学校の同級生である柳洞一成からの勧めでねこやと言う洋食屋に出掛けた士郎とセイバー。
しかし、いざねこやに来てみるとねこやは休業日だった。
ねこやが休みだった事に項垂れるセイバー。
だが、どう頑張っても目の前の現実を変える事は出来ない。
しかし、このままでは極度の空腹でセイバーがオルタ化してしまう。
士郎はセイバーのお腹を満足させる為、別の料理屋を探す事にした。
その最中、路地裏から人の声が聞こえてきた。
セイバーがいち早く現場に行くと其処には社会不適合者に絡まれている二人の少女が居た。
空腹の上、その社会不適合者から自らの胸がない事を指摘され、セイバーは一瞬の内に社会不適合者をボコボコにした。
セイバーが助けた二人の少女はセイバーが目的にしていたねこやのウェイトレスだった。
セイバーがウェイトレスにねこやに連れて行ってくれと頼み込んで、ねこやに連れて行ってもらえる事になった。
ただし、100%ねこやで食事を摂れるかは分からない。
全てはねこやの店主さん次第である。
それでも、ねこやの料理を食べる事が出来るかもしれないと言う事で、ウェイトレスと一緒にねこやへと向かう士郎とセイバー。
ユーリは口下手なので、店主への事情説明はチトに任せて、セイバーと士郎と一緒に見せの外で待った。
「じゃあ、ちょっと待っていてください。店主さんに聞いてきますので」
「あ、ああ‥頼むよ」
ねこやのウェイトレスの一人、チトが購入した食材を持って勝手口からねこやの中へと入って行く。
セイバーと士郎にしてみればまさに祈るような感じでチトを待った。
土曜日のねこやは地球とは異なる別の世界‥異世界にねこやの正面口が出現し、そこから異世界の住人がねこやの料理を目的に訪れる異世界食堂となっている。
そして、今日の土曜も店内は異世界の住人達で盛況である。
「おう、おかえりチト」
「おかえりなさい」
(おかえり)
食材の入った袋を抱えたチトの姿を見て、ねこやの店主、自分と同じ、ねこやのウェイトレスであるアレッタ、クロが声をかける。
「ん?ユーリはどうした?」
チトと一緒に買い出しに出かけた筈のユーリの姿が無かった事に店主がユーリの事を尋ねてくる。
「それが‥‥」
チトは店主に買い出しの時に起きた出来事を話した。
「えっー!!それで、大丈夫だったんですか!?」
チトの話を聞いてアレッタが思わずチトに安否を確認する。
「うん、襲われそうになった所をある人に助けてもらった。それで‥‥」
チトは店主に自分達を助けてくれた人の事を話す。
「そうか‥だが、今日は‥‥」
店主もチトとユーリを助けてくれたその人には感謝したいが、今日のねこやは異世界食堂となっている。
その異世界食堂になっている状況下で、この世界の人を入れるのは‥と戸惑いがある。
だが、チトの次の言葉で店主は揺らぐことになる。
「分かっています‥でも、私達を助けた人‥もしかしたら、私達と同じ、異世界の人なのかもしれません」
「なんだって?」
「その人、私とユーに本当に人間なのか?‥‥とか、妙な違和感を感じるって言っていました」
「ふむ、そうか‥‥」
店主は顎に手をやり、暫し考え込み、決断を下す。
「チト、その人達を案内してやってくれ」
店主はチトとユーリを助けたその人を案内してやれと言う。
チトには理由が分からなかったが、店主が許可を出したのであれば、案内するだけだ。
彼女としても自分達の恩人の願いは叶えてやりたかったので、一安心した。
「わかりました」
チトは再び勝手口から外に出て、外で待たせている士郎とセイバーの下に向かう。
その頃、外で待っているセイバー達は‥‥
「大丈夫か?セイバー」
お腹を押さえ唸っているセイバーに尋ねる士郎。
「うぅ~‥‥」
セイバーからは段々と覇気が無くなって行くのが目に見えて分かる。
そして彼女のお腹からは雷鳴の様に『ぎゅるるるる』と腹の虫がうなり声をあげている。
早く食事を摂らせろと抗議の声をあげていた。
「‥‥」
その様子を見ていたユーリは、ポケットの中をゴソゴソとやり、
「コレ、足りないかもしれないけど‥‥」
そう言ってチトが作ったさつま芋のレーションを手渡す。
すると、ユーリの手の中のレーションが一瞬の内で無くなる。
「はやっ!?」
ユーリがセイバーの口元を見ると、彼女の口元にはレーションのカスがついており、口元をモグモグと動かしていた。
自分の食べるスピードよりも速いセイバーの行動には流石のユーリも目を白黒させて驚く。
そこへ、チトが店から戻ってきた。
「あっ、戻ってきた。それで、ちーちゃん、どうだった?テンチョー、OKしてくれた?」
「‥‥ゴクッ」
「‥‥」
ユーリがチトに店主の許可が下りたかを尋ねる。
セイバーはゴクリと生唾を飲んで、結果を待つ。
「‥‥大丈夫です。店主さんからの許可が下りたので、お店にご案内します」
チトの結果にセイバーは体から力が抜ける思いだったが、心の中で思わずガッツポーズをとった。
士郎の方も一安心した様子だ。
「では、ご案内します‥‥ただ‥‥」
チトは案内するがお茶を濁す様に口ごもる。
「ただ?」
士郎は何故チトがお茶を濁す様な事を言ったのか不思議に思う。
「‥‥お店の中に入っても驚かないでくださいね」
「「?」」
チトの言葉に首を傾げるセイバーと士郎だった。
しかし、地球の人にとって土曜のこの日のねこやに入り、驚くなと言う方が無理なのかもしれない。
チトの案内でねこやに一歩入ったセイバーと士郎はまるで結界の中に入ったような感覚を感じる。
「っ!?結界か!?」
「士郎!!気を付けてください!!」
結界の中に入ったと言う事で警戒する士郎とセイバー。
(ま、まずい‥空腹状態のこの身で士郎を守り切れるだろうか‥‥?)
