するがモンキーもそろそろ終わりに近づいて来ていて、次くらいで終わりだと思います。次の投稿が何時になるかは、深く考えては負けです。気ままに書いていこうと思います。
センターが終わったあとも学校に来いと言われていたので先週まで行ってたんですがもうめんどくさくなりましたサボってます。まあいいです。その期間授業には出ていたけれどずっと本を読んでいました。おかげでキノの旅を21まで読み物語シリーズを傾まで読み他にもいろいろ読めました、楽しかったです。
あ、先日初めて活動報告なるものを書きました。この作品についても少し触れております、ぜひお時間のある時に一読していただければと思います。
では。
翌日、いつも通りに卒業までのカウントダウンをひとつ下げるべく俺は高校へ向かっていた。
もうすぐ校門に着く、という所でうちの制服を着た女子がブロック塀に寄りかかっているのを見つけた。
顔が分かる距離まで来た時、一瞬知らない人かと思ったほどその顔は沈んでいた。
彼女──神原駿河から、昨日の溌剌とした雰囲気が完全に霧散していた。
彼女の前で自転車を止め左足を地につける。手を伸ばせば触れられる距離だと言うのに、彼女はこちらに一瞥もくれない。
「…なにしてんだ」
「──ぁあ、比企谷先輩。少しいいだろうか」
声をかけてようやくこちらを認識してくれたらしい。首肯を返して右足も降ろし前へ歩き出す。神原もこちらの意図を察してくれたか、横をついてきた。
「──昨晩、阿良々木先輩を殺しに行った…行ってしまった」
「…そうか、どうだった」
「ボコボコにしてしまったタコ殴りにしてしまった挙句の果てにはっ!…線路へ殴り飛ばしてしまった」
「ほう、そこまで出来るのか。さすがに死んだか?あいつ」
「何故そう平然としていられるんだ!私にはっ!…理解、出来ない…」
本当に理解出来ていない様子の神原だった。
まあ、それも当然と言えよう。普通の人はそれだけで死ぬ。こんな身の上になったから言えることかもしれないが──。
人とは、なんと儚く脆く。
故に、美しいのだろう。
──らしくないことを言った。どうか忘れて欲しい。
「まあお前は知らないから当然だ」
「…どういうことだ?」
「昨日仄めかしたが阿良々木も俺も『普通』じゃない。特に阿良々木はその程度では死なない、死ねないんだ」
今のあいつを殺そうとするのなら失血死で殺そうとしてもそうそう死なないし、酸やアルカリをぶっかけてもすぐ修復されるし──手足を縛って海に放れば死ぬかもな。
つまり電車にひかれたとしてもあいつは死なないだろう…多分。
いや待ってちょっと不安になってきた。あいつ最後に血を吸われたのいつだ?今日吸ってもらうつもりだったらまずいかもしれん…。
「比企谷先輩も…なのか?」
「俺か?俺はあいつよりも死にやすい…けどまあ、身体能力が上がってる」
「私と競走しないか?」
「嫌だ、目立ちたくない」
どうやら神原はひとまず安心したようだった。うん、俺の方が不安になってきたことは黙っておこう、そうしよう。
「学校に行けばいつも通りケロッと座席に座ってるだろうよ」
「そうか…なら、いい」
神原はそう言ってこちらを向き微笑む。
その顔からは憂いが滲み出ていた。何故だ、こいつは確かに阿良々木が死んでいないか懸念していたはず。それを俺が取り払った以上、こいつが気にする事は何も無いはずなんだが。
「では私は一足先に学校へ行かせてもらうな、ありがとう比企谷先輩!」
そういうとすぐにバビューンと行ってしまった。
マジではやい、オリンピックに出ねえかなあいつ。
走っていった神原を見送って俺も学校へ向かおうとした時。
「あ、比企谷さーん」
「──おお、お前か」
後ろから声をかけられた。名字が珍しい以上俺のことを呼んでいるはずだと振り返るとそこに居たのは迷える小公女セーラ…じゃなくて、八九寺真宵だった。
声をかけてきたのがそこそこ遠方だったため、会話するために近づいてくるのに時間がかかる八九寺。
「見えるんですね、帰りたくないんですか?」
「あほ、むしろ帰りたいわ。今すぐ帰って布団で寝てえ」
「ニートですか」
人間誰だって働きたくないものだろ。
「先ほどのお方は?」
「見てたのかよ…神原駿河っていう、まあ俺たちの後輩?ってことになるか」
思えば妙な縁である。今まで後輩なんていなかったのに、突然できた後輩と言える相手が校内の人気者だなんてな。
俺は中学からずっと帰宅部だった。それは別に俺がぼっちだったからではない、あの頃は俺もまだ純粋な部分があって部活に入れば友達できるかな照れ照れとか思ってた。だがちょうど俺が中学に入ったあたりで小町が目に見えて気分がすぐれない日が続いていたために、そちらを優先していたらいつの間にか部活に入る期間を過ぎていて諦めたのだ。
