ISでの戦闘シーンなんてありません。
本大会予選。
世界中から集まったパティシエが己のパティシエとしての技術を争う。中には雑貨やテレビで見たこともある有名なパティシエや星持ちのレストランのシェフなども居る。
「しょ、正直言って私、場違いじゃありません?」
「何を臆してるんですか? 怨兄ちゃんはオルコット家の看板を、更にはイギリスの看板を背負ってるんですよ?」
「やめて……胃が痛くなってきた…………」
ほんと、こんな世界トップクラスのパティシエ職人達を前に私の腕が通用するのでしょうか。
しかしこの時は会場の殆どの者が知らなかったのだ……この仏のパティシエ職人としての腕がもはやチートクラスであることを。
予選会が始まり指定された項目を一つずつクリアしていく……一旦集中しだすと周りが見えなくなり、自分とエクシアちゃんだけの世界に入る。
そもそも周りを気にする余裕なんて無い。(と本人は思っている)今出来る最高の結果をここに……それだけを思って己の技術をスイーツに込める。
「決勝進出最後の一人は……イギリス、スポンサー推薦枠のオルコット家パティシエ仏選手だぁ! 全ての項目でトップ3に入る総合力で堂々の予選1位通過だぁ!」
「まさかギリギリで通過でき――って、はい!? 私が1位ですと!?」
「お――おに、怨兄ちゃんがぁ!?」
最後に呼ばれたので、ギリギリで決勝に残ったと思った仏であったが、現実は反なるもので、堂々の1位……一瞬にして仏に視線が集まり、様々な陰口が囁き始める。当の仏は未だに信じられないのか茫然としたままだった。
「キャァー! 仏さん素敵ですぅ♡」
「ウフフ。最高の出来よ、仏☆」
「やっぱ仏さんは凄いなぁ〜」
スポンサー特別席から成り行きを見守るチェルシーはテンション爆上がりで、隣に座るセシリアと一夏夫婦も
仏の活躍に笑顔を見せていた。
中休みをはさみ、決勝が始まる。己の至高の逸品で世界中のスイーツ狂達を唸らせてやれというものだ。
特別審査員10ポイント×10人と、観客の中から抽選で選ばれた一般審査員5ポイント×20人の投票(MAX200ポイント)で一番ポイントの高かった人が優勝者となる。
決勝進出を果たした五人が一人ずつ、その至高の逸品を審査員へとアピールしていき、遂に私達の番となる。
「これは……ゼリーですか?」
「はい。コーヒーゼリーになります」
特別審査員の一人が目の前に出されたそれを見て聞いてきたのに対し、私はそう答えた。
世界のトップクラスのパティシエ達が見た目も味もこだわり抜いた至高の逸品を出してきた中で、私達が出したのはシンプルに無色透明のゼリーにホイップクリームと黒い粉をかけただけのものだった
仏さんといえばやっぱアレですよ( ´∀`)