転生したボクですが、姉さんたちが過保護すぎて辛いです   作:可愛い物を愛する淑女

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転生したボクですが、346プロの職員たちが優しすぎて辛いです

 

 

「んぅ。…………すいません、寝てしまいました」

 

 武内さんが乗ってきたのであろう社用車の中で、ボクは目が覚めました。

 しかし、曖昧な意識の中でも、優しき抱き抱えられて丁寧に運ばれたことと、愛情の込められた手付きで頭を撫でられたのは、はっきりと覚えてました。

 それらの記憶を思い出して恥ずかしくなってしまい、思わず顔を覆いたくなり、手を動かそうとして気付きました。

 そう、楓姉さんに膝枕をされていたのです。

 

「ひゃあ!?」

 

 慌てて体を起こしましたが、寝起きの急激な運動による立ち眩みに襲われて、楓姉さんの胸元に体勢を崩して倒れ込んでしまいました。

 その驚きによって元々高かった地声の音域であるメゾソプラノボイスが、もう一段階高いソプラノボイスに変わってしまいました。所謂、裏声というものです。

 

「ユウさん、大丈夫ですか?」

 

「武内P(プロデューサー)さん?」

 

「ふふっ」

 

 武内さんの声がドライバー席から聞こえたと共にハザードランプを点けて隅に停車しましたが、楓姉さんに名前を呼ばれた瞬間に身震いをする気配を感じた後、黙々と運転を再開しました。

 そのやり取りがなんだか面白く感じてしまい、つい、軽く笑い声が漏れてしまいました。

 そんなやり取りをしていると、高垣区から美城本社がある土地まで来ました。

 

「私はここで別れますが、体調が悪いときは渡辺さんと高橋さんに確りと伝えてくださいね?」

 

「今日は渡辺(わたべ)さんと高橋さんですね。わかりました。倒れて迷惑は掛けたかないので、もしもの時はすぐに伝えます。楓姉さん、いってらっしゃい」

 

「いってきます」

 

 ボクが美城本社に出勤するのは、週に3~4日程度で良いと346プロダクションの社長さんが直々に屋敷まで来て心の底からの笑顔で話をしてくれした。また、体調不良ならば出社しなくても4日分のお給金を出してくれるとのことでしたが、その話は丁重にお断りさせていただきました。その返事を聞いた途端に社長さんの機嫌は鯉が龍に成るかの如く滝を昇って行く様に上昇して、社長さんの秘書さんがとても困っているような、喜んでいるような感じの表情をして不思議でした。

 

「優ちゃん、おはよう」

 

「おはようございます、恵さん!」

 

「おう。一週間ぶりだな、優」

 

「はい!光輝さんもお元気そうで何よりです!」

 

 優しい口調の女性が渡辺恵さんで、少し粗っぽい口調ですが、思いやりの籠った言葉を言っている方が高橋光輝さんです。二人はもう少し時間を待てば、どちらも高橋さんになるので、普段口に出すときは名前で呼んでいます。

 今日は体調が良い日なので、ボイストレーニングとボーカルレッスンをトレーナーさんにしてもらう予定です。

 ボクは体が弱いので踊るや細かなポーズを続けることは出来ませんが、歌だけでステージに立つのが夢です。

 1度だけですが、楓姉さんのライブを生で観たことがあります。その時の一体感と熱気がとても眩しく、自分もその場所に立ってみたいと皆さんが居るところで言ってしまい、その場は騒然としました。

 ですが、その騒ぎもすぐに収まり皆さんが協力してくれると言ってもらえ、今では346プロダクションの社長さんが先導してプロジェクト企画を練っているという、大手芸能プロダクションとして大丈夫なのか心配になる程に大規模な物となってしまい、今や止めるに止められない状態となってしまいました。

 ただ、これだけは言わせてください。女優俳優の方々やモデルの方々、一般社員の方々に所属アイドルの方々、そして、なによりも346プロの社長さんにも言わせていただきたいです。お願いですから、自分のお仕事をしてください。自分のお仕事放り出して私の我が儘に付き合うのは、正直なところ嬉しく思いますが、流石にドラマの枠移動させないでください。そして、それを撮影監督さんやスタッフさんも認めないでください!ボクのせいでドラマの枠移動や番組な未放映とか、正直なところ他のプロダクションさんに庇って貰わなくては、このプロダクション潰れてましたよ!そして、なにより、他のプロダクションの方々も嬉々として私の我が儘のフォローに取りかかるのやめてください!あなた方は何なのですか?芸能プロダクションでしょう?仕事をしてください!!

