転生提督の下には不思議な艦娘が集まる   作:ダルマ

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今回は少し短めとなっております。


第32話 嗜好品護衛任務 その5

 再び合流を果たし、同じく合流を果たした第三戦隊を組み込み護衛戦力を大幅に強化した護送船団は、その後深海棲艦に強襲される事もなく航海を行い。

 ブリスベン港出港から四日後の夕刻、無事に、ラバウル統合基地へと到着するのであった。

 そして同時にそれは、今回の護衛任務の成功を意味していた。

 

「提督はん! 艦隊、帰港したで!」

 

「お帰り、河内」

 

「無事に任務完了や!」

 

「ごくろうさん」

 

 執務室に一週間ぶりとなる河内の声が響き渡る。

 本当はバースで出迎えたかったのだが、生憎と片付けなければならない書類が多く、今回は執務室で迎える事となった。

 

 今回の任務での傷を癒し最初に入室してきた河内の後ろには、同じく傷を癒した残りの護衛戦隊と第三戦隊の面々の姿がある。

 

「残りの皆もご苦労様」

 

「ま、オレと姐さ……、河内さんの力がありゃ、あんな敵から輸送船を護るなんて造作もねぇぜ」

 

「天龍の意見に賛同するのはちょっとしゃくだけど、ま、当然よね」

 

「夕立も頑張ったっぽい! 提督さん、褒めてほめて~!」

 

「綾波も、少しはお役に立てたでしょうか?」

 

「わ、私も……頑張りました」

 

「皆、よく頑張った、ありがとう」

 

 護衛戦隊の面々に労をねぎらい、夕立にはご希望に応えて頭をなでなでしてやる。

 

「な、なぁ提督。お、オレにもなでなでしてくれよ」

 

「あ、天龍ずるいわよ! 司令官、私もなでなでしなさい!」

 

「綾波も、出来ればして欲しいです」

 

「わ、私も」

 

「提督さん、もっとして欲しいっぽい!」

 

「提督はん、あたしはそんなんええから、物ちょうだい」

 

「河内はぶれないな……」

 

 何故か頭なでなでを要求される中、全くぶれない河内に呆れつつも、一人一人の頭をなでなでしていくのであった。

 因みに、護衛戦隊の面々の頭を撫でている間、第三戦隊の面々はどうしたのかといえば。

 

「紀伊! Heal the tired heart!!」

 

「わ、止めろ! 危ないぞ!」

 

 金剛が紀伊の胸に飛び込んでいた以外、他の面々は静かに事の成り行きを見守っていたのであった。

 

 

 それから暫くして、河内を除く護衛戦隊の面々も満足し。

 金剛もまた、疲れを癒す鍵となる紀伊成分の充填を完了した所で、今回の頑張りに対してのご褒美の品を用意する。

 

「ひゃー! 提督はん! これ全部貰ってええの!?」

 

 応接机に並べたお菓子の箱の山に目を輝かせる河内。勿論、他の面々も視線はお菓子の箱の山に釘付けだ。

 

「あぁ、ご褒美だからな。でも、ちゃんと皆で分けるんだぞ」

 

「りょーかいや! ほなあたしこのサブレ貰お」

 

「あ、ちょっと河内! それ私も狙ってたのに!」

 

「ふ、早いもん勝ちや」

 

「大人気ないじゃない! 少しは譲りなさいよ!」

 

「ほほほ~」

 

「オレは別に何でもいいけどな」

 

「では綾波は、このおせんべいをいただきますね」

 

「私は、このマカロンで」

 

「夕立はチョコクッキー貰うっぽい!」

 

「子日はね~、今日はグミの日ーっ!」

 

「では若葉は、ココアインシガレットを頂こう」

 

「じゃ漣はマシュマロ!」

 

「全く皆子供やな、うちはお酒の入った大人の贅沢チョコやで」

 

「では私は、このマドレーヌを頂きます」

 

「それじゃぁ私は、紀伊をいただきマースッ!!」

 

「おい、どうしてそうなる」

 

 各々好きなお菓子を手に取り、笑顔が溢れている。

 皆喜んでくれたようで、何よりだ。

 

 一人、全く別の次元の者がいるが。ま、紀伊なら上手く切り抜けてくれるだろう。




いつもご愛読いただき、本当にありがとうございます。

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