plastic memories/:Reboot _   作:fulldrive

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久方ぶりの投稿。早く他のやつ書けよ、ぼく



⚠️注意⚠️

この二次創作は主観入りまくってます。
設定の齟齬とか矛盾点とか、稚拙な文章諸々文句をいくらでも突きつけられるような完成度ですが、あくまで二次創作なのでそこらへんは妥協してください。
お願いします

Fulldrive


File 01

これは終わった物語。

 

既に語り終えた物語。

 

決して再び語られることはない物語。

 

氷のように凍てついた、錆びついてしまった物語。

 

だが、彼はそれ(・・)を認めなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

外の空気が吸いたくなって、外に出てみるとまた暖かくなってることに今更気付く。

また一年が経った。早いものだな、と一人呟く。

もう春だね、と傍に居た同僚に告げるとお前が篭もりすぎなだけだ、白い目で見られ、突っ返された。

...確か、彼女(・・)と出会ったのも今日のような暖かく、春の日差しが感じられるような日だった気がする。

 

彼女(カラダ)は、元気にしているだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは彼にとっての悪夢であり、当たり前のように世間にとっても悪夢と言ってもおかしくない事件だった。

人形(ギフティア)暴走(ワンダラー化)。この世界では毎日のように起きている事件であり、抱えている問題でもある。

彼も被害者の一人であり、そしてその暴走(ワンダラー化)した人形(ギフティア)の持ち主だった。

ワンダラー化したギフティアは最早普通の人間には手に負えない。その時の彼はギフティアが振るっている包丁で腕を切り裂かれ、とめどなく流れ出る自らの血液と、収まることを知らない恐怖を抑えながら息を潜めていた。しかし、相手もアンドロイドである。ワンダラー化しているとはいえ、発見されるのは時間の問題だった。Rセキュリティに連絡するという選択肢もあったが、電話線を切られている上、彼の家は厳格だった為、携帯電話なんて贅沢品(スグレモノ)は買い与えられていなかった。

目の前にいる、数日前までは姉弟(きょうだい)のように接していた筈の彼女(ギフティア)の視線は焦点が定まっておらず、不安定にふらふらとさまよっていて、口は歪な笑みを浮かべており、一層不気味さを醸し出していた。最早彼の知る(ギフティア)ではなく、イカれた殺人鬼の相貌(オーラ)を全身から放っていた。

と、彼女の視線が彼の隠れているキッチン下へと向かう。

彼は背中に冷たいものを感じた。殺人鬼に見つめられたらこんな感じなのだろうか、なんてしょうもないことをうっすらと思い浮かべなから、ゆっくりと接近してくる彼女を凝視することしか出来なかった。

――閃光(ビックバン)が室内を覆い尽くす。

一瞬の内に彼と彼女(ギフティア)の視界と聴力を奪った代物が手榴弾(フラッシュ・バングレネード)だとわかった頃には事態は進展していた。

突如現れた人影によって彼女が押し倒されている。が、ワンダラーと化したギフティアの筋力に勝てる筈もなく呆気なく吹き飛ばされる。影はそのまま地面に叩きつけられるかと思われたが、(すんで)のところで受身を取り、腰から短いナイフのようなものを取り出した。

彼女が追撃を始めた頃には影は立ち上がり、それを拳銃(・・)のように構える。するとナイフの腹にあたる部分が展開し、SFに出てきそうな光線銃のような形状へと姿を変えた。

そんなことを気にもしない彼女は容赦なく、影に飛びかかろうとする。

影の唇が「ごめん」と動く。

直後、閃光が走り彼女の義体(カラダ)が数メートル程吹き飛ばされる。

ウィルス銃だ、と彼は思った。

ワンダラー化したギフティアにソフトウェア破壊プログラムを撃ち込む為の光線銃型発射器。つまり、それを持っている影は回収業者(SAI社の人間)というわけであり、助けが来たということである。

吹き飛ばされた彼女の義体が少しずつ消えていく。消えゆく彼女()の姿をこうして眺めているだけ、というのはとても悲しいことだった。

彼はSAI社の人間である影に救助してもらおうと思ったが、口の中は埃まみれで声が出ず、おまけに圧迫止血を施しているため身動きすらとれないので、場所を知らせるべく暴れることにしたが。影は既に彼の位置を知っていたらしく、すぐに近づいてきて、手で諌めた。

