今回は渚達が「ひまわり」に遊びに行く話です。
ただし、完全な作者の想像な為、実際の孤児院とは一切関係ありません。
m(_ _)m
それでは、どうぞ!!
威月side
「そういえば渚。いつ「ひまわり」に来る?」
「えっ?」
律が開発者に逆らったその日の放課後、山道を下山中に渚に大賀がそう話しかけた。ちなみに今いるのは俺ら4人に渚、杉野、倉橋だ。
「ほら、初日に料理教えてやるって言っただろ?何だったら俺の持ってる料理本あげてもいいぜ」
「本当!?ありがとう!」
「全然いいよ。じゃあ、いつにする?」
大賀の質問に渚は少し考えた後、
「土曜日は午前中までだし、その後に行ってもいいかな?」
「ああ、いいよな威月?」
「構わねえよ。2人もそれでいいか?」
「うん、僕はいいよ。」
「・・・・・」
「・・・またか」
登志からはすぐに返事が返ってきたが、太陽からの返事が無いので俺はため息をつきながら後ろを振り向いた。
「よしよし、お前最初の日に会った奴だよな。やっぱここら辺が縄張りなのか?」
「わあ、可愛い~。よしよし」
「ワンワンッ!!」
すると、予想通り太陽と倉橋の2人は野良犬と戯れていた。てか、会話を聞く限り初日の野良犬なんだな・・・
「ハァ・・・帰るぞ、皆。」
「えっ、ほっといていいのか?」
「2人だし大丈夫だろ。動物バカの2人はほっとけ「あ、俺は大丈夫だからな、別に杉野とかも一緒に来てくれていいぜ」
「「「「聞こえてたの(かよ)!?」」」」
背後からのそんな返事に、俺達は全員でツッコんだ。
渚side
土曜日・・・学校が終わって僕達は「ひまわり」に行く為に、九澄達について歩いていた。4人の話じゃ、学校から歩いて30分くらいの距離らしい。
「でも、俺達も一緒でホントにいいのか?」
「いいに決まってんだろ。たいしたもてなしは出来ないけどな」
今、僕と太陽達4人の他には茅野に杉野、倉橋さんの3人がついてきていて、杉野が代表して太陽に聞いていた。
「でも、楽しみだな~、太陽くんの飼っているペットいっぱいいるんだよね?」
「ああ、全部拾ってきた奴だけどな」
「もうすぐだよ、皆」
太陽が倉橋さんにそう返したその時、伊勢がそう言って路地を一本曲がりやがて1つの建物が見えてきた。
それは木造の建物だった。正面から見たら横長の昔の日本風の家で、右に玄関があってその扉の枠の上には孤児院「ひまわり」と書かれていた。
「あっ、
倉橋さんがそう言いながら左端を指差すと、そこには犬小屋と数匹の犬が元気よく走り回っていた。
ガララッ 「あれ?お帰りなさい、お兄ちゃん達」
「おお、ただいま彩子。さくら達に昼ご飯か?」
正面の窓を開けながら肩ぐらいまでの髪の長さの女の子がそう言って、太陽が返した。
「うん。お兄ちゃん、その人達は?」
「俺らのクラスメイトだよ。遊びに来たんだ」
「へー、珍しいね!」
そう言うと、彩子と呼ばれた女の子は僕達の方を向くと、
「初めまして、細川 彩子って言います。この「ひまわり」で太陽お兄ちゃん達と一緒に暮らしてます。小学四年生です」
礼儀正しいなー・・・しっかりした良い子だな。
「彩子、他の皆は?」
「裕樹は友達と遊びに行って、華は昼寝しているよ。岬さんは今は洗い物をしているところ」
「了解」
「・・・?」
大賀と彩子ちゃんのやりとりで出てきた初めて聞く名前に僕達は頭に?を浮かべている僕達に、威月が説明してくれた。
「裕樹と華は俺達同様、ここで暮らす子供達で、岬さんはここの家政婦だ」
「へえ」
「じゃあ中入ろうぜ、太陽はどうする?」
「俺は一緒に餌やりをするよ。陽菜乃は?」
「うん、私も一緒にやりたい!!」
九澄の言葉に太陽がそう言い倉橋さんもそう言った為、2人以外は玄関へと歩いた。
ガララッ 「ただいま帰りました、岬さん」
「お帰りなさい、登志君、皆」
(うわっ、綺麗な人・・・)
扉を開けながらの伊勢君の言葉に反応して、奥から女性が笑いながら歩いてきた。
背中まである黒髪を後ろで1つに束ねたその人に、僕は素直にそう思った。
「あらっ・・・威月君、その子達は?」
