「あとはお前ら2人だけのようだな」
ベヒモス、銃士Xが死亡し、闇風のチームは闇風と彼と行動するサポートメンバーの2人だけになる。ラッシュが勝敗はついたとばかりに余裕そうな態度を取る
「ま、俺たちがチームワークについて偉そうに言えた立場じゃないが、もうちょっとチームメイトを頼ってもよかったんじゃねーか?」
「そうだな・・・今回の大会は反省材料が多く出た。次はもっと連携について詰めてくるさ」
だが・・・っと闇風はサポートメンバーの盾から体を出して言葉を続ける
「それは終わってからの話だ・・・ここで即降りなんてツマラン真似はせん。例え負けようが、1人くらいは連れて行くぞ」
「銃も無いのにか?」
「お前こそ、俺に当てられるのか?」
睨み合うラッシュと闇風。デザートイーグル片手に適度に脱力して立つラッシュ。対して闇風は腰を低く構え、駆け出すタイミングを計る
「っ!」
シノンからの狙撃を警戒し、睨み合いもそこそこに闇風は駆け出す。目的はラッシュの後方に転がっている自身の銃。格闘戦に引き込まれないように、ラッシュには近付かずに迂回するルートを選ぶ。そしてサポートメンバーが盾を構えたままラッシュに向かって突撃する
「盾持ちを囮にする単純な時間稼ぎか。この状況で武器を持ってない盾持ちを相手にする必要はねぇよ」
闇風に向けたデザートイーグルからバレットラインが伸びる。射撃を妨害しようと、盾ごと体当たりするかのように突っ込むサポートメンバー。それが当たる直前で、ラッシュが少し位置をズラして回避する。盾の重さのせいで急に止まれず、盾の横からサポートメンバーの体が隙だらけに晒される
「ほうら、よっと!!」
「ガッ?!」
横から蹴りを入れてサポートメンバーを転ばせる。そんなラッシュの下にプラズマグレネードが落下してくる
「盾持ちごとかよっ!割り切ってんな!」
走って逃げるラッシュ、最後はヘッドスライディングのごとく飛び込みで、ギリギリ爆発範囲外に逃げ仰せて生還することに成功する。なお、着地はズサーっとはいかず、片手を地面についてからの半回転捻りを無駄にキメて足から着地した
ラッシュがそんなことをしている間に、闇風は一気に自身の銃の位置まで駆けていく
「
自身の銃に手が届く距離まで近付いた闇風。しかしそこで、自分が踏んだ地面から、カチリと嫌な音がする
その瞬間、闇風の中に色々な思考が駆け巡る・・・
なぜ、奪った銃を壊さなかったのか?
なぜ、ベヒモスや銃士Xたちが倒された今も、ラッシュが1人で自分たちの相手をしているのか?
なぜ、こうも簡単に銃を拾いに来れたのか?
奪った銃は囮に・・・
すでにラッシュ以外のメンバーの行動が終わっていた・・・
銃を落とした場所にはトラップが、そこに自分は誘導された・・・
「ハメやがったな、コノヤロー!」
このまま闇風が足を動かさず、地面を踏んだままならば地雷は爆発はしない・・・しないが、スピードに乗ったAGI型は急に止まれない。どれだけ踏ん張ろうと体の勢いは止まらず、とうとう足が地面から離れた。次の瞬間、その地面が爆ぜ、連鎖して付近の地雷も爆発する
「さよーならー」
「闇風さん?!」
ラッシュが暢気に爆発に向かって手を振る。プラズマグレネードを盾で防ぎ、生き残ったサポートメンバーが叫ぶが、爆発の煙が収まるとそこには下半身の無い闇風の体・・・そしてDEAD表示が上がる
「闇風、お前は強かったよ・・・だが、チームでかかれば、お前もこんなもんさ・・・」
妙なキメ顔で呟くラッシュであった。すでに生き残りのサポートメンバーには興味も無く、彼自身も降参の操作をしてバタリと倒れる
「んー、まだ終わってないってことは、前のスキャンでビル街に向かってたチームと住宅街にいたチームが生きてるってことか・・・森の際辺りまで戻ってスキャン待機するか」
・
・
「いよいよ最後の戦いだ。まさかここまで来れるとは・・・」
住宅地エリアのビル街との境界付近、荒れ果てた住居の中で、GGOでは珍しい女性プレイヤーが3人、車座に固まっていた
女性だけで組まれたチームSHINC・・・彼女たちがブラックアローと同じく生き残ったチームである。ブラックアローが去った後のビル街でMMTMとの戦闘に辛くも勝利をし、ブラックアローとの最後の決戦に望む
「しかしこちらは既に手負い・・・」
チームリーダーのエヴァは生き残ったチームメイトであるトーマとターニャに視線を向ける。先ほどのMMTMとの戦いで、チームのタンク役であるローザとソフィー、アタッカー役のアンナは死亡してしまっていた
