リベッチオ。マエストラーレ級駆逐艦の三番艦で、艦娘としては健康的に日焼けした肌からも容易に想像出来るほど元気溌剌な性格、更に戦艦にはかなりの憧れを抱いている。
「今回、私達の艦隊と合同訓練を行ってくださる飯塚艦隊司令長官の飯塚中佐と、秘書艦の河内さんよ。挨拶しなさい」
「ボンジョルノ! リベッチオです。リベって呼んでいいよ、よろしくね!」
「こら、リベッチオ。初対面なのにそんな……」
「ええで、ええで、かまへんで。はじめまして河内や、よろしゅうな!」
「か、わ、ち、さん。……河内さん!」
「そうや、河内や」
「ねぇ河内さん。河内さんって、もしかしてローマさんと同じ
「お、よう分かったな。そうやで、戦艦やで、しかも元連合艦隊旗艦やで!」
「ふぉぉぉぉっ! 凄い! 凄い!!」
戦艦好き故に河内が戦艦であると見抜いたリベッチオは、おそらくあまり連合艦隊の意味を分かっていないだろうが、旗艦という二文字も相まって目を輝かせている。
「ねぇ河内さん! 色々お話聞かせて……」
「リベッチオ、お二人は
「……は~い。じゃ、またね!」
「またな~」
「こら! だから廊下は走っちゃ駄目と……、はぁ」
本人は色々と河内の話を聞きたかったのだろうが、今回はローマの目が光っている故、残念ながらそれは叶わなかった。
「申し訳ありません。お恥ずかしい所をお見せして」
「いえ、そんな事ありませんよ」
「そうやそうや、駆逐艦やったらあれ位明るく元気な方が丁度ええんや」
こうしてリベッチオとのやり取りを経て、引き続き官舎内をローマの後に続き歩く事数分。
やがて、執務室と書かれたプレートが付けられた扉の前で、ローマは立ち止まった。
「鍵なら開いてるよ~」
「失礼します」
軽くノックし入室の許可を得ると、ローマは慣れた手つきで扉を開く。
そして、ローマに招かれ自分と河内も扉を潜ると、その先には、官舎内の内装とは異なる少々殺風景な光景が広がっていた。
書類や資料を収納しておく本棚に、小さなキャビネット。応接用の家具一式に、唯一煌びやかさを醸し出している壁に掛けられた絵画が一点。
そして室内の奥には、部屋の主にして官舎の、ローマ達の上官である男性が、少々年季の入った執務机にて仕事に勤しんでいた。
「
「お、ご苦労さん、ローマちゃん」
だがローマの声に反応し仕事の手を止めると、立ち上がり、握手をすべく自分達のもとへと歩み寄ってくる。
写真で顔は拝見してたが、直接その全体像を目にすると、写真よりも数割り増しのハンサムである事が嫌でも分かる。
自分よりも一回り高い身長、そんな身長を栄えさせるかのように着こなすヨーロッパ州海軍の軍服が、より男前度を引き上げている。
まさに、同性でも惚れてしまいそうな程の男前だ。
「
「こちらこそ、この度は素敵な提案をしてくださり感謝しています。それから、顔を合わせての挨拶が遅れて、本当に申し訳ありません」
「あぁ、別にそんな事謝る必要なんてないさ。気にしてないし。あ、それと、そんな丁寧に喋らなくてもいいぞ。歳も近いし、階級だって同じ。もっと崩して喋ろうぜ」
「あ、は……。じゃないか。あぁ、了解だ」
「お、いいね。ほぐれてきたね。じゃ、改めて、よろしくな」
「こちらこそ」
握手を交し互いに笑みを浮かべる。チェザリス中佐は、どうやら自分が想像していたよりも気さくな人の様だ。
「さてと。で、隣の彼女が、中佐の所の?」
「秘書艦の河内だ」
「河内や! よろしゅうな!」
「おぉ~。聞いてはいたが、確かにこれは、あのヤマトクラスをも勝るすばらしい大きさだ……」
自分との挨拶を終えたチェザリス中佐は、次いで河内の、胸囲の脅威に目を釘付けにする。
それを見て自分は思った。チェザリス中佐とは、よき
「
「え、何処って、ローマちゃんとどっちが大き……イダダダッ!!」
だがチェザリス中佐は失念していた。部屋の中には、秘書艦であるローマもいた事を。
故に、チェザリス中佐はその特徴であるポニーテールをローマに引っ張られる。
「ちょ、ローマちゃん! 痛いよ。引っ張んないで!!」
「
「わ、解った、解ったから! ひ、引っ張んないで! 千切れる、千切れちゃう!!」
程なくして降参の意思表示を示したチェザリス中佐は、そこで漸くローマの手から自身のポニーテールが解放されるのであった。
「なんや、提督はんと気が合いそうやな、あの提督」
「……」
そんな二人のやり取りを見ていた河内は、二人に聞えないようにぼそりと自分に呟く。
メロンには男の夢が一杯詰まっているんだから、大好きになるのは当然だろう。と本当は言い返したいところであったが、声に出すとローマの厳しい視線が飛んできそうな気がしたので、声には出さなかった。
「いや~、全く、厳しいんだからローマちゃんは」
「
「そんなに眉間にシワ寄せて、折角の美人が台無しだぞ。ほら、もっと
といってチェザリス中佐が自身の手で持ち上げたのは、ローマの口角、ではなく。
たわわに実ったローマのメロンであった。
「……あ、ア・ン・ミ・ラーリオ!!!」
「ぎゃぁぁぁぁっ!!」
当然、どストレートなその行動にローマが怒らない筈もなく。
鬼の形相で、再びチェザリス中佐のポニーテールを引っ張るのであった。
「あ、そやけど、提督はんよりも更に煩悩に忠実やね」
「河内、それ絶対誰にも言うなよ」
再び繰り広げられる二人のやり取りを目にし、河内が再び小さく呟く。
だが今度は、ちゃんと釘を刺しておくのであった。