とある海賊の奇妙な冒険記【更新停止中】   作:解放したPNTマン
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終戦

「コビー! おいどうしたんだ!?」
「わ、分からない……! ただ、頭が割れるように痛くて、苦しいんだ……!」

 突如、コビーの体に異変が起きる。
 戦場のど真ん中で頭を抑え、必死に聞こえてくる声から耳を塞いでいた。しかし、声はどんどん大きく、そして深く彼の心に響いてくる。

 ――くそ、兄弟がやられた!
 ――逃げろォ! 生きて此処から逃げるんだァ!

 必死に生きようとする者。

 ――誰か……誰か、助けてくれ……。
 ――死にたくねェ……アイツが、待っているのに……。

 死を前に助けを求める者。

 ――全員殺せェ! 火拳を! 星屑を! 麦わらを逃がすなァ!
 ――戦え! 立てぬ者は捨て置け! 屍を越えて、奴らを殲滅しろォ!

 そして、それらを蹂躙する――正義。

 ――正義! 正義! 正義!
 ――正義! 正義! 正義!
 ――正義! 正義! 正義!

 コビーは、聞こえてくる様々な声に圧し潰されそうになっていた。
 気分が悪い。吐き出してしまいそうだ。
 でもやっぱり一番は……とても悲しい。
 それが苦しくて、耐え切れなくて――。

「あ、おいコビー!」

 コビーは、ヘルメッポの静止の声を振り切って戦場を駆け抜けた。


 ▲▽▲▽▲▽


「死の外科医か! 何故、此処に居る?」
「そんな事はどうでも良い! 早くそいつを渡せ!」

 ジンベエの戸惑いの声に、ローは切って捨てて急かした。
 超新星と呼ばれ注目される程の実力者と言えど、この死地に長居すれば命は無い。現に、彼の視界に映る空に眩い光を放つ人間が現れる。
 黄猿だった。彼は、ジョットに停止した世界で殴られ吹き飛ばされながらも、すぐに復帰し追撃しにこの場に現れた。そして、死にかけのジョットを守るルフィたちではなく、潜水艦に乗ったローを狙った。あれで逃げられると厄介だと判断したからだ。

八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)

 無数の弾丸が、潜水艦を覆いつくすかのように放たれた。
 それを見たローは舌打ちをして、能力を使う。

「“ROOM(ルーム)――シャンブルズ!”」

 展開した(サークル)に入った船と自分の潜水艦の位置を入れ替える。瞬間、入れ替わった船はハチの巣にされ、そのまま沈んでいった。本来の持ち主がこれを見れば、大層憤慨していただろう。しかし、ローにそれを気にする殊勝さも余裕も無かった。
 彼は、能力の使用を最大限使い(サークル)を大きくする。そして、手に持った刀を振るい湾内にある氷を幾つかのブロックへと切り分ける。

「連続で移動する! 全員、振り落とされるな!」
『了解!』

 ローの指示に、ハートの海賊団は応えた。

「何をするつもりか分からないけど、死んでもらうよォ~」

 黄猿が指先からレーザーを放ち、しかし貫いたのは氷塊だった。
 潜水艦は別の位置に移動していた。

「ん~?」

 疑問に思いながらも黄猿は何度もレーザーを発射し、その度に潜水艦は避け続ける。
 それを見た黄猿はローの能力の一端を理解した。どうやら、物と物の位置を入れ替える事ができるらしい。
しかし連続使用は堪えるようで、ローの額には脂汗が浮かんでいる。

「早くそいつを渡せ!」
「ああ、分かった!」

 ジョットを背負っていたルフィが、腕を伸ばしてローの潜水艦の手すりを掴んだ。そして、元に戻る性質を利用して、そのまま勢いよく潜水艦に向かって突っ込んだ。
 メアリーを背負ったエースは空に浮く氷塊を足場に潜水艦へと近づき、それにサボたちも続く。

「“槍波!”」
「おっと」

 ジンベエは、能力者にとって弱点である海水を使って黄猿を牽制する。
 黄猿はそれを回避すると、氷の大地を歩く青雉の隣に着地した。

「厄介だねェ~。このままだと逃げられるよォ~」
「火拳が居る以上、凍らせる前に溶かされそうだ」

 青雉の視線の先には、凍った先から溶けていく氷があった。
 ローの元へと向かいながらも、足先から炎をチラつかせて常に青雉を警戒している。凍らせるには、エースは天敵だった。故に、潜水艦を海水ごと凍らせる事は不可能であり、黄猿の攻撃もあの能力で避けられてしまう。
 普段だったら余裕を持って対処可能だった。しかし、今はジョットのダメージがそれぞれ残っている。一番軽傷な青雉ですら、一般的に見れば重傷だ。黄猿など、スタープラチナで滅多打ちにされたせいで、体の所々に穴が空いている。向こうも死にかけだった為に、ロギアの体で治せる傷ではあるが……能力を使えば使う程、意識が遠のく。
 それでも、大将としてジョットたちを逃がす訳には行かない。そしてそれは、この男も同様だった。

