GGOで好き勝手書いてみた短編集   作:rockless

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GGOのラックの省略表記がLUKじゃなくてLUCだった件・・・どうでもいいか


戦争のお時間

 荒野を1台のハンヴィーが走行していた

 

「あーあー、テステス、マイクチェック。本日は晴天なり」

 

『リアルは雨だけどね』

 

『それな』

 

『まったく折角の日曜日に雨なんて・・・』

 

 銃座に就いているラッシュがインカムの調子を確認していたが、車内の3人から鬱陶しそうに返され、涙目になる。そもそもGGO内では、専用の妨害機器を使用されない限りはインカムが不調になることはないので、敵のいない現状で確認する意味すらないのである

 

「にしても、決行日がちょうどリアルが雨でよかったな。しかも全国的に雨ときた」

 

『あぁ、休日の日曜日に雨とくれば、プレイヤーはほぼログインしてるだろうさ。おまけに、こっちは今日まで一切動きを隠してない。どんなバカでも、なんかやらかすと気付いてるだろうさ。それを予見して逃げるやつらなら、最初から仕掛けては来ない』

 

『もしかしたら、向こうのプレイヤーたちが結託してるかもしれないわね』

 

『かもな。どちらにせよこれから行く先にいる奴らが全部、俺らの敵であることに変わりは無いが』 

 

 1回の戦争で敵をまとめて皆殺しにできるように、店主が意図的な情報流出をして敵側を動かしていた。面倒事が嫌いなラッシュは、1回で済ませられるならと、それを知っていながら放置していた

 

『大丈夫かな・・・?』

 

『大丈夫よ。この数日間、ラッシュに付き合ってMOB狩りして、キャラの強化とプレイヤースキルを練習したんでしょ?』

 

「あぁ、結構筋がいいから、あっという間にモノになった。ぶっちゃけ強いよ。戦術の読み合いなんかはまだ経験不足だけどな。見えてる目の前の敵ととにかく戦えって場面なら、BoBファイナリストクラスに匹敵するだろうさ」

 

 これからの激戦に、レンが不安になる。しかし、シノンが言ったとおり、戦争の準備と平行してレンはラッシュから戦闘の訓練を受けていた。MOB狩りをしてキャラのレベルを上げ、クレジットを稼いで装備を更新し、ラッシュからプレイヤースキルを学んでいた。この数日間で、レンの強さは格段に向上していた

 

『にしてもラッシュよ?お前のその格好はなんだ?』

 

「これからカチコミに行くんだから、正装するのが礼儀だろ」

 

 店主の指摘に、ラッシュがさも当たり前のように返した。そんなラッシュの格好とは、高級感のある上下黒のスーツに、真っ赤なワイシャツ、元から金色だったアバターの髪をオールバックにまでして、●クザと見紛う格好であった。首にはLUK型を示すかのように金色の四葉のクローバーのペンダントをしていた

 

「キマッてるだろ?防弾素材を使ってDEF(防御力)との両立したから結構高かったんだぜ」

 

『アホだ』

 

『アホね』

 

『アハハ・・・』

 

 酷評の店主とシノン。自身もピンク一色のレンは苦笑いを浮かべることしかできなかった。そんなレンも、ラッシュからのアドバイスで、目元を隠すミラータイプのゴーグルを着けていた

 

「おっと、そんなことよりお迎えがきたようだ」

 

 ラッシュがそう言うと同時に、銃座のM240機関銃を構える。待ち伏せをするために隠れていた敵のハンヴィーが3台、加速して追いかけてきた

 

「こないだの奴らかよ。燃えた1台を新調したようだな」

 

 ラッシュの見立てどおり、以前シノンをバギーに乗せたときに襲ってきたプレイヤーたちのようで、燃えてスクラップになった1台を新たに購入、他の2台を修理して使い続けているようだった

 

『面倒だ。全部スクラップにしちまえ』

 

「当然」

 

 敵のハンヴィーの銃座からM249軽機関銃の射撃が行われる。しかし、以前に比べて弾幕が薄かった

 

「持続射撃してーのか、弾代ケチりてーのか知らんが、そんなチマチマした射撃が意味あると思ってんのか?」

 