きっと小町の気が沈んでいた理由はよく家に遊びに来ていた友達が来なくなったことに関係するだろうが、まあそれは後々話すこととしよう。
「なるほど、頑張る鶴瓶さんですか」
「神原駿河だ、どんな間違え方だよ」
「失礼、噛みました」
「違う、わざとだろ」
「かみまみた」
「それもわざとだ」
「な、阿良々木さんには効いたのに!!」
「阿良々木ェ…」
阿良々木のノリの良さか頭の悪さを再認識したのだった。
どのみち碌でもないものを確認してしまった。
「っと、悪いな八九寺。そろそろ行かないと遅刻する」
「阿良々木さんなら学校より私を優先します」
「馬鹿か、俺はお前と学校を天秤に乗せてない」
「そうなんですか」
俺が天秤に乗せているもの、それは──。
「羽川に心配してもらいたくないだけだ」
「それは、仕方ありませんね」
呆れたようなため息とともにそう言ってくれた八九寺の表情は、彼女の精神年齢を表していた。
「じゃあな八九寺」
「ええ、また」
その場で大きく手を振って見送ってくれるらしい。
それに応えようと右手を軽く上げ足を回し始める。
教室に行けばやはりそこに阿良々木はいた。しかし声をかける前にベルがなってしまったため話を聞くのが昼休みになった。今はその昼休みだ。あ、羽川には怒られませんでした。
阿良々木としては戦場ヶ原や羽川に聞いて欲しくない話だろうと屋上へ誘った。柵に寄りかかり弁当を開ける、阿良々木は購買のパンの袋を開けた。一口ずつ咀嚼し飲み込んでから阿良々木が話しかけてきた。
「どうしたんだ、比企谷。お前が僕を誘ってこんなところへ来るなんて珍しい」
「──単刀直入に聞くぞ、昨日の夜神原とどうなった。あいつは断片的なことしか言ってくれなかった、記憶が薄いんだろう」
少なくとも彼女の表層意識では阿良々木を襲おうとするつもりはなかった様子だったからな。多分操られてるか意識がなかったかだろう…ゴールデンウィークとは、少し違う。
少し驚く素振りを見せた阿良々木だったが直ぐに気を引き締め直したか表情が真面目に固まる。
「昨日は学校が終わって着替えてから戦場ヶ原の家に行った、教えてもらうためにな。夜も遅くなった頃に自転車で帰っていたら前方にレインコートを着た人影が立っていて、気づけば僕はぶっ飛ばされてた」
「そうかそのあとはだいたい想像つくからいい」
「まあレールに飛ばされた時は流石に絶望したが戦場ヶ原が来てくれて助かったよ。おかげで意識が落ちずにすんだ」
「いいと言った。しかも惚気が入った」
「ん、そうか。にしてもやっぱりあれは神原だったのか…」
「無視すんな」
阿良々木も勘づいてはいたようだった。まああんな不自然に左手に包帯巻いてる奴と最近知り合ったと思ったら夜な夜な襲撃されるんだ。当然の帰結と言える。
「阿良々木」
「なんだ」
「恐らくだが放課後にまた神原はお前の元へ訪れるだろう。そしたら忍野の元へ連れて行け、今回はたまたま助かったが昨日お前が死ななかったことを知ったらあいつはさらに暴走する。そうなってしまったらタイミングが悪ければ最悪お前は死ぬかもしれないから、先手を打っておくべきだ」
吸血鬼としての血が薄い時に、さらに激化した彼女と遭遇してしまったら万に一つも有り得る。彼女の本気がどの程度か分からない以上警戒して損は無い。
「ああ、分かった。ただ、僕にそんなことが出来るかな?」
「どういうことだ」
「いや、神原は僕を殺したいほど憎んでるんだろう?そんなやつの目の前に現れてくれるのかっていうのがひとつ。もうひとつは、単に僕の話術で神原に気づかれないように忍野のところへ誘導できるかなと不安になった」
「その点に関しては気にする必要は無い。朝に彼女に会ってないなら放課後接触してくる可能性は十二分にある。休み時間も見に来てなかったからな。もうひとつの方も、今の神原は──昼原はこの怪異をなんとかしたいと思っている、夜原の方は抵抗するだろうが昼原になら素直に話しても問題ない、むしろそうするべきだ」
「昼原とか夜原とかなんだよ」
「呼びやすいようにだよ、ヒルバルとヨバルだぜ、読み方は」
「読者に優しいぞこいつ!!」
まあさすがにこんな原作にもない造語を勢いで作ってしまった以上フリガナは必要だと思ってね。
「それと今回の件、どうやら阿良々木と神原、そして戦場ヶ原の三人の問題のようだから──戦闘になっても俺は手を出さないぞ」
「ああ、それでいい。死ななきゃ御の字のつもりで行くさ」
「ま、なんだ…直接関係の無いことなら手伝う。妹たちへのアリバイ作りとかな」
「お、捻デレか?僕にもやってくれるんだな」
とりあえず一発殴っといた。校舎には被害が出ない程度にやったが、阿良々木の額は割れたのか血が出ていた。まあそれもすぐ治っていたが。
少し短めなのはグズな証拠。