転生者の魔都『海鳴市』   作:咲夜泪

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 あ、作中では描写の無い場面でちょいちょいサイドデッキからの投入&交換が行われているので、デッキの総枚数は『ラスボス』の人?以外一定じゃないです。


エピローグ&--/使用デッキ

「――斯くして転生者の魔都『海鳴市』は平常運転、『神』を凌駕する『超存在』が降りても世は事無しで目出度し目出度しか。……うむ、人選を致命的なまでに誤ったのは認めよう。過ちを認めて次の糧にするのは大人の特権だ」

 

 此処は多元宇宙の果ての果ての果て、遥か彼方に位置する超次元の位相空間――其処に居着いた『魔法使い』は「『混沌』すぎて面白い事は面白かったんだがなぁ」と率直な感想を述べる。

 その『魔法使い』を、豊海柚葉と同じ姿形をした『補正』は心底げんなりとした眼で見ていた。隣にいる『亡霊』はいつも通り何も語らず、静かに佇んでいる。

 

「――それでは被告『魔法使い』、自己批判しながら自供書に血文字のサインをして自害したまえ」

「ふむ、どうして旧ソ連式の伝統芸能なのかな?」

 

 ちなみにこの内約は拷問に拷問を重ねて「私はスパイです」と自供させて自主的に自殺させた事に由来され、自供内容の真偽や本当にスパイかどうかは問題ではない。

 ただ今回のこの例は残念ながら間違っている。今回の『異変』の原因は間違いなく『魔法使い』であるのだから――。

 

 

「事の始まりは以前君に『脚本家として三流以下』と評された事だ。……うん、あの時は聞き流したが、後々になると腸が煮え返るほど腹立たしい評価だと思ってな――ああ、これは私自身が認めているが故の自己嫌悪だと思ってくれ。それで自らの脚本力&黒幕力を鍛えるべく他の次元で練習しようと思ったのだよ」

 

 

 そして自白される次元規模の迷惑行為であり、『補正』は率直に「うわぁ……」とドン引きする。

 

「――それで目を付けたのが『遊戯王』次元、元々カオスな世界だけど、あれの禁止制限の境界を木っ端微塵に壊して解き放ったら凄く楽しくなるだろうなぁと思ってちょいと『魔眼』で殺してみたんだよ。……結果から言えば殺せなかったんだがね。中に12次元の闇をも超越する『隠しボス』が存在しているとは思わなんだ」

 

 被告は「いや、正確には殺した直後に元に戻されたんだが。次元単位の『死』からの『再創造』という天地開闢は実に見応えあった」などと意味不明な供述しており、コイツもう次元の平和の為に屠った方が良いんじゃね?と真面目に危惧する。

 

「あとは見ての通りだ。禁止制限を解き放とうとした黒幕である私を探して『混沌』は此方の次元に足を踏み入れ――その時不思議な出来事が起こって宇宙規模の改変が発生し、何故かは知らぬが転生者の魔都『海鳴市』で『決闘都市(バトルシティ)編』が始まった訳だ。あぁ、あの『混沌』の方は困惑しつつも決闘観戦にそっちのけで初志を完全に忘れ去ったようだね」

 

 『補正』は心底疲れた表情で深い深い溜息をつき――。

 

「……そうだね、僕は『君』の事を『脚本家として三流以下』と評したけど訂正するよ。『君』は脚本家失格だ。三流以下程度に押し留めた僕が愚かだったよ。そして黒幕としては――うん、今回はその役目を見事全うしたまえ」

 

 更に(これ以上無いぐらいの)下の評価を下した直後、この超空間に宇宙単位の『光』と『闇』が現出し――人の形しかしていない『混沌』は当たり前の如く現れた。

 

 

『――あ、こんな処に居やがったか』

 

 

 下手人を発見した『混沌』の反応は極めて険悪であり、『補正』は『亡霊』と一緒にとことこ離れて観戦する。

 

「おや、おやおやおや、よもやこんな次元の果ての果ての果てまで来訪してくるとは誠に恐悦至極。――いやはや実に見事で理不尽な『ラスボス』っぷりだったよ、『主演男優』と『主演女優』が初めての共同作業をしても勝てるかどうか解らなかったからね」

『御託は良い――おい、『決闘』しろよ』

「……むぅ、言葉は不要か。良いだろう。君の流儀で決着を付けてやろうじゃないか」

 

 自分で仕掛けておいてこの言い様である。流石の『混沌』もキレ気味であり、ぐつぐつと身体の構成要素の混沌が煮え滾っている。

 