「止血してる時に暴れちゃダメだ」

優しい声色だったが、その奥には有無を言わせぬ強い意志があった。彼は素直に従うことにした。彼の様子を見て、満足したらしく影は頷くが、すぐに表情を暗くした。

「ごめん、君の家族(ギフティア)を救えなかった」

彼は慌ててそんなことはない、と首を横に振る。

確かに彼も負傷したし、彼女(ギフティア)も消えてしまったが、それは今まで回収に応じなかったこちらがすべて悪いのであって、決して彼らが悪い訳では無いからだ。

その意を懸命に伝えたが、彼の顔は暗いままだ。否、元から暗かったのかもしれない(・・・・・・・・・・・・・・)

しかし、影はすぐに人の良さそうな笑みを浮かべたため、彼の疑問は遥か彼方へと消えてしまう。

「立てる?立てないならおぶって行くよ」

影の好意に甘え、ここはおぶってもらうことにした。

彼が乗ってきたのであろうクルマに向かう途中、「きみ、名前は?」と尋ねられた。

「カナデ...、...宝条 (カナデ)です...」

まだ、口にホコリが残っていて掠れ声になっていたものの何とか言葉を発することができた。

「カナデ...か、いい名前だね。俺は水柿 ツカサ。SAI社の社員なんだ」

よろしく、と彼は見なくてもわかるほど穏やかな笑みを浮かべて言った。

カナデはツカサに自分が孤児(アンドロイド・チルドレン)であり、叔父に預けられていたことと、ワンダラー化した彼女(ギフティア)は自分の姉代わりであったことを話した。彼は同情するように頷いた。

「俺の同僚にも似たような境遇の人がいる。回収を拒んだのは君かい?」

カナデは違う、と言った。彼女は叔父のお気に入りだったのだ。故にカナデより、叔父のほうが回収を強く反対していたのだ。

なるほど、と彼が呟く。と、同時にクルマに辿り着いた。

「取り敢えず、君を病院に預ける。暫く経ったら尋問官が君の元に来ると思うけど、優しい人達だから怖がる必要は無いよ」

運転に手慣れているのか、クルマはスイスイと公道を滑るように進んでいく。

病院まではあっという間だった。別れ際、彼の微笑を見ながらカナタはある羨望に似た感情が自分の中にあることに気づいた。

 

 

彼がSAI社に入社したのは事件から2年後のことであった。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

『ツカサ、今日は新入り君が来るから今日暇なアンタが事業説明しといてね。宜しく 』

と、同僚の少女からの明らかに悪意のあるDMを見つめ、ツカサはため息をつく。

そもそも、今日は仕事がないなど彼女には一言も伝えていなかった筈だが、恐らく彼女の相棒(ギフティア)が漏らしたに違いない。そうに決まっている。

彼は三リットル程のため息を再びつく。彼女(最愛の人)との別れから実に5年が経過し、ただの職員だったツカサはあまりの星の多さからサービス課課長にまで昇格した。

本来は本社の職に就くはずだったが、ツカサ自身がそれを拒否した。その為、現場にも赴く課長としての役割を得たのだった。

山野辺前課長はと言えば既に退職し、今では援助、という形で第1ターミナルを応援してくれており、時々顔を出しに来てくれる。

それからツカサが課長になったことにより本社もあまり文句を言えなくなったらしく、支局と本社間のいざこざは殆ど無くなっていた。

他にもミキジロウが退職し、メンテナンス係は完全にエルが取り仕切ることになっている。...メンテナンス係の代表が彼女に決まった時、女性ギフティア全員が嫌そうな顔をしたのはここだけの話である。

他のメンバーは特に変わったことは無く、彼女の掲げた『ギフティアのオーナーの心のケアも徹底する』という業務方針も引き続き行われている。

他のターミナルセンターでも似たような試みが始まっていると聞き、本社の伍堂部長達や上層部はきっと頭が痛い思いをしているに違いない、と彼は思った。

 

そうこうしている内に、彼が来る時間が迫ってきたので、鏡を前に身なりを整える。

五年前に比べて背が少し伸び、髪も伸びた。忙しすぎて切るのを忘れていたのだ。

伸びた前髪のせいで雰囲気が暗くなるのを防ぐため、ピンで固定する。

目つきもやや鋭くなり、この五年で彼の身に降り掛かったものの重さを彷彿させる。

心做しか、少し筋肉もついたらしく、接待する為、応接室の整理で物を持ち上げたテーブルがやけに軽く感じた。

テーブルにソーサーを置き、準備が終わるとふと、彼は空を見た。空は灰色の雲がうっすらと覆っていた。

灰色、ねずみ色、銀色、彼女の色(・・・・)