特に今のセイバーは空腹と言う最悪のコンディションだった。
「あれ?どうかしたの?」
ユーリは店に入っただけで何故そこまで警戒するのか、士郎とセイバーの行動を不思議に思っていた。
「い、いや‥なんでもない」
士郎が無理に笑みを浮かべユーリに何事もなかったかのように振る舞う。
警戒しつつ店を進み、やがて飲食するスペースまで来た時、士郎とセイバーは目を見開く。
「「っ!?」」
其処にはどうみても地球の人間ではない人達が食事をしていた。
ライオンの姿をした獣人。
トカゲの姿をしたリザードマン。
蝶の翼をもつフェアリー達。
鳥の翼と鳥の足を持つセイレーン。
尖った耳と強い魔力を持つ特徴のエルフ。
背が低くもがっしりとした筋肉を持つドアーフ達。
どれもこれも神話の世界かおとぎ話の本に登場する様な人達ばかりだ。
魔術師である士郎にとってはサーヴァントの類にも見える。
まぁ、中には人の姿の客もいるが‥‥
そして、給仕をしているのは頭に山羊の角を生やした少女であり、彼女からは微かに感じる魔族特有のその波動が感じられた。
「な、何なんだ?この人達は‥‥」
「‥‥」
(あの給仕‥ただの給仕ではありませんね‥もしかしたら誰かの使い魔なのかもしれませんね)
結界を張っている様な店に、どうみても地球の人とは思えない店員と客達‥‥
士郎とセイバーの警戒心のレベルは自然と高くなる。
「いらっしゃい」
そこへ、ねこやの店主が士郎とセイバーに声をかける。
「えっ?」
店主の声を聞いて士郎は聞き慣れた声をする店主に驚く。
それはセイバーの方も同じで、
「アーチャー!!何故貴方が此処に!?」
凛の所で厄介になっている人物と同じ声を持つ店主を睨みつけるセイバー。
「はい?」
一方、士郎とセイバーの態度に店主は首を傾げる。
そりゃあいきなり睨みつけられても何故、睨みつけられるのか店主には分からなかった。
「あっ、いや、その‥知り合いに声が似ていたので‥‥あははは‥‥」
士郎は店主に自分の知り合いに声が似ていると言いながら愛想笑いを浮かべて誤魔化す。
よくよく見ると店主と自分達が知っている人物とは声以外は似ても似つかない容姿をしていた。
「そうですか‥‥でも今日は、うちのチトとユーリを助けてもらった様でありがとうございました」
店主はセイバーに早速、チトとユーリを助けて貰った礼を言う。
「その声で礼を言われると、何故か寒気がするのですが‥‥」
「お、俺も何か複雑な感じだ‥‥」
「?」
礼を言われているのに何故か体に寒気が走るセイバー。
士郎の方も複雑そうな顔をしている。
だが、店主にしては何故、その様な態度を取られるのか分からなかった。
一方、ねこやに来ていたお客達もセイバーと士郎に様々な反応をした。
カウンター席に座っていたロースカツこと、常連客の一人、アルトリウスは、
(ふむ、あの小僧も儂やヴィクトリアと同じ、魔術師の様じゃな、だがあの娘は‥‥なんなんだ?騎士も見るが魔力も有しておる‥‥)
セイバーと士郎の魔力を感じ取る。
同じくカウンター席に座っていた照り焼きチキンこと、常連客の一人のタツゴロウは、
(あの娘‥なかなかの騎士と見える‥‥一度、手合わせを願いたいものだ)
セイバーが纏う騎士としての腕前を感じ取る。
テーブル席に座っていたエビフライこと、常連客の一人であるハインリヒ・ゼーレマンは、
(あの気品‥‥どこかの国の王族だろうか!?それに騎士としてもかなり腕の様だ‥‥)
セイバーが纏う王として‥そして騎士としての気品を感じ取る。
プリンアラモードこと、ヴィクトリアは、
(変わった魔力を持つ人達ね‥‥)
アルトリウス同様、セイバーと士郎の魔力に反応した。
カウンター席に座ってかつ丼をかっ込んでいたかつ丼こと、ライオネルは、
(へぇ~華奢な体つきだが、それなりの修羅場をくぐって来た感じだな)
士郎とセイバーが修羅場をくぐって来た雰囲気を感じ取った。
一方、ウェイトレスのアレッタは、
(綺麗な人‥‥何処かの国の貴族様かな?)
