歪められた男、『シロウ』が第5特異点、
北アメリカにおいて戦争をやり直すお話。

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シュリーマンと並んで、私が尊敬する『シロウ』さんです。
やはり飽くなき信念と言うものは素晴らしいですね()


実験開始

「うーん、そうだね…私の事はシロウと呼んでくれ。

人助けが好きな普通の日本人さ」

 

そんな事を言っていたシロウという医者に、僕達が会ったのは第5特異点に来て一番最初の出来事だった。

彼は分け隔てなく傷ついたサーヴァント達に、極めて親切に医療宝具を展開していた。

助手として彼と共に行動していたナイチンゲールとは違い、極めて日本人的な気の使い方が好評であった。

 

彼の医療を拒むサーヴァント達も居たが、

 

「医者と言う人間は怪我人を選ばない。だから怪我人も医者を選ばないで欲しいな」

 

シロウと言うサーヴァントはいつも何処か陰を残しながらも、そう笑っていた。

また、彼は植林行為を愛しており、草木が無い所を見るたびに、木を植えたいと言っていた。

それもまた、豊かな自然が恵みを齎すからである。

彼は善意の人だった。

 

そんな彼が豹変したのは、僕達がアメリカ側に付く事にした時だった。

突如、戦争に巻き込まれて受けた怪我を治療されていたアメリカ人男性が見る見るうちに全身が黒色になり、血を吐いて倒れた。

一体どうなっているか僕達の誰も理解できなかったが、

ただ一人、その状況を理解した人物がいた。

 

「余りに急速な進行ですがこれはペストですね。

何故、このような事をしたのですか。答えなさい――――シロウ」

 

 

ナイチンゲールが弾劾する様子を見るに、この症状を引き起こしたのは、シロウ医師であったのだが、

最初はそれを信じる事は出来なかった。

 

シロウは突如苦しみながら、ひきつけを起こす様にのた打ち回り、

そして首を大きくひねりながら起き上り、こう言った。

 

「如何にも。麗しき神国の敵…ハヤ…対者…ク…に天誅を…ニゲ…下し…ルンダ…たのは、吾輩――石井四朗である」

 

 

シロウと言う男の正体は、731防疫部隊長、石井四朗だった。

 

 

 

 

 

温和な本来の石井四朗に上書きされる様に同居する、アメリカ軍によって捏造された細菌兵器研究部隊長として貶められ、

中国韓国によって定着化された事によって生まれた、人型の悪魔(マッドサイエンティスト)としての石井四朗。

それこそが、彼の正体だった。

 

当時は衛生概念が発達していなかったせいで、

病気が多く、自然の少ない土地において、日本人だけでなく現地の人々の健康と幸せを愛した石井四朗は押さえつけられ、

狂気を愛し、狂気に愛された冷酷で残虐な医師というイメージの側面が表に出てきたのだ。

それは、あのジキル博士とハイドの二面性にも似ていた。

 

 

細菌を操るであろう四朗に対して、

マスターである僕は普通の人間なので周囲のサーヴァントが距離を置く様にと指示してくれた所で、

四朗は、

 

「さて、此処には生身の人間(実験材料)が少ない。何時までも此処にはいられない。

実験が、ああ、実験が吾輩を呼んでおる」

 

その場はそう言って逃走した。

 

 

だが、その後、彼は何度も、

 

「さあ、実験を続けよう」

 

そう言って僕達の前に立ちはだかった。

彼の宝具『細菌実験室(だいよんふういんかいじょ)』によって、西洋人が貶めた事によって生まれた悪霊の様な人間が、

西洋人が恐れた生きたペイルライダーとして存在する宝具の副次作用として起きる、

サーヴァントにさえ作用する軍医長四朗による細菌結界と、

看護師長ナイチンゲールによる『我はすべて毒あるもの、害あるものを絶つ(ナイチンゲール・プレッジ)』が何度も鎬を削った。

 

 

