アリアンデル絵画世界出身のイルシールで恐怖政治を敷いた法王。かなりの野心家で立志伝でも書けそうな出世をした人物。
法王になったのは灰が目覚める前だと予想。
絵画世界ついてはDLC1をどうぞ。
パリィされ、猛毒を浴びせられ部屋の隅で丸くなられ、多くのプレイヤーに虐められてるらしい。
分身攻撃は絶許
そしてーーー人類悪顕現
《Sulyvahn's beast》 サリヴァーンの獣
見た目は犬。口を開けば鰐。おまけに雷属性のブレスときた。
俊敏かつ攻撃範囲が広く事故率が高い。
事実、腹の下に潜り込んだキリトが攻撃を回避しきれず、一撃でレッドゾーンまで落ちた。
今はキリトが回復中で、戦列の立て直しを図るため俺とユウキ、シノンで相手取ってる。
HPも2本あり、まだ1本目の半分までしか削れてない。
「っぶねぇ、な!」
噛み付きを躱し、飛び上がりながら顔面の右側面目掛け斬り上げる。
「やぁぁぁぁ!」
派手にぶっ飛んだところをユウキが喉元に剣を突き刺し、尻尾まで一気に斬り開く。
こいつと戦うのはこれで2回目。
1度目はイルシールに入る前の橋の上。そして今戦ってる街から離れた水辺。
橋を渡ってる途中で後ろから現れたもんで、そのまま市街に入ったらあっちは入れないのか、結界に阻まれるように消えた。
街に入るには鍵になる人形が必要なんだったか?
確かに街に入ったとき、空間が波打ってた気がするが。
「いい加減寝とけ!」
ブレスを吐こうと空を仰いだ瞬間に体をコマのように回転させ、遠心力が存分に乗った凪ぎ払いを奴の顔面に叩き込む。
雷らしく水に拡散するブレスを吐かれるわけにはいかねぇ。
形容しがたい悲鳴と共に爆散。
《法王の右眼》とか言う指輪をドロップした。
ふーん、攻撃が連続するほど攻撃力が上がるか。手数の多いキリト向けの指輪だな。
3mはある身長の曲剣持ちの騎士や火を操る魔女、銀騎士闘とったりして、一際大きな建物の前にたどり着いた。
銀騎士と闘っているとき、後ろからアホみてぇにデカイ弓で射抜かれかけたことは根に持ってない。ないったらない。
「ボスだな。キリト、さっきの指輪は装備したか?」
「ああ。けどアスナから以外の指輪を填めるのはなぁ……」
「
「そーだそーだ!」
「針の
「よりにもよってアルトから贈られた物だし」
「先にキリトだけ放り込むぞ。足持て」
「「了解」」
「あぁぁああ!俺が悪かったから!降ろしてくれ!」
茶番も終わらせ、ボス部屋に行く前に左手側にある階段を降りていき、篝火近くにいたアンリと出会う。
「……貴方がたでしたか。エルドリッチはあの聖堂の先、神々の住まうアーノル・ロンドへと向かったのでしょう。空の棺にあった人形は、ここを治めているサリヴァーンに気に入られている者にしか渡されなかったと聞いています。恐らくサリヴァーンとエルドリッチは密かに繋がりがあったのでしょう。そしてサリヴァーンから渡された指輪には、このイルシールから離れると人を獣へと変える力があるとか。黒い貴方がその指に填めているーー」
「いぃいいい!?!?」
「ハハハハハ!!ざまぁねぇな!キリト!」
「お前が渡したんだろ!」
「疑いもしねぇで装備したのはお前だろ」
獣ってのはあの水辺で闘った奴だろうな。
街に戻れず獣に成れ果てた姿か。あんな最後は
「あ、貴方がたは人ではなく妖精ですし、その魔力も効かないかもしれません……恐らく」
「あぁ良かったぁ」
「安心しろ。もしそうなっても一撃で首落としてやるから」
「安心できない!?」
篝火を灯したあと、再び聖堂の前へ。
ここに来る前に、教会の入り口に並べられた壺と子供らしき石造に違和感あんだよな。と言うことで片っ端から大剣を降り下ろしたら、擬態でもしてたのか1つが甲羅を背負った老婆?へと姿を変え、一撃で死んでしまった。