魔導師でもなく、騎士でもないアレッタはセイバーや士郎が持つ魔力や騎士としての腕前を感じ取る事は出来なかったが、セイバーの整った顔立ちから彼女が平民ではなく、貴族なのではないかと思った。
同じくウェイトレスのクロは、
(この人‥‥人間なのに私達と同じ気配を感じる‥‥ううん、本当に人間なのかな?)
と、セイバーの中にある竜の因子に反応した。
それと同時にセイバーに妙な違和感を覚えたが、それが何なのかは分からなかった。
まぁ、クロが疑問に思うのも当然で、今までの長い時間の中で流石のクロもサーヴァントと言う存在にはこれまで出会ったことが無かったからだ。
一方のセイバーも店主に次いで、ねこやの客達にも反応した。
(あの老人とエルフはキャスタークラスの凄腕の魔術師みたいですね‥‥照り焼きチキンを食べているあの御仁はアサシン(佐々木小次郎)クラスの剣術士‥‥)
セイバーはアルトリウス、ヴィクトリアをキャスタークラスの魔術師、タツゴロウはアサシン事、佐々木小次郎並みの剣士だと一目で感じた。
ただ、ヴィクトリアに関しては、エルフ耳と魔術師と言う共通点から柳洞寺に住み着き、何かと自分にゴスロリ衣装を着せたがる魔法使いを彷彿とさせるので、ちょっと苦手意識が芽生えた。
そして、ライオンの獣人であるライオネルに関しては、
(っ!?士郎!!士郎!!)
(なんだ?セイバー)
(ライオンです!!バーサーカーみたいなライオンが居ます!!)
セイバーは目を輝かせながらライオネルを見つめる。
(そ、そうだな、セイバー)
(士郎!!あのライオン、お持ち帰りしてもいいですか?)
セイバーはなんと、ライオネルを持ち帰りたいと言う。
(えっ!?)
(あのバーサーカーの様なライオンならば、私や士郎のいい訓練相手になりそうです。それにペットとして愛玩する事も出来、まさに一石二鳥ではありませんか!!)
大好きなライオンを見て空腹を忘れるぐらい興奮している。
(さ、流石に獣人は不味いって、あの獣人はサーヴァントじゃないから霊体化出来ないだろう?)
生きているライオネルはサーヴァントと違い霊体化して一般人の目を誤魔化す事は出来ない。
それに獣人はこの地球では存在していない種族な為、衛宮家には置いておけない。
(うぅ~ですが‥‥)
(セイバー、今日此処に来た目的は料理を食べに来た筈だろう?)
(は、はい‥‥)
士郎に諭されてシュンとするセイバー。
余程ライオネルを連れて行けなかった事が悔しい様だ。
その件のライオネルは、
(何か、助かったような気がしたが一体‥‥)
そんな事を思っていた。
いつまでもやって来たお客を立たせる訳にはいかないので、セイバーに興味を持ったクロが二人の接客に向かう。
(いらっしゃいませ)
「「っ!?」」
脳内に直接言葉を送って来た漆黒のウェイトレスにビクッと体を震わせる士郎とセイバー。
ただ、二人が驚いたのはそれだけではなかった。
(な、なんなんだ!?コイツは‥‥それに脳内に直接言葉を‥‥!!)
(この者‥‥此処に居る誰よりも強い‥‥それに私が此処まで近づかれるまで気づかなかった‥‥まさか、アサシンのサーヴァントか!?)
あのセイバーでさえ、クロが声をかけるまでクロの存在に気づかなかった。
クロはねこやで働いている時は『死』の気配を最小限まで控えているが分かるモノには分かる。
彼女が只モノではない事に‥‥
それは魔術師である士郎と最良のサーヴァントであるセイバーにも分かったが、クロの正確な正体まではつかみ取れなかった。
(お席にご案内いたします)
クロの案内の下、警戒しながら席に着くセイバーと士郎。
(お客様、東大陸語は分かりますか?)
