それぞれの憂鬱~深海棲艦大戦の軌跡~《完結》   作:とらんらん

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今週は仕事が立て込んでいて本編が未完成のため、ストックしていた番外編を投稿。
時間軸は本編19話、20話の間、秋山たちがまだ横須賀にいる頃です。なおキャラ崩壊注意。
場合によっては本編とは別の世界線扱いとなる可能性もあります。


海を征く者たち番外編3 提督の○○事情(キャラ崩壊注意)

 

 駆逐艦「朝潮」

 

 朝潮型駆逐艦の長女で、外見は黒髪ストレートな髪形が特徴的な小学生と言ったところだ。

 そんな彼女を一言で言い表すなら、「真面目」の一言だろう。与えられた任務に対してひたむきであるし、上司?である提督に対しても忠誠心が高い。他の艦娘との関係も良好である事が多く、こう言っては何だが「扱いやすい艦娘」と目される事が多い艦娘である。またその真面目さから、無理をしていないか心配する提督もいるという。

 そんな彼女ではあるが、欠点もある。真面目過ぎるが故に暴走することもあるのだ。特に提督に関する事の場合、その傾向が顕著に現れるという。

 

 2017年9月の始めのある日の夜。その日の業務が終了し、そろそろ寝ようかと考えていた秋山の下に来客があった。不審に思った彼だったが、その人物を確認すると、どこか納得したように彼女を自室に迎え入れた。

 

「どうしたんだ? こんな夜中に」

「はい。司令官に関わる事ですので、直ぐに報告するべきと判断しましたので」

 

 来客者――朝潮はそう答えた。そしてその返答は秋山も予測通りだった。ちょっとした事ならば、彼女は翌日に報告するだろう。その位の事は彼女も理解している。

 そんな朝潮がこんな夜中に報告に来たのだから、それは余程重要な事件が起こった事を意味していた。

 

「司令官」

「ああ」

 

 彼女の表情からは若干だが悔し気な感情がにじみ出ていた。それにつられて秋山も居住まいを正す。

 

「鎮守府の酒保にコン○ームが置いてありませんでした」

「お前は何を言っているんだ」

 

 見た目小学生が言ってはいけない事を言い出した艦娘に、秋山は思わずツッコミを入れた。

 

 

 

「とりあえず事情を説明してくれ。どういう経緯でそんな話をする事になったんだ?」

 

 頭痛を覚えつつ、秋山は朝潮に問いかける。対する彼女は真剣そのものであった。

 

「はい、ある雑誌で『近々、艦娘と提督による性交渉が解禁される』と書いてあり――」

「待て、いきなり変な言葉が出てきたぞ」

「また性交渉をする際は、病気を予防するためにも○ンドームが有効とも書いてありましたので――」

「いやホント待ってくれ朝潮」

「入手しようと酒保に行ったのですが、置いてありませんでした。ですのでヤル際はコ○ドーム無しになります。その事をご報告に来ました」

「静止振り切って全部言い切ったよこの子」

 

 少なくとも外見が小学生な彼女が言って良いセリフではない。ツッコミどころ満載だが、一つ一つ処理するしかない。

 

「まず、その雑誌って何?」

「艦娘通信です」

「あれかよ。エグイもの載せてるな」

 

 ため息を吐く秋山。色々と言いたい事はあるが、とりあえず大前提でこれだけは言わなくてはいけない。

 

「朝潮」

「はい」

「そもそも性交渉云々についてだけど、そんな事実はない」

「ええ!?」

「因みに国の方からも、艦娘とのセ……あー、『夜戦』は相変わらず禁止しているんだ」

 

 現在、日本国政府は提督に対して、艦娘との性行為を禁止していた。理由として病気や艦隊内での不和など色々と挙げられるが、一番の目的は戦力の減少の防止だ。そもそも「艦娘は妊娠するのか?」という根本的な疑問があるが、仮に艦娘が妊娠した場合、その艦娘は長期間戦線から離脱しなければならない。もしも戦艦や空母と言った主力艦がそうなった場合、戦線に大きな影響が出てしまうのだ。国の立場としては、国土防衛のためにも戦力を確保しておきたかった。