「クラスメイトです。ちょっと渚が料理を大賀に教えてもらいに来たんです。2人は遊びに来ました」
「そうなんですか。初めまして、橘 岬です。ここ「ひまわり」の家政婦です、よろしくお願いします」
笑いながらそう言った岬さんに、僕達は慌てて自己紹介した。
「はい、渚君に杉野君、それに茅野さんですね。
「それと、外に太陽と彼女の倉橋っていう子がいます」
「あら、そういえば少し前に彼女が出来たって言ってたわね。私も早く見てみたいな」
「ハハ、もうすぐ見れますよ。じゃあとりあえず居間に行こうよ」
威月と岬さんのやりとりの後、伊勢がそう言って僕達は廊下へと上がった。
廊下を歩いて1つの部屋の前に着いたら九澄が注意をしてきた。
「皆、華が寝てるから静かにな」
「おお、分かった。てか何歳なんだ?」
「今、三歳だよ」
「凄い年離れてんだな・・・」
九澄の返しに、杉野は驚いた様子でそう言った。確かに十歳も違うんだな・・・
「院長の遠戚らしいんだ。それでここで引き取ったらしい」
「へえ・・・」
「ま、そんなわけで静かにしてくれ」
九澄の言葉に僕達は頷くと九澄は襖を開けた。
「スー、スー・・・」
「お、ホントに寝てるな。ただいま、華」
「うわあ、可愛い!」
九澄の挨拶の後、茅野が興奮した様子でそう言った。僕達も見てみると、そこには岬さんみたいな黒髪の小さな女の子が布団の上で寝ていた。確かにかなり可愛い。
「神木 華って言うんだ」
「えっ?太陽も神木だよな?」
「ああ、院長が神木 実徳って名前で、太陽と華は実徳さんから名字を貰ってるからな」
「そうなんだ・・・」
杉野の質問に威月がそう返して、僕はおもわずそう呟いた。太陽は生まれてすぐにここで暮らしてるって言ってたから両親の名前知らないんだろうな・・・
「そんな暗くなんなよ、太陽は気にしてないって。それより、さっさと始めようぜ、渚」
「あ、うん。よろしくね、九澄!」
九澄のそんな声に、僕は慌ててそう返した。
陽菜乃side
「いや~でもすっごい楽しかった~。ありがとう、太陽くん!」
「おお、よかったよ、喜んでくれて」
犬ちゃん達と遊んだ後、私は太陽君の部屋に来ていた。笑いながらそう返してくれた太陽君に頷いた後、私は部屋の一角にあるゲージを見ながら言った。
「この前のウサギ、太陽くんの部屋で飼ってるんだね」
「ああ、さすがに華のいる部屋で飼うわけにはいけないからな」
四畳半の部屋の一角のゲージの中では、ウサギが元気よく野菜を食べていた。本当に可愛いなあ~
「でも凄い部屋だね。猫1匹とウサギ1匹のそれぞれゲージが1個、それにハムスターのケースが押し入れの下にあって、ペットの餌とか以外は本棚くらいしかないんだね」
「勉強は居間でやるからな。押し入れの下にハムスターのケース入れれば、寝るスペースだけは確保出来るんだ」
「へぇ・・・」
確かに今私達が座っている場所以外は殆どスペース無いけど、布団敷くだけなら大丈夫だろうな。
「・・・渚くん頑張ってるかな?」
「大賀は料理教えるのは上手いからな、大丈夫だろ」
2人は今、台所で頑張っているだろう。渚くん上手く出来るといいな。
「・・・?太陽くんちょっといい?」
「ん?おお、どうした?」
私は本棚にある1冊に目が止まり手にとって見てみると、
「・・・獣医に関する本?」
「ああ。俺、将来獣医になりたいんだ」
太陽君の夢を突然聞いて私は驚いた。そんな私の様子に太陽君は苦笑いを浮かべながら聞いてきた。
「意外か?」
「えっ?ううん、突然聞いたからビックリしちゃって・・・」
「確かに「ひまわり」の皆以外には言った事無いからな」
そう言いながら太陽君は立ち上がると、
「世の中には捨てられてる生き物ってこいつら以外にも山ほどいるけどさ、全部助けるのは流石に無理だ」
「・・・」
「だから、せめてちゃんとした飼い主がいて可愛がられてるペットだけは助けてあげたいんだよ」
「だから獣医に・・・?」
「まあ、どっちみち生き物と関わる仕事がいいんだ。子供みたいだろ?」