相変わらず脳内に直接言葉を送って来るクロに戸惑いを感じつつ、クロが言う東大陸語と言う言葉が分からない士郎は、
「いや、普段此処で使っているメニューでいいよ」
平日に使用しているメニューで構わないと言う。
と言うか、そうでないとなんて書いてあるか分からない。
(承知しました)
クロは士郎とセイバーに平日ねこやで使用しているメニュー表を手渡す。
(お待たせしました、メニューとお水とおしぼりです、どうぞ)
「あ、どうも」
(では、ご注文がお決まりになりましたら、お声がけください)
士郎とセイバーは早速手渡されたメニュー表を開くとそこには確かに一成の言う通り、洋食の他に和食、中華など多種多様な料理が掲載されていた。
「確かに一成の言っていた通り、色んなモノがあるな‥‥」
(それに値段も確かに格安‥ファミレス並みの値段だ‥‥これでやっているのか?)
「ええ、どれもこれも美味しそうです」
士郎とセイバーは他のお客たちやあの黒い服のウェイトレスが自分達に危害を加える気配がないので、此処は本来の目的であるねこやの料理を食べることにした。
「うーん‥‥」
しかし、洋食屋にも関わらず、こうして沢山の料理があると目移りしてしまう。
だが、それと同時にファミレス並みの値段で経営して行けるのかと疑問に思う士郎だった。
一方、セイバーの方はお腹が減っているにも関わらず、メニュー表と睨めっこをしている。
「セイバーは何か食べたいヤツはあるか?」
「カレーにオムライスにお好み焼きに‥‥ああでもカツ丼も捨てがたいですね‥‥そして、士郎の友が言っていた肉も‥‥ハンバーグにするかステーキにするか‥‥うーん‥‥」
「せ、セイバー?」
士郎が声をかけてもセイバーはメニュー表から目を逸らさずにブツブツと何かを呟いていた。
「まぁ、いっか‥‥」
士郎もメニュー表に目を移して、自分が食べたい料理を探した。
セイバーと士郎がメニュー表と睨めっこをしている間も厨房からはトントンと食材を刻み、グツグツと食材が煮込まれる音、お客たちの注文をする声、談笑する声、アレッタやチト、ユーリが注文を確認したり、注文された品を運ぶパタパタと運ぶ足音が聞こえるが、今のセイバーにはきっと、何も聞こえてはいないのだろう。
(よし、俺は肉じゃがにするか)
士郎は数あるメニューの中から肉じゃが定食を選択した。
勿論他の料理にも興味はあるが、まずは自分が得意な和食の味を確認したかった。
「俺は決まったけど、セイバーは‥‥」
「士郎!!」
「は、はい」
「決まりました」
「そ、そうか‥‥」
「ええ、本来ならば此処のメニューを全て食べたい所ですが、士郎の懐事情もありますから、数あるメニューの中から吟味しました」
セイバーはまるで、国の命運を決める重要な決断を下したかのような真剣な顔で食べる事が決まったと言う。
というか、士郎の懐事情を無視していたら、ねこやのメニュー全てを注文していたのだろうか?
もし今日、セイバーの連れが士郎ではなく、金ぴかの英雄王だったら遠慮なく、セイバーはこの店のメニューを全て注文していただろう。
「すみませーん!!」
(はい、ご注文はお決まりですか?)
「えっと、この肉じゃが定食をください」
(はい)
「私は、オムライスにお好み焼き、ビフテキ、カレーライス、かつ丼‥いずれも大盛りを」
(承知しました。ただ、お客さまのご注文が多いので、出来上がった順からお出ししてもよろしいでしょうか?)
クロはセイバーが頼んだ料理が多いので、一度に持って来るのではなく、出来上がった順で出してもいいかと尋ねる。
「構いません」
(承知しました)
士郎とセイバーの注文を聞いたクロは店主へとオーダーを伝える。
(マスター、オーダーです。肉じゃが定食一つに大盛りでオムライス、お好み焼き、ビフテキ、カレーライス、かつ丼をそれぞれ一つずつ)
「あいよ」
(物凄く食べるな‥‥)
店主はクロからのオーダーを聞いてそのオーダー量に物凄く沢山食べる客だと思った。
此処までの量を食べるのを見たのは、クロが初めてこのねこやに来た時以来だ。あの時も半日ずっとチキンカレーを食べていた。
そこまでの量ではないが、あのお客もかなり食べる客の様だ‥‥
料理を注文した後、セイバーはメニュー表を見ていた時とは打って変わって集中力が完全にキレており、まだか、まだか、とソワソワしながら料理が来るのを待っていた。
セイバーにとってお腹が限界近くに減っており、更に美味しそうな料理の匂いをかがされてはまさに拷問に近い時間だった。
(お待たせしました、肉じゃが定食とオムライスです)
