レイオニクスウィーズ   作:暗愚魯鈍

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さてデート・ア・ライブをお読みの皆様始めまして、そして続きから読んでいる人はお待たせしました、さてタイトル通りあのヒロイン達が出てきます、まあ知らなくても楽しめる様に書きます…でも…八舞の二人てて口調が難しいんですよ…厨二病とか語尾に二字熟語がつくとか…難しい…

後最初の方に怪獣が出てきます、因みに章のヴェニ・サンクテ・スピリトゥスとは「聖霊来たりたまえ」と言う意味で「聖」霊違いですがスピリトゥスは精霊のラテン語なので間違ってはいないと思います


デート・ア・ライブ編 第一章メビウス・ヴェニ・サンクテ・スピリトゥス
八十四話双子の精霊


ここはとある世界のとある場所、そこで三体の怪獣が争っていた

 

ーーーピギャイイイイ!ーーー

 

一匹は黒い昆虫の様な怪獣…その名も宇宙悪魔ベゼルブという尻尾の先端にある毒針から注入する毒・クグツで生命の意思を奪い支配してしまう恐ろしい怪獣である

 

ーーーボオオオオオウ!ーーー

 

もう一匹は巨大な爬虫類にも見える古代怪獣ゴメスという怪獣だ…だかゴメスの目は赤くなっておりベゼルブに支配されていることがわかる

 

ーーークオオオオォォォォォォォンンンッ!ーーー

 

そしてそんな二匹と戦っているのがライオンと青龍を足したような姿をしておりオレンジの外骨格に覆われた前足と青い体表、そして白い鬣が特徴の四足歩行の怪獣の名は豪烈暴獣ホロボロスという別世界での個体はウルトラマンの兄弟を退けた程の強豪である

 

ーーークオオオオォォォォォォォンンンッーーー

 

ホロボロスはまず天高く跳躍し、空中で前転して尻尾で敵を叩き落とす「メガンテクラッシャー」を放ちゴメスを吹き飛ばしゴメスはそのまま頭部を岩にぶつけ衝撃で脳が揺れ脳震盪を起こし死亡する

 

ーーーピギャイイイイ!!?ーーー

 

ベゼルブもまさか一撃で倒されると思っていなかったのか慌てふためき火炎弾を放つがホロボロスはそれを腕を当てるだけで搔き消し防ぐ

 

ーーーピギャイイイイ!ーーー

 

こうなったら尻尾の毒針を刺してクグツ化してやる!と言わんばかりに空を飛び毒針をホロボロスに刺そうとするがホロボロスは持ち前の俊敏さでベゼルブの毒針を避けつつアッパーで毒針を破壊する

 

ーーーピギャイイイイ!?ーーー

 

ベゼルブはまさか自分の毒針が破壊されるとは考えていなかったようで不味いと思い翼を広げ空へ逃げようとする…このままでは死んでしまいベゼルブ達の「女王」の役に立てぬと考えたからだ…だがわざわざ獲物を逃すホロボロスではない、再び天高く跳躍しベゼルブの真上に現れ、メガンテクラッシャーで空中で前転して尻尾をベゼルブの頭に叩きつけベゼルブは地に堕ち爆散する

 

ーーークオオオオォォォォォォォンンンッ!ーーー

 

ホロボロスは甲高い叫びを上げると何事もなかったかのように帰ろうとする…がそんなホロボロスの前に何か現れる

 

「ほう?狼かと思えば中々なるな獣」

 

ーーークオオオオォォォォォォォンンン!?ーーー

 

ホロボロスが声が聞こえた方を向くと空をまるで海を泳いでいるかのごとく空を飛んでいる蛇がいた、その蛇の右眼は太陽の様に輝き、左眼は月の様に光っていた…そして嵐を纏った二十六メートルはあるであろう巨大な蛇がホロボロスを見下ろしていた…ホロボロスはその蛇を見て生まれて初めて恐怖を感じた…あの蛇は狩る側…自分は狩られる側と本能的に理解しホロボロスは全速力で蛇から逃げ出した

 

「本能で我の強さを知るか…面白い!獣巫覡にしては中々慧眼だ…それを讃えて私が全力で貴様を追い詰め殺そう!」

 

蛇はそう叫ぶとホロボロスの全速力を上回る速さでホロボロスを追いかける…果たしてホロボロスは無事に逃げきれるのだろうか?