キリトたちに非難の目で見られたのは言うまでもない。
そう言えば昨日、灰と共闘したが前までみてぇな熱を感じなかったな。別人か?それともーー
「兄ちゃーん、戻ってこーい」
「……ん?……ぁぁ、おう」
考え事すると周りが見えなくなるのは悪い癖だな。
直す気は毛頭ないが。
「まったく。ボス戦かもしれないのに気を抜きすぎよ」
「かも、じゃなくて確実に、の間違いだろ。こんな仰々しい建物にいんのが雑魚だったら肩透かしもいいとこだ」
そう言いながら視線の先に居るのは、身長が4mは超そうかという偉丈夫。
《Pontiff Sulyvahn》法王サリヴァーン
「……ほう、貴様ら人間、ではないな。このサリヴァーンが治めるイルシールに何用だ」
「エルドリッチを知ってるな。そいつを出せ」
「エルドリッチ……エルドリッチ……はて?身に覚えがないな」
「白々しい。テメェには用はねぇんだ。知らねぇなら、大人しくそこを退け」
「お前、また……そんな言い方したら……」
「私も侮られたものだ。通りたくば、力ずくで推し通れ!」
「ほら!言わんこっちゃない!」
二振りの剣を抜き放ち戦闘態勢に入った瞬間、俺たちの脇を影がすり抜けた。
降り下ろされた剣を弾き返し、がら空きになった胴体へ右手に握った剣を土手っ腹に突き刺した。
「一撃……?」
HPの減少は1度も減速せず、根こそぎ奪った。
しかしサリヴァーンの体はポリゴンとなって散ることなく、煙のように灰の体へと吸い込まれていった。
データを取り込んでのか?
そして左腕に感じるジリジリと燻るような熱。
まさか……こいつは……!
「アルト!?」
《ドゥンケルゼーレ》を振り上げ、間合いに入ると同時に振り払うが、煙でも斬ったように消えちまう。
逃がしたか。
地下墓で共闘した時とは何かが違う。
何が違う?クソ、感覚的なモンを言葉にすんのは難しいな。
「大丈夫?」
「……問題ねぇ。先進むぞ」
聖堂を抜けて上を目指す道中には、火球を飛ばす聖職者の他に死体に紛れ込むように倒れる巨人。
両手に持ったマラカス野郎と短槍を持った2人のNPCを突破し、屋根を伝って上を目指したーーんだが
「キリト!お前が餌だ!さっさと行け!」
「嫌だよ!なんで空中で曲がる矢を避けながら進まないと行けないんだ!」
そう。キリトが言った通り、放たれた矢が空中で曲がる。
それはもう意思でも持ってるかのように曲がる。
ただの矢ならまだ良い。いや、良くはないが問題は大弓から放たれる大矢。明らかに人に向けるもんじゃない。
……こっちには対物ライフルを人に向けるスナイパーがいるけどな。
「なに?」
「いや、なんでもねぇ」
人じゃなく竜でも狩るための弓だと言われたほうがまだ納得ができる代物。それが避けた方向に曲がるもんだから、まともに喰らって吹っ飛ばされた。
一撃で半分もってかれたし、射ってくんのは1人や2人じゃない。
弓を構えてない銀騎士を含めば5、6人はいる。
奴らの射程範囲に入れば、一斉にあの大矢が放たれ全滅するな。間違いなく。それでなくても道幅は狭く、即死を免れたとしても着弾の衝撃で屋根から落とされる。
つか、どう射れば矢が空中で曲がんだよ。
「アルト、あの矢を弾き返せる?」
「どうだろうな。いけなくもねぇと思うが、弾き損なえば下に真っ逆さまだ。ユウキ、お前のAGIで突っ切れるか?」
「ん~出来ないことはないかもだけど、2人からが限界かも」
「流石ユウキ。キリトとは違うな」
「俺に何か恨みでもあるのか!」
「恨みなんざねぇよ。ただーー」
「ただ?」
「弄りがいがあるから、退屈しねぇなぁと」
「落ちろ!俺の為に死んでくれ!」
「止めろ!押すな馬鹿!矢で首から上が無くなる!」
組み合った俺とキリトの顔の間を例の大矢が通過した。
