皆元気しとるか、飯塚艦隊が誇るスーパーキャリアー、龍驤や。
なんや最近司令官が建造して、うちらの艦隊にまた新しい
新戦力が加入して、段々大所帯になって、艦隊が賑やかになっていくんはええことや。
せやけどな、ホンマに嬉しいことなんやけどな。やっぱりちょっと悔しいと言うか、切なくなる事があるんよ。
うちらの艦隊、端的に言ってグラマラスな子が多いねん。
駆逐艦のチビどもは別にええねん、あれはあれ位のもんやから。
せやけど問題は、それ以上の、巡洋艦に空母に戦艦達や。
特にうちらの艦隊の旗艦を勤める河内、あれはもう歩く凶器や。
前に日頃の疲れを癒すリフレッシュの為に、基地内に在る娯楽施設で温泉に入った時の事や。
時間もちょっと遅かったし、次の日の任務の関係もあるから、うちらの艦隊で温泉に入りにいったんは大型艦の
脱衣所で同志の波勝と喋りながら服脱いどったら、ふと目に留まってもうたんや。
あの河内の、あの脅威の
そらもう、絶句、絶望。
波勝共々、目ぇ真ん丸にして開いた口が塞がらんと数秒間固まってもうたよ。
一糸まとわぬってことは誤魔化しなしの真剣勝負や、で、うちらはそれを前に見事に敗北した。
心の隅っこでちょっとは思っててん、もしかしたら、ちょっと位誤魔化しとるんやないかって。
せやけど、そんな事なかったわ。ありゃもう正真正銘の超々々々弩級やった。
あんなん見た後やったら、加賀や金剛らのがなんて控えめなんやろうて錯覚してまいそうやったわ。
そや、それでやっと固まってたんが解けて、湯船に浸かりにいったら、偶々河内の隣になってな。
仕返しって訳でもなかったんやけど、ちょっと悪ふざけしてる雰囲気出して、河内の
そしたら、そらもううちなんかではどうしようもない感触で、更に絶望してもうたわ。
結局、帰り道で波勝に慰められながら帰ったんを今でも鮮明に覚えとる。
勿論、巡洋艦以上の
せやけど、うちらの艦隊で言ったらその比率は多くない。故に、うちらのような『希少価値戦隊』は内心で肩身の狭い思いをしとんねん。
そもそも、こうもホルスタインみたいな
なんや
あぁ、そう考えると今後もホルスタインみたいな
まさかその内、駆逐艦のチビどもの中にも。あ、あかん、唯一の安全圏やと思っとった所にまで現れたら、もう安全な場所なんて何処にもないやんか。
はぁ、あかん、考えすぎや。
医務室でも行って波勝と下らん事喋って考え振り払おう。
「あれ、龍驤さん。どうしたんですか?」
医務室の扉を開けてみたら、医務室には波勝の他に明石と、最近加入した
「なんや、明石に夕張もおったんかいな」
「えぇ、実は波勝さんに私と明石さんが作った"新装備"のデータ採取に是非協力してくれないかと頼んでたんです」
「あ! ちょうどいいわ! 龍驤さん、是非龍驤さんも新装備、試してみない!?」
夕張は明石と気が合うらしく、直に仲ようなって、今ではなんや工廠で二人協力して謎の機械を自作しとる。
そんな自作機械のテストを波勝に頼みこんどったみたいなんやけど、なんか話の流れでうちにまで頼み込んできよった。
「試す言うても、一体どんな効果があるんや。変な事が起こるんやったら御免やで」
「ふふふ、実はですね、ここだけの話。……これを使えば、龍驤さんや波勝さんの人工人体を構築するナノマシンに干渉し、日和山や天保山があら不思議! 富士山、いえ、エベレストに大変身できちゃうんです!」
なん、やて。
「ゆ、夕張、それホンマなん、か?」
「勿論です!」
「さぁ、どうですか、龍驤さん!? 波勝さん!? 試してみませんか!?」
夢のような事が突然目の前に現れて、あまりに突然の事になんや思考が追いつかへん。
せやけど、波勝の方は、もう答え決まったみたいや。
「あかしん、ばりぃ、あちき試す!」
「お、よく言ってくれました!」
「では早速用意しますね!!」
「ちょ、ちょっと波勝、それ本気なん!?」
「だってりゅうちゃん! この機械を試せば、あちき達がどれだけ努力しても到達できない頂に上り詰められるんだよ!?」
「せ、せやけど……」
「あちき達にはもう、これ以上の手はないんだよ、りゅうちゃん!!!」
「っ!!」
波勝の言葉に、うちの脳内で電流が走った。
確かにそうや、うちらは人間やない。だから歳をとっても成長するかも、なんて可能性は微塵もない。
せやから、うちらみたいな希少価値戦隊の隊員がホルスタイン戦隊と対等に戦う為には、もうこんな方法しか残されてへんのや。
「夕張、明石! うちもやるで!!」
「そう言うと思って二人分、ちゃんと用意してますよ!!」
明石が何処からか持ってきた謎の機械。