そこへセイバーが待ちに待ったねこやの料理がやってきた。
(ライスとスープ(お味噌汁)のおかわりは自由ですので、それではごゆっくり)
士郎が注文した肉じゃが定食は、お盆の上にほくほくとした白い湯気を放つ肉じゃがを中心に、その両サイドには茶碗に盛られたホカホカの白いご飯、お椀に入ったワカメとネギの味噌汁、そして付け合わせにはきゅうりの柴漬けと冷奴が入った小鉢が乗っていた。
一方、セイバーが頼んだオムライスは、ラグビーボールの様な綺麗な形で、輝かしい黄色に赤いケチャップがかかっている。
「「いただきます」」
セイバーが早速スプーンを手に取り、オムライスを割る。
すると、沈み込みそうなほどに柔らかな卵はあっさりと切れ、中からたっぷりと詰まった赤い具が姿を見せる。
赤みを帯びたオレンジ色のチキンライス。
具は色鮮やかな緑色のピーマン、塩漬けにした鶏の肉の他にマッシュルーム、玉ねぎが入っている。
「はむっ‥‥こ、これはっ!?」
セイバーがスプーンに盛られたオムライスを一口食べると、一気にオムライスの旨味が口の中に広がる。
まず、最初に来るのはもちろん、焼いた卵の味だ。
ふんわりとした絶妙の柔らかさに加え、ほのかに乳とバターの風味がして、わずかに甘い。
そこへ、トマトケチャップによる酸味が合わさることで調和が生まれる。
その後には来るのは、塩漬けにした鶏肉の肉汁とマッシュルームの旨味、卵とは異なる玉ねぎの甘み、ピーマンのほのかな苦み、それらの具材の旨味をチキンライスの米が一粒一粒ふわりと受け止める。
一口目以降、セイバーの持つスプーンの速さは徐々に上がっていった。
一方、士郎の肉じゃがは、硬くもなくまた柔らかすぎず、適度な硬さで熱く、また醤油と出汁の味が染みたジャガイモの味わいが士郎の口一杯に広がる。
(ふむ、具材だけでなく、出汁にもいいモノを使っている‥‥)
ゆっくりと味を確かめるかのように味わいながら咀嚼する。
白米も国産のコシヒカリを使い、柔らかくほんのりと甘い。
この米だけで何杯もいけそうだ。
味噌汁も丁寧に煮干しの腸を取り除いたモノを使用し、昆布とかつお節の合わせ出汁は絶妙で、味噌汁に肝心な味噌の方も国産の大豆を使用して作った味噌を使用している。
飲むだけで胃は勿論、心も温かくなるような味だ。
ただ、自分と相いれない考えの人物と似た声を持つ人が作った料理と言う事で何だかその人物に負けたような気がした為、若干の複雑さを覚える士郎だった。
「お待たせしました。ご注文のお好み焼きです。お皿は熱くなっているので気をつけてください」
続いてチトがセイバーの頼んだお好み焼きを持って来た。
その頃には最初のオムライスは既にセイバーの胃袋の中に消えていた。
チトはオムライスが乗っていた空の皿をさげ、代わりにお好み焼きが乗った皿をテーブルの上に置く。
セイバーが頼んだお好み焼きは熱い鉄の皿の上でジュ~と言う音を立てており、ほんのりと白い湯気も出している。
上には黒いソースと黄白色のマヨネーズが網目状にかけられており、青緑色に輝く青海苔の他に踊るように揺れるかつお節がかかっている。
鉄の皿の熱さが加わって立ち上る匂いがセイバーの鼻腔を刺激する。
「いただきます」
お好み焼きを箸で切ると、上に掛けられたソースが皿の上に落ちて、かすかに焦げる匂いがする。
セイバーはお好み焼きの切れ端を箸で摘まみあげ、口の中へと放る。
「あつっ!!‥‥ハフハフ‥‥」
最初に感じるのは見た目からも分かるその熱さだ。
焼き立てで、冷めぬように敢えて鉄の皿の上に置かれたお好み焼きは当然ながら熱い。
しかし、歯で噛んでみると、カリッと香ばしく焼かれた表面とタコ焼きのようなトロっとした中の柔らかさ‥‥さらにかみ締めると、口の中に渾然と様々な香りと味が広がる。
青海苔からは磯の香り、
かつお節からは魚の味と旨味、
脂が乗った豚肉の柔らかな味、
油をたっぷり含んだ小麦の香ばしい味とそれに混ざった卵の豊かな味、
シャキシャキとしたキャベツの味と歯ごたえ、
それらを全て包み込む、甘くて辛くて酸っぱいソースとねっとりとしつつも優しく包み込む様なマヨネーズの味、
お好み焼きはまさに鉄板の上で繰り広げられる味の合唱とも言える料理だ。
それぞれがそれぞれの歌を‥味を歌っている。
「すみません、ごはんとお味噌汁、おかわりはいいですか?」
士郎もやはり、米と味噌汁の味には満足がいくものらしく、おかわりを頼む。
「はい」
アレッタが、士郎からお茶碗とお椀を受け取り、厨房へと向かいおかわりを用意して持って来る。
「お待たせしました。ごはんとお味噌汁のおかわりです」
