今執筆してる#1のストーリー書くの楽しい。
場所は変わって美城プロダクションの一階にあるカフェに移動する。
入り口で出会った桐生つかさが話をしようというので美城の中に併設されているカフェにやってきた。ウサギ耳を付けた店員に俺はコーヒーを注文した。
「あ、アタシはカフェモカで」
俺の向かいに腰掛けたつかさが俺のオーダーに被せるように言う。注文を受けてウサギ耳の定員がカウンターに向かうのを眺めているとつかさが声を掛てくる。
「それで悟はなんでここにいんのよ?」
「さっき言った通り仕事だ」
「NISIKIの仕事ってこと?ここに来るってことは広報の広告塔を探してるってことか」
「ああ、さっきまで美城の常務と話をしてきた」
「うわ、悟ってばあの美城常務と話してきたんだ。ウワー、よくやるわー。アタシあの人苦手なんだよねー」
爪のネイルをいじりながらつかさは呟く。確かにどちらも我の強い性格なので合わないだろうなと思う。
「そうそう。そういえば悟は今どこの部署配属なん?広報?営業?」
「広報だ。それよりもお前はレッスン行かなくていいのか?今日はその為にここに来たんじゃないのか?」
「ああ、いいんのいいの~。元々今日はレッスン入ってなかったしぃ。ここ色々施設あるから仕事の休憩に使うのに便利なんだわ。使えるものは使うって言うじゃん。悟の口癖じゃん」
ネイルの手入れを終えたつかさはドヤ顔で俺を見ながらそう言った。
桐生つかさ
彼女と初めて会ったのは、小学生の頃に行った企業パーティーだった。昔から金髪ではあったが中学の頃からだろうか気が付いたらギャルになっていた。つかさの親も起業家でお互い親に連れられてパーティーに参加していた。周りは見渡す限り百戦錬磨の役員ばかりで見慣れていた俺にとっては良い観察対象がいるので案外楽しめていた。
そんな中親から離れて一人会場内を見渡していた少女が目に入った。幼いながらもパーティドレスを着こなしている少女で少し興味が湧いた。
それから、彼女と直接話をすることはなかったもののパーティーや祝賀会で何度か顔を合わせるようになり互いに顔を会わせれば会釈をするようにはなった。
初めて話をしたのは、意外と最近で去年にNISIKIで行われた記念式典だ。丁度アパレル部門開設のお披露目も含めて開催され、NISIKIの息子という事もあるので俺も参加していた。そんな中初めて俺は彼女に声を掛けられた。
「ねぇ、ちょっといい?」
他の会社の役員たちと挨拶をしていると人の掃けたあたりでぶっきらぼうに声を掛けられた。給仕から受け取ったグラスをテーブルに置くと見知った少女に声を掛けられたことに気が付く。
「アタシ、桐生つかさって言うの。あんたが江夏悟?」
失礼ともいえる物言いだったが、先程まで上面に仮面の笑顔を被った人間と話していた俺からするとかえって新鮮で彼女と話をしたいと思った。
「ああ、俺が江夏悟だ。」
俺は、彼女に言葉を返す。
「ちょっとアタシと話しない?」
そう言うと彼女は、あまり上品とは言えないが顎でしゃくるようにテラスの方を指し示す。
俺とつかさはこの日を境によく話をするようになった。互いに年が近いという事もあるが、この頃つかさは起業し、俺は会社で働くようになり何かとお互い共感しあえる話題が多かった。俺はあまりプライベートで他人と関わることは少ないがつかさはその例外と言える。仕事でもプライベートでも関わりのある数少ない俺の友人だろう。
「おーい、ちょっと、聞いてんのかよ?」
出会ったころを思い出していたら目の前のつかさが訝し気に俺の方を見ている。
「ああ、聞いてるぞ。それにしてもつかさの口調は相変わらずだな」
「は?いいんだよ別に。アタシはアタシだから。それにこんな口調程度でビビる奴なんかと話したくねーし」
つかさがそう言ったタイミングで丁度注文したコーヒーが届く。
「お待たせしました。男性のお客様がコーヒーで、つかさちゃんがカフェモカ」
「ありがとーウサミン」
「どういたしましてー」
軽い口調でつかさがうさ耳を付けた店員と言葉を交わす。店員はコーヒーとカフェモカを置くと他の注文を取るために離れる。
「ウサミン?」
「そう。ウサミン。彼女も美城プロのアイドル」
「そう、なのか。色んなアイドルがいるんだな」
そう言ってウサミンと言われていた店員から視線をつかさに戻す。
「何だよ。アタシがアイドルってのがおかしいかよ」
カフェモカに口を付けながらつかさは言う。
「いや、最近俺の友達もアイドルになってな。案外色んな所にいるんだな」
「はぁ?悟に友達いるとかウケるんだけどwww」
そう言ってつかさは面白いものを見たかのような顔をして吹き出す。
「いやウケねぇよ」
「いやいや、だってお前だよ?悟だよ?アタシみたいな美人でギャルで社長っていう勝ち組のアタシがいるってのに顔色一つ変えない悟にアイドルになるような友達がいるって笑えるんだけど。それに悟ってあんまプライベートで友達作るような奴じゃねーだろ」
そう言われて、少し考える。確かに言われた通り俺にはあまりプライベートで話すやつはいない。高校でも校内では色んな奴と話はするが一度学校から出ると話すことは殆どない。あれ?俺ってつかさと速水とあと数人くらいしかプライベートで付き合いのあるやついないのか?
