魔法科高校の劣等生 ~世界をひっくり返す錬金術師~   作:カイナベル

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 いまだにここには何を書いたらいいのか分からない…。


来訪者編 第四話

 

 錬が退院して一日ほど経ち、錬はいつものように一校に登校していた。クラスの面々から心配そうな表情で見られたが、もともと仲のいい人物が少ないため、それも長くは続かなかった。こうしていつものように孤独な学校生活を楽しんでいた。

 

 放課後、風紀委員本部で仕事をしていた錬は千葉エリカの呼び出しを受けた。エリカに呼び出されるいわれなどなかった錬は頭をひねりながら、体育館裏へと向かう。たどり着いたそこにはエリカとともに幹比古もおり、エリカはかなり険しい表情をしており、錬にはそれを当てられている幹比古が不憫に見えてしまった。

 

「で、何の用だ。エリカ」

 

「…ちょっと協力してほしいことがあるの」

 

「一応聞こうか」

 

「今夜から私たち吸血鬼の捜索に出るの。錬君にはそれに混ざってほしいのよ」

 

 私たちというのが幹比古も込みであることを悟った錬は幹比古の方を向くと、幹比古は無言のまま首を縦に振る。

 

「それは千葉家としての依頼という判断でいいのか?」

 

「いいえ、千葉家として協力を求めたのは吉田家だけ。だから錬君への依頼は私個人としての依頼。私の弟子としてのレオがやられて黙っていられるわけがない。だから錬君に協力してほしい」

 

 エリカは錬に向かって深々を頭を下げる。優雅とも洗練されているとも言えず、学生のする礼の範疇から出ないものであったが、それでも最大限の礼節がこもっているというのが錬には感じ取れた。錬は目をつぶり考え込むようなしぐさを見せる。

 

「……こっちも用事がある。できないときには出来ないぞ」

 

 逆説的に「用事がないときには協力できる」という間接的な肯定を受け、エリカは顔を上げ、表情を明るくさせる。今回、錬も襲撃を受け当事者となってしまったため、目をそらすことができない現状にある。捜査をしたいというわけではないが、ここまで丁寧に頭を下げられては断れるものも断れなくなってしまった。

 

「ありがとう。錬君が捜索隊に入ってくれれば心強いわ」

 

「エリカ個人の依頼ということだから、ある程度自由に動かせてもらうがそれでもいいな?」

 

「それで構わないわ。もとより私は報復がしたいだけだもの。情報が手に入るんなら何でもいい」

 

 エリカは錬の申し出に頷く。

 

「でも、それで見つけられるの?錬君には十師族のような監視網やミキのような古式の技術はないでしょ?」

 

「問題ない。発見できる技術が俺にはある」

 

「ふーん。詳しくは聞かないわ。どうせ応えてくれないだろうし」

 

「助かる。ちなみに聞いておきたいんだが、何で俺だったんだ?達也もいるだろうに」

 

「錬君は体質が特殊らしいからパラサイトとの戦闘でも問題なさそうだったから」

 

「要は肉壁役になれってことだな」

 

 エリカは錬の言葉が図星だったのか、てへっ、という表情に変わる。それを見た幹比古はいつものように苦笑いを浮かべるが、すぐに真剣そうな表情に戻る。

 

「でもエリカ。あまり無茶をさせちゃダメだよ。いくら錬が体質的にパラサイトとの戦闘に強いとはいえ、どこが許容量かが分からない以上、長時間壁をやらせることは避けた方がいい」

 

「そんなこと百も承知よ。ミキはともかくとして錬君に倒れられたら、今度は私が馬鹿兄貴に怒られちゃうわ」

 

「僕の名前は幹比古だ」

 

 エリカの幹比古を軽視したような言葉に幹比古は決まり文句を不貞腐れたように返す。それを見た錬は少し淀んだ空気を変えるために、話を元に戻そうとする。

 

「少なくとも今日、明日は何もないから協力できるぞ」

 

「そ。じゃあ今日からお願いね。情報が手に入ったらよろしくね」

 