敵も味方も死亡する壮絶な消耗戦の中で、勝敗を分けたのは手に入れた乗り物の違いであった。MMTMの手に入れたホバークラフトは水上では高い機動性を発揮したが、陸上で瓦礫の多いビル街では速度が出せなかった。対して、軍用トラックを手に入れたSHINCは、トラックを盾にして陣地を構築、真っ向からMMTMを迎え撃った。結果として、軍用トラックの高耐久値に助けられ、SHINCはMMTMを撃破することに成功する
「最後の相手はブラックアローか、闇風のチームあたりだろう・・・このメンバーで勝てる可能性は低い。降りたいなら、今のうちに言っておけ」
「まさか」
「ここで降りたら、死んでいったローザたちに合わす顔がねぇよ」
リーダーとして、降参の選択肢を提示するエヴァだが、2人ともそんな気はサラサラ無いと言わんばかりに戦う気を見せる
「なら、これから山岳地帯に向け、突撃を行う。作戦は無い。相手に潰されるか、こちらが食い破るかだ!」
「「了解!」」
3人は立ち上がり、住居から出る。そして北に向かって駆け足で移動し始める。そこから森の際を通って山岳地帯に向かう腹積もりであった
・
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「最後の敵は住宅地とビル街の境界あたりか・・・向こうからも接近してきてないと10分じゃ接敵は難しいな。移動しながら次のスキャンだな。森の際を移動して北から住宅地に入る班と、一旦南下して沼地沿いに西から住宅地に入る班、2つに分かれて移動しよう」
スキャンの結果を地面に投影して見ながら、ラッシュが行動方針を提案する。生き残りが自分たち含め2チームだけとはいえ、油断をせずに優勝を狙いにいくため、チームを分けて行動という安全策を取る
「もし、相手がこっちに向かってくるなら北ルートで行く班が、住宅地エリアで待ち伏せするなら西ルートで行く班が接敵する可能性が高いだろう。どっちが接敵しようが、もう片方がその背後を突くことになるから、どう分けてもあまり変わんねーな」
「なら、私は西ルートで行くわ。いい加減森から出たいわ」
「そんじゃ、俺も西ルートになるな」
ラッシュの作戦を聞き、シノンは沼地沿いに降りる西ルートを選んだ。と同時に、彼女の弾薬運搬役の店主も西ルートが決定する
「っとなると、後衛2人だから一応残り1人は前衛で・・・ユウキ、いいか?」
「オッケイ」
バランスを考え、ユウキを西ルートに振り分け、残ったラッシュ、レン、ジェーンが北ルートと班が決定する
「接敵したら、基本は時間稼ぎに務めて、もう片方の到着を待て。攻めるのはその後だ」
「わかったわ」
沼地沿いまで降りていくシノンたち西ルート班を見送り、ラッシュたち北ルート班も移動を始める
「あの、ところでジェーンさんや、
「あら、返さなきゃダメ?狙撃結構楽しかったのに・・・」
「・・・なら、いいっす。とりあえずこの本戦中は使ってて・・・」
気に入ったと言わんばかりにニッコリと笑うジェーンに、ラッシュが折れる
「この本戦が終わったら、狙撃銃買ってみようかしら・・・」
「おいおい・・・」
狙撃の楽しさに目覚めたジェーンにラッシュは、やや呆れの目を向ける
高DEX値を持つジェーンならば、狙撃だけなら習得することはできるだろう・・・しかし、狙撃手というスタイルは、ただ長距離の的に命中させれば、それで成り立つスタイルでもない。位置取りや索敵などのスキルも必要であり、また最近広まりつつあるプレイヤースキルによるラインなし狙撃もこれからは必須技能となる
―そこまで極めるつもりなのか・・・?年齢考え・・・
「ラッシュ君?今何考えたの?」
「は、はひ?」
ラッシュの心を読んだかのようにジェーンが銃口をラッシュに向けた
「戦場での上官の死因の何パーセントかは部下の謀反なのよ?」
「じょ、冗談キツいっすよ、ジェーンさん・・・」
ニッコリと目の笑っていない笑顔で引き金に指をかけ、銃口からバレットラインが伸びる。それに対して両手を上げて、降参の意を示すラッシュ
「優勝争い中に仲間割れで自滅は流石に・・・」
「なら、戦いに集中することね」
静かな怒りを感じる低いトーンの声で注意したジェーンは引き金から指を外し、銃を下ろした
「ホッ・・・レン、先行してくれ。もし敵が北ルートでくるなら、できれば森に着くまでに発見したい」
「あ、うん、わかった」
レンが先行して森を進み、ラッシュとジェーンは、住宅地に入って北の道路沿いに進行する
しばらく進み、森の中のレンが、ビル街と住宅地の境界を望める位置までたどり着く
『あ』
「敵か?」
『うん、見つけた・・・だけど3人だけ』
「3人?」
―向こうもチームを分けた?ならシノンたちをこちらに呼ぶのは逆に危険か?
