あれからというもの、私と海人さんの日々は変わっていった……
「ずぅ~んっっっ……」
「ナギ……」
海人さんと――話せていない!! 初めの内は互いに意識してか、ぎこちなかったのは仕方ないにしても、落ち着いて、いざ海人さんと話そうとすると何故かうまく言葉が出なくて、曖昧な返事ばかりしてしまっている私がいる。
海人さんは積極的に声を掛けてくれていたのに……本当は凄く嬉しいのに……そんな私の反応を見てか海人さんも少し私と距離を置くようになっていってしまった。
こんなの――望んでいない!! まるで海人さん限定で話すのを忘れてしまったかのようだ。
周りのみんなが場を和ませようとしてくれるけど……私と海人さんの関係はむしろ悪い方へと向かっている。
「ナギお昼だよ! ほらいつまでも沈んでないでご飯食べようよ!」
「かがみ~ん。次は織斑先生の実習だから早く食べないと時間無くなるよ~」
二人の言葉に頭を上げて、このままでは駄目だと思いながら昼食を取る。
本音ちゃんから貰った海人さん特製の唐揚げを食べながら今後の打開策を考える。
「海人さんの唐揚げ……おいしいな……」
一方生徒会室では。
「ずぅ~んっっっ……」
「海人……」
どうも。海人の姉の虚です。それはさておき、最近海人の様子がおかしい……仕事は多少ペースが下がったものの、ちゃんとしてくれているので文句は無いですが、明らかに落ち込んでいるのが目に見て分かります。恐らく原因は……
「海人……悩み事?」
「…………」
「私も一人の女として、あなたの姉として相談に乗るくらいはしてあげれます」
「…………話せてない」
「ん?」
「ナギさんと、あれからまともに話せてない……」
海人の話しでは、互いに始めの内は照れてなのか話しづらかったらしい。だけどある程度落ち着いた後も、こちらから積極的に声を掛けても曖昧な返事しか貰えず、今は本音に「ちょっと一回距離をおいた方が良いかも~」と言われて少し距離をおいているらしい。
鏡ナギさんでしたか……彼女は間違いなく海人の事が好きなのだと思う。海人も……満更でもなさそうですし。あの一件の後、寮の自室に戻る途中二人で少し話した際に、少しカマをかけてみましたが間違いないと思う……なのに二人の関係は悪くなっている?
「海人は鏡さんの事をどう思っているの?」
「――えっ!? ナギさんをって!!……どういうこと?」
「そのままの意味。異性として……」
「…………」
少し考えて、しばらくすると顔を俯かせてしまいました……顔を真っ赤に染めながら。
「その反応を答えと受け取って良いかしら?」
「……うん」
最初は本音を通じてできた仲のいいクラスメートで友人……付き合いを続けていく内に「かわいいな」と思うようになった。本音と一緒にお菓子をねだりに来る姿とか本音じゃないが普通に頭を撫でてしまいそうになった。
努力家で、タッグトーナメントでペアを組んだ時とかも驚かされて、少しずつナギさんの魅力を感じて……そしてこの間の事件だ。事故とはいえ彼女の……その……見てしまい……責任をとれと言われればその覚悟もあったが、彼女は俺を許してくれた。その時に見た彼女の瞳は……
「ナギさんの身体……凄く綺麗だったな――はっ!? 煩悩退散!! 煩悩タイサーン!!!!」
次話――ナギルート最終話になり、一応本編完結となります!
仏の裏ルートはあと3、4話続くと思いますが……