慌てて塔の影に戻れば、シノンが呆れた様子で声を溢す。
「何してるのよ、バカ2人」
「でも見てて飽きないよね?」
「まぁね」
「「お前が落ちろ!」」
……なんか不毛な戦いをした気がする。
取り敢えずユウキを先行させ、狙いを定めた瞬間に俺を踏み台に跳躍したキリトが肉薄。一刀の元に切り伏せた。
あとはその繰り返し。
物影から大弓を射ってきた銀騎士もいたが無視し、塔の階段を登ってその先にあったレバーを動かせば、どういう原理か塔全体が上へと上昇する。
「【神の都 アーノル・ロンド】か嫌な予感しかしねぇな」
「神様は嫌い?」
「どっちかって言えば無神論者だ。それに色んな神話を読んできたが碌な神がいねぇ。ヘラ然りイシュタル然りな」
イシュタルとは古代メソポタミア文明に於いて、戦《いくさ》と豊穣の女神らしいが、神々に甘やかされて育った。
そして、人類最古の王と呼ばれるギルガメッシュ王に求婚したが相手にされなかったことに激情、天の雌牛をギルガメッシュ王が治める都、ウルクを襲わせたがギルガメッシュ王とその親友であったエルキドゥの活躍もあり事なきを得る。
が、その戦いでエルキドゥが落命。その遠因たるイシュタルは不倶戴天の敵となったとか。
個人的にはイシュタルの冥界下りの話は面白かったが。
……どうでもいいな。
都と言われてる割には建物は目の前の荘厳な城だけ。
「こんな城に住んでみたいわね」
「夢見る少女って訳でもねぇだろうに」
「失礼ね。女の子はいつでも夢に生きてるのよ」
「現実を見ろよ」
夢じゃ飯は食えねぇ。
夢を膨らませんのを悪いとは言わねぇが、現実との折り合いをつけねぇとな。
槍持ちと剣を持った銀騎士に足止めを喰らったが長い階段を登りきり、扉の前に辿り着いたが内側から開かねぇと駄目だだな。
左側の塔から城の中へと入れたが、中は暗く床は泥のようなものがぶちまけられてる。
「汚ねぇな」
「確かアンリの話だとエルドリッチは、蕩けた汚泥になったって話だよな?」
「この泥がそうだって?だとしたら本体はあの奥か」
正門とは反対側に位置する部屋。そこからこの泥が流れてきてるみてぇだしな。
「貴方がたは……と言うことはホレイスはもう……」
泥で満たされた部屋の中で汚泥と対峙するアンリの姿。
部屋の奥には、王冠で顔の半分を覆った長杖を携えた上半身に芋虫のような下半身の異形。
その下半身からは人骨のような物が突き出ていて、絶えず泥を吐き出している。
「おや?新しいお客人かな?見ての通り、来るべき深海の時代に備え、神の力を取り込むのに忙しいのだが」
「アンリ、あいつが?」
「ええ。人を喰らい遂には神を喰らい始めた怪物エルドリッチです。そしてあの子たちの仇」
アンリの言うあの子たちってのは大方の予想はできる。
「……ああ、そうか。あの玉座へと連れ戻しに来た王狩りか!もう嫌だ!生きたまま焼かれ!気を失うことも許されず!贄となるのはもう!」
突然の叫びと共に戦闘態勢に入った。
《Aldrich,Devourer of Gods》HPバーは4本
神喰らいのエルドリッチ
杖を弓に見立て金の矢を番え、天井に向け放ったかと思えば列を為してこっちに降ってきた。
「比喩で矢の雨が降るとは言うが、ホントに降らすか普通!?」
「文句を言う前に走れ!」
キリトの号令と共に散開。
降り注ぐ矢の雨の範囲外へと逃げれたと思ったがーー
「追尾!?しかも俺かよ!」
ヘイトが向いている人間をホーミングするように緩やかな弧を描いて曲がり追尾してくる。
「シノン!チャフか何かねぇか!?」
「ここはGGOじゃないし、熱源探知でもないんだから必要ないでしょ!」
ならどうやって追い回してくんだ!
エルドリッチが長杖を降れば、回避先を潰すように蒼白い槍が飛んでくる。
魔法使いタイプのボスか!
