転生提督の下には不思議な艦娘が集まる   作:ダルマ

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今回は少し短めとなっております。


第23話 空母来る その5

 その後、河内も自身の説明序に混ざり、四人で楽しく仲を深めていく。

 そんな様子を静かに見守っていたのだが、ふと、龍驤が自分の方へと近づいてくる。

 

「ん? どうした、龍驤」

 

「なぁ司令官、一つ聞いてもええか?」

 

「何だ?」

 

「加賀や河内がうちらの世界とは別の世界の軍艦がモデルになっとるんはよー分かった。別にそれはええねん。せやけど、一つだけ、どーしても納得できへんもんがあるんや」

 

「それは一体?」

 

「あれや! あれ!」

 

 そう言って龍驤が指を指したのは、見まごう事なき河内のバルジ(・・・)であった。

 

「なんやねんあれ! 同じ関西弁やのにうちと全然ちゃうやん! もう完全に上位互換やん!」

 

 そして、艤装(船体)の方は正面から見るとボン・キュなのに、人工人体はスーとしている龍驤が吠える。

 わざわざ胸囲の脅威をジェスチャーで現しながら。

 

「あんなんおったら、うち、もうどうしたらええねん……」

 

 膝をつき、落ち込む龍驤。

 ここは、提督として龍驤を励まし、彼女の気持ちを前進させなければならない。

 彼女の肩に優しく手を置くと、自分は彼女の目を見て語り始めた。

 

「確かに大艦巨砲主義(メロン)には夢が詰まっている、だが安心しろ龍驤! 科学の世界じゃ大きい物より小さい物を作る方が難しく、しかし作れば称えられ後世に名を残せる。それにデメリットばかりじゃない、下着の種類は豊富だし男性用の服だって着れる。肩こりともあせもとも無縁! それになりより、重力の影響を全く受けない!!」

 

「司令官……」

 

「だから龍驤。落ち込むことなんてないんだ。さぁ、胸を張って、堂々と行こうじゃないか!」

 

「せやな! ありがとう司令官! うち元気でたわ!」

 

 立ち上がり、前を向き始めた龍驤と肩を組むと、まだ見えぬ暁の地平線を指差し締め括りの言葉を口にする。

 

「さぁ、龍驤。暁の地平線に勝利を刻もう!」

 

「おぉ!!」

 

「って、なんでやねんっ!!」

 

 自分と龍驤のノリのいいミニコントを締めくくる、河内の会心のハリセンツッコミが決まったところで、無事に交流を締めくくる。

 それにしても、龍驤。初めての絡みなのにノリノリである。

 

 

 さてその後は、四人を引き連れ工廠を後にして官舎へと戻ると、任務や訓練に出ている者を除く全員に新たに加わる事になった空母三人を紹介する。

 当然色々な反応はあったが、皆温かく迎え入れ。また一つ、飯塚艦隊は大きくなるのであった。

 

 因みに、その日は既に日没も近づいていた事や任務や訓練から戻ってきた面々への紹介等で時間がなかったので、空母三人の本格的な活動は翌日からとなった。

 なお、戦隊への組み込みに関しては、加賀さんと龍驤を組ませた上で飯塚艦隊の一航戦と言うべき第三戦隊に組み込んだ。第三戦隊は金剛を旗艦とし、第一戦隊から入れ替えた漣をはじめ、新たに建造して加入した護衛役の駆逐艦達で構成される。

 

 更に付け加えておくと、加賀さんと龍驤の装備している艦載機は見た目こそ似ているものの中身は全く異なる品物。なので混乱をきたさないかと心配する者もいるかも知れないが、そこは心配後無用。

 偉大なる妖精さん(ご都合主義)のお陰で、次元の違いなど微々たる問題に成り果てるのだ。

 と言うわけで、保守点検等の問題も妖精さん(ご都合主義)のお陰で解決されたので、めでたく二人にはタッグを組んでもらった。

 

 

 なお、鳳翔さんであるが。

 戦力的に使い物にならないと言うわけではなく。訓練の指南役、並びに予備戦力。

 そして最も重要な役割である、その圧倒的な包容力を持っての艦隊の精神的支柱。

 

 以上の事から基本的には後方勤務と言う形となった。

 

 

 そして最後に、空母三人の加入より実行が可能となった防空訓練等に関して。

 そのあまりのスパルタっぷりに、涙目になり逃げ出しそうになる駆逐艦の艦娘()達が一時続出した事を記しておく。

 

 やはり性格が変わっても、加賀さんの妥協を許さぬ厳しさの部分はお変わりなかったようだ。




いつもご愛読いただき、本当にありがとうございます。

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