転生したボクですが、姉さんたちが過保護すぎて辛いです   作:可愛い物を愛する淑女

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転生したボクですが、姉さんたちが過保護すぎて辛いです

 おはようございます。良い朝ですね。

 現在は朝3:00丁度です。

 何故ボクがこんな時間に起床するかといえば、楓姉さんの昼食用のお弁当を作るためです。前までは楓姉さんが自分で作ってたのですが、楓姉さんには出来るだけ遅くまで体を休めてほしいので、ボクが10歳のときから楓姉さんのお弁当はボクが作ることにしました。

 今世の両親は海外出張が多いので、普段は楓姉さんと二人で暮らしています。ボクが生まれるまでは、楓姉さんはマンションに住んでたみたいなのですが、ボクが生まれたのを期に自宅へと戻ってきました。因みに、僕と楓姉さんが住んでる家は、ここは本当に東京なのか疑ってしまう程に緑溢れた森林に囲まれ、丁寧に管理されている日本庭園(+温泉)付の日本家屋です。神様が体の弱いボクに配慮してくれた結果だとのことですが、東京の一区画に高垣区を増やすのはやりすぎではないでしょうか?名前のとおり、ボクの家系が代々治めてきた区画という設定になっていて、自然の伐採を極限まで制限したことから『東京のオアシス』なんて呼ばれており、療養地として有名となっています。

 話が逸れましたね。

 ボクが何故、楓姉さんのお弁当を作っているかは話しましたよね? 本当なら、楓姉さんは料理をさせるつもりはなかったらしいのですが、ボクの手捌きを見て、ボクが料理をすることを認めてくれたのです(もちろん、手捌きだけではなく、味の審査も含めて考慮してもらいました)。

 今日のお弁当は、ウサギ林檎・豚の生姜焼き・茄子と蕪の糀漬け・ホウレン草のからし和え・なめこの味噌汁・梅干しを載せた白米です。ですが、実際に作っているのは生姜焼きとなめこの味噌汁、ウサギ林檎だけです。ホウレン草のからし和えは、予め和えたものを適当なタイミングで真空状態にしてパックに詰めますと、空気による酸化が遅くなるらしいですので、それを実践してみました。今後の家事に役立つかは効果次第ですが………。

 

「おはよう、ユウ。今日もお弁当作ってくれて、本当に嬉しいですよ」

 

「楓姉さん、おはようございます。ボクは楓姉さんに喜んでもらいたいので、頑張って上手に出来るように、沢山練習しましたから!」

 

「ユウ。もしかして、態とじゃないですよね?」

 

 楓姉さんはたまにボクを心配してくれますが、ボクはそこまで心配される程抜けてはいないはずですよ?

 それよりも、ボクは楓姉さんの方が心配です。

 楓姉さんは、家から出た途端にポンコツになってしまいます。何もないところで躓いたり、呆けて仕事のお話を聞いていなかったりするらしいので、楓姉さんの世間的なイメージはクールでミステリアスな天然美女というイメージとなっていますが、姉さんは家に居るときは、確り者で優しい頼りになるお姉ちゃんです。だから、楓姉さんがボクのことを心配して仕事に身が入らないのを聞くと、胸の辺りが『キュゥ』と締め付けられてしまいます。

 

「楓姉さん。お願いですから、確りとお仕事に身を入れてください。ボクのせいでお仕事に集中できないのは辛いです。ボクは、楓姉さんの重荷に、枷になりたくないです。だから、楓姉さんはお仕事に集中してほしいです」

 

「わかりました。では、私は私室で武内Pが来るのを待ってますから、ユウもそれまでに準備しておいてくださいね」

 

「わかりました」

 

 ボクは、両親と楓姉さんに前世の記憶が有ることを話しました。前世では、ろくに動けずに病床に伏せて一生を過ごしたこと、優しい神様がもう一度、今度は動ける体で人生をやり直させてもらえたことを。

 神様は、何かしらの超常的な能力を贈ると言いましたが、ボクは優しい家族と皆に愛してもらえる、優しい環境を願いました(おまけとして、高い演算能力と高い家事能力を貰いました)。

 ボクがやり直させてもらえた今世の家族は優しくて、ボクのことを保険金や補助金の道具ではなく、家族として受け入れてくれました。だから、ボクは、ボクを愛してくれる人達皆に喜んで貰いたいです。

 ですが、今世でもやはり体が弱く、運動は出来ませんし、体調を崩しやすいので楓姉さんの仕事仲間の方々で休みの方がボクに付き添ってくれます。一応、ボクは楓姉さんの所属している企業の一員となっていて、この屋敷で出来る仕事をやらせていただいたり、芸能プロダクション346の本社に行くこともあります。

 ボクは本来ならば大学生ですが、小中高は家庭教師の指導や通信制の高校でやりましたが、高校卒業資格を取ったは良いのですが、進路を決めていなくて困っていたら、楓姉さんが芸能プロダクション346にボクのことを推薦していたらしく、この屋敷までスカウトに来ました。もともと、ボクが取れる資格は殆ど取っていましたので、そのお陰で厚待遇で迎えてもらえました。