レンの報告に、ラッシュは相手の作戦を読む
『こっちに来るよ。森を通って私たちのいた山岳地帯の方に行くのかな?』
「かもしれん。ヤツらは先行部隊ってトコか・・・」
『最初から3人のチームとか?あるいは途中で仲間は死んじゃったとかは?』
「ありえるが、そうだとわかるまでは、基本相手は6人チームで全員生存していると想定して戦う。楽観視して負けるのはカッコ悪いだろ」
っとラッシュが腕時計でスキャンまでの時間を確認する
「恐らく森に入る手前あたりで、次のスキャンになる・・・そこで相手は西ルート班のほうへ向かいだす。そこを叩くぞ」
『わかった』
「西ルート班、まだ敵チームの全戦力の位置がわかっていない。まずはこっちだけで相手を叩いて残りを誘き出すから、背後を突くのはそれまで待て」
『了解よ』
そして、スキャンの時間が近付き、SHINCの3人が身を隠すために住宅地エリアの一番北東の角地の住居に入る。レンからは道路一本挟んだ向かい側、ラッシュやジェーンからは東に住居3軒の位置であった
「敵は北東の角地の住居に入った・・・他に位置に表示が出たら別動隊だ。そうじゃなくても油断はできんがな」
『わかった。スキャンを確認する』
スキャンが始まり、通信の向こうで西ルート班の店主が結果を確認する
『・・・ラッシュが言った場所に表示が出た。とりあえず、そいつらが本隊ではあるってことか?』
「そういうことだな・・・そっちに向かいだして、少ししたら仕掛ける。西ルート班はゆっくり移動を続けてくれ」
「彼女たち裏口に回ったわよ」
「ん、わかった・・・レン、音を立てないように俺の正面の茂みまで移動してから真っ直ぐ道路を渡ってきてくれ」
SHINCが1本南の通りに移動したのを受け、森に隠れているレンを呼び寄せる
レンが合流し、仕掛けるタイミングを読む
「よし、行くぞ」
ブラックアロー対闇風のチーム、決着
闇風のチームはSJ2では、ちゃんとチームで戦うことでしょう・・・さて、なんとなくで組ませたこのチームは、どう連携するんだろうか・・・?
相変わらず、真っ向勝負は避けるラッシュ
LUK型だから仕方ないね
最後の相手はSHINC
原作でのSHINCとMMTMの実力差が、どれだけあるのかわかりませんが、ここではSHINCが生き残ったということで・・・
正直この作品のレンは、1対6でもSHINCに勝つんじゃ?と思ってる
ブラックアローも行動開始
ジェーンさん狙撃に興味が出るの巻。DEXが高いトラップ使いとビルドの相性もいいし、両立はできるかな?ただ、ブラックアローにはシノンがいるので、住み分けできるような狙撃手にしないと・・・
リアルではジェーンのほうが上司だが、大会中はブラックアローの実質リーダーであるラッシュを上官としている
そういえば・・・
アニメでSJ2の、ピトが狙撃される前のスキャンの時間を確認するとき、レンがG●ョックみたいな腕時計を見て時間を確認してたけど、GGOってそういうアクセサリー系ブランドとも提携してるのかね?