 

 

その頃白鯨は異空間の穴に巻き込まれ異空間の穴を無事抜けると抜けた先は海…見渡す限り海一色、大陸は見えない…海のど真ん中の様だ…運が悪い事にかなり強い暴風が吹き荒れていた……嵐の中に現れてしまったようだ

 

織田作「……強い嵐だ……白鯨はこの程度では壊れないが」

 

フィッツジェラルド「……そういう問題ではないが…いきなり知らぬところに連れてこられこの嵐とは…運が悪いな…」

 

鴎外とフィッツジェラルドは窓の外を見て溜息をつく…まさか神無があんな事になった後にまた変な事に巻き込まれるとは考えていなかったのだろう…そして神無といえば

 

神無「……どうやれば地球を簡単に破壊できるか…ゴジラ達を暴れさせる…駄目時間かかる…地球の核を破壊すればいい…それかな?」

 

鏡花「あれ?どうなればあの結晶を取り出せるの?何かヤバいやつなんじゃ…え死ぬの?触る前に誰かに言えばよかった…私て本当バカ」

 

ドストエフスキー「駄目です地球の簡単な滅ぼし方を模索しています、鏡花ちゃんもかなりヤバい人になってます」

 

神無はギガダークナイザーを眺めながらブツブツと呟くのみ…かなりヤバい感じになっている…鏡花も鏡花で結晶が体内に入ったことを嘆いているが事情を知らない鴎外達からはヤバい人にしか見えない…

 

国木田「お前ら冷静になれ、一旦静かに!何事も冷静にだ!慌ててはならん!」

 

ジャグラー「おいお前眼鏡逆さまだぞ、てか壁の方向いて何言ってんだお前が冷静になれ!」

 

国木田は冷静になるよう叫ぶが国木田自体が冷静ではなくジャグラーが落ち着くよう言う

 

マーク「ああ!誰のせいでこんな事に…」

 

グローザム「お前だろ!お前が自動操縦モードにするから!席離れんなよ馬鹿!」

 

ヤプール「お、落ち着けグローザム…マークばかり責め…マークしか悪い奴がいなかったな……」

 

マークは誰のせいだと頭を抱えるがグローザムがお前(マーク)の所為だとヘルフローズンブレスをマークに吐こうとしてヤプールはそれを止めてマークを庇おうとするが全責任がほぼマークにある為庇おうにも庇えない

 

神無「…しかし変な天気だ嵐かと思ったけどその割には雨が少ない…それに雷もない…なんなんだこれは?」

 

神無はふと窓を見つめているとある事に気づく…嵐と思っていたが雨が一切降らず雷も起こっていない…これはどういうことか?

 

ヤプール「む?まさかシーモンス、シーゴラス、バリケーンの仕業か?…いやシーゴラス達やバリケーンも雨も降るし…これほど雨が降らないというのは可笑しい…」

 

ジャグラー「こんなことできるのマガバッサーぐらいだぜ?ありえんのか?まさかここの近くに怪獣がいるのか?」

 

ヤプールは怪獣の仕業かと疑うがシーゴラスやバリケーンでも雨を降らすのでここまで雨が降らないというのは可笑しいと考えジャグラーはマガバッサーかと疑うがマガバッサーらしい鳥の影は見つからない

 

神無「……何か妙だな……怪獣の仕業か?」

 

神無も怪獣の仕業かと疑うが怪獣の影は見つからない…海の中かと考えガグゾムに偵察させに行かせようとするが

 

サデス「あれ?なんか動いてないあそこ?」

 

ヤプール「む?……確かに小さいが何か二つ動いてあるな…誰か双眼鏡持ってないか?」

 

国木田「それならすぐ作れるが」

 

ヤプール「ありがたい……どれどれ?……うおおおおおお!!!?」

 

国木田は手帳に双眼鏡と書き双眼鏡を作り出しヤプールに手渡すヤプールは双眼鏡を覗き見る…するとヤプールが大きな声を出す

 

神無「煩いヤプールどうした?発狂でもしたか?」

 

鏡花「等々発狂しましたか?」

 

ヤプール「酷いなお前ら…てそれどころじゃない!人間が空を飛んでいる!」

 

ジャグラー「等々目も悪くなったのか?貸してみろ……あ本当に人間が空飛んでる!」

 

ヤプールの大声に神無と鏡花がヤプールが等々発狂したかと考えヤプールがそれに少しイラっとくるが人間が飛んでいるといいジャグラーはそんな事ないだろと双眼鏡を覗くと確かに人間が飛んでいた