「所詮は『全盛期カオス』などビートダウンの中での最強であり、井の中の蛙! 今まで君達がやっていたモノが『お遊戯』だった事を私が見せてやろう!」

 

 『魔法使い』は何処からか用意した『デュエルディスク』を左腕にセットし――。

 

「――最強決闘者のドローは全て必然! ドローカードさえ『決闘者』が創造する! 全ての光よ、力よ! 我が右腕に宿り、絶望の終焉を奏でろ! シャイニング・ドロー!」

 

 初手、『魔法使い』は正々堂々と不正行為をする。

 『魔術師』のやったのは超一流『決闘者』が辿り着く境地である、あらゆる運命を切り開く自力でのドローだが、『魔法使い』の場合は堂々と持てる異能をフルに使った、カードを書き換えて好きな初期手札を呼び込む。

 当然、『魔法使い』が自ら選出した5枚の初期手札は――。

 

「私の手札は――馬鹿な!? 《おジャマ・グリーン》《おジャマ・イエロー》《おジャマ・ブラック》《おジャマ・ブルー》《おジャマ・レッド》だと!? 揃ってない処かそもそもデッキに入ってないカードが……!?」

『私の引いたカードは《封印されしエクゾディア》。――今『5枚』のカードが全て揃った』

 

 先行が何方かだったのかは然程問題じゃない次元の『決闘』だったようである。

 

「なっ!? カ、カードを書き換えただとォッ!?」

『私の前でカードを書き換えようとしたからこうなる。――言うまでもないが、《封印されしエクゾディア》《封印されし者の右足》《封印されし者の左足》《封印されし者の右腕》《封印されし者の左腕》が手札に全て揃った時、デュエルに勝利する――ルールを守って楽しく『決闘(デュエル)』! 怒りの業火、エクゾード・フレイムッ!』

 

 この超空間に封印から解き放たれた完全体の《エクゾディア》が顕現し、その無限の力をもって驚愕する『魔法使い』に裁きの鉄槌を下す。

 

「――いわああああああああああああああああああああああ~~~~~っっっっっ!?」

 

 何処かの凡骨決闘者のようにこんがり焼かれ、『魔法使い』は呆気無く撃沈する。

 死なんて疾うの昔に超越した身であるだろうが、命の燃料の一欠片まで燃え尽きて、精神的に完全ノックアウトされたようである。

 

「うん、綺麗にオチたね。『魔法使い』ざまぁ。藪を突いて『混沌』出しておいてタダで済まそうなんて虫が良すぎるんじゃないかな?」

 

 それを見届けた『補正』は心底清々しい笑顔を浮かべ――いつも通り『補正』の隣にいる『亡霊』の変化に気づく。

 

「おや、実は気に入ったのかい? それ――」

 

 無言で佇む『亡霊』の左腕には――『彼』の本体が装着し、また『決闘疾走(ライディグ・デュエル)』の時に一度だけ装着した『デュエルディスク』が取り付けられていた――。

 




 秋瀬直也の使用デッキ

 デッキ枚数46枚
 制限カード5枚

 モンスターカード

 《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》×3
 《竜穴の魔術師》×2
 《竜脈の魔術師》×2
 《相克の魔術師》×2
 《法眼の魔術師》×1
 《賤竜の魔術師》×2
 《慧眼の魔術師》×1(制限カード)
 《貴竜の魔術師》×2
 《調律の魔術師》×1
 《EMモンキーボード》×2
 《EMドクロバット・ジョーカー》×2
 《EMペンデュラム・マジシャン》×1
 《EMトランプ・ガール》×1
 《EMギタートル》×1
 《マジェスペクター・ユニコーン》×1
 《幽鬼うさぎ》×1
 《増殖するG》×1
 《速攻のかかし》×1
 《エフェクト・ヴェーラー》×1
 《オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン》×1

 魔法カード

 『ハーピィの羽根帚』×1(制限カード)
 『オッドアイズ・フュージョン』×1
 『ブラック・ホール』×1(制限カード)
 『ペンデュラム・コール』×2
 『貪欲な壺』×1(制限カード)
 『オッドアイズ・アドベント』×1
 『揺れる眼差し』×1
 『天空の虹彩』×2

 罠カード

 『神風のバリア -エア・フォース-』×1
 『奈落の落とし穴』×1
 『蟲惑の落とし穴』×1
 『狡猾な落とし穴』×1
 『激流葬』×1
 『強制脱出装置』×1

 エクストラデッキ

 《ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》×1
 《ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》×1
 《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》×1

 《氷結界の龍 トリシューラ》×1(制限カード)
 《覚醒の魔導剣士》×1
 《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》×1

