とある海賊の奇妙な冒険記   作:カンさん

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主人公日記 十六ページ目

<月→日

 

 えらいことになったな……。

 新世界を航海中、一つの事件が世界を驚かせた。おそらく、世界中の人間があの記事に注目している。

 赤犬……いや、サカズキが新元帥になった。対立候補である青雉と十日間に及ぶ決闘の末、アイツはその地位をもぎ取った。

 記事によると、青雉はギリギリ死んでおらず、しかし海軍を去ったらしい。これからの情勢の変化に、皆が目を離せないだろう。

 それと、ジンベエがオレに警告をしていた。サカズキはオレに執着していた。そのサカズキが前線を退いて組織のトップに立つという事は――それだけ、奴も本気だと言うこと。

 オレを捕らえる為に、全力を注ぐ事は明らかだ。

 これからの海軍の動きに注意しねぇとな……。

 

 

<月〆日

 

 メアリー、お前何したんだ……?

 思わずそう尋ねてしまうような事が今日起きた。元帥が変わって注意しなくてはと思った矢先にだ。

 戦争の時に白ひげ海賊団の隊長達を次々と無力化していた元海軍大将にして海賊遊撃隊隊長――黒腕のゼファー。

 そいつが、どういう訳かメアリーを狙って追いかけて来た。察するに戦争で何かやらかしたみたいだが……えらく目の敵にされているな。お前の邪王真眼は危険だ〜やら、その眼で何人の人を視て来たやら、ゼファーがそう叫ぶ度にメアリーが悶えていた。

 流石のカリーナも同情した目をアイツに向けて、それがさらに追い詰めていた。

 

 メアリーの反応でギャグっぽい感じになっていたが、実際に戦闘になると厄介だった。

 植物を操る忍者の格好をした男の海兵に、メアリー曰く物や人の時間を戻す能力を持った女海兵。

 そして極め付けは膨大な戦闘経験と熟練の技、能力者の弱点である海楼石で作られた兵器。スタープラチナの拳が全く効かないというのは初めての経験で、奴を相手取る時は覇気を主に使っていくしかない。

 

 今回は犠牲も無く退けたが、おそらくこれからも追って来るだろう。かつてのサカズキのように。

 メアリーが凄い嫌そうにし、「ジョジョの気持ちが何となく分かった……」と言っていたのが印象的だった。

 

 

<月#日

 

 サカズキの奴が……というよりも世界政府と海軍が早速動き出した。

 青雉という巨大な戦力を失った穴を埋める為か、奴らは世界徴兵をしてより強い軍隊を作ろうとしている。名のある賞金稼ぎや腕に覚えのある者達が名乗りを上げている。

 ジンベエも険しい表情で記事を見ていた。青雉が抜け、サカズキが元帥になった事で三大将のうち二つ席が空いている。それを埋める為かもしれないと言っていた。それこそ、有力候補として上がっている将校達よりも化け物染みた力を持った猛者を求めて。

 

<月「日

 

 今日は珍しい物を手に入れた。見るのは随分と久し振りになる。

 悪魔の実だ。それも二つ。

 襲って来た海賊を返り討ちにしたのだが、どうやら取引に使う物だったらしく、えらく大切に保管されていた。おそらく本物だろう。

 で、問題は誰が食うかだ。

 本来なら、手に入れた奴が食えば良いのだが、生憎見つけたのは能力者であるオレとメアリー。オレ達が食ったら死んでしまう。

 だから、後日何かしらの方法で決める事にした。それに、どんな能力なのか分からないしな。

 

 

<月=日

 

 海賊なら、欲しいものは自力で手に入れろ。

 そんな訳で、辿り着いた島で悪魔の実争奪戦を開始する事にした。

 ルールは簡単。オレとメアリーがそれぞれ悪魔の実を持って逃げ、それを奪った者が勝ち。

 メアリーは能力を使うし、オレは手加減はするが取られないように抵抗する。つまり、生半可な力では悪魔の実を手に入れる事はできない。

 今までの自分を乗り越えて、掴み取ってみせろとは……メアリーも言うじゃないか。後で悶えていたが。

 ゼファーとの戦いで何人かが覇気を感じ取っていたから、それをどう活かすのか。それとも全く別の手段で、個性を活かしてオレ達を欺くのか。

 それが楽しみで思わず笑っていると、メアリーも同じ笑みを浮かべていた。こういう所は兄妹だなと思った。

 ちなみにカリーナとジンベエ達は参加しないとの事。悪魔の実を食べてカナヅチになるのは嫌だと言っていた。

 

 

<月〒日

 

