GGOで好き勝手書いてみた短編集   作:rockless

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20話

「うひゃぁああっ?!」

 

「わわわっ!!」

 

 北西方面、ベヒモスの構えるミニガンから、高速で7.62ミリ弾が連射される。反動と弾薬消費を抑えるため、やや発射レートを抑えているとはいえ、毎秒30発以上の弾丸がレンとユウキに向かって発射されていた

 弾を回避するため、地面の窪みに向かってヘッドスライディングしたレンとユウキは、間一髪被弾を免れる

 

「これどうすんのっ?!」

 

「わかんない!」

 

 ユウキの問いかけに、レンは即答で返した。スピードのあるAGI型のレンでさえも、ミニガンの連射力は脅威である。レンよりも遅いSTR-AGI型のユウキでは言わずもがなである。現実では不可能とされるミニガンの手持ち発砲。GGOの中でそれは可能ではあるが無理もあり、過重ペナルティや射撃の制御に難があって集弾率が悪いなどの欠点がある。しかし徐々に距離が近くなるにつれ、それら欠点を差し引いても7.62ミリの火力と自動小銃を超越する発射レートが2人の接近を阻んでいた。現在ベヒモスまで30メートルほどの位置に2人はいた

 

「あれだけ連射してるから弾切れするかなって思ったら・・・」

 

「まさか、サポートの人が弾薬を持ってたって・・・」

 

 その連射力故、弾薬消費が激しいミニガン。初めはベヒモスの携行する弾薬が尽きるのを待つつもりであった2人。だが、彼に同行するサポートメンバーがストレージから追加の弾薬を出したことで、その望みは絶たれた

 

「ねぇ、ALOで凄い剣士だったなら、弾切って進めない?」

 

「無茶言わないでよ・・・」

 

 レンが現実逃避しつつユウキに問いかける。一応光剣も持っているユウキだが、ミニガンの張る弾幕に飛び込むのは無謀であった

 

「なにか弱点とかないの・・・?」

 

「うーん・・・私も銃は詳しくないから・・・店主さん、ミニガンの弱点とかってあります?重さとか弾の消費以外で」

 

 ユウキの呟きにレンが少し考え、知識を持っているであろう店主に情報を求める

 

『ガトリングの弱点?・・・『撃つ』と思って引き金引いてから弾が出るまでの時間差とかだな。銃身の回転数を上げないと撃てないからな』

 

「そういえば、僕らが飛び出しても、すぐに弾が飛んでくることは無いよね」

 

「あれってなにで回してるの?」

 

『電気のモーターだな。そういった部分も弱点ではあるな』

 

 店主の情報を聞き、レンはふむ・・・っと作戦を考える。しかし、今いるこの場所に止まっていられる時間も少なく・・・

 

「とりあえず左右に分かれて挟撃を・・・あとは流れで」

 

「わかった」

 

 レンがとりあえずの策を考え、指示を出す。そして2人は窪みの中で、モゾモゾと匍匐前進をして左右に分かれていった

 

 

 

「クソッ・・・チョロチョロと!」

 

 レンとユウキが苦戦しているベヒモスだが、彼の側もあまりいい状況とは言えなかった

 

 店主の指摘通り、圧倒的な発射レートを誇るガトリングの短所である、銃身の回転の上昇からの発射、そのラグによってレンとユウキに回避、接近を許してしまっていることに、彼は焦っていた

 銃身を回しっぱなしにすることは、電動式であるために必要なバッテリーの容量上、不可能である。なぜなら、このスクワッドジャムの本戦の展開が彼自身の想定以上の激戦になり、サポートメンバーに弾薬と一緒に持たせていた替えのバッテリーが無くなってしまったのだ

 

 これは彼のチームメイトが、闇風と銃士XというBoB本戦進出レベルであることに対し、ベヒモスはそういった結果を残していないこと。また、過重ペナルティというわかりやすい弱点を持っていることが大きく、要するに敵チームから狙いやすいカモ扱いをされていたのだ。それを尽く打ち倒した結果、彼の想定以上の早さでバッテリーを消耗してしまったのだ

 

 バッテリーが切れれば、銃身を回転させることができなくなるため、ミニガンは機能を停止してしまい、攻撃の手段が無くなる・・・弾薬以外にバッテリーの消耗を軽減させながらの戦いは、ベヒモス自身も始めての経験であり、ジリジリと後退を続けるベヒモスとサポートメンバーであった

 

「っ!」

 