 

「ユウさん、迎えに来ました。既に楓さんは準備が終わってますが、無理をなさらない程度に急いでいただけると助かります」

 

 書類整理と平行して考え事をしていたら、入社以来、良く聞き馴染みのある声が書斎の外から聞こえてきました。今日は確か、美城本社で『月刊ファッション誌346』の撮影だったと思います。もちろん、女性服です。

 何故ボクが女性用の服を着ることを習慣付けているかというと、ボクは力が弱いので誰かから襲われてしまうと抵抗が出来ないので、男であることを隠すのが目的です。それ以外の目的を言えば、小さいときに女性用の服を着たときの楓姉さんが浮かべた嬉しそうな顔が忘れられないのと、お父さんとお母さんがいっぱい可愛がってくれるからという欲があるからです。

 

「態々申し訳ありません、武内さん。ボクが体が弱いせいで………」

 

「いえ、ユウさんは悪くありません。人は生まれを変えることはできませんから、ユウさんは悪くありません」

 

 ボクが今会話をしているのは武内先輩といって、ボクの担当Pでもあります。武内先輩は見た目は怖いですが、とても優しい女性の方です。

 ただ、真面目過ぎる面もあり、度々、同期に入社した千川先輩に弄られてます。

 ですが、その真面目なお陰でボクは大分救われましたから、第2の母の様に思ってしまい、たまに『お母さん』と間違って呼んでしまいます。ただ、その度に抱き頭を撫でるせいで、どんどんその思いが深まってしまい、若干、依存気味になりそうで心配です。

 

「ありがとうございます。………武内さんは本当に優しいですね」

 

「お礼を言われる程のことではありません。………私は事実を言ったまでですから」

 

 武内さんが首に手を回すときは、大抵、照れているときか反応に困っているときなのですが、今回は前者だとわかって、ボクで喜んで貰えることにすごく嬉しくなりました。

 

「それでもです。ボクは貴女の言葉や行動で沢山救われました。だから、いつかお礼をさせてください」

 

「………遠慮しておきます。ユウさんは体を大事にするべきです」

 

 どういうことでしょうか?

 ボクは健康に対しては人一倍気を配っているのですが、武内さんから見たら、やはり何処かが不健康に見えてしまうのでしたら、気になります。

 ボクは体が弱いせいか、健康マニアと呼べる領域のこだわりがあるのですが、それでもこの体はあまり効果が出ない程に弱いのでしょうか?

 …………ボクはやはり、家族を、皆を置いて死んでしまうのでしょうか?

 

「ボクは、独りになりたくないです。………置いて逝くのも、置いて逝かれるのも怖いです。…………皆と、ずっと、一緒に居たいです」

 

 ボクは頭の中が滅茶苦茶になって、寂しくて、悲しくて混乱してしまいましたが、突然、武内さんが強く抱き締めてきました。

 

「大丈夫です!私が言ったのは健康的な意味で心配に見えるわけではなく、貞操的な意味での心配をしているのです。ユウさんは少し自覚が足りません。貴女は男性で、更には儚くも幻想的な美しさを持っています。だから、女性を勘違いさせる発言を気を付けるようにと、そういった意味で『体を大事にするべきです』と私は言ったのです。ユウさんは、間違いなく健康的になってきています。だから、泣かないでください!」

 

「ふぇ?ボクは泣いてなんて………え?ご、ごめんなさい!スーツを濡らしてしって…………」

 

 ボクの顔には、涙か伝ってました。

 武内さんは優しいから、泣いてしまったボクを励ますために、抱き締めてくれたんだと思います。

 武内さんの腕の中で、武内さんの心音と温もりがボクを落ち着かせてくれました。しかし、その代償にスーツが濡れてしまい、ボクは嬉しいような、恥ずかしいような、そんな申し訳ない気持ちになりました。

 

「良いんです。ユウさんは、私の大事な担当女(俳)優(パートナー)で秘書なんですから、私をいつでも頼ってください」

 

 パートナーと言うことばを聞いて、頼り頼られる関係に成れてることがわかり、秘書という言葉で信頼があることがわかり、ボクはとても安心してしまい、つい、微睡みに誘われて意識を落としてしまいました。

 ですが、最期にどうしても伝えたいことがあって、それを離れ行く意識の中で必死に口を動かしました。

 

あ……り…ぉ…………す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「武内P(プロデューサー)さん、私が居るの忘れていませんか?」

 

「……………そ、そんなことは、ありました、ね」

 

「………後でお話ししましょうね、武内P(プロデューサー)さん?」

 

 どのようなやり取りかは分かりませんでしたが、楓姉さんの声が聞こえた気がした瞬間から武内さんの心音が早くなったのは覚えています。

 

 




H26/11/26 加筆修正をしました。
H29/21/26 誤字修正をしました

楓さんを入れ忘れてしまい、本当に申し訳ありません。ただ一心に可愛い男の娘(ユウ)と強面の長身女性(武内P)との絡みを書きたいと思っていたせいで、この作品の超重要人物(ラスボス)のことが頭からすっぽり抜けてしまいました。
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