「――じゃったら、避けられん程の大質量で溶かすまでじゃ」
「サカズキ!」
「貴様らはどいちょれ――これで、しまいにする」

 ボコリッとサカズキの両腕から大量の溶岩が溢れ出す。
 視線の先には、ルフィたちが潜水艦の中へとジョットを運んでいく姿。
 あれを――ジョットを潜水艦ごと墜とせば海軍の勝利だ。

「“流星――」

 限界を超えて、赤犬が能力を使用し――。


「――そこまでだァアア!!」

 しかし、その前に、戦場に一人の若き海兵の叫び声が響いた。


 ▲▽▲▽▲▽


「なんだ?」
「海兵?」

 海賊も、海兵も――誰もが一瞬動きを止めてそちらを見た。
 そこには、今まさに能力を使用する赤犬の背中に向かって叫んでいるコビーの姿があった。赤犬は、己に向けられた大声に腕を本来の物へと戻して振り返る。
 酷い顔だった。涙と鼻水でぐちゃぐちゃで、頭痛で顔は歪み切っており――しかし、この戦場で誰よりも悲しんでいた。

「もう止めましょうよ! こんな戦い、もう止めましょうよ!」

 彼は懇願した。戦うのを止めよう、と。

「逃げる海賊の背中を追いかけて!」

 海賊たちは思った。なんて情けない声で――強い叫びだ、と。

「死んでいく仲間を踏みつけて!」

 海兵は思った。なんて優しい言葉で――しかし、この場では何て的外れなのだ、と。

「それでも追って、殺されて、殺して、死んで――命が勿体ない!!」
「――貴様は、何を言うちょるんじゃ。命が勿体ないじゃと? ――恥を知れェ!!」

 そして、赤犬は――怒りを顕にした。

「今此処で! 海賊を! ジョジョを取り逃がせば、海軍の面目は丸つぶれじゃろうが!」
「……貴方は! 大将である貴方は! 海軍の面目の為なら死んでも良いと言うのですか!?」
「そうじゃ! ――弱い正義じゃ何も守れん! 悪である海賊を滅ぼせん正義じゃあ意味が無い! 正しくない正義は――無意味なんじゃ! だから、此処でわしらが止まったら、海軍は――」

 ――海軍は、この戦争で大敗していると言っても良い程海賊によって掻き回されてしまった。エースは解放され、ジョットは命を繋ぎ、そして今まさにこのマリンフォードから逃げ出そうとしている。それを許せば、赤犬の言うように海軍の面目は丸つぶれだ。
 そうなれば、世界中の海が荒れるだろう。海賊たちが調子づき、一般人は眠れぬ夜を過ごす。
 それだけは阻止しなくてはならない。故に、ジョットたちを殺すまでは止まれないのだ。

「――違う」
「――ああ?」

 しかし、コビーはそれを否定した。

「違う。違う違う――違う! こんなの正義じゃない! 助けられる人を見捨てて、人を殺し続けるなんて、正義じゃない。こんなのは――」

 コビーは、尚も己の中に響く声に苦しみながらも――叫んだ。

「――ただの暴力だァ!!」
『――!?』

 そして、その言葉は――数人の海兵を動かした。

「おい、たしぎィ! すぐに怪我人の手当てをしろォ!」
「! おい、お前スモーカーだな!? いきなり何を――」
「黙れ! ……ちっ。軍の犬になるつもりは無かったんだがな。戦争の気に充てられた……!」

「ジャンゴ。フルボディ。あなた達も怪我人の手当てを」
「し、しかし」
「早くしなさい! ……ヒナ、動揺」

 白猟のスモーカー。黒檻のヒナと言った将校を筆頭に、数人の海兵たちが戦闘を止めて救助に動き出した。中には、トキカケと言った中将クラスも居り、海軍は二つに割れた。
 人命救助に乗り出す者。それに異を唱え、戦闘続行を訴える者。
 センゴクは戦場を静かに見据え、何処か達観した表情を浮かべていた。
 ――もう、取り返しはつかないのかもしれない。
 トップとしては間違えている。しかし――仁義という正義を貫くにはどうしたら良いのか。それを考えると、センゴクは動けずに居た。