 まあ、今でこそ落ち着きましたが、ボクが彼処まで怒らなけらば通常業務に戻らないのなら、もう、我が儘なんて言いません。………というより、言えませんよ。一般市民の方々になんて謝れば良いのでしょうか?

 いえ、愛されているのは嬉しいですよ?ですが、限度があると思いませんか?これは、もしかしたら優し過ぎる神様からの加護(呪い)なのではないでしょうか?

 そんな風に、半年前の芸能プロダクション業界の大事件【お姫様初の我が儘事件】を思い出していると、もう既に本日の書類業務は終わっており、残りはボーカルレッスンとボイストレーニングをやるだけになっていました。

 

「光輝さん、恵さんもう大丈夫ですよ?河住さ…椿さんが視てくれますから、お二人はご自由にしてていただければ………あいたっ」

 

 言葉を最後まで繋げようとしたら、光輝さんにおでこを『ビシンッ』と中指で弾かれてしまい、思わずおでこを押さえながら屈んでしまいました。

 痛くて涙目になりながらも光輝さんを見上げれば───

 

「バカか?俺らは優に何かあったときに対処できるように側に居るんだぞ?側に居ない間に何か起こったら、楓さんにド突かれるっての」

 

「そうそう。優ちゃんは自分で思っている以上に皆に愛されてるのよ?優ちゃんが事件に巻き込まれたときのあの騒ぎが何よりの証拠じゃない♪」

 

 ────と、言われてしまうのでした。

 あの騒ぎですか………確か、連続女児誘拐事件にボクが巻き込まれ、大手プロダクションの殆ど全てが私有の警備会社の職員全員を動員してボクを救出するという馬鹿げた事件で、一般市民の方々は犯人に同情するという迷事件【お姫様誘拐事件】及び【お姫様救出作戦】のことですか。………この事件により、楓姉さんがボクに大量の発信気を付けていることが発覚したのでしたね。

 

「い、いえ。愛されるのが嫌なんじゃないんですよ?ただ、ボクは一応、男性なんですが………」

 

「お前の容姿で男性なんて言っても誰も信じねぇよ。むしろ、ブツを見せろって発情するぞ?」

 

「………否定できないのがこの世界の嫌なところよね」

 

 …………そうでした。皆さんに囲まれているから忘れかけていましたが、下手に男性だとバレるとその場で食べられてしまうのでした。光輝さんに会うまでは、肉体的に食べられてしまうと思って恐怖に怯えて外出していましたが、光輝さんに教えられて性的な意味で食べられてしまうとわかって、更に怖くなって必要な物は楓姉さんや武内さん、千川さんたちといった、特別親しい間柄の方々に買いに行って貰っていたせいで厳重に密閉されていた恐怖が甦ってしまいました。

 

「ぁぅぅぅぅぅ」

 

「な!?」

 

「へ!?」

 

 クロイカミ、クミシカレタジブン、コウソクサレタテアシ────────

 

「ぁぁあああアアアアアアアアア

 

「だいじょ、うぶじゃねぇなチクショウ!!楓と武内を速攻で呼べ!今すぐだ!!俺は優を落ち着かせられるかやってみるが、恵じゃあ逆効果だ!」

 

「わかりました!」

 

 

 

 

 

 




 今回は短めに終わりましたが、優は女性恐怖症ではなく、PTSDです。
 原因は女性による、監禁等によるものですが、この設定が今後出てくるかはすごく確率が低いですが、一応、今回はこれを出しました。
 別に、武内Pによる励ましを次話で出すための布石ってだけですので、今後は出ない予定です。
 私としてはこのような暗い話は嫌いですが、高垣楓の異常なほどの過保護はここから来ているということなので、出させていただきました。なにせ、奥歯の詰め物にも発信器仕込んでますからね。歯科医の資格とってまで。他にも高垣楓は優を守るために資格取ってますが、それはまた次の機会に出す予定です。
 それでは、また今度。

2017/12/1 本文の表記などを一部変更
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