「ありがとう」
おかわりを受け取って早速士郎はホカホカの白いご飯、きゅうりの柴漬け、お味噌汁で食事を再開する。
「お待たせしましたー、カレーライスでーす」
次にユーリがセイバーの頼んだカレーを運んできた。
常連客の一人であるアルフォンスの大好物であるねこやのカレーライスは、大きな皿に山盛りの白いごはんの上に掛けられた大きな具材がゴロゴロと入ったカレーのルーに皿の隅の方で、小さいながらも自らの存在感を立派に主張している赤い福神漬けがあり、香辛料をたっぷりと使った刺激的なカレーの香りがまたもやセイバーの鼻腔を刺激する。
セイバーは早速、ごはんとカレーのルーがかかった境界線辺りをスプーンで一掬いして、そのまま口へと運ぶ。
すると、まず最初に感じるのはカレーのルー‥正確にはカレーのルーに使われている香辛料がもたらす辛味と香りだ。
セイバーはその辛味さえも楽しむかのようにじっくりと堪能しながら咀嚼すると辛み以外の味が次々とはじけて口の中で混ざり合っていく。
ごはん独特の甘みにじっくりと煮込んだ事でとろけるように柔らかくなった肉、カレールーにたっぷりと溶け込んだ玉ねぎ。
しかもそのカレーのルーには肉のエキスも混じっている。
その他の具材であるにんじんとじゃがいももたっぷりとカレーのルーが染み渡っており、辛みがあって柔らかく美味い。
それらが口の中で溶け合い、一つのハーモニーを‥味を作り出していく。
食べていく内にセイバーの額には汗が浮かび上がり、やがて、一筋の航跡を描いて落ちていくが、セイバーの手は止まらない、止められない。
スプーンで掬って、口に運ぶことを延々と繰り返す。
セイバーが汗を拭ったのはカレーを全て完食してからだった。
「お待たせしました。ご注文のビフテキです。鉄板は大変熱くなっていますのでお気をつけ下さい」
アレッタが次にビフテキをテーブルの上に置いた。
セイバーの前には木の枠に鉄の皿がはめ込まれたステーキ皿が置かれている。
ステーキ皿の上ではジュウジュウと脂とニンニクをベースとしたステーキソースが弾け、一口では食べきれない様な分厚い、赤みを帯びた肉の塊がそこにあった。
そして、肉の周りには彩りよく添えられた温野菜がまるでステーキと言う主人に控える従者のように添えられている。
「ゴクッ‥‥」
一目見ても分かるこのステーキの圧倒的な存在感と威圧感。
セイバーは思わず唾を飲み込んでしまう。
しかし、その表情はまるでこれから戦をするかのような真剣な顔だった。
「で、では‥‥いざ、勝負!!」
セイバーは丁寧にナイフとフォークを使い、肉を切り分け、一口、それを口に運んでみる。
「っ!?」
その肉の味は決して美味いと呼べる物ではなかった。
いや、“美味い”などと言う浅はかな言葉では片付けられない程に、暴力的で、刺激的で、高貴な味だった。
最初に感じたのは、初めて感じた事が無い程の、強い塩と胡椒の味だった。
その塩の味に導かれるように、口の中を、肉と脂の味と食感が、縦横無尽に暴れ狂う。
肝心の肉の味は狭い牛舎などではなく広大な牧場でのびのびとすごし、抗生物質などが配合された人工飼料ではなく、自然の青草を食べて育った牛の肉のそれだ。
ニンニクの効いたステーキソースは舌を、鼻を抜け、胃を刺激しセイバーに更なる肉を要求させる。
肉の従者たる温野菜達も主人には負けておらず、甘く、歯応えがあり、肉と脂に塗れた口内を優しく満たしてくれる。
そして付け合わせのごはんとスープもこれまた絶品だった。
ごはんは士郎が好評したように良い米を使用しており、口に含んだ時のほかほかとした暖かさと、噛めば噛むほどに僅かに甘さが感じられるその食感がセイバーの食欲を加速させる。
スープは鶏肉と玉ねぎ、ジャガイモ、にんじんをベースに長時間煮込んだそのスープは香りも良く、口に含めば含む程、鶏肉の脂と具材の旨味が口の中で踊り出す。
一口、二口、三口と料理が口に運ばれ、皿の上に料理が姿を消すまでそう時間はかからなかった。
「お待たせしました。ご注文のかつ丼です。以上で注文の品はよろしかったでしょうか?」
チトがかつ丼を運び、士郎とセイバーに注文した品が全て来たかを確認する。
「ああ、全部来た。ありがとう」
「では、ごゆっくり」
士郎の返答を聞き、チトは厨房へと帰って行った。
チトと士郎のやり取りの中、セイバーの視線は自分の目の前に置かれたかつ丼に向けられていた。
三切れのたくあんに味噌汁が入った蓋つきのお椀、青と白の縦縞模様の陶器の丼。
これぞ、ザ・かつ丼と言った風体でそのかつ丼はセイバーの目の前に鎮座している。
