――――かつて守れなかった誓いを胸に、次は護りましょう。
 私は彼の杯を交わせなかった。
 しかし、だからこそ姫様に出会えた。
 護りたいと思えた。
 そして、再び貴女様に出会えた。
 だから、今度は共に歩みましょう。



 ――――私は貴方に出会えました。
 そして、二度目の奇跡にも巡り逢えました。

 ……ですが、貴方は相変わらずの天然じごろ。
 あぁ、榛葉様。あまり貴方様の献身を他の女性に振り撒かないで下さいませ。

 でないと、私、嫉妬のあまり龍になってしまいそう。

 でも、そんな鱗の生えた女にはなりたくはないのです。
 私がなりたいのは、華やかで穏やかで春の暖かな陽気のような女性なのです。

 ――――そう。華の終わりに花の前で食べた桜のお餅。
 あの時のように、心安らかな時を過ごせるような夫婦になりたいのです。

 それなのに、異国の戦乙女だとか女騎士王だとか牛の頭領だとかましゅまろな後輩茄子だとか……もぅ!! 何人いるのですか!!

 あまりふらふらなさらないで下さいまし。私はまだ貴方様を《旦那様》と呼んだことすらないのですから。早く呼ばせて下さいませ。

 貴方の《清姫》は、何度輪廻を巡ろうとも、貴方様のお側に参りますからね?
 

 あい・して・まーす! と叫んだり、寝床には潜り込んだりしてきても、どこか狂いきれなかったきよひーが、このお話のきよひーです。
  華の終わりに花の前で桜(はな)を
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