彼は、実在人物にして、それをベースにしたアメリカ、中国、韓国の憎まれ役として存在したイメージ上のキャラクターの為、

極めて悪魔的だった。

 

「鬼畜米国人の住むこの国は地獄に変えてしまうのが宜しい。戦争と言う病で病死させてやる」

「眠れるブタ如きが調子に乗るから、列強(オオカミ)に喰われるのだ」

「韓国には英雄(サーヴァント)はいない。わかるか? この意味が」

 

そして口先だけでなく、手足を傷つけた人々を治療していた行為を捻じ曲げられて伝えられた伝承、

『嬉々としながら囚人の手足切断と移植実験をした』事による残虐な行為を良く行っていた。

 

彼はアメリカ憎しという事で、ケルト側についていたが、自身の腕が吹き飛んだ時、

味方の筈のケルト兵の腕を、もう片方の手に握った日本刀の様なメスで切断し、

そのまま片手で一瞬で自身の腕に移植手術をした。

 

その中には一般兵だけでなく、負傷して動けなくなったサーヴァント達も居た。

彼はそれらの身体を自分に移植し、その戦闘経験と能力まで自身にフィードバックさせる宝具を使用していた。

 

何度も僕達に撃退されながらも、自身の体にケルト勢を組み込んで強化し、

終いには魔神柱達まで自身に移植して、何度も何度も、

 

 

「まだだ、まだ終わらんよ。負けを認めなければ戦争は終わりでは無い。

さあ、戦争(実験)を続けようではないか」

 

 

そう言いながら挑んできた。

 

 

彼は何度も人々を実験台にしながら病魔を拡散していた。

その事で、同じ日本人サーヴァントの土方さん達から、

 

「日本への忠義を騙りながらも、実際は自分の実験への欲望を正当化したいだけではないか」

 

と言われながらも、

 

「其れの何が悪い!?」

 

と開き直っていた。

彼は、彼こそが狂気と言う病魔に侵されていた。

 

 

 

 

 

 

彼が持つ陣地作成スキルによる、地下洞窟内にある病院と言う名前の複雑にいりこんだ工房に侵入した時も、

 

「極限にまで至った医療は、極限にまで至った自殺と同じことだ。

極限にまで至った殺人は、極限にまで至った不老不死と同じものだ。

殺す事は生かす事。生かす事は殺す事。

さて、吾輩の実験にお付き合い頂こう。」

 

そう言って、最後の戦いを挑んできた。

病魔に侵されて、黒ずんだ黴の様な死体となった、最早、元の人種も判らない人々が一斉に襲い掛かって来た。

 

四朗は身体が欠損する度に、人間(部品)を継ぎ足しながら執念深く立ち上がった。

もはや、病気という悪魔そのものである彼には死は訪れないのか?

 

そう結論がでそうになった時、味方のサーヴァントの1人が僕を連れ出して『病院』から脱出した。

 

 

一時的に危険人物を排除する間だけ、ケルト勢とアメリカ勢が休戦して、

共に病院ごと破壊するという結論になったのだ。

 

 

その場に居合わせた全サーヴァントによる宝具の集中砲火。

地下病院は跡形も無く洞窟ごと消え失せた。

 

ひと時の休戦はそれと同時に終わり、再び戦争は始まった。

 

 

 

 

 

 

――そんな事があって、結局はアメリカ側が勝利してこの戦争は終わり、聖杯を取り戻して僕達はこの特異点を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

剪定事象として、本来の歴史に吸収されて消えていく第五特異点であった北アメリカ大陸。

その消えゆく世界の中、深く暗い場所で一人の男が笑みを浮かべながら、動かない人間をいたぶっていた。

 

「まだだ、まだ、終わらんよ。

(吾輩)には全ての病魔を破壊(支配)する役目があるのだから。

さあ――――――実験を続けよう」




本来の歴史の石井四朗さんは本来の歴史の甘粕正彦さんぐらい人格者です。
大概歪められてますよね、この方たち。

尚、北米では人格者としての石井さんは絶対に公開できない模様。

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