 発射レートを毎分100発に落とされたM249軽機関銃の発射に対し、ラッシュが銃座からM240機関銃で7.62ミリ弾を撃ち返す。初期設定の発射レートである毎分750発もの早さで連射される弾丸で、敵ハンヴィーの運転席を集中的に攻撃。最初の十数発はフロントウィンドウが耐えたものの、その後は貫通を許し、運転席のプレイヤーは死亡した

 

『ブローニングM2ならもっと楽にやれるのに』

 

「そういうなら、ヘカートⅡでやってくれよ」

 

 失速していく敵ハンヴィーの進路にラッシュはハンドグレネードを投げ落とす。敵ハンヴィーの真下でそれは爆発し、銃座のプレイヤーごと敵ハンヴィーを完全に破壊する

 そんな攻撃の様子を窓から見ていたシノンがじれったそうに言い、2台目への攻撃に移っているラッシュが返す

 

『嫌よ。50キャリバーは安くないのよ。この先でたっぷり使うから無駄撃ちしたくないわ』

 

「それの本来の用途は対物だろー!」

 

 シノンの拒否に、ラッシュは叫びながら2台目の運転手を殺した。それと同時に100発給弾のベルトを1本撃ち尽くした。1台目と同様にハンドグレネードで2台目を処理する

 

「だー、めんどくせー!」

 

 給弾ベルトの交換の手間を惜しみ、M320グレネードランチャーで40ミリグレネードを3台目に放った。ボンネット上で榴弾が爆発し、衝撃波と弾殻の破片がフロントウィンドウを破壊して運転手を殺すと同時に、ボンネットを突き破ってエンジンを破壊した

 

「クソッ、50キャリバーより数を用意してない40ミリグレネードを使ってしまった・・・」

 

『このチーム、大丈夫かな・・・?』

 

『さぁな・・・ま、鉄火場になればキッチリ呼吸を合わすだろうさ』

 

 

 荒野の先にある遺跡を模したダンジョン。その中層にある少し開けた空間。バラけて沸くMOBを集めて一網打尽にすれば、それはそれは美味しい狩場になる、ラッシュのお気に入りの狩場の1つだった場所。そんな場所に4,50人ほどのプレイヤーが集まっていた。MOBが沸くにもかかわらず、誰一人として光学銃を装備していない異様な集団である

 

「道中の襲撃を担当した奴らから連絡が来た。全員やられてグロッケン送りだとよ」

 

「使えねーな、おい」

 

「ま、元々あいつらで片付くとは、欠片も思ってなかったがな」

 

 そんな言葉に、集団に下品な笑いが広がっていく

 

「それで?ここにはいつ来るんだ?」

 

「まぁ待てよ。上の遺跡入り口にスカウトを忍ばせてるから、そっちからの連絡待ちだ」

 

「早く来ねーかなぁ。ここでぶち殺すために、わざわざ遺跡内の道中にトラップを1つも仕掛けなかったんだからな」

 

 集団のプレイヤーたちは、これから来るラッシュたち4人を殺すために集まった傭兵であった。もはやドロップ漁りのプレイヤーたちは、襲撃による弾代の出費と狩場の利益が割に合わないとほとんど撤退してしまっていた。一部諦めの悪いのが商人ロールのプレイヤー同様に傭兵を雇ってこの場に送り込んでいた

 

「まだ連絡は無いのかよ?」

 

「そう慌てるなって、仮に連絡あったからって、そこから徒歩でここまで降りて来るんだ。まだまだかかる・・・」

 

 だろうよ。っと言いかけたプレイヤーの言葉が止まった。否、この場にいるプレイヤーが動きを止めた。普段、ダンジョン内ではまず聞こえない種類の音が聞こえ出したからだ

 

 それは車の、エンジン音だ!

 

「襲撃だ!来やがった!奴らダンジョン内をハンヴィーで突っ込んできてるぞ!」

 

「イカレてるぜ!!」

 

「スカウトの連中はどうなってんだよ?!」

 

 一気に慌しくなる集団。準備もまだ整わないそんな集団の前に、ハンヴィーが1台突入してくる

 

「ハロー!ご機嫌いかが?!」

 

 銃座から7.62ミリで掃射しながらラッシュが集団に向かって叫ぶ。ハンヴィーは開けた空間でドリフトターンで車体を180度旋回、銃座のラッシュもそれに合わせて動いて照準を集団からブレさせない

 

「パーティーだ!盛り上がっていこうぜ!!」

 

