布仏家長男のIS物語   作:仏のマスター

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 次が……次こそがラストなはずっ!!

 更新遅くてすみませぬm(__)m 新作戦国乙女の方ばかりに手が進んでしまっている作者です。


裏ルート 四話

「いらっしゃい、チェルシーさん」

 

「こんにちわ、マスター。少し遅くなりました」

 

 セシリアさんの卒業式を終えたチェルシーさんが仏の喫茶店へとやってきました。おそらくここが最後のチャンス……彼女がIS学園への仕事のついでにここに来ることも、正直これ以上私から彼女に指導するようなこともほとんど…………

 

「今のところ お客さんもいないようですし、洗い物も溜まっていないようなので、早速ですがお願いしてもいいですか?」

 

「ええ構いませんよ」

 

 いなくて当然でしょうね。常連の方にはこの日は来ないでほしいと私から頼んでいましたし、入り口の吊り看板はオープンにはしていますが、今日は看板も出していませんしね。それに夕方からはマスターに貸切で空けとけと言われていますので。

 

「とりあえず今できる最高の一杯を入れていただけますか?」

 

 その発言を聞いて、彼女は表情をピシッと引き締めた ……今の彼女であれば間違いなく現状最高の一杯を入れてくれることでしょう。だから私が言えることはただ一つ……そしてその後に私の想いを……

 

 

 

 

「今できる最高の一杯」……おそらくこれが最終試験的なものなのでしょう。私はこれまでにマスターから教えて頂いた全ての知識を元に、大事に……大切に……その一杯に力を注ぎ込んだ。

 たかがコーヒー一杯? されどコーヒー一杯! 本当に美味しいコーヒーとはお金だけでは買えない何かがある……至極の一杯には届かなくとも今の私の最高の一杯を……この人に届けたい。

 

 

 

 

「どうぞ」

 

 カウンター席の前に座られたマスターの前に、私はその一杯を差し出した。

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

「さすがはチェルシーさんですね。文句なしの合格です。ベースは完成……後はあなたなりの最高のオリジナルの一杯を追求されて下さい。至極の一杯を目指すにはむしろここからが一番大変ですからね」

 

「はい!」

 

 笑顔で私の一杯を褒めてくれるマスター……そして仏ブレンドに負けない私の至極の一杯をいつか完成させて、あなたに飲んでほしい。

 

 

 

 

満足そうな彼女の表情を見て、私も嬉しくなる。これで私が教えることは終わりでしょうが、伝えることはまだ…………

 

「チェルシーさん!」

「はい!」

 

 おそらく今から私が言おうとしていることもチェルシーさんは分かっているのでしょうね。期待に満ちたその瞳と赤く染まった頬を見つめ私は……彼女へと想いを伝えたのだった…………

 

 

 

…………

 

 

 

 

「……(どうしてこうなった?)」

 

 静寂が包む仏の喫茶店……私は振られてしまった。

 




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