「それじゃ」

 

 錬はエリカたちのもとを立ち去っていく。その道中、錬は本棚の中に意識を集中した。とあることを調べるために。

 

 一方その姿を興味深そうにエリカは幹比古にも気を配らずに何か考え事をしているような表情をしていた。

 

「どうしたんだい?エリカ」

 

「ちょっと話しかけないで。考え事してるから」

 

 エリカのぶっきらぼうな返答に幹比古はむっとしてしまうのだが、いつものことと納得することにし、エリカが再起動するのを待つことにした。

 

「……ああ、思い出した。錬君の歩き方、次兄上とどことなく似てるんだわ」

 

「次、ってことは修次さんのかい?」

 

「正確には走り方に近い、だけど。二、三度見たことがある走り方とちょっと似てるんだわ」

 

「ふーん、錬君って実はインファイターなのかな?」

 

「横浜のこともあるから、実はそうなのかもね」

 

 エリカと幹比古は納得したように頷く。その考えが実は半分、的を得ていたことを二人は知らない。そして、事の本質を見逃していることも二人は知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 錬は怪人、もといパラサイトの捜索を始めて三日目となっていた。一日目、二日目はエリカ、幹比古とともに、三日目である今日は単独で行動していた。パラサイトの位置が本棚リアルタイム更新でわかる錬は、パラサイトに休憩を挟みながら徐々に近づいていた(脳を使うため休憩は不可欠)。

 

 そして、錬とパラサイトの距離が二百メートルほどまで近づいたとき、エリカからの通信が入った。錬は懐から通信端末を取り出し、走りながら応答した。

 

「錬君、そっちの様子は?」

 

「パラサイトに近づいている。あと一分以内に接敵する。位置情報を送るぞ」

 

「ありがとう。何とか逃がさないようにしてちょうだい」

 

 そう告げたエリカは一方的に通信を切る。通信の切れた端末を懐にしまい、錬はパラサイトにどんどん近づいていく。おおよそ三十メートルの距離まで近づいたとき、とうとう錬はパラサイトを視認した。

 

 パラサイトは錬に気付いていない。それに気づいた錬はわざわざ遠回りして死角に入るように移動した。そして、死角に入り込んだ錬はパラサイトに奇襲をかけた。

 

 パラサイトは突然現れた錬に明らかに動揺しており、錬が左手で振り下ろした警棒を受け止められず、肩で受けてしまう。その痛みが響いたのか、パラサイトは肩を抑えながら、離脱しようとするが、錬の発動した、いや備えていた空気弾によって背後をふさがれてしまう。これによってパラサイトは交戦を余儀なくされてしまう。

 

 錬と戦い始めたパラサイトは錬に苦戦を強いられていた。錬は幽体に内蔵されている精気の量が常人の比でない。よってレオのように疲弊させることができない。それにもとより魔法的能力が違い過ぎるのだ。魔法戦闘で確実に押されており、さらにパラサイトの脳内には開幕の空気弾奇襲が残っており、うかつに錬に集中をすべて割くことができなかった。よってパラサイトの現状は大苦戦と言わざるを得ない状況だった。

 

 一方錬はパラサイトに全力は注いでいなかった。錬の目的としてはすでに達成しているからだ。錬の目的はあくまでエリカたちが来るまでの足止め。殺すことが目的ではないため、手を抜くことができていた。

 

 錬はパラサイトの足に警棒を振り当てる。パラサイトの表情は仮面で伺えないが、明らかに苦悶したのが錬にはわかった。足の痛みでパラサイトの動きは確実に鈍くなる。このまま追い詰め拘束しようと、錬が距離を詰めるために駆け出すが、それは背後からの奇襲によって阻止されてしまった。

 

 錬が距離を取りながら、警棒を薙ぎ払うと、警棒とコンバットナイフがぶつかり合い、火花を上げる。そこに立っていたのは以前交戦した仮面の人物。錬の仮面姿を見てその人物は眼を見開く。その表情は読み取れないが、仮面から見える目からは錬への恨みの感情が読み取れた。

