それぞれの憂鬱~深海棲艦大戦の軌跡~《完結》   作:とらんらん

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感想で度々艦娘についての質問が来るので、現時点で人類側が知っている艦娘についての知識を出してみます。(飽くまで人類が知っている限りのため、実際の設定と違う可能性もあります)
後、前回の話で設定的にあり得ない項目があったため訂正しました。

イベントは何とか全ステージ甲クリア! なおドロップ……。新艦が全く出ない…(´;ω;`)


海を征く者たち番外編2 ある日の防衛省での講習会

 今回講義させて頂きます、国立特殊敵対生物研究所所長の大場です。今回の講習会では現在自衛隊を始めとした世界各国で運用されている艦娘についての講義となっておりますが、一つ注意点がございます。

 艦娘は研究が始まったばかりの存在であり不明な部分も多く、これから講義する内容は飽くまでも現時点での研究結果となっております。そのため未確定な部分も多く、また後々の研究でこの場で語られる内容が間違っていた、という事もあり得ます。

 皆様にはこの事を十分に留意してい頂きたく思います。

 

○そもそも艦娘とは

 艦娘は第二次世界大戦前から戦中にかけて各国で保有していた艦船が人の身体を持って現れた者です。日本的には付喪神と考えて構いません。

 ええ、その反応は分かります。明らかに胡散臭いですよね。それは私も同意見です。しかし彼女たちの力は本物であるのですから認めざるを得ません。

 彼女たち曰く、艦娘とは深海棲艦に対するアンチユニットであるとの事です。事実、人類の操る兵器にある程度の耐性を持つ深海棲艦に対して、有効な攻撃を与える事が出来る事は艦娘の出現直後にイギリスで確認されています。

 そんな軍艦の化身である彼女たちですが、現れたのは艦隊に配備され、実際に運用された軍艦だけではない様です。

 良い例はドイツのグラーフ・ツェッペリンですね。実艦のグラーフ・ツェッペリンは竣工はされておらず、進水のみ行われています。そして1947年にソ連に渡っております。そんな彼女ですが、艦娘としてドイツで出現しており、そしてソ連には出現しておりません。他にも戦後賠償として他国に渡った艦の艦娘が、賠償先の国では出現していません。この事から艦娘として出現するのは「戦中まで」の軍艦とされています。

 

○出現状況

 経緯についてですが、「ある日突然」と言う言葉が当てはまります。

 2017年4月23日。各国の現地時間の正午に、提督となった者の前に突然現れました。この事に関しては我が国では現防衛大臣である坂田氏の事例が有名ですね。閣議中に艦娘が突如出現、現場は大混乱に陥ったそうです。最も坂田氏が提督となったお蔭で、日本の艦娘運用が他国と比べてスムーズになりましたので、日本にとっては幸運な事なのでしょう。

 

○艦娘の身体能力

 艦娘を観察する際は砲撃や雷撃、航空戦の方に目が行きがちですが、艤装を用いない素での身体能力もかなりの物です。筋力に脚力、スタミナや反射神経はどれも人間以上の数値を叩き出しています。艦種によって身体能力には差がある様で、基本的に大型艦になるほど主に筋力が向上しています。

 ……以前何度か、人間と艤装なしの艦娘の戦闘があったようですが、そのどれもが人間側の敗北に終わっています。駆逐艦であっても100㎏程の重量なら片手でも楽に持ち上げられる程度の身体能力はありますので、人間では素手では艦娘に勝つことは不可能とは言いませんが、かなり困難でしょう。

 また彼女たちの大よそは艤装に頼らない戦闘技能も習得しているようです。共通しているのは小銃や拳銃等、個人用銃器の射撃術や軍隊格闘が挙げられますが、一部の艦娘の中には剣術や槍術を習得している者もおります。

 次に知能の方ですが、知能指数は人間と同等であるとの結果が出ています。また記憶の方ですが、軍艦の付喪神らしく、実艦時代の事も覚えているとの事です。余談ですが、精神年齢は艦娘の見た目と同等であるとの結果も出ています。

 艦娘の性格ですが、建造当初の性格はその艦娘によってほぼ同じの様ですが、建造後の生活によって性格が変化していくようです。例として駆逐艦「朝潮」を上げますが、建造当初はどれも真面目な性格をしていますが、後々に観察するとそのまま真面目のままのケース、めんどくさがりになっているケース、悪戯好きになっているケースが確認されています。

 

○戦闘能力

 彼女たちの目玉である艤装を装備しての戦闘能力ですが、艤装に改装がなされていない場合は基本的に実艦時代の性能をそのまま発揮出来きます。皆様が疑問に思うであろう、あの艤装のサイズで実艦時代の攻撃力を発揮できる要因ですが、研究は続けられていますが未だに手がかりすら見つかっていない状況にあります。そこ、残念そうな顔をしないで下さい。

 艤装に備え付けられている火器ですが、換装が容易に出来る様です。具体例を上げますと、10分程度で吹雪型駆逐艦の主砲を秋月型の主砲である長10cm砲に換装出来ます。

 で、この換装の特徴ですが、実艦で考えた場合まず不可能な換装が行える点が挙げられます。良い例が先月末に起きました戦艦棲姫艦隊襲撃の際に迎撃に出た艦娘の一人に戦艦金剛ですね。彼女は艤装の2、3番砲塔が46cmに換装されており、戦艦棲姫へ有効打を与えていました。このように装備の換装によっては攻撃力が格段に上昇する様です。