 《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》×1
 《オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン》×1
 《真紅眼の鋼炎竜》×1
 《No.11 ビッグ・アイ》×1
 《幻想の黒魔導師》×1
 《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》×1
 《No.39 希望皇ホープ》×1
 《SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング》×1
 《フレシアの蟲惑魔》×1


 『混沌』の使用デッキ(『魔都』バージョン)

 デッキ枚数60枚
 禁止カード36枚(うちエラッタカード8枚)
 制限カード9枚
 準制限カード1枚

 サイドに禁止カード5枚(うちエラッタカード1枚)制限カード4枚

 《光の創造神 ホルアクティ》×1
 《オベリスクの巨神兵》×1
 《オシリスの天空竜》×1
 《ラーの翼神竜》×1
 《ラーの翼神竜 球体形》×1
 《邪神アバター》×1
 《邪神ドレッド・ルート》×1
 《邪神イレイザー》×1
 《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》×3(制限カード)
 《混沌帝龍 -終焉の使者-》×1(エラッタ前の禁止カード)
 《混沌の魔術師》×3(エラッタ前の禁止カード)
 《カタパルト・タートル》×1(エラッタ前の禁止カード)
 《処刑人-マキュラ》×2(禁止カード)
 《異次元の女戦士》×2
 《黒き森のウィッチ》×1(エラッタ前の禁止カード)
 《クリッター》×1(エラッタ前の禁止カード)
 《ジャンク・シンクロン》×1
 《八汰烏》×1(禁止カード)
 《幽鬼うさぎ》×1
 《増殖するG》×1
 《バトルフェーダー》×1
 《エフェクト・ヴェーラー》×1

 魔法カード

 『簡易融合』×1
 『心変わり』×1(禁止カード)
 『サンダー・ボルト』×1(禁止カード)
 『強奪』×1(禁止カード)
 『ハーピィの羽根帚』×1(制限カード)
 『大嵐』×1(禁止カード)
 『次元融合』×1(禁止カード)
 『強引な番兵』×1(禁止カード)
 『いたずら好きな双子悪魔』×1(禁止カード)
 『押収』×1(禁止カード)
 『突然変異』×1(禁止カード)
 『ソウル・チャージ』×1(制限カード)
 『強欲な壺』×1(禁止カード)
 『天使の施し』×1(禁止カード)
 『手札抹殺』×1(制限カード)
 『苦渋の選択』×1(禁止カード)
 『死者蘇生』×1(制限カード)
 『月の書』×1(準制限カード)
 『神秘の中華なべ』×1
 『魔力倹約術』×1
 『生還の宝札』×1(禁止カード)
 『早すぎた埋葬』×1(禁止カード)
 『神縛りの塚』×1
 『遺言状』×1(禁止カード)

 罠カード

 『第六感』×3(禁止カード)
 『異次元からの帰還』×1(禁止カード)
 『刻の封印』×1(禁止カード)
 『王宮の勅命』×1(禁止カード)
 『血の代償』×1(禁止カード)
 『神の宣告』×1(制限カード)

 エクストラデッキ

 《旧神ノーデン》×1(禁止カード)
 《サウザンド・アイズ・サクリファイス》×1(禁止カード)

 《シューティング・クェーサー・ドラゴン》×1
 《ダーク・ダイブ・ボンバー》×1(エラッタ前の禁止カード)
 《TG ハイパー・ライブラリアン》×1(制限カード)
 《幻層の守護者アルマデス》×1
 《アクセル・シンクロン》×1

 《ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン》×1
 《No.107 銀河眼の時空竜》×1
 《熱血指導王ジャイアントレーナー》×1
 《神竜騎士フェルグラント》×1
 《外神アザトート》×1
 《星輝士 デルタテロス》×1
 《星守の騎士 プトレマイオス》×1(禁止カード)
 《FNo.0 未来皇ホープ》×1

 サイドデッキ

 《昇霊術師 ジョウゲン》×1

 《No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン》×1
 《No.22 不乱健》×1
 《聖刻神龍-エネアード》×1
 《No.23 冥界の霊騎士ランスロット》×1

 魔法カード

 『ブラック・ホール』×1(制限カード)
 『強欲な壺』×1(禁止カード)
 『貪欲な壺』×1(制限カード)
 『天使の施し』×1(禁止カード)
 『死者蘇生』×1(制限カード)
 『超融合』×1(制限カード)

 罠カード

 『現世と冥界の逆転』×1(エラッタ前の禁止カード)
 『ラストバトル!』×1(禁止カード)
 『血の代償』×1(禁止カード)
 『神の通告』×1




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