 国の公式見解を説明する秋山。これならば真面目な朝潮も納得するだろう、との意図があった。事実彼の説明に彼女は相槌を打っている。

 

「なるほど」

 

 大きく頷く朝潮。

 

「艦娘通信にもありましたが、セッ――『夜戦』の時にコンドームを使っても避妊率は最大でも98%との事ですので万が一があり得ますね。お尻の方なら妊娠の問題はありませんが、好みがありますし」

「解ってくれた……のか?」

 

 言葉の節々を通り越して全てに不安要素が見えているが理解してくれるなら問題ない、と無理矢理納得することにする秋山。そんな彼に対して、朝潮は彼女なりの答えを導き出した。

 

「つまり戦局に寄与しない駆逐艦である私がお相手すれば良いのですね!」

「そっちに行ったかー。当然駄目だ」

「えぇ……」

 

 勿論だが駆逐艦との性行為も禁止されている。戦力面としてはともかく、倫理面では大問題であるため当然の措置である。

 しばし考え込む朝潮。その様子にこの話題がまだまだ続くことを予感する秋山。そしてその予測は的中する。

 

「……司令官。おかしいと思いませんか?」

 

 朝潮は口を開いた。その声色には不満な様子がアリアリと浮かんでいる。

 

「なんでも、命のやり取りという戦闘行為によって生じた凶暴性が、性的な衝動に変化するらしいです」

「それのせいで戦争で略奪や暴行が起こるらしいな」

「この変化は乗艦して現場で指揮する司令官にも当てはまると思います」

「……そうだな」

「そして司令官の近くには、異性である艦娘がたくさんいます」

「ああ」

「ですので司令官と艦娘が合意で『夜戦』をするのは自然な事です」

「それが問題だから禁止してるんだって」

「確かに規則ではそのようになっています。そこで疑問なのですが、司令官は性衝動をどのように発散させているのですか?」

「あー、……夜の店とかあるから」

 

 当初は政府としても提督の性欲まで踏み込むつもりは無かったのだが、一部の関係者から下手な所に行き性病に掛かってしまう可能性を指摘された。

 その意見を考慮し、提督は公的機関により安全が確認されたある種の国家公認の風俗店の使用を許可されているのだ。

 余談ではあるが、その店で提督が出した『体液』は、全て回収され、研究機関の研究対象とされている。そしてこの事実は提督たちには知らされていない。

 なお――

 

「あれ、でも司令官は15歳ですので利用できないのでは?」

「……」

 

 当然ではあるが、そういう店は18歳未満禁止である。秋山は入ることはできなかった。

 

『……』

 

 暫しの沈黙。そして朝潮は納得したようにゆっくり頷き、秋山に訴えかける。

 

「司令官、いつまでも右手だけでは限界が来ます」

「オブラートに包んでいるようで、実はストレートな物言いとか止めてくれない? 後、生暖かい目で俺を見るのも止めてくれ」

「この朝潮はいつでも問題ありません。むしろバッチ来いです」

「色々問題しかないんだけど? 法律以前に倫理的に」

「――司令官、こんな言葉があります」

 

 一拍間を置き、清々しい程の笑顔を浮かべる朝潮。

 

「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」

「お前そんなキャラだっけ?」

 

 真面目な性格から出てきてはいけないセリフに、秋山はツッコまざるを得なかった。

 

「安心して下さい。『夜戦』の際は妖精さんが周囲を警戒しますので、ばれる心配はありません」

「そんな事に妖精さんを使うなよ……」

「『夜戦』の内容ですが、勉強しましたので一通りの知識はあります」

「勉強しなくていいから……」

「私の身体は金剛さんや五十鈴さんと比べれば子供ですが、その二人にはない強みがあります」

「聴きたくないなー」

「司令官の『主砲』を咥える穴のキツさです」

「完全無視だよこの子。しかもエグイこと言ってるし」

「あ、野外での『夜戦』は発覚のリスクが高いので、やる場合は十分注意して下さい」

「そもそもやらないからね?」

 

 疲れてきたため段々ツッコミが雑になってきている秋山。

 

「……成る程、司令官にここまで拒否されるという事は」

 

 深刻そうな表情をする朝潮。それに気付き秋山は次の展開に予想がついた。

 

(ホ○ネタか?)

