本当に色々ありました。
前回の投稿から仕事で国内あっちこっち飛ばし飛ばされ…
前回登場したNISIKIの役員の人名を笹井から飯田に修正いたしました。
何時ものように朝は電車を使って学校へと向かう。季節も段々と初夏に向けて暖かい日が増えてきたように思う。こうやって周囲の環境は段々と変わっていく。そんな中、俺の周りでも少し変わった事があった。
毎日の様に改札を抜けてプラットフォームに向かう。いつも俺が電車が来るまで待つベンチには、今年に入って一緒に登校するようになった彼女が座っている。駅構内を革靴が叩く音でベンチに座っていた速水が反応する。
「おはよう。今日は私が先のようね」
「おはよう。最近はお前のほうが来るの早いな」
「そうね。段々暖かくなってきたから目覚めがいいのかもしれないわ」
「そうだな。まぁこれからはどんどん暑くなる一方だがな」
「暑いのは嫌いかしら?」
「それに汗をかくから嫌いだ。上着を着ないでいい分ましだが、毎日洗濯するのが面倒だ。あと、飯の作り置きがすぐに痛む」
「ふふっ、汗をかくから嫌いなのは分かるけど、洗濯とご飯は主婦の台詞みたいね。あら、ここでは主夫かしらね」
「そういう速水はどうなんだ?」
「…ねぇ、昨日の事もう忘れたのかしら?」
そう言うと速水はジトッとした視線を投げかけてくる。
「…そうは言われてもなぁ。今まで速水って呼んでたから突然奏って呼べって言われてもな」
「今言えてるじゃない」
「そりゃ言われてからなら言えるが。そのなんだ、会話の流れの中じゃ慣れた方を使うからな」
「そう。それじゃ言い慣れるようにこれから私ともっと話をしましょ。悟君」
そういうと速水は、フッと笑みを浮かべる。
とはいえ、駅から学校まで一緒に登校した後は、速水はしっかり授業を受けているし互いにクラスメイト達と話をするわけで速水と二人で話をするという機会は登下校くらいしかない。そして下校は最近速水のレッスンが多く入っているので下校は途中で別れることも多くなってきた。
俺が初めて美城プロダクションを訪れてから早いもので二ヵ月が過ぎようとしていた。美城との今後を見据えた商談は互いに利益が得られるという考えで一致し順調に滑り出している。また、つかさとの商談も飯田さんや担当部長の賛同により問題なく進んでいる。俺には、日中には学校があるので今回の美城との商談は成立後には他の社員が行えるように引き継ぎ作業を済ませた。つかさとの商談については、下手に他の社員を間に挟むよりは俺とつかさで進めた方がいいとの会社の方針で互いに放課後に喫茶店や互いの会社で調整を進めている。
そんなこんなで俺は学生生活を過ごた。そうしている間に速水はどんどんとアイドルとしての活動が増えてきたようだ。最近は、雑誌にも掲載されるようになっているようで学内では今まで以上に注目の的になっている。
「あなたは変わらないのね」
何時ものように駅のベンチに腰掛けるとこちらを見ることなく速水が呟く。
「突然だな。どうした?」
「最近、雑誌に掲載されるようになってから今まで以上に学校で色んな人に話しかけられるようになったわ」
「ほう。それで?」
「アイドルとして活動を始めてから何だか目に見えて変化を感じられるようになったって感じるのはいいけど……言葉では言い表しにくいわね。そうね…アイドルという肩書だけで近寄ってくる人もいるから…」
「肩書ねぇ」
そう呟きながら俺は、ベンチの背もたれに大きく背中を預けてプラットフォームから見える空を仰ぎ見る。
確かにそういった肩書で集まる人間もいるだろう。肩書や声名、権力といったものは見えざる力を持つ。どれだけ綺麗な言葉を使い努力をしようとも肩書や声名、権力というものは容易に努力しているものの地道な歩みを飛び越えていく。
そんな事を考えていると空を隣に座る速水が俺の方を向く。
「でも、だからこそ頑張ろうと思うわ」
唐突にそう宣言した速水に俺は視線を合わせる。
「頑張る?」
「ええ、アイドルという肩書に惹かれて集まった彼らを私は魅了するわ。アイドルという肩書じゃなくて速水奏というアイドルに見惚れさせるから」
「っ!」
俺は唐突に宣言した彼女の言葉に感銘を受けた。それと同時に俺の中で
「っふ。ふっはは。最っ高だなおい!」
「ち、ちょっと。急にどうしたの?」
「いや、俺には絶対に出せない答え方だと思ってな。速水お前ってすげぇよ」