 

「貴様…」

 

 仮面の人物の忌々し気なつぶやきを錬はさらりと流し、再度パラサイトに攻撃を仕掛けようとする。が、再び仮面の魔法師に攻撃を阻止される。

 

「邪魔をするな!」

 

 ソプラノボイスを響かせた仮面の人物、もといリーナは錬に攻撃を仕掛け続ける。錬はコンバットナイフの斬撃を捌き、躱し、初動を抑えていく。錬の防御に苛立ちを覚えたのか、リーナは歯ぎしりを響かせる。自分への攻撃に嫌気がさした錬はリーナを前蹴りで吹き飛ばす。吹き飛ばした錬はリーナを諭すようにして、話しかける。

 

「狩るべき相手を見誤るな。攻撃するべきは俺じゃないはずだ」

 

「黙れ!」

 

 リーナは錬の言葉に耳を貸さず、再び錬に攻撃を始める。埒が明かないと判断した錬は空気弾で攻撃するが、リーナをすり抜けてしまう。その理由が分からず、行動が一瞬止まってしまった錬はリーナの投げたスローイングダガーを左腕にかすめてしまう。

 

 追撃を防ぐために対物障壁を張る錬。そこに二本目、三投目のスローイングダガーが襲来する。スローイングダガーを防御した錬は脳内に意識を割き、リーナの位置を正確に暴き出す。リーナの位置を暴いた錬は空気弾を三発、時間差で発動する。一発目の空気弾が放たれると何もないところに現れた対物障壁にあたり、ただの空気に戻る。

 

 リーナの位置を視認した錬は、振動系統、高周波ブレードもどきを警棒に展開し、リーナに突撃する。自身の位置がばれたことに驚いたリーナは回避行動をとることができず、対物障壁で受け止めることを選択した。しかし、リーナも自分の障壁には自信を持っており、この選択は間違っていないと思った。確かに普通であれば、間違いでなかった。

 

 しかし、この状況では正しくはなかった。錬が投擲した警棒はリーナが展開した対物障壁をすり抜け、肩部に衝突する。明らかに痛みの色がリーナの顔に広がる。がリーナは対物障壁を維持し、追撃の阻止に努める。それに構わず錬は空気弾を三十発、ゼロコンマ五秒ごとに発動するように設置した。これでリーナは十五秒、その場にくぎ付けになってしまう。

 

 錬は再びパラサイトの方を向くと、パラサイトはすでにその場にいなかった。錬は本棚でパラサイトの現在位置を確認すると、すでに遥か彼方に逃げてしまっており、もはや追撃は不可能なほど離れてしまっていた。そのことを伝えるために錬は通信端末でエリカに連絡を取る。

 

「エリカか?」

 

「ちょうどいいわ。こっちでパラサイトと交戦してる。応援に…って、キャア!」

 

 通話越しにエリカの悲鳴が聞こえる。錬がリーナに注意を払いながら、エリカの反応を伺う。

 

「エリカ?」

 

「……ごめん。逃げられちゃったわ。達也君にも来てもらったのに…」

 

「達也?なんでいるんだ?」

 

「分からないけど助けてくれたわ」

 

 ここで空気弾の攻撃が切れたリーナが拳銃を警棒を叩きつけられた方の腕で乱射する。すると、発砲とともに閃光が周囲を包み込む。錬はその眩しさにとっさに目を覆ってしまい、リーナの姿を視認することができなくなってしまう。閃光が晴れた時にはすでにリーナはおらず、その場に残っているのは錬のみになっていた。リーナを追跡する必要のない錬はエリカとの通話を再開した。

 

「錬君、どうしたの?」

 

「大したことじゃない。それよりも合流しよう。とりあえず状況報告だ」

 

「分かったわ」

 

 そういうとエリカはそのまま通話を切ってしまう。またか、と思いながら錬は端末をしまおうとすると、端末に位置情報が送られてくる。ここに来い、ということだと判断した錬はエネルギー補給をしながら、その地点に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「やっと来たわね」

 