 二方向から分かれて出てきたレンとユウキ、ベヒモスもすぐに反応してミニガンの銃身の回転を上げる。狙うのは2人の内、AGI値の低いユウキである。レンのほうにはサポートメンバーが向き、盾で射線を遮る

 

「ほっ!」

 

 回転が上がり、射撃を予告するようにバレットラインが伸び始める。ユウキはそれを視認し、進行方向を大きく変える。重量が大きいため、慣性も大きいミニガンは、ユウキの動きの変化に付いていけず、発射され始めた弾が外れる。そしてユウキが応戦するために、射撃を行う。バレットラインを見て、ベヒモスが横にズレてそれを回避するが、そのせいでミニガンのユウキへの指向がさらに遅れる

 

 その一方でレンが、AGIを活かして一気に距離を詰める。それに対してベヒモスへの射線が通らないように、微妙に位置を変えるサポートメンバー。しかしレンの動きに集中するあまり、防御の基準となるベヒモスの位置が、ユウキの射撃を彼が回避することで変わってしまったことに気付くのが遅れる。その隙を突き、レンがP90をベヒモスに向けた

 

「っと!」

 

 P90から伸びるバレットラインで、自身のミスに気付いたサポートメンバーは、すぐさま位置を修正する。そして今一度ベヒモスとの位置関係を注意深く確認するようになる・・・しかし、それは同時にレンへの注意がそれまでより疎かになるという意味であった

 

「クソッ!バッテリーが・・・」

 

 ミニガンのバッテリー残量がいよいよ危なくなってきたベヒモス。最後の博打でピンポイントに対象を狙った射撃から、周囲を薙ぎ払う掃射に撃ち方を変える。やや振り回し気味に弾丸を広範囲にばら撒き、相手を殺すことよりも、被弾させて動きを止めることを目的にする

 

「ったぁ?!」

 

 ばら撒かれた弾丸にユウキも回避しきれず左上腕に被弾する。インパクトダメージで被弾箇所から先の腕が千切れ飛ぶ

 

「ま、だまだぁ!!」

 

 右腕一本でHK417を構えて撃つユウキ。左手の支えがないことで、銃身がブレて弾は大きくバラけるが、それでも数発はベヒモスに向かって命中コースに飛ぶ。当然バレットラインで見えているので、ベヒモスは回避行動を取り、サポートメンバーもそれを確認し合わせて動く

 

 その僅かにレンから注意が逸れる瞬間・・・レンにはそれで十分だった。腰からハンドグレネードを取り、スイッチを入れてアンダースローで投げる。投げた手をそのままP90に持っていき、両手で構えて射撃に移った。サポートメンバーの盾に激しく撃ち込んで音を鳴らし、ハンドグレネードの落下音を紛れさせる

 

「無駄だ、無駄だ。この盾は素材と厚さで強度は折り紙付きだ。7.62ミリだろうが余裕で防ぐ。拳銃弾程度じゃ傷すら付かん」

 

 っと余裕をかますサポートメンバーの盾の横を、地面スレスレの軌道でハンドグレネードが過ぎ、サポートメンバーとベヒモスの間に転がり爆発。爆発跡の倒れている2人からDEADの表示が上がった

 レンはユウキに駆け寄り、大会が個人に配布した簡易治療キットを使って、ユウキのHPを回復させる。欠損した左腕は時間経過でしか復元しないが、HPだけは満タン状態に戻した

 

「北西方面、ベヒモスとサポート1名撃破!」

 

 チームに撃破報告をし、2人は右手だけでハイタッチを交わした

 

 

 少し時間を遡り、スナイパー同士の対決の銃士X。しかしブラックアロー側のスナイパーであるシノンをまだ発見できずにいた

 

「いるとしたら森の中、ですかね?」

 

「相手の射程は1000を越えてる。可能性はあるわね。対してこちらは800がやっと・・・」

 

 スポッターを兼任するサポートメンバーが双眼鏡で森を監視する

 

『イクスさん援護ください!』

 

 っとそこに闇風に付いているサポートメンバーからの叫ぶような援護要請が入ってくる。銃士Xが闇風の戦闘を狙撃銃のスコープで覗く・・・すると、銃を無くした闇風を守るサポートメンバーの姿があった

 

「チッ」

 

 仕方なく闇風の援護に入る銃士X。ジェーンに向かってバレットサークルを合わせ撃ち込む。射撃を止めて回避行動をとったジェーンに追加で2発ほど撃って牽制し、闇風から遠ざけさせる