不覚にもほろり、と涙が零れる。

涙を拭いながら彼は鏡に写る自分に向かって微笑みかける。

彼女は自分の笑顔が好きだと言ってくれた。笑顔でいれば、常に彼女が傍に居てくれているように錯覚する。彼が笑い続けることは彼女と彼を繋ぐ鎖であり、同時に彼を縛り付けるものでもあった。

だが、それも明日で終わり。

 

これから自分は最低な行為をする。一歩間違えば、彼女と積み上げてきた全ての想い出を無駄にしかねない。そんな行為だ。

でも、と彼は思う。

それでも、と彼は拳を握る。

(memory)』が終わったなんて信じたくない。

終わらせない。終わらせたくない。

彼女との大切な想い出を、ただの夢で終わらせたくない、そんな思いで彼は独りでこの世の理と戦い続けた。

その孤独な戦いも明日で終わる。

こうなることはわかっていた。でも、それで良いのか、と内なる自分が言う。

それは世にとっての禁忌(タブー)であり、追われる身となる可能性も十分有りうる。

それでも、と彼は端末を開いた。

 

 

 

 

 

 

夢を見ていた。

 

だだっ広い草原に彼は仰向けに倒れていた。身体はまるで重石を載せたかのように重く、動く気配は全くない。だが、決して苦ではなく、寧ろ心地よかった。

ぼんやりと雲が流れてゆくのをただ眺めている。

「――ツカサ(・・・)

ふと、近くから懐かしい声が聞こえた。

声の方を見ると、逆光で顔は見えなかったが、誰かが立っているのが目に付いた。

目の前の人物は太陽の光にキラキラと反射する、美しい銀の髪を片手で抑え、こちらに微笑みかけているのがわかった。

それが誰かわかった瞬間、彼の鼓動は一気に早まった。喉がからからで声が出ない。

それを察したのか、その『誰か』はくす、と微笑ってからゆっくり近づいてきた。

「落ち着いて、ツカサ。私は彼女だけど彼女ではない(・・・・・・)。私は貴方が見ている夢の中だけの存在に過ぎないの」

彼女の言葉に頬を打たれた気分になる。夢だと自覚した瞬間、彼は自分が脱力していることに気づいた。

「でもね、ツカサ」

彼女は続ける。

「貴方の心配事、気にする必要はないと思うよ」

何だって?、と彼は言おうとしたが相変わらず口は乾いており、声を発することが出来ない。

「...貴方の知る(彼女)はそんなにも信用出来ない(・・・・・・)ような娘なの?」

お互い、愛し合ってたんじゃないの?、と彼女に似た人影は言う。

「他でもない貴方が彼女を信用しないで、実行するか悩んでるなんて阿呆(あほ)がすること。...信じなさい、彼女を。貴方が愛した彼女を」

徐々に意識が鮮明になってゆく。

彼は待ってくれ!、と叫ぼうとするが、やはり声は出ない。

 

『私はいつまでも待ってるから』

 

 

 

 

 

 

 

 

数ヶ月の研修を経て、カナデは遂に第1ターミナル支局の職員として就任することとなった。高まる鼓動を何とか抑える為、深呼吸を三度、...だけでは足りず、もう二回程。

逃げ出しそうになっている勇気を宥めながら、彼は自動ドアを潜った。

 

 

「君が新入りかな?」

一瞬、既視夢(デジャヴュ)が見えた。目の前の青年は二年前、彼を救った時と全く同じ声音で話しかけてきた。

はい、と言うと彼はにっこりと笑った。

「ようこそ、SAI社第一ターミナルサービスへ。課長である俺が、歓迎するよ――」

 

 

 

 

これは終わる筈だった物語。

既に終わってしまった物語。

 

 

「で?用って何だツカサ。私だって忙しいんだ」

「お忙しい所、すみません。でもどうしても見せたいものがあるんです」

こちらへ、とカヅキを奥に案内する。

奥にあるモノ(・・)を見てカヅキは驚愕の余り、目を見開いた。

「...お前。正気なのか(・・・・・)?」

「傍から見れば異常でしょう。でも俺は至って真面目です」

ツカサはカヅキが凝視している方向を見やる。

彼らの視界の先には一つの機械群に繋がれたベッドがあり、そこには二人がよく知る(・・・・)人形(ギフティア)が繋がれていたのだった。

 

 

 

物語は再び動き出す。

本来有り得ない筈の未来(ルート)が、結末(エンディング)がたった一人の青年の手によって紡がれる。

 

 

これは歪んだ物語。

 

曇っていた筈の空はすっかり晴れ渡り、太陽が優しく町を、世界を照らしていた。

 

奇蹟は、まだ終わらない。

 

 

 

 

 




誤字りすぎてしにそう
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