 ベルト1本撃ち尽くすと、銃座からルーフに登ってM320グレネードランチャーを発射、HPの削れていたプレイヤーをまとめて死亡させる。そのままラッシュはルーフから飛び降り集団に突撃する

 後部座席のドアからレンが飛び出てラッシュに続き、ハンヴィーは一旦入ってきた道を戻って戦場を離脱する

 

「敵は2人だ!殺せ!ぶっ殺せ!グホォアッ!」

 

「指示がないと動けねーのかよ?程度が知れるぜ」

 

 やたらと叫んでいたリーダー格と思われるプレイヤーに、ラッシュがセミオートショットガンのスパス15で軍用の6粒の散弾をお見舞いした。自動小銃を構えていたそのプレイヤーは、頭部、左肩、左肺、腹部2箇所、左大腿部に弾を喰らい死亡した

 

「さぁ踊れ!つまんねーステップ踏んでるヤツからブチ抜いてやる」

 

 それにしてもこの男ノリノリである

 

 

 

 一方そのころレンは・・・

 

「ロリだ。ロリがいるぞ・・・」

 

「お嬢ちゃん、ここは危ないよ。お兄さんが殺して安全な場所に送ってあげ・・・っ?!」

 

 変態ロール(?)のプレイヤーがレンに狙いを定めた瞬間。レンの姿がブレて消えた。そのプレイヤーは次の瞬間、顔の下から不自然な風を感じ、目線を下に向けた

 

「確かにこの程度なら私でも戦えそうかも」

 

 1メートルも無い距離までレンが接近していて、下から自身の頭にミニUZIを向けられていた。そのまま9ミリの連射を喰らって変態は死亡した

 

「このロリ強いぞっ?!」

 

「うわ幼女つよい!」

 

 傭兵たちがレンに対する認識を改め、銃を向けた。だが、レンがミニUZIを横に振って薙ぎ払うように弾をバラ撒き、彼らは一瞬動きを止められてしまう

 

「ハッ、所詮は9パラだ。アーマー来てりゃダメージなんざ・・・」

 

 弾を喰らった1人が少ない被ダメージ量に強気に出ようとしたそのとき、足元にハンドグレネードがコロコロと転がってきた

 

「グ、グレネッ?!」

 

 最後まで言い切りことなく爆発に巻き込まれ、まとめてグロッケンに送り返された。その間にレンは空になったマガジンを交換して次の敵に向かっていた

 

「なんだこの幼女?!中身闇風かよ?!」

 

「幼女怖い!」

 

 かのGGO対人戦最強と謳われるプレイヤー、闇風を彷彿とさせる戦闘スタイルに、傭兵たちが恐怖する

 そこへ、一時戦場を離脱していたハンヴィーが戻ってくる。銃座にはヘカートⅡを構えたシノンがいる

 

『どんくらいヤってる?』

 

「多くて10人くらいってとこよ。よかったわ。出番が残ってて」

 

 っと言って歯を見せて笑みを浮かべ、狙撃に入るシノン。50メートルもない距離の狙撃に、バレットラインによる予告などもはや意味は無く、傭兵は頭をブチ抜かれた

 

『一応言っとくが、お前さんの最優先事項はこのハンヴィーの防衛だからな。2人の支援はその次だ。歩いてグロッケンまで帰りたくなかったら、キッチリ役割を全うしておくれよ』

 

「わかってるわよ」

 

 運転席の窓から1人、高みの見物と洒落込む店主であった

 

 

 快進撃を続ける4人(3人?)。ラッシュとレンが集団の中に飛び込んで戦っているため、敵が同士討ちを警戒して攻撃しにくい状況であることも大きく、すでに30人以上をグロッケンに送り返していた

 

「なんかさっきから、予測線のない弾が飛んできてんだよな・・・」

 

 ラッシュが戦いながら、自らを掠めるように飛んでいく弾に不思議がる。1射目を射撃後は強制的に発見状態となり、一定秒数後の認識リセットが行われるまでバレットラインが表示される仕様のGGOにおいて、それは違和感のあるものであった

 

「シノン、なんかラインが見えない射撃で俺を狙ってる奴がいる。頼めるか?」

 

『わかったわ』

 