 

神無「……まつろわぬ神か?」

 

鏡花「いや神様が出るのはあの世界だけで十分……でも人間が空飛ぶなんてあり得ないし神様ぐらいしか…」

 

神無はまつろわぬ神かと思ったが鏡花は否定する…が人間が空を飛ぶわけがないと思い出しまつろわぬ神かと嫌な顔をする…

 

神無「……まあいい外へ行けばわかるだろ」

 

神無はそう言うと転移を使いヤプール達を連れて白鯨の甲板に瞬間移動した…やはり雨は降っておらず強い暴風だけが神無達を襲う

 

ヤプール「やはり…この天候は異常だ……」

 

鴎外「うむ……む?人影が二つ…こちらに飛んでくるね」

 

鴎外がそう言うと肉眼でも目視できる距離に人影が二つ見える……シルエットから女性と分かる…

 

神無「……まつろわぬ神じゃないな…呪力が全く感じられない」

 

鏡花「マジですか……じゃああれは?」

 

鏡花はあの女性達の正体が気になり神無も気になったのか少しでもよく見える様に一歩前に出た瞬間飛んできた大きなゴミが顔にぶつかる

 

フィッツジェラルド「あ………」

 

フィッツジェラルドは驚きの声をあげ鏡花達もヤバいと冷や汗をかく…それを知らない女性達は白鯨の近くまで飛んでくる…ただこちらには気づいていないようで大声で喋り始める

 

「かかか!やるな夕弦!流石我が半身よ!だがそれも今日で終いだ…この百戦目を制するのは我だ!」

 

「反論、百戦目を制するのは夕弦です、耶倶矢ではありません」

 

片方の少女は芝居掛かった口調で喋り勝気そうな顔で厨二病を想像させる少女、もう一方の少女は眠たげな表情で大人しげな少女…だがどちらともオレンジ色の髪で服装は黒いボンテージの様な露出の高い格好にベルトが巻き付いている様な服、首元には南京錠に似た者が付いており、体には鎖が巻き付いてはっきり言ってしまうと色々危ない格好だった…

 

耶倶矢「は、ほざきおるわ、いい加減真なる八舞に相応しき精霊は我と認めたらどうだ?」

 

夕弦「否定、耶倶矢には真の八舞の名は相応しくないかと、生き残るのは夕弦です」

 

耶倶矢「無駄な足掻きよ、我が先読みの魔眼には夕弦貴様の敗北が見えておるわ!」

 

夕弦「指摘、耶倶矢の魔眼は当たった試しがないのですが」

 

耶倶矢「う、うるさいし!当たったことあるし!……一回ぐらいは…(ぼそ)…と、兎に角馬鹿にすんなし!」

 

耶倶矢と呼ばれた少女と夕弦と呼ばれた少女は口論しあい夕弦とい少女に間違いを指摘された耶倶矢と言う少女は動揺した様で口調を地に戻してしまう

 

耶倶矢「こ、こほん……ふ、我に隙を作るとは流石だな…まあ興に乗っただけだがな…まあ良いこの百戦目も大分長引いた事だ!そろそろ決着をつけようではないか!」

 

夕弦「肯定、良いでしょう」

 

二人はお互いに力を込めて風を纏い辺りの風が更に強力になり…再び神無の顔にバナナの皮が当たった…それを見た鏡花達は思わず後ろへ下がる

 

耶倶矢「闇に飲まれるがいい!」

 

夕弦「突進、えいやー!」

 

耶倶矢は芝居掛かった口調で突進し夕弦はほぼ棒読みのセリフで突進しようとしたその瞬間

 

神無「おい……」

 

やけに殺気だった神無の声が響く…別に大声で言ったのではない…だが神無の声には周りの空気が凍結するかの様な怒りが溢れ…神無は顔についたバナナの皮を放り投げる…耶倶矢と夕弦はその一言で神無達と白鯨に気づいたようだ

 

耶倶矢「ん?誰だ…て何だあの鯨みたいな奴は」

 

夕弦「驚嘆、いつの間に…?」

 

随分前からいたのだが気づかなかったらしい二人は神無よりも白鯨に興味を持ったらしく白鯨を見ていた…それゆえ神無が青筋を立てて怒っていることに気づかない…ヤプールはどうにかしようと鴎外達がいる方を向くがそこには誰もいない