 エリカがやっと合流した錬を見てぽつりと零す。エリカとともに達也と幹比古も立っており、皆錬を待っていたようだ(エネルギーの補給をしながら走ってきたため遅くなってしまった)。そんな三人を見て錬は謝ろうかと思うが、時間がもったいないと思う気持ちの方が強かったため、報告だけをさっさと終わらせることにした。

 

「報告だ。パラサイトと交戦した。白仮面のやつだ。あと一歩のところまで追いつめたんだが、第三者の妨害に会って取り逃がしてしまった。すまない」

 

「私たちが戦ったのも白仮面のやつよ。ちょうど逃げてきたところで遭遇したのね。それより第三者?」

 

「正体自体はわからない。ただかなりの手練れであることは確かだ。俺たちと同様にパラサイトが目的のようだ。一応これも報告だが、恐らく右鎖骨を痛めさせることに成功した」

 

 錬はほどほどに嘘を交えながらエリカに報告をする。

 

「分かったわ。というか錬君が攻撃されたのはその仮面が原因じゃない?見るからに怪しいわよ」

 

「ん?ああ」

 

 錬は外し忘れていた仮面を外し、懐にしまう。

 

「私たちの方は、パラサイトと交戦してたけど、放出系と光波振動系の魔法の組み合わせで逃げられちゃったわよ」

 

「そうか。そういえば達也は何で来たんだ?」

 

「幹比古に呼ばれてな」

 

 達也は幹比古に視線を送りながら錬の質問に答える。幹比古は達也の視線を浴び狼狽する。その狼狽の仕方から前にも一度言われたのだろう。すると、もうどうでもよさそうなエリカが報告を締める。

 

「分かったわ。それじゃあこれからもお願いね」

 

 そういったエリカは幹比古とともにその場を後にする。残されたのは達也と錬。二人はそのまま会話を始めた。

 

「リーナとやりあったんだろう。どうだった」

 

「正直、魔法頼みが強い節があるな。あれだったら理詰めで落とせる。アンチ・マジック・マテリアルを使っている俺の言えることではないが」

 

「USNAのトップの魔法師相手にそんなことを言えるのはお前くらいだろうな」

 

「それよりリーナはまだ推測の時点でしかないが、仮装行列(パレード)を使って来たぞ」

 

「仮装行列を?あれは九島家の秘術だろう」

 

「リーナは曲がりなりにも九島家の血を引いている。使えてもおかしくはないだろう」

 

「確かにそうだな」

 

「あとの情報収集は自分でやってくれ。これで報告は終わりだ」

 

「有益な情報をありがとう。それじゃあな」

 

 達也はそのままバイクで立ち去ってしまう。それを見送った錬は端末を操作し自家用車を呼び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、パラサイトの捜索をしている錬でも学校ではそれから解放される。いつも通りの学校生活を送るために錬は風紀委員本部へ向かっていた。すると、その道中でリーナと遭遇した。リーナはいつものようにふるまっていたが、錬のことを確認した瞬間、明らかにそのスカイブルーの眼に怒りの炎が燃え上がった。

 

 二人は関係は浅い方であるが、決してない訳ではない。少々話をすることもある仲であった。そのため、リーナは軽やかな足取りで錬に近づいていった。

 

「ハイ、レン。これから風紀委員のお仕事かしら」

 

「ああ、リーナは?」

 

「ちょっと生徒会室に呼び出されているんだけど、まだどこにあるのかを覚えて切れていなくて。案内してもらえるかしら?」

 

「構わないぞ。こっちだ」

 

 錬は生徒会室の方を指さしながら、リーナとともに歩き始める。このまま生徒会室から本部に向かえばいいや、などと錬が考えていると人気がなくなっていくにつれて、リーナの表情が明らかに穏やかなものではなくなっていく。

 

「…ねえレン?あなた昨日どこにいたかしら?」

 

「ちょうどエリカの協力でパラサイトの捜索中に仮面の人物と交戦していた」

 

「その最中に言った言葉は『狩るべき相手を見誤るな』よね?」

 