 インカムに手を当ててオンマイクにしてシノンに支援を要請する。集団の中でも1人だけスーツ姿の異様なラッシュはすぐに見つかり、スコープ越しにラッシュを見た。相手をしている傭兵たちとは別の方向から弾が飛んできているのが見え、それを追って射手の居場所を探すと、戦場の隅にある倒れた柱を台にして、狙撃をしている大男がいた

 

「なるほど、トリガーに指をかけると同時に引くことで、バレットラインが出ないわけね。そんな方法があったとはね・・・ラッシュ、少しだけ耐えてなさい。どうせ当たってないならいいでしょ?」

 

『なるべく早くしてくれよ?』

 

 シノンは敵スナイパーの動きを観察し、ライン無し狙撃の原理を見破った

 

「ちょっとアンタ、銃座(ここ)に就きなさい。優先順位が変わったわ」

 

「オーライ。だが期待せんでくれよ」

 

「歩いて帰りたくないなら、しっかりやることね」

 

 シノンは銃座からルーフに登り伏射の体勢になると、敵スナイパーを狙う前に試しに他の傭兵を、同じ方法で狙ってみる

 

 ―トリガーに指をかけないから、バレットサークルも出ないってことね・・・

 

 シノンはとりあえずスコープに付けられた十字の照準を当てにして撃ってみた。しかし撃った弾は相手の頭上を通過して外れた

 

「オーケー、大体わかったわ。つまりはシステムアシスト無しの完全にマニュアルで照準を定めるわけね。上等よ。やってやるわ」

 

 たった1射でライン無し狙撃の理屈を理解したシノンは、いよいよ相手のスナイパーを狙う

 

 ―銃口初速825メートル毎秒の弾が、約50メートル進むのにかかる時間、その間に重力によって落ちる高さ。それと今のヘカートⅡのゼロインの距離を考えて・・・風は屋内だからほぼ考慮しないでいいだろう・・・

 

 シノンの頭の中で様々な計算がなされ、ヘカートⅡの照準が定まっていく。大きく息を吐き、集中を高める

 

 ―ここ!

 

 一気にトリガーに指をかけて引く。ガク引きによる照準のブレを警戒して、グリップを握る手にはやや力を込めて銃を固定する

 

「まぁ、ビギナーズラックってとこかしら?これは要練習ね・・・ラッシュ、敵スナイパー沈黙したわ」

 

 シノンが撃った弾は、敵スナイパーの頭にギリギリで命中し、大口径弾のインパクトダメージでHPを削りきって殺していた

 ふぅっと一息つき、少し疲れた声で目標の撃破を伝えたシノンだった

 

 

 

「スマン、助かった。別に当たりはせんがチラチラ飛んでる弾が見えて、気が散って仕方が無かったんだ」

 

「チッ、エムが死にやがった。あいつリアルで覚えてろよ・・・」

 

 狙撃の支援が途切れたこと、そしてラッシュがシノンに礼を言っている内容が聞こえ、スナイパーが死んだことを知り、舌打ちをした女性プレイヤーが1人。そのプレイヤーはラッシュに向かおうとして、付近にいた別の傭兵の腰にあるハンドグレネードを見つけ、ニヤリと顔を歪ませた

 

「おらよっと!」

 

 その傭兵をドロップキックでラッシュに向かってふっ飛ばす。それと同時に銃でグレネードを撃ち抜いた

 

「っ?!」

 

「なにしやが・・・」

 

 蹴り飛ばされたプレイヤーは、味方とは言わないまでも、最低限敵ではないとする協定を結んていた同じ傭兵からの攻撃に怒りを露にした。しかしグレネードが爆発寸前なため、ラッシュにショットガンを撃たれて押し返され、最後まで言い切る前に爆発四散した

 

「お前!なにやって・・・」

 

「敵の前でゴチャゴチャうっさいんだよ」

 

 女性の行為に文句を言おうとした傭兵が逆に女性に撃ち殺される

 

「なんだ仲間割れか」

 

「仲間?アハッ、仲間ねぇ?」

 

 ラッシュの言葉に、女性は狂ったように笑う

 

「命も匿名性も担保されたVRゲーで仲間?笑えるわ・・・笑いすぎて死んじゃいそう」

 

「あー・・・なら勝手に死んどけよ。笑って死ねるのはいいことだ」

 

 ラッシュは女性が狂人ロールだと思い、まともに付き合うと疲れそうだと適当に返した

 

「じゃあ殺してよ。じゃないと殺すから」

 