「俺ばっか狙うんじゃねぇ!恨みでもあんのか!」
「お前タンクなんだから!逃げ回るな!」
「無茶言うんじねぇ!ならせめて魔力カット率の高い盾でも持ってこい!」
「それこそ無茶だ!」
なら無茶振りすんじゃねぇ!俺の専門は物理攻撃だけだ!
それに俺に攻撃が集中してんなら、最低限のタンクとしての役割は果たしてんだろ。
長杖から生えた鎌のような刃での攻撃や弾幕を凌いで着実にHPを削り、ようやく4本あったHPをゼロにできた。
……終始俺を狙ってたのは腑に落ちないけどな!
エルドリッチの体がポリゴンとなって散るかと思いきや、また煙のように俺たちの後方、部屋の入り口の方へと流れていく。
後ろを振り返れば、法王騎士装備に身を包んだ灰。
キリトの制止の声を振り切り、大上段で《ドゥンケルゼーレ》を振り下ろせば左手に持った板のような盾で防がれる。
兜の
「何故、とは聴かねぇ。だがーー」
手首を返し、塚頭で兜を弾き飛ばす。
キリトたちが息を飲む声が聞こえるが、俺の眼は目の前の存在を捉えて離さない。
「俺の左腕を返してもらうぞ……魔性菩薩!」
「……あらあら、種明かしは最後に行おうと思っていたのですが、このような半端な場所で見抜かれてしまうとは……やはり、貴方の腕を依代としたのは間違いだったのやもしれませんね」
「生きていた?……違うな。バックアップデータを俺の左腕を核に再構成でもしたか」
「半分外れです。灰と呼ばれるNPCに私のデータを組み込み、成長した頃合いを見計らい取り込む。そうすることで以前とまではいかずとも、私の体を取り戻すのは十分に可能。ですがーー」
鎧が弾け、見慣れたシスター服へと変わる。
「貴方の腕を組み込んだのは間違いでした。私の意思を跳ね除け貴方を襲うなど、誰が考え至りましょうや。引き千切られたデータ片とは言え貴方の一部。やはり、自らのあるべき場所に帰ろうとしたのか、貴方の体を奪い貴方に成り代わろうとしたのか」
コロコロと鈴を転がすような笑み。
そして右手は腹、よりやや下に。
「どちらにせよ、これは私と貴方の子のようなもの。可愛がって下さいまし」
取り出された炎は徐々に
右手には大剣、左手には短剣。
そして魔女の帽子を思わせる鉄兜は、相手に不吉さを感じさせる。
「既に最低限の目的は達せられました。少し気になる殿方が
「行かせるとでもーーッ!」
飛び出しかけた俺の眼前に炎を纏った大剣が遮り、その下から俺の首を短剣が狙う。
テメェの戦い方は俺のソレだ。誰よりも理解してんだよ!
剣撃の音が泥にまみれた部屋に響き渡り、剣圧で泥が吹き飛ぶ。
「アルト!」
「手ぇ出すな!こいつは……こいつらは俺の敵だ!」
誰にも手出しはさせねぇ!
「それでは皆々様方、お次は此処ではない何処かでお逢い致しましょう?」
灰を蹴り飛ばし魔性菩薩に向けて大剣を振るうが、刃はその体をすり抜ける。
「今の私は言ってしまえば、
その言葉を最後に陽炎のように揺めいて姿を消した。
灰も煙のように消えてしまう。
「クソ……」
ボスを倒した達成感は無く、胸を焼く憎悪が俺の中で燻っていた。
アンリのエルドリッチ撃破後のボイスは必聴の価値あり。
性別によって声も違います。
サリ「先ずは小手調べーー」
灰「パリィからのフルバフ致命ドーン」
サリ「」
感想欄でサリヴァーンの攻撃をパリィできると聞き、そして初手致命で即死させる動画の再現。まぁ、まず1週目じゃステも足りないし、必要な装備もないですけど
……作者も試しましたが無理でした。
魔性菩薩の出番は今話で終了。出すタイミングを間違えたかも……
次の出番はロスリック編の後です。
ヒント:アリシゼーションの前日談
主人公をどう動かすか、まだ決まってないですが……