転生提督の下には不思議な艦娘が集まる   作:ダルマ

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今回は少し短めとなっております。


第29話 嗜好品護衛任務 その2

 谷川から受け取った護衛任務の詳細が記載された書類に目を通し、時刻になったので会議室へと足を運ぶ。

 会議室に足を踏み入れると、そこには既に召集をかけた面々が全員欠ける事無く揃っていた。

 

「ではブリーフィングを始める」

 

 開催を宣言すると、間を置かず説明を始める。

 

「今回の任務はここ、ラバウル統合基地への物資を積載した輸送船団の護衛任務だ。積荷に関しては、配布した資料に記載している通り」

 

 大淀が作成してくれた簡素な資料に皆目を通している。

 

「船団は三日後の早朝ブリスベン港を出港、そして四日の航海の後ラバウル統合基地に到着する予定だ。そしてその航海の間、船団の安全を確保するのが今回の任務だ」

 

「提督、護衛対象の輸送船は全部で四隻。間違いないんだな」

 

 説明に一端の区切りがついた所で、紀伊が質問を投げかける。

 

「あぁ、間違いない。輸送船は全部で四隻だ」

 

「では航行ルート及び近海での深海棲艦の出現状況は?」

 

「現在確認できた範囲では、大規模な深海棲艦の艦隊が出現したとの報告は見られない。殆どが単艦或いは少数といった所だ。それに戦艦等の大型艦の出現報告もない」

 

 紀伊は自身が確認しておきたかった事を確認でき満足したのか、それ以上質問を投げかけてくる事はなかった。

 

「さて、では今回の護衛任務に出てもらうメンバーを発表する。先ず旗艦を……」

 

「あたしが出る!!」

 

「え?」

 

 そして、他に質問する者もいないので、出撃するメンバーを発表しようとした矢先。

 隣に立っていた河内が、自ら出撃を希望し始めた。

 その突然の発言に、自分のみならず、会議室内にいた全員の視線が河内に降り注がれる。

 

「おい河内、急にどうしたんだ?」

 

「提督はん! この通りや! あたしをメンバーに加えてくれへんか!!」

 

「あのな河内、先ほども言ったように今回の航行ルート及びその近海では戦艦と遭遇する率はあまり高くない、だから……」

 

「それでも、あたし出撃したいねん! 自分でお菓子護りたいねん!!」

 

 まさかここまで河内のやる気がみなぎっていたとは思っておらず、少々面食らう。

 そして、色々と頭の中の情報を整理すると、導き出した結論を河内に伝えるのであった。

 

「はぁ、分かったよ。なら河内、今回の護衛戦隊の旗艦を河内に任命する」

 

「よっしゃ! ありがとうな、提督はん!」

 

「ただし、必ず任務を全うしろよ」

 

「了解!!」

 

「では残りのメンバーだが、天龍・吹雪・叢雲・綾波、そして夕立。以上のメンバーで護衛戦隊を編成、任務に臨んでもらう」

 

 空母組護衛の為新たに建造し加入した綾波と夕立と、古参を組み合わせた臨時編成メンバーを発表する。

 選ばれた面々は、口々に任務を全うすべく決意を口にしている。

 

「では続いて、選ばれなかった面々だが。出撃メンバーが任務の間、それぞれ抜けた穴を埋めてもらう。紀伊、河内が出撃してる間、秘書艦代理を務めてくれるか」

 

「了解した」

 

「残りの者にもそれぞれ代理を務めてもらうから、配布したプリントに目を通しておいてくれ」

 

 その後選ばれなかった面々にも、各々に与えられる役割が書かれたプリントを配布し。

 それが終わると、最後に閉会を宣言し、各々が与えられた役割を果たすべく行動を開始する。

 

 

 数十分後、自分の姿は、艤装が係留される指定のバースにあった。

 

「では河内、頑張れよ」

 

「は! 護衛戦隊、出撃します!」

 

 河内の敬礼に続き、後ろに並ぶ五人も敬礼を行う。

 それに対して返礼すると、河内達は直り、それぞれの艤装へと乗船していく。

 

 曳船の力を借りてバースから離岸する河内達の艤装。

 やがて河内達の艤装が出港し、沖合いへと向かうのを見届けると、夕焼け色に染まるバースを後にするのであった。


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