「おーおー、おっかねぇ。僕泣いちゃいそう」

 

 挑発に挑発で返して撃ち合いが始まる。しかしラッシュにとって敵は彼女だけではない。他の傭兵をSTR任せのスパス15の片手撃ちで片付けながら、左手でデザートイーグルを抜いて彼女に応戦する。LUK補正の効いた弾を彼女は避けてみせた

 

「ほう、避けることができるのか・・・レン、シノン、生きてるか?」

 

『生きてるよー』

 

『生きてるわよ』

 

 スパス15の弾が切れ、苦しくなってきたラッシュ。デザートイーグルで周りを牽制しつつ下がって距離を取り、インカムをオンマイクにして2人に生存確認の連絡を入れた

 

『俺はどうでもいいのか?』

 

「ハンヴィーさえ無事なら、俺が運転して帰るだけだからな。それより手練と当たった。ザコを裁きながらじゃ少しキツイ。フォローしてくれ」

 

 店主のツッコミを流しつつ、2人に援護を頼んだ。デザートイーグルの残弾を女性プレイヤーに連射する。デザートイーグルがホールドオープンすると同時に最後の弾が彼女の足を掠めた。命中により僅かな硬直が発生した隙に、ラッシュは急いである場所に向かう

 

『あの女ね?確かにやるわね。躊躇が無いっていうかなんていうか・・・』

 

『まるでタイのどこぞにある犯罪者の街から来たようなプレイヤーだな』

 

「あぁ、イカレ具合が特にな!こいつは俺がヤるから他を頼む」

 

 他の傭兵たちをレンとシノンに任せ、ラッシュは敵スナイパーが使用していた倒れた柱を飛び越え、一旦身を隠すと柱に背中を預けてスパス15とデザートイーグルのマガジンを交換する

 

「ったく、マガジンの装弾数が少ないのがコイツらの欠点なんだよなぁ。サブにマシピスでも持って来るんだった」

 

 スパス15もデザートイーグルもマガジンの装弾数が10発にも満たない

 ボヤいてる間に女性プレイヤーがラッシュに迫る。柱の上に飛び乗り、上からラッシュに銃を向ける

 

「休憩?殺してあげるからゆっくり休めよ!」

 

「吹くなよ死にたがり。深追いは二流のすることだぜ」

 

 ノールックでスパス15を彼女に向けて撃つ。彼女は咄嗟に仰け反って回避するが、6粒の内3粒が腹部と左右の胸下部(下チチ)に当たる

 

「っ!」

 

「残念、貧乳だったらもう2個は避けられたのになっ!!」

 

 散弾を喰らった衝撃で彼女の体は浮き上がり、空中で隙が生まれる

 

「コノヤロォッ!!」

 

「あばよ死にたがり。強かったが、つまんねーダンスだったぜ」

 

 ラッシュは仰向けになりながら柱を蹴って背中で地面を滑って距離をとり、彼女にスパス15を撃ち込み倒した

 

「絶対ぶっ殺してやる・・・」

 

 終始笑みを浮かべて戦っていた彼女だったが、最期は怒りに表情を染めてグロッケンに送り返されていった

 

「そんな捨て台詞は聞き飽きたよ。なんだ、死にたがりの癖に、やられりゃ怒りの感情も沸くんじゃねぇか」

 

『負けて怒ってたわけじゃないと思うけどなぁ・・・』

 

『ラッシュ最低』

 

 レンとシノンの冷たい声での非難がインカムに入り、ギョッとする。ラッシュは援護を頼むときにインカムをオンマイクにしてから、オフマイクにするのをすっかり忘れていたのだった。戦闘に夢中で普通にインカムで会話をしていたことに気付かなかったのだ

 

「え?なに?聞っこえなーい。インカムの不調かなー?」

 

 立ち上がったラッシュは、冷や汗が出てきた気がしたが、すっ呆けることにした

 

『まだ敵残ってんだから油断すんなよ。戦争は最後の1人を以って半分と思え、だ』

 

「手練はあいつくらいだろ。あとはザコばっかりだ」

 

 戦場を見回し、残りの敵戦力を分析する。ラッシュの言うとおり、残りは10人ちょっとだが、強そうなプレイヤーは見当たらないようだった

 

「ま、キッチリ全員グロッケンに送り返してやるさ。徒歩で帰らせるのは可哀想だからな」

 