「言われてみればそうだな」
「ほら、ウケるんだけど。NISIKIの次期社長がボッチとかwww」
それから暫く俺はつかさに笑われた。
中々笑いのおさまらないつかさに冷たい視線を送りつつコーヒーを飲む。そんな俺の視線を受け、つかさはようやく笑いをこらえた。時折、思い出したかのように吹き出しそうになるのにはこの際目を瞑ろう。
「あーチョー笑ったわー」
「はいはい。それで気が済んだか?」
「ああ、それはそうと今度悟に会ったら話そうと思ってたことあるんだよな」
「何だよ」
「ビジネスの話だ」
そう言うと先ほどまでは歳相応に笑い転げていたつかさは表情を変えて不敵にほほ笑む。
「ビジネスか。話を聞こう」
「去年からアパレル部門を立ち上げたNISIKIとうちとで提携しないかって話だよ」
「提携か?ふん。そうだな。とはいえ、現状こちらのアパレル部門はそう急くほど事業拡大をねらっているわけじゃない。堅実にうちのアパレル部門の営業に持ち込んだ方がいいんじゃないか?」
「アタシとしてはそれでもいいんだわ。でも、チャンスは今なんだよ」
桐生つかさの言葉を聞いて頭を働かせる。今である理由。この話をより有効活用させるためには今がいい理由である。
「桐生つかさのデビューがまだであることか」
俺のこの一言を聞いたつかさは、ニヤリと笑う。
「アタシって「美人でギャルで社長」…ってアタシのセリフ取るんじゃねーよ」
俺は桐生のセリフをかぶせるようにして言う。桐生つかさの口癖だ。セリフを取られた桐生はどこか悔しそうにしている。
「ったく、悟も最近は生意気になりやがって。まあいい、続きを言うぞ。アタシはまだデビューがまだだ。でもな、このアタシが売れないってわけないし。そうなれば、アイドルとしてのアタシが売れれば自然とうちの会社の名前も売れる。そうなれば、提携を持ち掛ける他の企業が出てくるだろ?そうなる前に友人であるNISIKIに話を持ってきたってわけよ。どう?」
「なるほどな。それに大した自信だ。まぁ、お前の事だ。人気者になるだろうな。それにNISIKIとしてもいい話だ」
「だろ?だから、やろうぜ!」
「やろう。と言いたいところだが。少なくともこの話で互いに利益が出るかどうかのキーとしてはつかさの人気の如何が関わってくる。不確定な根拠では、こちらとしても簡単には頷けないぞ」
俺の答えに勢いで押そうとしていたつかさは僅かに怯む。
「ちっ、やっぱ悟相手に勢いじゃ無理か。はぁ、ま、流石アタシが目を付けた男ってだけはあるか。分かったよ。うちの会社から今までに収集したコンシューマーのマーケティングの情報をやるよ。まだNISIKIのアパレル部門は開設したばかりだから情報は必要だろ?その代わり、データについての開示と共有は二社間のみ。それとこっちにはうちが渡した情報とそっちの情報を統合したビックデータの共有でどう?」
「ふん。いいだろう。すぐに上に掛け合おう。ビッグデータの共有だけの契約のみでも互いに利益はあるしな。それにつかさの活躍次第によっては今後の利益率の上昇も見込めるからな」
「そういう事だわ。はぁ、相変わらずアタシ相手でも商談に関しちゃ容赦ないよな悟は」
「まぁな。仕事とプライベートは別だからな。これに関しちゃつかさのスタンスも変わらないだろ」
「確かに。甘えと信頼は違うからなぁ。とりま、今日は悟と
そういうや否やつかさはカフェモカを飲み干して荷物をまとめる。
「そうか。俺も今日のうちから根回しをしておこう。決まれば近いうちにNISIKIの本社に来てくれるか?」
「ああ?アタシに出向けっていくのか?…しゃあねぇ、今回は悟の力もあるからな。行かせてもらうことにするか。それじゃあ、アタシが行くんだから出迎えの準備は頼んだぜ。んじゃまたな」
そういうや否や綺麗に染められた金髪を靡かせて、つかさは颯爽とカフェを後にする。
ふと、つかさが去った後のテーブルを見ると空のカップと置かれたままの注文票が目に留まる。
あいつめ。
俺も、もうここに用事はないので荷物を手に立ち上がる。ふと外から視線を感じたので見てみると、カフェのガラス越しにつかさがこちらを見ている。立ち上がった俺の手に注文票があるのを見て顔の前に手を合わせて舌を出す。それからさっと身を翻して駆けていった。
来週に大口の仕事が控えてるので日に二話の投稿は今日までかも
とはいえ、忙しいって言っても気分転換に今も書いたりしてるんじゃよ
お仕事タノシイヨ
みんな感想ありがとね。
以上、朝食をすべて炭化させた作者からお送りいたしました!