 ――が、それを許せない者も居る。

「――正しくない海兵は要らん。早急に去ねェ!!」

 戦場で起きた異変に赤犬は怒りの感情を募らせ、それをマグマと変えてコビーに向かって解き放った。
 コビーは迫り来る死に泣き叫んだ。しかし、後悔は無かった。やるだけやったのだから。言いたい事を言ったのだから。それで死ぬのなら、自分はその程度の人間だったのだろうと思いながら――気絶した。せめて痛みを感じないように。

「――よくやった、若い海兵」

 しかし、コビーはマグマに包まれて溶けて死ぬ事は無かった。

「お前が命を……誇りを懸けて生み出した“勇気ある数秒”は良くか悪くか……」

 コビーを庇うように一人の男が現れた。

「たった今()()()()()を大きく変えた!」

 そして、その男に海兵たちは――いや、世界中の人間が見覚えがあった。
 左目に走る三本の傷。赤い頭髪。失われた片腕。
 彼は白ひげと同じ四皇にして、海賊王ゴールド・ロジャーの元クルー。
 名を――赤髪のシャンクス。

「――この戦争を終わらせに来た!」

 二人の少年の運命を変えた男の登場に――マリンフォードは震えた。


 ▲▽▲▽▲▽


「……」
「良いの、ルフィ?」

 マリンフォードに一瞬顔を向けかけたルフィは、すぐに視線を船内へと戻した。そんな彼にエースの背中に居るメアリーが問いかける。
 シャンクスに声を掛けなくて良いのかと。しかし、彼女は問い掛ける前から分かっていた。

「――今会ったら、約束が違うからな」
「そっか」

 ――新世界で待っている。
 幼き頃に、麦わら帽子と共に託された言葉を思い出しながら、ルフィは前へと進む。

「それに、今はジョジョだ! トラ男! 早くジョジョを治してくれ!」
『トラ男!?』
「ああ」

 ハートの海賊団のクルーがルフィの妙なあだ名に反応するなか、ローはシャンクスに向けていた視線を外すと、己もまた船内へと入った。

「逃がさないよォ~」

 それを見た黄猿が飛び上がり――。

「――残念黄猿くん! それ以上はドクターストップだ」
「!! お前は、いん――」

 しかし、目の前に突如現れた男によって妨害される。
 現れたその男に、黄猿は驚愕の表情を浮かべ――しかし、次の瞬間大量の黄色いカプセルに包まれて光の肉体の大半を削られた。パチュンという軽快の音とは裏腹に、下へと落ちる黄猿は苦悶の表情を浮かべている。

「ぐっ……相変わらず、性格が悪い……!」

 覇気が込められていないため、実体にはダメージがない。しかし、痛みはある。
 ジョットに負わされた傷に耐えて動いていた黄猿にとって効果覿面だった。大の字に倒れた黄猿は、まともに動く事ができなかった。

「ボルサリーノ!」
「はい、次」

 一瞬で倒された黄猿に声を掛けた青雉は――背後からの不快な声……それこそ、蛇が這いずるような声に悪寒を感じて、能力で空気を凍らしながら腕を振り切った。
 しかし、その腕は容易く受け止められ覇気でガードされてしまう。
 さらに、突如空から様々な形をしたブロック状の何かが降り注ぎ青雉を圧し潰した。それは、ある程度組み立てられると横一列に爆発を起こし、青雉はプスプスと煙を出しながら倒れた。

「あいつは――」
「ほれ、最後」

 黄猿。青雉が一瞬で倒された光景を見た赤犬は、この場に現れたのがシャンクスだけでは無い事を理解し――腹部に叩き付けられた拳で体内の空気を一気に吐いた。
 そこには、黄猿と青雉を無力化した男――ジョセフが居り、ニヤリとあくどい笑みを浮かべると覇気とは違う、別種のエネルギーを纏ったアッパーを赤犬に叩き込んだ。

「――」
「はい、三タテ。随分とうちのモンに痛めつけられたようだな小僧共」

 赤犬は、今までのしぶとさが嘘のように声も無く気を失った。
 それを為したジョセフはこっちに来る時に盗んだ天竜人の酒を飲みながら、ジョットの暴れっぷりに満足そうにしていた。