 悪魔の実は、無事にそれぞれの者たちが手に入れた。

 まず、メアリーから悪魔の実を奪ったのは船大工担当のランだ。

 アイツは、何度もメアリーに挑んだ結果、一瞬だけだが覇気を使ってスカスカの実を攻略して手に入れたらしい。他の者たちもそれを狙っていたみたいだが、見事チャンスを物にした。

 そして肝心の能力だが……名前はシャボシャボの実。能力はシャボン玉を作り出して操ること。

 一見外れに見えるが、この能力かなり有用だ。

 何せ、シャボンディ諸島のシャボン玉と同じ性質を持つシャボン玉を作る事ができ、それを自由自在に動かせるのだから。これに喜んだのはシャボンディ諸島でシャボン玉自転車を買わされた奴だ。シャボン玉があの島でしか使えないと知って、金を無駄にしたと落ち込んでいたのだが……ランの能力でいつでもシャボン玉自転車を漕げる。

 買い物に行った時も、結構便利だ。シャボン玉の中に入れれば持ち歩くのが凄い楽。

 そして何よりもシャボンコーティングで潜水が可能になった事が大きい。ランはレイさんから深海での航海のノウハウを習っているから、これからはシャボンコーティングで海軍の追跡から逃れる術を手に入れた事になる。海水に浸かっても能力が解ける事はなく、影響もほとんど無い。ハッキリ言って当たりだ。

 他にも弾ける強さを上げて攻撃手段にできたりと、これからの能力の発展に期待大だ。その辺はメアリーが考えると言っていたから任せるつもりだ。

 

 そして次。

 オレから悪魔の実を手に入れたのはアーサーだった。

 元々勘の良い奴だと思っていたが、どうやらそれは見聞色の覇気だったらしく先読みされてしまった。手加減していたとはいえだ。

 元々ギンの次に強く、故郷である南の海のとある王国の剣術で前々から敵を薙ぎ払っていた。加えてオレの下に着く前はアイツらの船長になる器の男であり、だからか他のクルー達よりも高く懸賞金が6000万と頭一つ抜きん出ていた。

 アイツらには悪いが……ギンが居ない今、オレから悪魔の実を奪うのはアーサーだと思っていた。

 で、アイツが食べたのはナギナギの実という音を消す能力だった。一見外れに見えるが、戦闘で音を消すというのは中々に厄介だ。爆弾や銃といった威力があるもののデカイ音を出す武器には有効だろう。

 剣術を使うアーサーなら、背後に回って斬るみたいな事もできる。アイツなら使いこなすだろう。

 それとメアリーが何故か咽せていた。どうしたのだろうか。

 

 ともかく、これでアイツらは強くなれるだろう。強い意志があるなら尚更だ。

 

<月|日

 

 強い意志は良いが、スケベに対しても強い意志を持つなよあのアホンダラ……。

 前々からメアリー達の風呂を覗こうとして、その度に制裁を喰らっていたが……音を消してまで覗きたいのかアイツら?

 結局、最近見聞色の覇気に目覚めた(まだまだだが)メアリーによってバレてボコられ、カリーナから金を巻き上げられていたが。

 とりあえずくだらん考えが起きないくらいに、オレ自ら徹底的に鍛える事にする。

 

 

<月+日

 

 今日はカリーナとアラディン達にギンの事を話した。

 クルセイダー海賊団のNo.3が居ない事を疑問に思ったカリーナが聞いて来たのがキッカケだった。こっちに来て色々とあったからなぁ……。

 良い機会だからギンの事を教えておいた。アイツがどういう人間で、どのような出会いを経てオレ達の仲間になったのか。思えば、ギンが正式に仲間になったあの時に、このクルセイダー海賊団が結成されたんだな……。

 話を聞いたアラディン達は是非とも会ってみたいと言い、シャボンディ諸島で一度しか顔を合わせていないジンベエはじっくり話してみたいと言いつつ、親父と一緒に居る事に不安を感じていた。

 こればかりはオレも同じだ。アイツなら「強くなる為」と言って平気で人道から外れた事をするからなぁ……本格的に修行を始めた時の事は思い出したく無い。

 ギン、元気だろうか……。あれから一ヶ月経っている。今のオレには無事を祈る事しかできない。

 

 

<月〜日

 

 ……かつて、フィッシャー・タイガーはマリージョアを襲撃して天竜人から多くの奴隷を解放した。その話はハチやジンベエから聞いているし、その後どうなったか知っている。

 そして天竜人にとってどれだけ忌々しい事件だったのか――それも理解している筈だ。

 だからこそ、今日の新聞を見て驚いた。

 マリージョアが――再び襲撃され、奴隷が解放された、なんて。

 新聞ではその事がデカデカと載せられており、七武海に加入した千両道化のバギーが隅に追いやられている。

 天竜人は絶対にこの事を許さないだろう。そして、海軍は未だ判明してない襲撃犯を追いかけ捕らえる。いや、サカズキならそのまま殺すのかもしれない。

 フィッシャー・タイガーの事を知っている身としては色々と複雑な心境だ。それはジンベエ達タイヨウの海賊団も同じだろう。思うところがあるのか、記事を読んで唸っている。

 どうか捕まらないで欲しいと思う。

 