 ちなみに、最後まで残った敵がグロッケンに送り返されたのは、この3分後にことである

 

 

「コレで全部かー?」

 

「えぇ、もう無いみたいよー」

 

 戦場に散らばっている、死亡したプレイヤーがドロップしていった銃を1箇所に集める

 

「おーおー、随分あるなー。これ全部売ったら30メガ(3000万)はいくな」

 

「ちょっと、もったいないかも・・・」

 

 山のように積み重ねられた銃を見て、レンが残念そうに言う。なんと積まれた銃の下には爆薬が仕掛けてあり、これから爆破して全ての銃を破壊するのだ

 

「ま、これで俺らも・・・ってか俺の店も、今回の戦争での収入はゼロで大赤字ってことだ。傭兵の雇い主共も大損こいたんだから、痛み分けってやつさ」

 

 店主が撮影端末を準備しながら淡々と事情を説明する

 ラッシュやレン、シノンは店主から報酬の100万クレジットが渡されるので収入が無いわけではない。しかし店主は今回の戦争で一切の収入は無く。その上さらに、3人の弾代、ハンヴィーに付けたM240機関銃の弾代に、ハンヴィー自体の燃料代と整備費、爆薬の費用などの支出があるのだ。その額は数百万クレジットに上る

 

「ちなみに俺も報酬の100万じゃ、このスーツのジャケットも買えんから、大損なんだけどな」

 

「そんなことは知らん」

 

「私も銃やゴーグル買ったから、丸々100万クレジットじゃないなぁ・・・」

 

「なら丸儲けは私だけね」

 

 シノンが少し勝ち誇った表情をした。今回の戦争の準備でシノンが新たに購入した装備は無く、弾は店主持ちなので経費に入らず、100万クレジット丸々懐に入ることになる。しかも戦いの中でバレットライン無しの狙撃という新たな技術まで学んだのだ。まさにシノンの一人勝ち状態であった

 

「よーし撮影準備できたぞー。そんじゃフィナーレだ」

 

 動画撮影を開始し、ハンドグレネードを1個投げる

 

「これにて戦争終結っと」

 

 グレネードの爆発が爆薬を誘爆させ、全ての銃の耐久値が一瞬で全損し、銃は木っ端微塵に吹き飛び、光となって消えていった

 

 

 

 この後に、特定のプレイヤーの狩場の占有や締め出しを禁止したりといった、所謂暗黙のルールが広められ、この1件は終息した・・・

 

 

 

 

 

 ・・・わけではなく

 

「全く、対MOB屋だからザコだって?騙しやがってあの糞バイヤー共」

 

「ぶっちゃけ、あいつがあの狩場を回せば、レア銃が多く出回るんだろ?いいんじゃね?」

 

「そうだな。俺ら対人戦屋からすればそっちのほうが得だし、ほっとこうぜ」

 

 傭兵として参加していた対人戦プレイヤーたちが、自分たちの利益を取り、雇い主だった小狡い商人ロールのプレイヤーたちと距離を置いたことで、本件は終息を迎えるのであった




 戦争編はっじまったよー、っで終わったよー
 以下後書きという名の言い訳集

 行きの車内、インカムはSAOⅡのシノンとダインのスコードロン対ベヘモスと対MOB屋の話のところで使ってるシーンがあったので出してみた
 ラッシュと店主のリアルのことを決めてないので、天気は全国的な感じに
 レンちゃん強化。ラッシュのレアドロ漁りに同行してレベリングとプレイヤースキル特訓。襲撃者への対処で実戦は経験済みだが、初めてのバギーの上以外での戦いにちょっと不安という感じ
 ラッシュの戦装束。防弾素材をふんだんに使用したスーツ。アホです。ただレンが目立つ格好なので、それで集中攻撃されないように、自身も目立つ格好をして敵の目を分散しようというちょっとした気遣いもあったり・・・

 敵のお迎え。以前出したハンヴィー部隊と同じプレイヤーたちという設定ですが、前回と違い容赦する必要がないので一方的かつ圧倒的に殲滅
 シノンさんはやらなくていいことはやらないメリハリの効いた仕事人タイプ