 

ヤプール「あいつら逃げやがった!」

 

グローザム「おい…ヤバいぞ皇帝が怒ってる…」

 

鏡花「私は止めませんからね……」

 

ヤプール達はまずいと感じ鏡花に怒りを抑える様言うように目を向けるが鏡花は断る

 

神無「…ひとつ聞こう…この風は君達が起こしている?はいかいいえかで答えてくれ」

 

耶倶矢「む?そうだな…この嵐は我ら八舞が起こしている!颶風の巫女たる我らにとってこの様な風を操るなど朝飯前よ!」

 

夕弦「肯定、その通りです」

 

神無「……あっそ…ふぅん…」

 

ジャグラー「やばいやばい…かなり怒ってるぞ…」

 

耶倶矢と夕弦は即座に肯定し神無は頷きながらも殺気を強める…ジャグラーはかなりまずいと見て逃げようとするが置いてくなとばかりにヤプール達が止める

 

耶倶矢「それより何だお主は?我らの決闘を邪魔しおって」

 

夕弦「肯定、夕弦達の決闘を邪魔するなど何様のつもりですか」

 

鏡花「いや決闘なんていいから早く逃げて」

 

耶倶矢と夕弦は決闘を邪魔されたことに怒り心頭だが鏡花は早く逃げてと祈る…魔王に殺される前に早く早くと祈るがその祈りは通じなかった様だ…

 

神無「まあ、いい君達の所為でゴミが何度も当たってね…決闘は他の所でやってついでにこの暴風をけ」

 

消せと言う前に又してもアルミ缶が神無の顔面に当たる…しかもアルミ缶の中には飲み残しのコーヒーが入っており神無の顔面にコーヒーがかかる

 

「「「「「あ……」」」」」

 

鏡花達は「あ、あいつら死んだな、ご臨終様」と言わんばかりに手を合わせ耶倶矢と夕弦は何で手を合わせてるの?と言わんばかりに首を傾けるが漸く神無の殺気に気づいたらしく神無の方を見てピクッとなっていた

 

耶倶矢「あ…ごめん」

 

夕弦「謝罪、すみません」

 

二人は遅れて謝るが…もう遅い…顔面を拭き終わった神無は笑っていた…耶倶矢と夕弦がヒィと怖がるぐらいまで…

 

グローザム「………俺達…知らね…」

 

ヤプール達は鏡花を置いて逃走、鏡花も逃げようとするが神無が後ろを向いて「逃げるな」と言わんばかりに睨みつけ鏡花は蛇に睨まれた蛙の如くその場に停止する

 

神無「大丈夫大丈夫怒ってない…で聞きたいんだけど…死ぬのと殺されるのどっちがいいかな?」

 

耶倶矢「死ぬ一択しかないんですけど!?」

 

神無「………大丈夫殺しはしないから……多分…ね?」

 

夕弦「指摘、全然安心ではありません」

 

二人は狼狽するが神無の殺意は止まらない…鏡花には祈ることしかできない…がここで耶倶矢がふといい事を思いついた様に宣言する

 

耶倶矢「ね、ねえ夕弦…いいこと考えたのだけど」

 

夕弦「疑問、なんでしようか?」

 

耶倶矢「先にあいつを倒した方が真の八舞て…どうかな?」

 

夕弦「肯定、いいでしょう…確かにあの様な強そうな敵を倒せば…八舞に相応しいやもしれません」

 

鏡花(いやそういうのいいから!早く逃げて!お願い!)

 

耶倶矢はさもいい案を思い浮かべた様にいうがカンピオーネに勝てるかと聞かれればNOだろう…まあ知らない二人には仕方ないが彼女らが神無を倒せる確率はナイフ一本で王国を落とすようなモノだ…まあ一般人ならアリが龍を殺すぐらいの確率なので高い方だが…

 

耶倶矢「ククク…貴様には恨みはないが真の八舞となるため挑ませてもらおう!」

 

夕弦「首肯、貴方を倒せば八舞の名を語るに相応しいでしょう」

 

鏡花(いや神無を倒したらそんな八舞とか言う名前よりももっといい名がつくから!魔王殺しとか!…頼むから逃げて!)