「あ、あれは……間違いない!」
「世界最悪の海賊――」

 そして海兵たちは、この場に現れた世界で最も恐るべき男を前に、体を震わせて叫んだ。

『隠者ジョセフだああああ!?』

 そんな中、センゴクは表情を険しくさせて叫んだ。

「――隠者! 貴様、何故此処に……!」
「ん? シャンクスさんが言っていただろう? この戦争を止めに来たって」

 ジョセフの言葉に、彼の事を良く知る者は物凄く嫌な顔をした。後から続いた赤髪の海賊団も同様だ。
彼がそう言うのなら、そうなのだろう。しかし、どうやって止めるのかが問題だった。
 隠者へと嫌悪や憎悪の視線が送られるなか、シャンクスが口を開く。

「――これ以上を欲しても、両軍被害は無益に拡大する一方だ。まだ暴れ足りない奴が居るのなら……来い! おれ達が相手をしてやる!」

 その気迫に海兵たちは圧された。白ひげ海賊団と戦った後に、赤髪海賊団と戦えばどうなるのかは――火を見るよりも明らかだ。
 そして、シャンクスは己の傷が疼くのを感じながら一人の男へと向ける。

「どうだ、ティーチ――いや、黒ひげ!」
「……ゼハハハハハ! やめておこう! 欲しい物は手に入れたんだ。お前らと戦うにゃあ、まだ時期が早え。
 ――それに、今の状態でそこの糞爺と関わるのはゴメンだ! 行くぞ、野郎共!」

 黒ひげは、シャンクス……そしてジョセフに視線を向けるとバージェスに肩を貸して貰いながらシキの能力下にある岩盤に乗った。

「ああ……おい、シキ!」
「……なんだァ、糞爺?」
「せいぜい飲まれるなよ――闇によォ」
「……ジハハハハ! 相変わらず訳の分からない奴だ!」

 シキは、ジョセフの言葉を受け取らず黒ひげと共に戦場を去った。
 それを見送ったシャンクスは、視線をセンゴクへと向ける。

「お前たちはどうする――海軍」
「ふざけるな! 此処で我々が手を引けるものか! 白ひげ海賊団を殲滅し、その首を晒してこそ――」
「あ~らら。まーだ戦争したいのか? 四皇と」

 シャンクスの言葉に反応した将校に向かって、ジョセフは心底嬉しそうに笑みを浮かべた。それを見たシャンクスが眉を顰め、センゴクが慌てて今の言葉を撤回しようとし、白ひげ海賊団はジョセフの次の行動に警戒を示す。
 皆の注目を集めるなか、ジョセフは懐からある物を取り出した。それを見た海兵が、思わず呟く。

「エターナルポース?」
「戦争止めないなら、お前らにこれやるよ。んで、満足するまで戦争に付き合う――ビッグマムとカイドウが、此処に……マリンフォードに来るまでなァ?」
『……!?』

 ジョセフが取り出したエターナルポースには――ラフテル、と書かれていた。
 それを見たセンゴクたちの反応は速かった。センゴクが大仏と化し、ガープとゼファーが覇気で腕を黒く硬化させ、おつるは能力でいつでもあの老害を洗い流せるようにと構える。
 隙を見つければ、すぐに突貫してあのエターナルポースを破壊するつもりだった。それでも、隠者なら壊せないように細工してそうで、嫌になる。
 ビッグマムとカイドウがジョセフを執拗に襲うその根幹――海賊王への近道が海軍の手に渡るという事は、つまり此処に現存する四皇が集結するという事だ。
 そうなれば、いよいよ海軍は不味い。赤髪、カイドウ、ビッグマムとの四巴の戦いになれば、真っ先に消されるのは海軍だ。

「貴様……!」
「お~怖い怖い。大丈夫大丈夫。これは家族以外には渡さないから! 複製して世界にばら撒いたりしないから!」
「ジョセフ。これ以上煽るな」
「こりゃ失敬。ちょっと興奮していたようで。何せ――」

 ――大事な大事なあの子の忘れ形見が、傷つけられたのだからさァ。

 ドロリとした悪意が戦場を包み込む。黒ひげの闇とも、ジョットの黒いオーラとも、メアリーの邪王真眼とも違うその異質な恐怖に、海兵たちは動けずにいた。
 ジョセフの足は赤犬の頭に置かれており、ふとした瞬間にそのまま踏み砕きそうな雰囲気だった。
 シャンクスが戒めるも、止まるかどうか不安だった。彼の額には冷や汗が垂れている。

「――分かった!」
「元帥!」
「責任は、私が取る!」

 センゴクは――元帥として、最後の命令を下した。
 思えば、星屑のジョジョを発見した時から決まっていたのかもしれない――そう思える程に、海軍は彼に振り回され……敗れた。

