ウォルター殿の運転する車で、仏の喫茶店に戻ると……入り口の前にセシリア殿が仁王立ちしている姿が見えた。
「お・そ・い! 仕えし主を待たせた上に、一人先に帰ろうとするなんて厳罰ものですわよ!」
「セシリア殿、これには色々と事情がありまして……」
「仏さんは黙ってて下さい!」
「まぁまぁ、セシリア様。今回の一件は我々にも非があるわけですし、それくらいで」
「ムゥ……ウォルターもチェルシーの肩を持ちますのね……」
分が悪いと思ったのか、セシリア殿が一歩引いたところで、チェルシーさんが前に出る。
「この度はご迷惑とご心配を掛けてしまい、誠に申し訳ありませんでした」
言葉と共に頭を下げるチェルシーさん。それを見て満足したのかセシリア殿は私とチェルシーさんを交互に見て言いました。
「それで? 話はちゃんと付いたんですのよね?」
「はい、勿論です!」
チェルシーさんは私と繋いだ手をギュッと握り、セシリア殿に答えた。
「なら良いですわ。さぁ、中に入りましょう。海人さん達が料理の方は準備してくれてますし、メンバー勢揃いですの」
セシリア殿の後に付いて入ると、喫茶店内はほぼ満席貸切状態で、私達が入ったところで……「「「「「マスター&チェルシーさん、ご婚約おめでとうございます!!」」」」」……皆から一斉に祝福の言葉が飛んできました。それから暫く、私とチェルシーさんは(調理メンバーは除く)皆からもみくちゃにされるのでした。
暫くして、調理を終えた海人君達が厨房から出てくる。
「まさかこの人数分パーティー料理作る事になるとは思わなかったよ……」
「お疲れ様です、海人さん」
「けどさすが海人さんでしたね」
「一人だけ動きが違ったものね」
疲れ顔のオールマイティな海人君に、上から和の箒さん、洋のシャルロットさん、中の鈴さんである。尚、一夏君はセシリアさんと一緒に居たため今回不参加である。
「殆ど任せる形になって悪かったね、みんな」
「いえ、準備と下拵えまで終わっていただけでも全然違いましたよ。それに今回の主役に全部させるわけにもいかなかったですし」
「? 一夏君達三年組の卒業祝いでしょ?」
「まぁ、それも間違いでは無いが……」
「仏さんとチェルシーの婚約祝いが真の目的だったりしましたの!」
「もし、失敗していたらどうするつもりだったんですか……」
マスターとセシリア殿の発言に、ツッコむが……
「そしたら、卒業祝いのみで!」
「最悪仏さんからの告白が無くても、チェルシーが告白する気なのを聞いてましたし、誰も失敗するなんて思ってなかったですよ?」
マスターは置いといて、セシリア殿の発言に周りを見回すと……全員が首を縦に振っていた……げせぬ。
こうして卒業祝い+婚約祝い(一夏×セシリアも追加された)が始まり……
「何で主役の私がフル稼働で料理作っているんでしょうか?」
「そんなの、マスターの料理とスイーツがこれからはセシリアん家に遊びに行かないと食べれないからに決まってるじゃない!」
「「「「「うんうん」」」」」
鈴さんの発言に周りが全員先程と同じ様に首を縦に振る……これはこれで嬉しいのですが……
「私、執事としての採用で料理人として行く訳ではないですよ?」
「「「「「――セシリアァ!!」」」」」
「……そ、そうですわね……この実力と味を眠らせておくには勿体無いですわね。うん、仏! 執事としての採用は却下です。料理人として家に来なさい」
それを聞いた一同がセシリア様(途中から様呼びに変更)の名前を読んだ事で、ここにきてまさかの変更ですか? まぁ、チェルシーさんと一緒に居られるならどちらでも構いませんが。
そんなこんなで騒がしくも楽しく進んでいたパーティーに静寂をもたらす発言をしたのがこれだ。
「いっくんに、マスターと婚約祝いしたわけだから、次はかーくんダネ☆」
「「「「「…………」」」」」
あっ、それ言っちゃいます、束さん? この発言の危険性を皆さんは分かるだろうか?
ずばりこの作品はマルチエンディングである。
「相手は勿論このワタ……『勿論私達!!』……んなっ!?」
「「――アッ!?(出遅れた!!)」」
いの一番に名乗りをあげようとした千冬さんを遮り、更識姉妹が海人君の両腕に抱き着く。出遅れたのはクラリッサさんとナギさんである。
タラリと冷や汗を流す海人君……その発言に耳を傾ける他一同。
「…………! ここおまけ10(ハーレム? ある意味のほほんさんエンド)の延長線だから!」
「というわけで〜私とおにいちゃんの禁・断の兄妹婚約祝いなのだぁ! さぁ者共、祝うが良いぞ〜祝うが良いぞぉ〜」
「そんなの許す訳ないでしょ」
「アダッ!?」
海人君の発言に合わせ、後ろから海人君の首に飛びついてきたのほほんさんが爆弾発言をするが、そこはちゃんと虚様がお止めになられた様です。
「確かにそれはどうかと思うぞ海人」
「……龍也兄さん」
「いくら本音が可愛いからといって、そんなの兄である俺が許さん! むしろ俺がなりた……『リュ・ウ・ヤ?』……ヒッ!?……いえ、何でもありません」
布仏龍也(真耶エンドのみ登場の海人の兄)。彼は大のシスコンである。そして嫁である真耶には全く頭が上がらない……との噂。
「おい、龍也……真耶泣かせたら締めんぞ?」
「お、お義兄さん!? そんなまさか俺は真耶一筋ですから!!」
「龍也ぁ♡」
山田翔(次作主人公)。彼もまたシスコンである……との噂。
「あっ、しょーくんだぁ☆」
遅れてやって来た翔殿に束さんが飛び込んでいく。
「ダァ〜だからくっつくなって言ってんだろうが! 簪も直ぐそこに居るってのに!」
「あれ? 束さん翔にまだ言ってなかったの?」
「ん?……あっ、忘れてた★」
「?……あぁ〜何か凄く嫌な予感がするんだが」
多分、合ってますよ翔殿。
「ごめんね、翔。私……海兄と婚約発表する事になったから!」
「「「「「ナンダッテェ!?」」」」」
「……ナンダト…………」
「海人君に簪ちゃん。婚約おめれとぉ〜!」
「「「「「作者が認めたぁ!?」」」」」
「えっ、ホントに!?」
「作者都合で迷走させたお詫びで、簪ちゃんの最終大どんでん返し勝利にしてあげよう!」
「「「「…………」」」」(他ヒロインズ)
「えっ? じゃあ俺は?」
「もう、しょーくん。分かってるくせに♡」
次作! ついに最後の最後でヒロイン昇格! 束さん☆
乞うご期待☆
あっ、あと最後にですが……私ことウォルターが仏殿に代わり、二代目仏の喫茶店店長をさせて頂くことになりました事をご報告致します。
「これにて完全完結☆」
「「「「「えぇぇぇぇぇ!?」」」」」」
完
そしてこれからもスピンオフ作品や他作も宜しくお願いします!