 すると、ジェーンがステアーAUGを銃士Xのほうに向けた

 

「?・・・っ?!」

 

 チームメイトの銃で、明らかに持て余している感のあるジェーンに、『ここを狙えるのか?』と不信に思っていた銃士Xだったが、直後に精確に自身に伸びてきたバレットラインに驚く。すぐにサポートメンバーの盾に隠れて銃弾を回避する

 

「!」

 

 同様にサポートメンバーの頭にもバレットラインが伸び、彼は慌てて盾に身を隠す

 

「精確な射撃・・・あの人もスナイパーなのでしょうか?」

 

「いや、たぶん違う・・・あの銃はもう1人が持ってたものよ。スナイパーなら自前で狙撃銃を持つはず」

 

 銃士Xがそうっと盾から顔を出してジェーンのほうを覗く。すぐにジェーンの持つ銃からバレットラインが彼女の顔まで伸びてきた。顔を引っ込め、飛んできた弾丸が盾の横を通過する

 

「あの人は確かトラップ使い・・・なら高DEX値によるゴリ押しの狙撃だわ。アサルトライフルを単射で撃てば、銃の習熟度不足による弾のバラつきは起きない」

 

 ジェーンの精密射撃の理屈は、銃士Xの推理どおりであった。製作者ビルドによる高DEX値で精確に狙いを定め、大きさが変化するバレットサークルの中で、一番小さくなったタイミングで撃つ・・・それだけであった。バレットサークルを用いた場合の狙撃は、難しい計算など必要の無い単純なタイミング勝負である

 

「それでも、牽制としては十分の意味がある・・・」

 

 そんなジェーンの拙い狙撃だが、闇風の援護どころか、シノンの捜索すら行えなくなった現状を考えると、効果は絶大である。ジェーンの周りに遮蔽物はなく、一見狙われ放題だが、本戦も終盤で他チームの横入りの可能性が低い中では、その堂々さも立派な戦法である。今のジェーンは、盾から顔を出そうとする2人を押し戻すモグラ叩きをしているような状態である

 

 っとそのとき、北西方面で爆発が起こる。同時にチームメイトのベヒモスと彼に付いていたサポートメンバーの欄がDEADの表示に変わる

 

「ベヒモスさんたちが倒された?!」

 

 この後、ベヒモスたちを倒した2人が、自分たちの背後を突くことは容易に想像でき、切迫した状態に陥る銃士Xたち。彼女たちからすれば、只管に目の前の敵と戦ってるだけの闇風たちのほうが、楽そうに思えるほどである

 

「仕方ない、こっちは闇風に任せて、私たちが北西方面に・・・」

 

 シノンの捜索を諦め、ベヒモスを倒したレンとユウキにマッチアップをすることを決める銃士X

 しかし、それをジェーンは許さなかった。ジェーンは、ラッシュが落としたもう1つの武器であるM320グレネードランチャーを構え、盾に向かってグレネード弾を撃ち込む

 

「グオッ?!」

 

 爆発の衝撃で盾ごと吹き飛ばされるサポートメンバー。それにより、銃士Xは遮蔽物がない状態に晒される。そんな中で、ジェーンが再びステアーAUGを向けようとする

 

「早撃ちならっ!」

 

 ジェーンに撃たれるよりも早く撃とうと、銃を構えて狙いを定める・・・が、ジェーンが狙ったのはサポートメンバーのほうであった

 

「私じゃない?!・・・っ!」

 

 ジェーンの狙いに気付くも既に遅く、彼女たちの予想通り森にいたシノンから長距離狙撃で放たれた弾が、ジェーンや闇風たちを飛び越え、銃士Xの体は上下に割ったのだった

 同時に、倒れているサポートメンバーにもジェーンが撃ち込み。DEAD表示が上がった




 ラッシュ対闇風は一旦置いといて・・・

 レンとユウキ対ベヒモスとサポートさん
 ミニガン使いがいるなら、もしかしてストパンの某お姉ちゃんスタイルの両手MG42とか出てこないのかな?
 ベヒモス付きのサポートさんはポーターがメイン

 ベヒモス側寄りの視点
 GGOでは、ミニガンのバッテリーはどういう設定になってるんだろう?
 サポートさんが持ってる盾は、素材はMの盾と同じ。そういえばこの作品ではMは盾を使わなかったな・・・

 シノン対銃士X
 ・・・かと思いきや、銃士Xの相手は初めはジェーン。シノンはごっつぁんゴール
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