 

鏡花の祈りは虚しく届かず二人は神無に風を纏って高速で移動、耶倶矢と夕弦は機械チックな翼を耶倶矢は右から、夕弦は左から出し、耶倶矢は自身の身の丈程の突撃槍を、夕弦は黒い鎖の先に菱形の刃がついたペンデュラムとも言うべき武器を展開する

 

耶倶矢「名乗りを忘れていたな我は八舞 耶倶矢(やまい かぐや)!風の精霊だ!」

 

夕弦「忘失、忘れていました、夕弦は八舞 夕弦(やまい ゆずる)、耶倶矢と同じ風の精霊です」

 

神無「……皇 神無…竜帝と呼ばれている…ええっと…や、八舞……蘭子と柚希…だな、多分…いいだろうかかって来なよ」

 

耶倶矢「いや名前違うんだけど!?」

 

神無「そう?…興味ない奴の名前は覚えられなくてね…済まない」

 

夕弦「立腹、興味がない…怒りましたプンプンです」

 

神無はナチュラルに二人の名前を間違えサラッと興味ない発言をし苛立つ二人

 

耶倶矢「闇に飲み込まれるがよい!」

 

夕弦「突撃、えいやー」

 

耶倶矢と夕弦はそう言うと高速で移動し神無の背後に回り込み武器で攻撃するが…が神無は元老院最終勧告(セナトゥス・コンスルトゥム・ウルティムム)と言う鉄の鎖で悪しき魔術や悪魔から身を守るための五芒星の印をした堅牢な防御障壁を高速で構築し防ぐ

 

神無「遅い…止まって見えたぞ」

 

耶倶矢「え!ちょ!?全速力だったんだけど!?しかも止まって見える!?」

 

夕弦「愕然、驚きです」

 

確かに二人の速度は速かった、メカギラスやアリゲラとほぼ同速…またはそれ以上という出鱈目な速さ……が神無にとってはスローモーションで動いているようにしか見えない

 

神無「確かに速かった…生物にしては…まあ神速で動くアレクや護堂君、教主よりは遅過ぎるよ…せめて雷光以上のスピードにならないと心眼の前には無意味だよ」

 

心眼、神速を見切る目であり雷光や光の速さで動く者の姿を捉える力であり彼女達が如何に速かろうが神無には止まっているかのようにしか見えない…しかも二人の攻撃を止めたのは権能ではなく魔術(秘術とはいえ人間でも使える魔術)である為神無にとって彼女らとの戦いは所詮遊びなのだろう…最も神無にとっての遊びは彼女らにとっては命懸けに違いないが

 

神無「ほらほら…頑張ってくれ…僕とて女子を傷つけることに抵抗が全くないわけでは…ないと思う…ゴルゴタの言霊よ」

 

そう口では女子を傷つけることは抵抗があると言う神無だが人ならば心臓麻痺を起こして即死し、強力な魔術師であっても立っていられないほどに衰弱させる神をも傷つける言霊を放つ時点で抵抗がないといえよう…その死の呪詛を含んだ冷気を彼女らは必死に飛んで逃げる

 

耶倶矢「何あれ!?見ただけでもヤバいでわかるんですけど!?」

 

夕弦「脅威、近づいただけで死にそうです」

 

耶倶矢と夕弦も「こいつ倒せたら真の八舞でいいや」と軽く思って戦いを激しく後悔していた…まさかここまで実力差があるとは思わなかっただろう

 

神無「……やっぱり避けるか…うん…じゃあもっと攻撃的な奴で行こうか精神感応及びジェリコの呪詛とミデアンの呪詛」

 

精神感応、精神を研ぎ澄ますることで、他者の気配や感情を漠然と読み取り魂に干渉して攻撃も出来る技の一つで本来神や魔王には効かないが魔王が操る術の一つなので一応効くらしい…神無が耶倶矢と夕弦に魂に直接かけた呪詛はジェリコの呪詛とミデアンの呪詛と言う虐殺と滅びの呪詛を合わせた呪詛であり並大抵の人間や神獣なら脳が一瞬で狂い死亡する呪詛だがあえて弱めた為今二人は頭が割れそうなぐらいの痛みに襲われているだけで済んでいた

 

耶倶矢「ぐ…おお……」

 

夕弦「…頭……痛……、頭が痛いです…」

 

耶倶矢と夕弦は呪詛を浴び空中で静止し頭を抑える……がこれぐらいでいいかと神無が禍祓いで呪詛を打ち消すと頭痛が治ったのか息を整える

 

神無「……対して怒ってないからこれくらいでいいよ…命まではとらないし」

 