あのライオンの獣人が食べていたかつ丼が今まさにセイバーの目の前にある。
「で、では‥‥はぁ~‥‥」
セイバーがかつ丼の蓋を開けると、ふわっと辺りに漂う香ばしく、甘い香りと湯気にセイバーは思わず感嘆の声をあげる。
丼には鮮やかに明るい玉ねぎと衣を纏った分厚い肉の茶色、黄金色に近い卵の黄色、具の間からはチラッと見えるごはんの白。
その色合いと匂いが食欲をそそる。
「いただきます」
箸を持ち、手を合わせてセイバーはかつ丼の丼を持って食べ始める。
たとえ無作法だの女性らしくないだのと言われてもかまわぬとばかりに器を持ち上げて、直接口をつける。
「はむ、はむ、はむ‥‥おおおおお‥‥こ、これは‥‥」
カツとごはん、それら両方を同時に食べることで肉とメシが交じり合い、素晴らしい味となる。
上の肉からこぼれた汁の味を吸ったごはんとその肉汁を出すカツ肉が甘辛いハーモニーをセイバーの口の中で奏でている。
セイバーがかつ丼を完食するのにものの三分もかからなかった。
「ごちそうさまでした」
かつ丼を食べ終え、丼をお盆の上に置いたセイバーの口元には一粒のご飯粒がついていた。
「セイバー、ご飯粒、ついているぞ」
士郎がジェスチャーを使ってセイバーに教える。
「あっ‥‥」
セイバーは顔を赤くし、慌てて口元についていたご飯粒を取ると恥ずかしかったのか、俯いてしまう。
そんなセイバーの仕草が可愛かったのか、士郎は思わず苦笑してしまう。
「どうだった?セイバー、此処の料理は?」
そして士郎はセイバーにねこやの料理の感想を尋ねる。
「最高でした。まさに人類の宝とも言える至高の作品です」
「そ、そうか‥‥」
セイバーのオーバーな表現にちょっと引いてしまう士郎。
「さて、それじゃあ‥‥」
士郎がお会計を頼もうとして立ち上がろうとすると、
「ん?士郎?トイレですか?」
立ち上がりかけた士郎にセイバーは、トイレに出も行くのかと尋ねる。
「えっ?あっ、いや、料理も食べたし、そろそろ帰ろうかと‥‥」
「何を言っているのです。まだデザートが終わっていません」
「えっ?」
セイバーはあくまでも今まで食べた料理はオードブル、メインディッシュであり、このあとはまだ、デザートがあると言う。
「‥‥」
セイバーの発言でも思わず固まる士郎。
しかし、そんな士郎を尻目にセイバーは再びメニュー表を手に取り、デザートのページを見ていた。
その後、セイバーはチョコレートパフェ、クレープ、プリンアラモードを注文してそれらのデザートをペロリと平らげてしまった。
セイバーの食欲を見た常連客達の反応は‥‥
男性陣の反応は、
(女性なのにえらく沢山食べるな‥‥)
女性陣の反応は、
(なんで、あんなに食べて太らないんだろう?)
だった。
セイバーが食事をしている間にも自分達の食事を終えたお客たちは次々と自分の世界へと帰って行く。
そして、漸くセイバーの食事は終わり、食器を片付けに来たユーリにセイバーは、
「すまないが‥‥」
「はい?追加のご注文ですか?」
ユーリはまだセイバーが何かを注文するのかと思ったが、
「いや、店主と少し話がしたいのだが‥‥」
セイバーとしては食事にも興味があったが、この店に入った時に感じた結界の様なモノ、そして地球上には居ない様な種族が居た事について店主に事情を聞きたかった。
「ぬーん‥‥まだ、お客さんが残っているので、テンチョーも厨房からはなれられないので、今いるお客さんが帰ってからでもいいですか?」
「ああ、構わない」
「わかりました」
「セイバー‥‥」
士郎自身もこの食堂に来ていた異世界の人達については聞きたかった。
でも、魔術師は基本、自らの魔術技術は秘匿するモノだ。
この食堂の魔法も本来ならば、秘匿するべきモノなのだろうが、セイバーも士郎も例え、禁忌を犯す行為でも聞きたかったのだ。
そして、お客の波も引き、後は夜に最後のお客である『赤』が来るまでのわずかな時間の合間に店主はセイバーと士郎の下にやって来た。
「それで、お客さん、私に用があると聞きましたけど‥‥」
「早速だが、今日来ていたお客たち‥‥あれはいったい何なんだ?どう見ても地球にいる種族には見えなかったが‥‥」
「ああ、この店は週に……いや、七日に一度だけ、異世界と繋がる不思議な店なんですよ」
「「異世界?」」
セイバーと士郎には一瞬信じがたい話であったが、現にさっきまでこの食堂には地球上に存在しない筈の種族達がおり、食事足していた事から店主の言っている事が現実なのだと無理矢理にでも理解させられた。