「負傷者の手当てを急げ――戦争は終わりだ!」

 センゴクの声を受け――世界にその情報全てが流れる。


 ▲▽▲▽▲▽


「いやーバギーさんお久しぶりです!」
「ぎゃあああああ!? こ、こっち来るな糞爺!」

 戦争が終わり、両軍が退却するなかジョセフはこそこそとバギーに近づいてちょっかいを出していた。
 過去のトラウマからバギーは思わず叫び、それを見た囚人たちは感涙している。どうやら、バギーの世界最悪の海賊に対する態度に心打たれたらしい。それすらもジョセフの掌の上で、バギーは何となくそれを察知して逃げようとしている。

「まぁまぁバギーの旦那。ちょっと待ってくださいよ。実はこれ……盗んだ宝の地図なんですけどね」
「宝の地図!?」
「ええ、はい。で、これを是非ともバギー様に献上しようと思いまして」
「マジか!?」

 嬉しそうに喰いつくバギーに、ジョセフはニヤリとあくどい笑みを浮かべた。
 それを見たのはMr.3のみで、他の囚人たちはバギーの偉大さ(偽)で前が見えなかった。

「でも、その代わりといっちゃあなんですけど。バギー大明神様にちょっとお願いが」
「おう! 何でも言ってみろ! オレ様たちの仲じゃねえか!」
(敬称がテキトー過ぎるガネ)

 バギーの了承を得たジョセフは彼の手を握り、絶対に逃げられないようにすると――そのお願いを言った。

「そっか、良かった良かった! じゃあちょっくら一緒に海王類の巣に飛び込もう!」
「……へ?」

 バギーがポカンと口を開く中、Mr.3は天を仰ぎ見た。


 ▲▽▲▽▲▽


「――ジョジョが死ぬ? どういう事だおい!」
「落ち着くんじゃルフィ君! ……説明して貰おうか?」

 憤るルフィを抑えて、ジンベエがローに尋ねる。
 今のいままでオペをしていたローは、淡々と答えた。

「どうもこうもねえ。おれは死人を生き返らせる術を持っていないってだけだ」
「死人? それってつまり、ジョジョが死んだって事?」

 ローの言葉に、目の前が暗くなるメアリー。
 しかし、それをローが否定した。

「いや、そうとも言い切れねェ……詳しい事はおれも良く分からねえが星屑屋は今生き返ろうとしている」
「生き返る? そんな事、可能なのか?」
「おれも正直驚いた。あれほど生命力の強い生き物は見た事が無い。死んでもなお、生に縋りついているというか……」

 エースの問いに答えながらも、まだ自分の中で整理できていないのかブツブツと自問自答を繰り返すロー。
 取り合えず分かっている事を伝えることにしたのか顔を上げた。

「能力の覚醒は知っているか?」
「なんだそれ?」
「私は知ってる。でも、それがどうしたの?」
「星屑屋は今、能力の覚醒に至っている」

 悪魔の実の能力が覚醒すれば、周囲に影響を及ぼしこれまで以上の力を発揮する事が可能だ。そして、ロー曰くジョットもその状態にあるという。

「奴は今、周囲の物や生物の生命力を支配下に置き、己の身に還元させて驚くべき速さで肉体の再生を行っている。おれのROOMもどんどん削られて……全く酷い目にあったものだ」
「……ねえ、何が言いたいの?」
「今の星屑屋をオペすることができない。したくても、生命力を吸うんだからな」

 此処は海の中だ。故に、彼は潜水艦に居る者たちから生命力を吸い上げて体の傷を治癒しているが――それでも足りない。
 ローが能力を使う度に生命力を吸われては、救えるものも救えない。
 そのことを理解したジンベエたちは頭を抱えた。彼を生かしている能力が、彼を救えない。
 万事休すか。
 しかし、メアリーは違った。

「ねえ、生命力の強い生き物が居ればジョジョは救えるの?」
「……ああ、そうなるな。だが、奴の馬鹿げた容量を満たす生命力は――」
「心当たりはある――ルフィ!」
「ん?」

 メアリーは、ルフィの肩に手を乗せて――言った。

「ボア・ハンコックに頼みたい事があるの――協力して!」

 彼女の言葉に、ルフィは――いつものように笑みを浮かべて頷いた。



シャンクスに10回ほど「余計なことするなよ?」と言われてラフテル(?)のエターナルポースを出した隠者さん
これには海軍に対する牽制以外にも意味が…
それは次回か次次回くらいに判明します!







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