鏡花「十分怒ってましたけどね…まあ殺さなかったからいいか……」

 

神無「まあいいだろう…それに遊んだら随分気が楽になる…彼女らも人間ではないから殺す必要もない…まあ楽しめたからこれぐらいで…「待て!」ん?」

 

神無はもう白鯨の中に戻ろうと甲板から去ろうとすると耶倶矢が神無の言葉を遮って言葉を放つ

 

耶倶矢「まだ…終わってはおらぬ!」

 

夕弦「肯定…まだ夕弦達は戦えます!」

 

神無「……これ程の差を見て…つまらない意地やプライドで突っかかるならやめておいたほうがいいと警告しよう」

 

神無はまだ戦意が消えぬ目の耶倶矢と夕弦を見てやめておいたほうがいいと警告するが二人は首を振る

 

耶倶矢「否、その様な意地やプライドは関係ない…ただ勝ちたいだけだ!我等は今まで何度も人間達に攻撃されたが……貴様の様な強い奴は初めてだ…故に勝ちたい!」

 

夕弦「首肯!もはや真の八舞など関係ありません…ただ勝ちたいだけです!」

 

神無「………は、馬鹿らしい…実に…だがその様な理由で魔王に挑んだ奴らは君達ぐらいだ…いいだろうもう少しだけ付き合ってあげるよ、耶倶矢君、夕弦君」

 

耶倶矢「……!君付けは気に入らんが名前を覚えてくれて何よりだ」

 

耶倶矢と夕弦の蛮勇を好ましく思った神無は二人の名を覚えた、耶倶矢はそれを聞くとふっと笑い夕弦のもとに近づく

 

耶倶矢「夕弦…今だけはあいつ倒すのに協力しない?」

 

夕弦「賛成、やっちゃいますか?」

 

耶倶矢「うん、やっちゃおう!」

 

二人はそう言うと耶倶矢・夕弦両名の翼が弓のような形状となり、耶倶矢の腕甲である突撃槍…穿つ者(エル・レエム)が矢の部分となり、縛める者(エル・ナハシュ)が弦の部分になり、巨大な弓矢となった

 

神無「……ほう!」

 

耶倶矢「ふ……これが我等の最強にして最高なる秘技だ……防げるか?」

 

夕弦「昂揚、夕弦達もこの技を人間期待し放つのは初めてです………防げますか?」

 

神無「……は、いいだろう…その勝負受けて立とう…こちらも防いだり避けたりするのは無しだ…君達の誠意に対しこちらも全力でいかせてもらおう」

 

神無はそう言うと懐から一枚のコインを取り出し膨大かつ強力な電撃を手元のコインに集中させる……そして二人も弓に暴風を纏わせ始める…辺りに吹いていた暴風も消え失せ全て弓に吸収されている…双方全力で技を放つ気だろう…そして同時に技が放たれる

 

耶倶矢・夕弦「「天を駆ける者(エル・カナフ)!!!」」

 

神無「電磁砲(レールガン)……!」

 

耶倶矢達から放たれた天を駆ける者(エル・カナフ)と神無が放った電磁砲(レールガン)…暴風の矢と電撃の弾が真っ向からぶつかり…辺りに凄まじいエネルギーが迸る、白鯨が揺れ鏡花は吹き飛ばされ神無も立っているのがやっと、耶倶矢達も反動で後ろに飛ばされる…それぐらいの威力がある二つの技は最初は拮抗していたが…段々と天を駆ける者(エル・カナフ)がレールガンを押し始める

 

神無「………!」

 

耶倶矢・夕弦「「いっけぇぇぇぇぇ!!」」

 

神無は焦るが耶倶矢と夕弦は全身全力で霊力をつぎ込み…そしてエル・カナフがレールガンを消滅させ神無に向かっていく、二人はそれを見て勝利を確信するが

 

神無「うん…見事だねレールガンを破るなんて……でもまあ残念だけどこれがあるから効かないんだよね」

 

神無はそう言うと右腕をエル・カナフに向けて添えエル・カナフに触れるとエル・カナフが消滅する…それを見て目を見開く二人

 

神無「悪いね、僕の権能はあらゆる神秘を否定し打ち消す…まあでもレールガンを破るとはね…でまだやる?」

 

耶倶矢「………は、やめておこう…我等が最終奥義を破る輩に勝てるとは思えぬ…ふ世界は広い様だな…まさかこの我が敗れるとは…」

 