「ええ、それで今日来たお客さん達は皆、異世界の方々なんです」
「じゃあ、この店に貼られた結界は‥‥?」
「結界?‥‥ああ、多分それは魔法のベルの加護です」
「魔法のベル?」
「ええ、ほら、あのドアについているベル‥‥あのベルのおかげで異世界の人の言葉が分かる様になっているんです。まぁ、流石に文字の方は無理があったみたいなので、常連客の人に書いてもらいましたが‥‥」
店主は正面口のドアについている小さなベルを指さす。
この店に貼られた結界の様なモノは士郎やセイバーの思っている様なものではなく、異世界の住人達の言語を日本語に訳す為のものだと店主は言う。
「お客さんはチトとユーリに何か違和感を覚えるって聞いたんですが、もしかしてお客さんも異世界の方なんですか?」
「えっ?」
「実は、私とちーちゃんは、この世界の人じゃないんだよね~」
ユーリはセイバーと士郎に自分達の居た世界とこの世界に来た経緯を二人に語る。
「世界が終わった世界‥‥そんな世界があるなんて‥‥」
「それで、あの扉をもし、私かちーちゃんが開けたら、その世界に行ってしまうかもしれないから、私とちーちゃんはいつも勝手口を使っているんだよ」
「お客さんがもし、異世界の人で自分の居た世界に戻りたいのであれば、あの正面口を使えば元の世界に戻れるかもしれません」
チトは自分達に違和感を覚えたと言っていた時のセイバーの態度から彼女も異世界の人なのだと思っていた為、元の世界に戻りたいのであれば、正面口のドアをくぐるといいと言う。
「元の‥‥世界‥‥」
チトの話を聞いてセイバーの心は揺れた。
あの扉を開ければ自分は受肉したままで過去に‥‥自分のやり直したい時代に戻れるかもしれない。
聖杯を使わなくとも「選定のやり直し」ができるかもしれない。
そんな考えが一瞬脳裏に浮かんだ。
「セイバー?」
そこへ心配そうに士郎が声をかける。
(っ!?何を考えているんだ私は‥‥)
(今は、この世界が‥‥士郎と共に生きているこの世界が今の私の居場所ではないか‥‥)
セイバーは未練を振り切る様に今はこの世界で士郎と共に生きていこう‥‥改めてセイバーはそう心の中で誓ったのであった。
「いえ、元の世界には未練はありません。お心遣い感謝します」
セイバーはチトに微笑みながら礼を言う。
「あっ‥‥いえ‥‥」
セイバーの微笑みを見て、思わずチトは顔を赤らめる。
「あれ?ちーちゃん、顔が赤いよ?」
「う、うるさい。なんでもないから」
ユーリに茶化される前にチトは皿洗いをする為に厨房へと向かう。
聞きたい事も聞け、美味しい料理も食べる事が出来たセイバーと士郎は帰ることにした。
ただ、ねこやの料理が良心的な値段だとしても注文した量が多かったのでそれなりの値段となり、士郎の財布から諭吉さんが出ていく結果となった。
「毎度~」
「またどうぞ~」
店主たちから見送られ、チト達と同じように勝手口から外へ出る士郎とセイバー。
「なんか、夢を見ていた様な時間だったな」
士郎が歩きながら異世界食堂での出来事を振り返る。
「ええ‥そうですね‥‥でも、料理はおいしかったです」
「そうだな…あっ、でもセイバー」
「なんですか?」
「あの店の事は内緒にしような。異世界の人達が心休まる食事の場所を俺達が奪う権利なんてないのだから」
「そうですね」
士郎とセイバーは異世界食堂については秘密にすることにした。
一般人に行ったところで妄言としてとらえられる内容でも魔術師にとっては十分探りを入れる話になりそうだったからだ。
しかし、その夜‥‥
「士郎!!」
「先輩!!」
「お兄ちゃん!!」
士郎は凛、桜、イリヤに詰め寄られていた。
「ど、どうしたんだよ?皆‥‥」
「セイバーに聞いたわよ!!」
「えっ?」
「今日、セイバーと一緒に美味しい料理屋に行ったって!!しかも衛宮君の奢りで!!」
「それに二人っきりでお出かけなんて‥‥」
「ズルイ!!」
セイバーは異世界食堂の実態については詳しく語らず、ただ士郎と一緒に美味しい料理屋の料理を食べに行ったことだけを凛達に話し、それを聞いた凛達が羨んでこうして士郎に詰め寄って来たのだ。
「あっ、いや…これには訳が‥‥」
「どういう訳なのよ!!」
「先輩、きっちりと説明してください!!」
「そうよ!!セイバーだけ、お兄ちゃんと食事だなんて!!」
「ちょ、みんな、落ち着いて‥‥」
士郎は彼女達を納得させるのに苦労する事になった。
その頃、セイバーは、自室にて、
「今度はアレと、コレを食してみたいですね‥‥」
と、ねこやのメニューを思い出しながら、ねこやの全メニューの制覇の計画を立てていた。