 

 定番展開を想定し、身構える秋山。流石にその認識は勘弁してもらいたい。

 朝潮が口を開く。

 

「朝潮だけでは満足できないという事ですね!」

「なんでその結論に至ったし」

 

 この流れは秋山も予想外である。そんな彼を余所に、朝潮は続ける。

 

「申し訳ありません。今日は私以外では一人しか集められませんでした……」

「他にもいるのかよ……」

「司令官の所に来る前に他の方も誘いました」

「拡散しちゃってるよこの子。いや誰でもいいから止めろよ……」

「最初に金剛さんを誘ったのですが、詳細を説明したら顔を真っ赤にして黙り込んでしまいました。バーニングラブとか言っているのに、結構ウブなんですね」

「お前がはっちゃけ過ぎなだけだからな」

「次に五十鈴さんの所に行ったのですが、『とりあえず提督の所に行った方が良いわ』って言っていました」

「アイツ面倒事を俺にブン投げやがった……」

「龍驤さんは『朝潮と体型が被ってるし、今回はええわ』と、断っています。つまり次回からは参加してくれる事ですね!」

「体型ネタすら使ったのに回避しきれてないぞ龍驤……」

「後は駆逐艦ですが、説明しても一人を除いてみんな恥ずかしがっていました。ですので今日『夜戦』するのでしたら、呼べるのは私ともう一人だけになります」

 

 艦娘って実は薄情なのかもしれない。思わず遠い目になる秋山。それはそれとして気になることが出てきた。

 

「……因みにそのもう一人って?」

 

 こんな提案に乗って来る駆逐艦艦娘など予測がつかない。

 

「皐月です」

「意外な名前が出てきたよ」

 

 秋山は頭を抱えた。あの天真爛漫な駆逐艦艦娘が、今回の事を理解しているか不安になってくる。

 

「『つまり司令官と遊べばいいんだね』って言っていました。多分『夜戦』について理解していませんね」

「解ってないのにメンバーに入れるのはどうかと思うぞ」

「そこは司令官と私で、実戦形式で『夜戦』を教えていくつもりです」

「俺を巻き込むのやめてくれないかな」

 

 

 

 駆逐艦「朝潮」

 

 朝潮型駆逐艦の長女で、外見は黒髪ストレートな髪形が特徴的な小学生と言ったところだ。

 そんな彼女を一言で言い表すなら、「真面目」の一言だろう。与えられた任務に対してひたむきであるし、上司?である提督に対しても忠誠心が高い。他の艦娘との関係も良好である事が多く、こう言っては何だが「扱いやすい艦娘」と目される事が多い艦娘である。またその真面目さから、無理をしていないか心配する提督もいという。

 そんな彼女ではあるが、欠点もある。真面目過ぎるが故に暴走することもあるのだ。特に提督に関する事の場合、その傾向が顕著に現れるという。

 

「では皐月を呼んできます」

「だからやらないから。って行こうとするな、待て!」

 

 そして暴走に直面した事のある提督は、「扱いやすい艦娘」から「ちゃんと見ていないといけない艦娘」へと評価を変えると言われている。

 

 




Q:何これ?
A:電波が飛んできた。
 朝潮って提督との関係が良好な場合、提督のために色々やって暴走しそうだよね。

真面目な話、戦争において性の関係を疎かにしたら、かなり不味い事になります。ましてやこの物語の状況はかなり特殊ですので、どうしているのか描写するべきと考えました。
ところで、この話ってR-15でいいんですかね?

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