 

<月…日

 

 サカズキの野郎、やりやがった。

 海軍が世界徴兵で軍事力をどんどん上げているのは知っていた。そして、その中に大将クラスが居るであろう事も予想していた。

 だが――まさか、五大将制度とは、ねぇ……。

 海軍は、既存の三大将制度を廃止し、新たに五大将制度を設立させた。世界徴兵で海兵になった者を二人、中将から昇格した者二人、そして黄猿を入れて――五人だ。多分先日のマリージョア襲撃事件も関係しているのだろう。天竜人の為に動かす大将の数を増やしたという見方ができる。

 メアリーはオレが三大将を相手に暴れたから数増やしたんじゃない? と何処か疲れた表情で言っていた。ここ最近邪王真眼で視た未来と違うみたいで、色々と悩んでいるらしい。

 ……いや、どう考えても、ランとアーサーの能力特訓メニューで徹夜して寝不足なだけだろうから無理矢理寝かせておいた。どうせ後で自分の発言に気付いて悶える。

 ただ、ジンベエはメアリーの言葉を戯れ言だと思っていないらしく警戒していた。特に藤虎と緑牛は世界徴兵で大将になった化け物。遭遇したら無理に戦うべきではないと言っていた。

 それを聞いたオレは、繰り上がりに大将になった桃兎と茶豚は大丈夫なのか? と聞くと、オーズの足をぶった斬り白ひげ海賊団の隊長格を複数相手取って一歩も退かなかった事から十分強敵だと言っていた。というか、無闇に戦おうとするなと怒られてしまった。

 ……そういう訳にはいかねぇんだけどな。

 

<月×日

 

 マリージョアを襲撃したのが誰だったのか、今日分かった。

 ギンだった。どうやら、軍艦奪って奴隷達を連れて新世界に入ったらしいが……アイツ、何をしているんだ?

 いや、正確には親父に何をさせられている?

 懸賞金も一気に跳ね上がっているし……にも関わらず親父の事は全く触れられていない。

 今すぐに連絡を取りたいが、何処に居るか分からない。本当に大丈夫なのだろうか?

 ……まさか、これも修行? 大将を誘き寄せる為? いや、それよりも何故一ヶ月経ってギンがマリージョアを襲撃したのか。何故アイツが奴隷を解放したのか。そもそもどうやってあそこまで行ったのか? それを考えて、親父のやりそうな事を連想すると――すぐに飛んで行って、ギンを連れ戻したい衝動に駆られる。

 もしオレが予想していた事が合っていたら、親父にギンを任せたのは失敗だった。

 何故なら、おそらくギンは……。

 ……この事は、黙っていよう。今強くなろうとしているアイツらを邪魔したら、ギンが怒るだろうからな。

 とりあえず、次に親父にあったら百回殺そう。警告はしたんだ。向こうがそのつもりなら、こっちも出るとこ出てやる。

 あー……今日は酒飲んで寝よう。

 

 

<月:日

 

 ギンがマリージョア襲撃事件の犯人と判明した事で、オレ達の懸賞金がギン以外5000万ずつ上がった。十中八九天竜人が絡んでいる。オレ、思いっきりラッシュ叩き込んだしな。向こうからしたら、また手を出しやがった、て感覚なのだろう。

 ギンは2億7000万ベリーとなり、これでオレ達の船で億越えになったのは四人だ。これからどんどん強敵達が襲って来る。

 それまでに、出来るだけ強くならないとな……。

 アイツらも努力しているが――オレも負けてられない。

 だからギン。お前も負けずに頑張ってくれ。




この時点でルフィと別れて一ヶ月以上経ってます。
今後の時系列はなるべく原作に沿っていく予定ですが、変更するところは変更します。

それにしてもようやく戦力強化できそうです
モブクルーの中から、サブキャラに昇華させるというのは考えていました。原作のベッジの所のヴィド達みたいな感じですね
とりあえずクルーの中で最も早く名前が出たランと、ジョットが居なかったら船長だったアーサーを出しました。
能力と名前は決めてますが、詳しい容姿はそこまで説明しないというか決めていないというか……いや、アーサーは分かりやすいかな?
今後書く予定の日記じゃない所で活躍させる予定ですので楽しみにしていてください。
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