そう言いながら隣に座る速水の頭をポンポンと撫でる。速水からすると何時もの俺の様子から想像できない行動に動揺しているようだ。まぁ、確かに速水からすると意味が分からないだろう。
俺は速水のような考え方はできない。
肩書に惹かれて集まってきた人間を肩書ではなく自分に惹かれるように頑張るという考え方は俺の中には存在していない。前世の俺の肩書は、十分に立派と言えるものだ。その為、祝賀会や懇親会などでは、その肩書につられて多くの人間が俺の周りに集まってきた。俺は、そういった彼らを選別する。肩書のみに惹かれて俺に近づいた人間はその場では話をしても今後は無い。
まぁ、肩書に惹かれて集まると言っても会社役員とアイドルに肩書に惹かれる人間のタイプは違う。だが、俺が着目したのはそういった人間に対する速水の考え方だ。これは俺には全く考え付かないものだ。
俺は、速水の倍以上の人生を過ごしてきたが速水のような考え方をしたことなど一度もなかった。
「……それで、悟君はいつまで私の頭を撫でているつもりなのかしら?」
「お?…あ、すまねぇ」
少し頬を朱に染めた速水がそう呟く。それから、少し乱れた髪を手櫛で整えつつこちらを見る。
「それで?私の決意の何がそんなに可笑しかったの?」
「いやいや。可笑しかったわけじゃないんだ。ただただすごいと思ってな。俺には出来ない考え方だと思った」
「そうかしら?」
「ああ、俺には速水みたいには出来ないな。だからお前を尊敬する」
「ふふっ、それは嬉しいわね」
そう言って笑みを浮かべながら速水が立ち上がる。それから線路のほうに視線を向けるといつもお世話になっている電車がホームに滑り込んできた。
何時ものように授業を聞きつつ午前が終わる。最近は速水の周りに人が集まるようになっているのでいつも以上に教室が活気付いているように思う。横目で速水を見ると他の生徒たちに笑顔で対応している。
放課後になり、部活動をしていない俺は、教材を鞄に入れて席を立つ。同じように隣で片づける音がしていたがクラスの連中が話掛けたことで中断した。俺は静かに席を立って教室を後にする。背中に視線を感じていたが気のせいだろう。
昇降口で靴を履き替えて正門から出る。駅に向かう道をゆっくりと歩きながらスケジュール帳を取り出して今月の予定を確認する。打ち合わせの日時を確認しながら歩いていると駅に到着した。改札を抜けて何時ものベンチで電車が来るのを待つ。
「だーれだ?」
仕事用の携帯を取り出してメールをチェックしようとした矢先視界が真っ暗になった。女性らしい柔らかな指と聞きなれた声で誰かはすぐ分かる。
「速水」
「そうよ。まぁ分からない訳ないわよね。それより悟君、教室で私の事置いていったでしょ」
そういいながら俺の隣に座って足を組む。まぁたそうやって、スカートで足組んだら見えるだろ。
「大丈夫よ。見えないようにしてるから」
「……何にも言ってねぇ」
「そうかしら。目は口ほどにものを言うって言うじゃない。それともう一度聞くけどなんで私の事置いていったのかしら?」
「んなこと言われてもな。毎日登下校が一緒ってのも別に約束してるわけじゃないしなぁ」
「そう言われてみればそうね。じゃあ今度から用事がない限り一緒に帰りましょ」
「…あー。まぁいいか」
「もう。何よその答え方」
「俺はいいが、速水はいいのかよ?」
「どういう事?」
「アイドルが特定の男と登下校を一緒にしてるって思われても」
「そんなことね。ええ。問題ないわ。この程度で私の評価が下がるほど今は有名じゃないから」
「今、ねぇ」
「ええ」
そう言って速水は意味深に微笑を湛える。
「私はすぐにアイドルとしての階段を駆け上がるわ。だから、あなたとこの約束が出来るのも私がデビューするまでね」
「随分な自信だな」
「ええ。だって私だもの。自分に自信がなくちゃアイドルは目指さないわ」
「お前らしいな。分かったよ。期間限定の約束な」
「ええ。よろしく頼むわ。悟君」
「はいよ。速水」
「そこは奏って言ってほしかったわ」
来週は関東と関西を二度行ったり来たり…
そんで、とある調査で九州に飛んでいくかもしれません。年内だと今年は東南アジア諸国とオーストラリア辺りに吹き飛ばされるかもしれません。少なくともネット繋がるところがいいなぁ。
それよりさ!ツインテールの奏かわいい
今後の投稿も頑張ります。