「ずいぶんと下手な勘繰りだな。もはや勘繰りにもなっていないぞ」

 

 錬がそう突き付けると、隣に立つリーナは錬に向かって裏拳を放つ。錬はそれを躱すが、リーナは間髪入れずに錬の顔面に掌底を放つ。錬はそれも躱し、足を払い体勢を崩しながら、手首をつかむとともに壁に押し付け、リーナの動きを封じる。しかし、リーナは錬の拘束を強引に振りほどき、錬と距離を取る。そして構えを解かずに錬に向かって口を開く。

 

「これが最後の警告よ。私の邪魔をしないで。聞けないというのなら私は貴方を処分しなければいけなくなる」

 

「聞けない相談だな。そっちにも事情はあるだろうが、こっちにだって事情がある。そっちに合わせて引くわけにはいかないな」

 

「死ぬよりつらい結末が待っているかもしれないわよ」

 

「俺をそんな状態に持ち込めると思っているのか?本気を出していない俺に押されるようなお前が」

 

「一人じゃないかもしれないわよ?」

 

「上等。何人でもかかってこい。それ相応の戦力を準備して臨もう」

 

「あなたの覚悟はわかったわ。首を洗って待っていなさい」

 

 昨今ではあまり使うことの無い言葉がリーナの口から出てきたことにより錬は気が抜けてしまう。

 

「とりあえず生徒会室に行くぞ。それがリーナの本来の目的だろう」

 

「そうね。行きましょうか」

 

 錬とリーナは再び肩を並べて歩き始める。その光景は、今の今まで殺気を振りまきながら戦っていた二人とは思えないものだった。しかし、二人の間の緊張感が消えたわけではない。今も緊張感は保たれている。

 

 数分もしないうちに生徒会室に着き、錬の任務は終了する。錬はリーナと別れ本部に向かうためにリーナの横を通り過ぎながら、リーナの肩を叩く。それとともに錬は小声でリーナに話しかける。

 

「…悪かったな」

 

 リーナはその意味がその時は分からず、ただ錬のことを見送って生徒会室に入る。中で待っていた深雪と対面すると、深雪の口から意外な言葉を突き付けられた。

 

「リーナ、随分と錬君と仲良くなったのね?」

 

「ど、どういうこと!?」

 

 リーナはあからさまに動揺してしまう。同じく生徒会室にいたほのかは深雪の言葉の意味が分からずきょとんとしている。

 

「だって、わざわざ案内してもらったんでしょう?端末の地図アプリを使うなり他にも方法はあったのに」

 

 リーナはもはや隠しきれていない動揺を隠すためにか、昨日の傷口が気になったのか、リーナは肩に手を回した。その時、違和感に気付いた。肩の傷が治癒魔法抜きでも完全に治っているのだ。その時、錬が肩口を触った真の意味が分かった。錬は何らかの方法を使ってリーナの方の傷を治したのだ。そしてあの時の謝罪は骨を折ってしまったことへの謝罪だと。

 

 リーナが考え事に没頭していると、深雪はリーナの意識をこちらに呼び戻した。

 

「リーナ?錬君の事でも考えていたのかしら?」

 

 深雪の言葉で考え事の世界から脱したリーナは、顔に真っ赤に染めて深雪に憤慨するように言葉を浴びせた。

 

「そ、それよりも早く用件を伝えなさいよ!早く帰りたいのよ!」

 

 リーナに怒声を浴びせられても深雪の微笑が崩れることはなかった。それどころか微笑にからかいの色まで混じり始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その一方、リーナと別れた錬は

 

「俺もぬるくなったかなあ……」

 

 リーナの傷を治したことを反省していた。錬の目的のためには他人との交流は避けた方がいい。それなのに学校生活を始めて少し甘くなったと自分を非難していた。本来それは悪いことではない。しかし錬にとっては好ましくないことなのだ。

 

「…まあいい。いざとなったら殺さず排除だ…」

 

 改めて自分に誓いを立て、錬は本部を向かうのだった。

 

 

 

 





 



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