それを早速受け取って、夕張と明石の二人から使い方の説明を受ける。
「このスイッチのような物は『グローススイッチ』と言う物で、こちらが右側、こちらが左側に効果をもたらします」
「ふーん、成る程な。ほなこのスイッチ、両方押せばええんやな」
「わ! ちょっと待って龍驤さん。まだグローススイッチだけじゃ、意味ないんです!」
「え? どういうことや?」
「ふふ、じゃーん!! この『アドバンス探照灯ドライバー』と組み合わせる事により、その効果を最大限に引き出せるのです!!」
明石が差し出したんわ、何やごちゃごちゃとしたもんが付いとるベルトやった。
探照灯、と名が付いているように、バックル部分には探照灯みたいな造形が施されとる。
「なんやごちゃごちゃしとるけど、これとスイッチを組み合わせればええんやな?」
「そうです。さぁ、早速腰に装着してみて下さい!」
「さぁさぁ!!」
明石と夕張の期待に満ちた視線が突き刺さっとる中、うちと波勝は受け取ったドライバーを腰に装着してみた。
なんや、装着したけど、時になんも起こらへんな。
「で、この後どうするん?」
「はい。先ずはスイッチを両手に持って振ります。そして、スイッチを左右それぞれの溝に差込、手前のスイッチを入れます。そして、脇にあるハンドルを回して探照灯が光ったら、大きく右手を天に翳すんです!」
「……なんや、むちゃくちゃ面倒くさいな。もっと、こう、スイッチ押すだけとか、簡単な手順とかないん? そもそも、何でスイッチとベルトの組み合わせなん? スイッチだけでもええやろ?」
「「私達の趣味よ! いいでしょう!?」」
声ピッタリ揃えて言いよった。
あぁ、さよか。趣味やったら、仕方ないな。
言われた通りの手順を経て、右手を思いっきり天に翳す。
すると、何や頭上に変なリングみたいなもんが現れよったで。
せやけど今更引き返されへんし、えぇい、もうなるようになれや。
回転したリングがうちの胸元の位置までやってくると、刹那、急に目ぇ開けてられへん位眩い光を放ち始めた。
「まぶし!」
眩しくて直に目ぇ閉じたけど、それから暫くした時、今まで感じた事のない重さを感じ始めた。
なんやこれ、この肩にのしかかるような、前に倒れてしまいそうになるこの重さは。
は、まさか、これがホルスタイン共が感じとる疲れってやつかいな。
そして、その時は訪れた。
「さぁ、お二人とも、もう目を開けて大丈夫ですよ!」
「おぉ! 大成功です! お二人とも、おめでとうございます!!」
明石と夕張の声に、閉じてた目ぇをゆっくり開けていく。
すると、我が目を疑う光景が広がっとった。
今まで何度でも見えてもうた足元が見えへん程の、視界を遮るもんがうちの胸元に現れてたんや。
そらもう河内なんかにも負けへん程大きくて立派で、なんやめっちゃ輝いて見えるやん。
でもなんやろ、なんか弾力っちゅうもんがあまりなさそうな、なんか硬そうやな。まるで、今にも誘導弾みたいに飛んでいきそうな……。
「ってこれ!!! ミサイルやん!!!」
「ふぇぇ!? りゅうちゃん!! あちきのは何だか先端がドリルなんだけど!?」
波勝の声に反応して見てみたら、そらもう先端には立派に輝くドリルがあったわ。
「ちょ! 何やねんこれ!! 明石! 夕張!! 説明してや!!」
「あれ? 私ちゃんと説明しましたよ」
「そうそう」
「説明しとるかいな!! 巨乳になれるんとちゃうんかい!?」
「……私は別に、"巨乳"だなんて一言も言ってませんよ」
「そうですよ。エベレストに変身できるとは言いましたけど、巨乳になるとは一言も言ってません」
「……う!」
「早とちりして勘違いしたお二人が悪いじゃないですか?」
「そうそう、私達は悪くない! だから私達は謝らない!!」
「それはそうと、早速感想とか聞かせて下さいよ。あ、後で試射も行いたいんで外に出てもらっていいですか?」
「お、おどれらぁぁぁっ!! うちらの純情もてあそんで、絶対に許さへんで!!」
「そうだそうだ!!」
「え? ちょっと、お二人とも!?」
「わ、わわわ!! は、話を……」
「「イってイイヨ」」
この後、うちと波勝とでみっちり、明石と夕張の二人にお灸すえたった。
これに懲りて今後、アホな事せんかったらええけどな。
せや、あの後ドライバー外したら、何とか元の胸元に戻ったわ。
見える景色とか、負担とか、やっぱちゃうけど。なんやかんや、やっぱりありのままが一番ええわ。
ま、でも、ちょっとだけおもろかったな。
「……あれを使えば、私も最強になれるかもにゃしい?」
いつもご愛読いただき、本当にありがとうございます。