 戦場で待機する傭兵たち。MOBは邪魔なので別の場所に誘導済み。ぶっちゃけ烏合の衆。もう対MOB屋はほぼ撤退したが、狩場にラッシュに戻ってきてブラックアローが儲かることだけを妨害したいがために他の商人ロールが送り込んでいる感じ。事前に集まってる場所がゲーム内掲示板に漏れてるので、それをラッシュたちは見てやってきてる
 スカウトの対処は・・・
1.スカウトの存在を予見して、遺跡入り口からの視認距離外でレンをハンヴィーから降ろし、レンが迂回しながらダッシュで接近
2.スカウトの位置と人数を確認して、シノンの狙撃とレンのバックアタックで撃破
3.グロッケンに送り返されたスカウトが連絡を入れる前にハンヴィーで一気にダンジョンを下る(トラップや道中待ち伏せも警戒しての選択。解除や応戦してるヒマがないから凸った)
 たぶんこんな感じ。レンはサブでビームナイフ(光剣のナイフ版)を装備していたり・・・

 ラッシュのメインアーム登場。セミオートショットガン、スパス15。ショットガンだけどアサルトライフルのような形でマガジンが箱型でリロードが楽。だけど本編でもあるように装弾数が本体の薬室を入れても1桁。散弾がLUK補正で全て当たる鬼仕様
 ちなみに、LUK型ではあるが、LUK極ではないのでSTRはそこそこある設定です

 レンちゃんのとりあえずのメインアーム、ミニUZI。前話で想像してたマイクロUZI2丁持ちは、やっぱり片手が自由に使えたほうがいいか、と断念。ミニUZIならフォアグリップもあって連射を制御しやすいし、この後P90に持ち替えても違和感少ないかなと
 戦い方は原作同様のAGI型のオーソドックスで、ロリ体型なので闇風より性質が悪い。ラッシュからのアドバイスで着けた目元を隠すゴーグルのおかげで、視線で動きを読まれなくなって、原作の強さにより磨きがかかってる感じ

 敵側で原作キャラ、エム。エムのライン無し狙撃は、結局引き金に指を当てるのと撃つまでの時間が短すぎてラインやサークルが出ないだけで、システム的には引き金を指で引いてる間はそれらのシステムは働いてるわけなので、ラッシュのLUK補正の対象内です。さらに『ラインが見えない』『対多戦闘』という不利条件が、補正をより強くしてます

 シノン覚醒。原作キャリバー編でALOを初めて2週間以内で弓でシステムアシスト対応外の長距離狙撃をやってのけたという設定があったはずなので、ライン無し狙撃も素質はあるかと・・・でも今回の命中は銃の性能とリアルラックによるところが大きいかな?エムはまだ盾を持ってない設定です
 しかし、シノンがライン無し狙撃が使える設定でファントムバレット編に入ると、ペイルライダーのところで死銃を倒せるよね?どうしよう・・・

 エムが出てきたのでもう1人のほうも・・・あれは何フーイさんなんだろうね?エムとこのピトなんとかさんは雇われた傭兵ではなく、自由参加枠です。アニメしか見てないから何フーイさんの戦闘中の話し方がわからなくて、ただのキチガイになってしまった
 ()の人的なネタで貧乳ネタはタブーでしたってことで。匿名性が担保されててもセクハラはダメ、ゼッタイ。それのせいで強敵に勝ったのに、ラッシュへの評価が上がらない
 この2人はたぶんこれからも敵枠だと思います

 戦闘終了
 死んだプレイヤーが落としてった銃は、まとめてあぼーん。それを撮影して掲示板にアップして終了ってことで。武器壊されたプレイヤーたちは堪ったもんじゃないかもしれませんが、負けて失ったんだから文句を言う資格は無い。雇い主に補償してもらうか、運がなかったねってことで

 オチ?
 荒っぽいゲームだからこそ、強さを示したプレイヤーはリスペクトされ、それに抗うなら相応のリスクを負うのが当たり前というお話。妨害してた商人ロールは傭兵雇うだけじゃなく自分でも戦えってことで



 いやー頑張った。もう流石に続きは無い。無理
 時期的にもうファントムバレット編に入らないといけないし、そうなるとラッシュのリアルの設定も考えないといけないし、シノンがライン無し狙撃できるようになってるだろうから、展開も大きく変わるだろうし、BoBにはピトも出場してるみたいだから、仮にラッシュが参加したらひと悶着あるかもだし・・・頭ごっちゃだよ
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