夕弦「肯定、あの技を防がれた今…夕弦達に勝てる道理はありません…その前に耶倶矢は結構夕弦に負けていると思いますが?」

 

耶倶矢「な!今はそれは関係ないし!あんたとの勝負は別よ!大体夕弦も私に負けてるじゃん!」

 

夕弦「否認、今は関係ありません!…それよりこの勝負は如何します?また引き分けですか?」

 

耶倶矢「あ…そういえば…そうね…引き分けじゃない…負けちゃったし…「あの…」?」

 

耶倶矢と夕弦は言い合いながら喧嘩しつつこの勝負の結果は如何するか話している最中に鏡花が話しかける

 

耶倶矢「何だ貴様…そういえば先程からいたな…何用だ?我等は今忙しいのだが」

 

鏡花「いや前から気にしてたんですが…そもそも何で争っているんです?八舞て同じ名前だから姉妹なんじゃ…なのに何で喧嘩を…」

 

夕弦「解答、そうですね、夕弦達に勝ったあなたなら教えても…いえこの際です夕弦達に勝った貴方に決めてもらったほうがいいかもしれません、第三者視点からの方がどっちらが八舞が相応しいか決めてもらいましょう」

 

耶倶矢「そうね…確かにどっちらがいいか選んでもらった方が説得力があるしね…と言うわけで私か夕弦どっちが八舞にふさ「だから話を勝手に進めないで!」!…あ、ごめん」

 

耶倶矢達は勝手に話を進め神無にどっちを選ぶか(別に変な意味ではない)決めてもらおうとするが鏡花が勝手に話を進めるなと怒り耶倶矢はシュンとする

 

神無「……で何の話なんだ…真の八舞とか言ってるけど知らない人には何言っているかわからない」

 

夕弦「説明、夕弦達は元々一つの精霊でした、ですがある理由で二人に別れてしまい…このままでは二人とも消えてしまいます、そこでどっちらが八舞として優れているか戦ってきたのです」

 

耶倶矢「これまで二十五勝二十五敗、四十九引き分けでな…それで百戦目で決着をつけようと思ったが…また引き分けだ…だから我等に勝ったお主に決めて貰おうと思ってな…何お主の様な強い者に選んでもらえるなら光栄だ…」

 

二人が言うには二人は同一の存在だったが何らかの理由で二人に別れたと言う…簡単にいえばディノゾールリバースの様な感じだろう、二人は二人が消滅するのを良しとせず決闘をしてきたボクシング、ボーリング、マラソン、カラオケ、料理…何か平和的な気がするが気にしない…

 

鏡花「……本当にいいんですか?そんなに仲よさそうなのに…?」

 

耶倶矢「……いいのよ、でどっちを選ぶか決まった「そうか、そう言うことか」な、何よ突然」

 

鏡花は本当にそれでいいのかと言うが二人は目を背け耶倶矢が弱々しい声で肯定し神無にどっちらを選ぶか決まったかと聞くが神無はどこか納得した様に耶倶矢と夕弦を見る

 

神無「いや君達が戦っている時に何故か二人とも戦意が無かったから疑問に思っていたが…そうか君達二人は「互いに決着をつけたくなかった」からあんなにも戦意が無かったのか…なんだ君達口では自分が八舞になるとか言ってる割には相手を勝たせようとしてるのか」

 

夕弦「!…ひ、否定!負ける気などないです!夕弦が勝つつもりです!嘘ではありません!」

 

耶倶矢「そ、そうだ!我が夕弦に負けるつもりだと嘘もいい加減にするがいい…いかに我らに勝ったお主とても怒るぞ!」

 

二人は明らかに動揺している…神無が言う通り両方負ける気だったのだろう

 

神無「違わないね、これでも百年以上殺し合いの死線を渡ってきたんだ…戦意の有無、勝つ気があるのかないのかぐらい見ただけでわかるさ…それに精神感応を使えば君達が今嘘をついたことぐらいわかる」

 

神無は威厳ある声でピシャリと言い放つ、その目はいつになく真摯であり二人も思わず顔を見合わせ…はあと溜息をつく

 

耶倶矢「百年以上…か…お主その見た目でか我等より歳が上とは……ああもう今日は負けるわ、私の真意を見破られるわ最悪な日ね…」

 

夕弦「同意…それにしても耶倶矢も夕弦と同じ考えとは知りませんでした…」

 

