!安珍様に変な虫が!?」

ギョロ!

 

鞠尾<ピギィ!?キヨヒメサマ!?

 

 

~その数日後~

 

「.......」ジー

 

 

「お清がある方角を向いて睨んでいるが、あの方角は安珍君が今いるだろう場所、たまにゆっくりと別の方向に顔を向けているけどもしかして安珍君がいる場所を分かっているのか?」

 

「ふふふ...彼女は気付いていないけど、あれは愛している故に成せる技ね。」

 

「何故そこで愛!?全く分からんぞ伯銘よ!?」

 

 

一方その頃の安珍は.....

 

ゾアッ!

 

「うぉ!?また急に寒気が!!」

 

「?どうした安珍。また例の寒気か?」

 

「あぁ....。たまにしか来ないんだが此を入れて今日で10回目、風邪でも引いたのか?」ズズ...

 

「まさか、貴様が風邪を引くわけが無かろう。そろそろ法螺村だ。作戦通り演技しろよ()()()♪」

 

「(急に声質が優しくなったすげぇな。)おっおう了解だ。えっーとこの場合だと、おっおうさぁー。わっ()()()()()まり(棒読み)...」

 

ゾゾアッ!

 

「ッ!?ウオッフ!!」

 

(....このアホ僧侶、ちゃんと演技出来るか不安だ。)

 

 

 

~安珍、小雪さんの家で療養中~

 

安珍の身に何があったと察し少しナーバス気味になっていた清姫は気分転換の為、彼を想う度に感じる気持ちの正体を知るためこの数日間、屋敷にある様々な本や書物を読み漁っていた。

彼女の自室の机には、既に読んだ沢山の書物が積み重なっている。その中でとあるジャンルの書物を読み終えた所だった。

 

「........ッ!此が胸を締め付けられる気持ちの正体!!あぁ、良かった...。」

 

「この気持ちの正体は『』だったのね!」

 

その読んでいた物は純愛の恋愛系。

そこに登場する主人公の女の子がその男性を見るたびに清姫と同じ感覚に襲われる文面があり、その文章の最後に『恋に落ちたと』書かれていた。

 

そう、彼女は遂に安珍という男に対して『恋煩い』、つまり『愛している』事に気付いてしまったのだ。

 

「此が恋、此が恋なのね、ふふふふ.....。」

 

チチチ...!

 

「.....あら?」

 

 

やっと見つけた答えに優しい笑顔で静かに笑う彼女に一匹の雀、安珍の式神『鞠尾』が安珍の手紙を清姫に渡すため部屋の中に入ってきた。

 

 

鞠尾<キヨヒメサマ、アンチンノオテガミダヨ。

 

「あら本当?届けてくれて有り難う鞠尾。なら、この気持ちを....。」

 

清姫は背中を向けた状態で首だけを動かし空を見上げた横顔をそのまま倒すように振り向く仕草、俗にいう『シャフ度』をして鞠尾を見つめる。

 

そして......

 

 

 

 

 

 

この切ない気持ちを安珍様に綴らなきゃ♪

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケース四 清姫のーー事情

 

 

初めて安珍()に会ったときこの気持ちの正体を知らなかった。

 

女郎蜘蛛に拐われてから救出されるまで気絶し、救出された後も意識が朧気だったが、彼の顔と姿だけは今でも鮮明に覚えている。

 

基本抜けた顔と声なのだが、とても強くそして優しい。

 

たった一人で数多くいた妖怪達と戦いほぼ全滅させ、人質である自分達を無事に救出させた技量と怪力。

自分達を助け殿を勤めた時、襲い掛かる女郎蜘蛛を『破ァ!』という掛け声だけで吹き飛ばす彼の後ろ姿はとても勇ましかった。

 

その後見事殿を勤めたと同時に女郎蜘蛛達を討伐し、彼に助けられたお礼をするべく配下達も呼んで自分達の屋敷で宴会、彼を一泊させたのだ。

 

しかし、彼の顔を見ると途端に顔が赤くなって恥ずかしくなってしまって助けられたお礼もまともに言えず、宴会が終わるまで彼に話しかけることも出来ないぐらい緊張していた。

 

宴が終わり寝静まった夜、彼の自室に行き謝りに行ったのだがその事を全く気にしなかった。

そればかりか"魔術"という呪術とは全く別の術で人差し指に炎を灯し、其処から幻想的な空間を作り緊張をほぐしたのだ。

 