笑いながら太陽君はそう言っているが、私はそうは思わなかった。
「そんなことないよ」
「えっ?」
だから、私は笑いながら太陽くんに返した。
「太陽くんの夢は、誰よりも生き物を大切に思ってるのが分かる優しい夢だよ」
「陽菜乃・・・」
「私は応援するよ、太陽くんの夢」
「・・・ありがとな、陽菜乃」
太陽くんは笑いながらそう言うと、
「じゃあ殺せんせー殺せたら、その報酬で陽菜乃は動物園のオーナーになれよ!!そしたら、俺が専属の獣医をやるからさ!!」
「うん!!凄く楽しそう!!」
そんな子供みたいな会話をしながら私達は笑い合った。
そうして、時間は過ぎていった―――――
4時頃・・・
「今日はありがとう、九澄」
「おう、また何か教えてほしかったらいつでも来な」
「バイバイ、おにいちゃん、おねえちゃん」
目が覚めた華ちゃんを抱きかかえながら九澄くんはそう言って、華ちゃんも手を振りながらそう言ってくれた。やっぱり可愛いな~
「皆も何時でも来てくれていいからな。待ってるぜ」
「ありがとな、太陽」
太陽くんの言葉に杉野くんもそう言っていよいよ帰ろうとしたその時、後ろの玄関の扉が開いた。
「おや、お客さんかい?」
「あ、実徳さん。お帰り」
私達が後ろを振り返ると、そこには黒髪を中分けにした長髪の男の人が立っていた。
誰か疑問に思っていると、太陽くんが教えてくれた。
「ここの院長の実徳さんだ。皆はクラスメイトです、実徳さん」
「おや、そうかい。初めまして、皆さん」
その言葉に皆が挨拶し始めて、私の番になって私は笑顔でこう言った。
「倉橋 陽菜乃です。太陽くんの彼女です!!」
「! そうか、君が・・・」
驚いた様子でそう呟いた後、
「太陽は優しい子だ。私の息子をよろしく頼むよ、倉橋君」
「はいっ!!」
笑みを浮かべながらそう言ってくれて、私はそう返事をしながら頷いた。
「皆、また月曜日な」
太陽君のその言葉を聞きながら、私達は「ひまわり」を後にした。
(でも、こんな時間に帰ってくるなんて実徳さんってどんなお仕事してるんだろ?)
そう疑問に思いながら私は皆と一緒に帰り道を歩いた。
太陽side
「良い子だな、倉橋君は」
「ええ、俺なんかにはもったいない彼女ですよ」
陽菜乃達が帰ってすぐ、実徳さんがそう話しかけてきて俺は笑いながらそう返した。ホントに陽菜乃は最高の彼女だよ。
「てか、実徳さん今回はどこ行ってたんですか?」
「ちょっとノルウェーにな。君達のクラスの転校生について話をつけてきたんだ」
「え?それって・・・」
「ああ、自律思考固定砲台の自主性やクラスの皆の安全を尊重するように約束をしてもらいにな」
(やっぱり律の事か・・・でもそれならもう安心だな)
威月と実徳さんのやりとりに俺は心の中で安堵した。でも実徳さんが行ったって事は・・・
「ちゃんと平和に話し合ってきました?」
「・・・大丈夫だよ。最後は皆ちゃんと話し合いに応じてくれたしね」
「何ですか、その間は・・・」
(律の開発者の皆さん、貴方達の回復を心より祈ります・・・)
俺の質問にそう返した実徳さんを見て、俺は心の中で合掌した。実徳さんが本気出したら、めちゃめちゃ恐ろしいからな・・・
「ま、とりあえず無事で何よりです。今日は早めに夜ご飯にしますか?」
「いいのかい?ありがとう、大賀君」
「はい、たまには岬さんもどうですか?」
「いいのですか?ではお言葉に甘えて」
大賀の言葉に、大人2人は笑いながらそう言った。
(この家は普通の家庭とは全然違う)
そんな光景を見て俺はそんな事を考え、
(・・・でも、やっぱりこの家が1番好きだ)
そう思いながら、笑みを浮かべた。
いかがだったでしょうか。
一応「ひまわり」の見取り図を貼っておきます。
【挿絵表示】
字の汚さと作りの粗さはご了承下さい。
m(_ _)m
岬さんは夜は基本的に帰るので部屋はありません。それと、実徳の職業はこれから明らかになっていきます。
次回はあのタラシの話ですが、その話は書きません。
その時間帯の裏での太陽の話を書きます。
それでは、また次回お会いしましょう!!