鏡花「と言うことは…二人とも本当は…」

 

耶倶矢「ええそうよ、もうバレてるんなら言い訳しないわ、そうよ本当はこの百戦目わざと負けて夕弦を生き残らせる筈だったのに…あんたと関わったせいで台無しよ…」

 

夕弦「賛同、この百戦目ぇ負ける気でしたのに貴方のせいで狂ってしまいました…折角耶倶矢を生き残らせようと思っていたのに…どう責任を取ってくれますか?」

 

鏡花の質問に不満げながらも答える二人…口では喧嘩していても本心では自分以上に大切に思っており自分のことを犠牲にしてでも助けたいと思っているのだ…そんな二人を見た神無は溜息を吐きながら…縮地で夕弦の背後に現れ首元に魔剣サクリファイスを突きつける

 

夕弦「!?狼狽、何を!?」

 

神無「ん?両方と消えちゃうんだろ?ならどっちかを殺せばいいだけだろ?なら夕弦君を殺せば君は生き残れるだろう」

 

神無は殺気を出してサクリフェイスを夕弦の喉元に押し付け喉を突き破ろうとしたその瞬間

 

耶倶矢「巫山戯るな!」

 

耶倶矢が高速で神無の頭部を突風を纏った殴りつけて吹き飛ばす

 

耶倶矢「私の大事な夕弦に何しようとした!何が私だけは生き残る…だ!私が生き残るぐらいなら!夕弦を生き残らせる方がよっぽどマシよ!」

 

夕弦「驚嘆……耶倶矢」

 

耶倶矢は怒りを込めた目で神無が吹き飛んだ先を見つめ夕弦は驚きの目で耶倶矢を見つめる…そこで神無が立ち上がって笑い出した

 

神無「ははは…何だ素直に言えるじゃないか…自分の気持ち…」

 

耶倶矢「え……あ…まさかあんた…わざと」

 

鏡花「やっぱり…恐れ知りませんね貴方…」

 

神無「僕だってこんな80先生みたいな事はしたくないが…こうも素直じゃない奴を見ると…ほら無理矢理でも素直にしたくなるみたいな感じだ」

 

神無は笑いながらそう言うとキリと真面目な顔に戻り二人に話しかける

 

神無「さて二人の件についてだが…二人とも生き残れる方法があ「クオオオオォォォォォォォンンンッ!!?」……何だ?」

 

神無が何か言おうとしたところで狼の叫び声の様な音が聞こえ振り向くと怪獣…ホロボロスが白鯨に向かって飛んできた…そして白鯨の甲板にぶつかりホロボロスはすぐに態勢を直し何か来るのに構える…ホロボロスの表情は既に何かを恐怖しているかの様だった、そして

 

「ほう?我が嵐に吹き飛ばされなお生き残るとは……狩りがいがある獲物だな…それにこの気配は神殺し…羅刹の君か…ははまさかこの世界で極上の獲物に会えるとは……」

 

神無「……まつろわぬ神か…」

 

空から一匹の蛇が飛来する…蛇が現れた途端、静まり返っていた空が荒れ始め暴風が吹き荒れ豪雨が降り注ぎ雷が無数に落ち始める、そんな中神無は静かに霊視をする

 

神無「……「堕ちた太陽神」「月の神の父」「明けの明星」……何このバラバラかつ繋がりのない神格は…それに気配から《鋼》と《蛇》の匂いがするんだけど…」

 

「ほう霊視か…巫女でもない癖に面白い輩だ……まあいい…獲物が二体とは…楽しませてくれるな…」

 

ーーークオオオオォォォォォォォンンンッ!!?ーーー

 

蛇はそう言うと全身から殺気を放ちホロボロスは怯え始め、神無は愉快そうに笑う…話についていけない耶倶矢達を放っておいて…

 

 




最初だから長くなっちゃった…反省…やっぱり耶倶矢と夕弦の口調で難しいね…ちなみに今回使った魔術はカンピオーネ本編に出て来る魔術です…原作の魔術は結構出てきてないのが多いので出しました、因みに何気に精霊てカンピオーネと相性がいいんですよ霊力ですから呪力じゃないから普通にダメージを与えられると考えてます個人的に

さて次回はまつろわぬ神とホロボロス戦…さて今回出てきた神様の名前は何でしょうか?堕ちた太陽神、月の神の父、明けの明星…蛇であり鋼の軍神…あれ結構わかりやすい?

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