 次に防御性能ですが、こちらも実艦と同等の物を持っていますが、彼女たちの身体自身で攻撃を受け止めるわけではありません。「装甲壁」と呼ばれるいわばバリアの様なモノが常時展開されており、それで攻撃を受けている様です。で、この装甲壁には一つ特徴がありまして、「明らかにオーバーキルな火力を受けても、一度だけなら殆どの防御機能と引き換えに使用者を守る」と言う機能を持っています。強引に現代兵器に例えるなら、強力な爆発反応装甲といった所でしょう。……そんな胡散臭そうな目で見ないで下さい。実際にあるのだから仕方ないじゃないですか。

 

○艤装自体の改造

 さて、艦娘の使用する艤装ですが性能を向上させることが出来ます。強化の方法は2種類。一つは「近代化改修」。これは他の艤装から取ってきたパーツを使い性能を上げる方法です。但し、これは飽くまで既存の艤装の強化であるため、どうしても強化には上限があります。

 そしてもう一つが「改造」です。一定の練度に達した艦娘が行える艤装の強化であり、資源を大量に使用するものの艤装自体を作り替える強化方法です。

 多くは改造前の上位互換の性能を有していますが、一部では艦種が変化する艦娘がいます。一例を上げますと、硫号作戦時に逆転の切っ掛けを作った潜水艦達ですね。一部の潜水艦は改造すると、なぜか「潜水空母」に艦種が変更される様です。原因ですか?現在調査中です。

 また、改造によって別の国籍の艦となったケースもあります。日本の駆逐艦「響」の改造後である「ベールヌイ」、ドイツ潜水艦の「U-511」の改造後である「呂500」が良い例ですね。原因?研究中です。

 

○艦娘の建造

 さてそんな強力な戦力を増やす方法ですが、専門の建造施設にて建造可能です。ん?「その施設を解析すれば艦娘について解るのではないか?」ええ、我々も直ぐにその考えに至り建造施設の解析に挑みました。結果は解析不可能。構造自体は乾ドッグに似ているだけの物であり、なぜあれで艦娘が建造できるのか全く理解できませんでした。提督曰く、建造は妖精が行っているとの事です。最もその妖精が見えるのは提督と艦娘のみであり、妖精を研究しようにも見えない、触れないのではどうしようもありませんでした。

 話を戻します。艦娘は建造施設で建造出来ますが、現時点では他国の艦娘を建造出来た事例は報告されていません。つまり建造出来る艦娘には上限があります。また別の国で艦娘の建造を行っても建造できるのは、その提督が元々住んでいた国の艦娘だけの様です。この事は上限の低い南米諸国で確認されています。

 ああ、上限に達しても建造自体は可能な様です。既にいる艦娘が建造される事となった場合は艤装のみが完成するとの事です。これは改造によって別の艦種となった艦娘のケースでも変わりません。

 因みに轟沈した艦娘を再建造する事は可能な様です。但し轟沈艦がそのまま返ってくるわけではないため、見た目は同じ別人となります。

 そうそう。装備の開発もそうですが、建造で出来る艦娘はランダムです。え?「どういうことだ?」。文字通り完成するまで誰が建造されるのかが解らないのです。何でも妖精の気まぐれだそうで……。ええ、提督の方もそういう物だと諦めています。

 

○艦娘への指揮

 艦娘の指揮は提督となった人物が執っていますが、実は提督以外の人間でも指揮する事自体は可能です。但し提督以外の人間での指揮の場合、艦娘の能力や士気が致命的なレベルにまで低下する事となります。妖精の件もありますので艦娘の指揮は提督に任せるのは一番ですね。

 

○提督とは

 艦娘の建造や指揮を採ることが出来る提督ですが、その多くは元々は一般人でした。4月23日の艦娘の出現と共に、その一般人は提督化しています。提督化の特徴ですが、身体の成長に身体能力の強化がありますが、最も重要なのは知識の入手です。提督化した際に艦娘の指揮に関する知識だけでなく、士官クラスの知識も有する事となりました。これのお蔭で、自衛隊に提督と艦娘を組み込む際に生じる混乱が最小限で済んだと言っても過言ではありません。

 また能力の一つとして、まるで実際の実艦に乗るかのように艦娘の中に入る事の出来る「乗艦」があります。この乗艦中は「通信機能の強化」、「レーダーやソナーの装備」「艦娘自体の能力の強化」がされます。

そして当然の事ですが、「提督の数を増やせないか?」と誰もが思うでしょう。提督化するための条件を探るために現在、日本勿論の事、世界各国で最優先事項として研究されています。

 ――ええ、皆さんも知っての通り、研究は難航しています。経歴や環境、血統を始め、様々な項目を調査しましたが、未だに提督化した人間の共通点は見つかっておりません。

 

○提督の死亡時

 増やす手段もなく貴重な人材である提督ですが、戦闘によって戦死するケースもあります。これは激しい戦闘があったアメリカや南米諸国で主に発生しました。

 さて、提督という貴重な人材の死亡は軍にとって大きなダメージとなりますが、話はそれだけでは終わらない事は解りました。

 死亡した提督の指揮下にあった艦娘ですが、3日以内に消滅が確認されました。ええ、消滅です。轟沈ではありません。

 ここまで言えば解るでしょう。提督の死亡は艦隊戦力の消滅と同義語なのです。下手をすれば1人の提督の死が軍事的に大きな穴を開ける可能性すらあります。

 ……この提督の死亡についてですが、国家にとって一つだけ救いがある項目があります。提督の死亡と同時に国内で別の人間が提督化する事が確認されました。言ってしまえばその国の提督の数は変動しないのです。時間はかかりますが、少なくとも戦力の立て直し可能な様です。

 




余談ですが、最後の項目は大概の国にとってデメリットしか無いけど、一国だけメリットになる国があります(火種を作っていくスタイル)

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