彼は『簡単な魔術だけど』と苦笑いしていたが、水の膜で出来た空に浮かぶ水の球体、紙で作った蝶々を風の魔術であたかも飛んでいるかのように動かす姿はとても綺麗で美しかった。

そのお陰で緊張がほぐれ彼と面と向き合って話し合えるようになった。

まだ少し恥ずかしくて顔が少し赤くなるが彼の語る外の世界は貴族の娘故に外の世界に少し疎い自分にとって、とても新鮮なもので彼の話に夢中だった。

 

そんな楽しい一夜が終え彼が再び修行の旅に戻る時、まだずっといて欲しい気持ちが勝り今でも泣きそうな顔で裾を掴み俯いてしまったのだ。

ぐずる私に彼は頭を撫で背負子から小さい紅い数珠を自分の手に握らせ優しい笑みでこう言った。

 

『会える機会があったら必ずきよひーに会いに行くからそれまでは文通でやり取りしよう』

 

その言葉と初めて貰った宝物に胸の中に抑えきれないほどに嬉しくなり満面の笑みで返事をし彼の旅路を見送った。

 

それからは父親の式神を借りて文通のやり取りをして楽しむことが日課の一部になった。

他愛ない話やちょっとした出来事ばかりを綴っただけの捻りのない手紙だが彼女にとってはまるで一緒に旅をしているかのような気分になれた。

 

しかし、安珍が女性と一緒に行動するたびに少しずつ胸が苦しくなり嫉妬や憎悪に似た感情が渦巻き始めたのだ。

 

流石の彼女もこの負の感情を恐れ誰もその事を言えず心の奥に仕舞い込んだのだが、ある日それも限界に近かったのかこの気持ちの正体を知るために屋敷にある書物を数日かけて読み漁ったのだ。

 

そしてその正体を知った。この胸の苦しみや嫉妬のような感覚の正体は恋煩い、つまり自分は安珍という一人の僧侶にして男性である彼に『』をしていたのだ。

 

あぁ...良かった。此は()()()()()()()()()()

 

彼女はその正体を知りスッとその苦しみから解放されたのか身体が軽くなった感覚に陥る。

 

そうこの感覚は当たり前なのだ。

 

彼に会いたくて恋い焦がれすぎて胸が苦しくなるのも、

 

自分とは違う女性と仲良くしていて彼を取られるような感覚に陥り、嫉妬や憎悪に近い感情が渦巻くのも、

 

彼を独り占めしたい欲望すらも、

 

恋をしているから別に悪い感情ではなく、むしろ安珍()をとても愛している証拠なのだ。

 

今すぐにでもこの家を飛び出して彼にこの気持ちを伝えたいが彼は今修行中、邪魔をして嫌われてしまったら自ら命を絶つかもしれない。

 

それは彼がとても悲しむだろう。それはやってはいけないことだ。

なら、()()()()()()()()()()()()。その時には既に彼も修行が終わって気持ちの余裕が出来ることだろう。

それまでは伝えることは我慢しよう。大丈夫、彼とはまた会う約束をした。二年後には故郷に戻れるし、京と距離が近い。

彼の事だから修行がてら徒歩で来るだろう。

 

しかし、とても歯がゆいものだ。再び会ったとしてもこの気持ちを伝えられないのだから。

 

 

流石の彼も自分が彼を愛している仕草さをすれば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()殿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()().().().()()()()()()

 

 

愛という感情なのですね

 

 

 

 

 

その日彼女は『愛』を知ってしまった。

 

 

この感情が五年後、ある事件の引き金になることを彼女もおろか、誰もその事は知らない。

 

その日、ゆっくりと廻っていた二人のfate(運命)は五年後の事件に向けて動き出した。

 

 

 




はい、清姫とうとう愛を知りました。
これから修行編が進みサイタマ顔安珍が贈る『安珍清姫伝説』が始まります。

(主に安珍のせいで)強くなった清姫に対しどう行動するかご期待して下さい!

更新も場合によっては遅いかも知れないですが此れからも応援よろしくお願いします。





オマケ
清姫
遂に愛を知ってしまった八歳の女の子
キヨヒーイヤーは地獄耳(安珍限定)
キヨヒーセンサーは正確(安珍限定)
悪魔ですら恐れる予定の恋に焦がれる純粋ガール。
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