太陽とひまわりの仲間達との暗殺教室   作:籠野球

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皆さんどうも籠野球です。

今日で連休が終了です(涙)来週から投稿ペースが戻ると思いますがこれからもよろしくお願いします。
m(_ _)m

偶然、神崎さんのお母さんに出会い、家にお邪魔することになった大賀ですが、果たしてどうなるでしょうか・・・

それでは、どうぞ!!


三十八時間目 約束の時間

大賀side

 

「どうぞ、九澄君」

「ありがとうございます」

 

 神崎さんのお母さんにそう言いながら、俺は紅茶を受け取った。そのまま横に座る神崎さんの前にも紅茶を置いた後、神崎さんのお母さんは横向きの一人用のソファーへと座った。

 

チラッ (・・・しっかし、「ひまわり」とは大違いだなー)

 

表に「神崎法律事務所」と書かれた看板が出ているここは、事務所と家が一緒になった凄く綺麗な家だった。

 

(このソファーもすっげえ高そうだし、お金持ちなんだろうなー)

「九澄君?」 えっ?」

 

その時、神崎さんのお母さんが不思議そうに俺を見ているのに気づいた。いけね、気を取られてた!

 

「あ、すいません。何ですか?」

「いえ、有希子は学校ではどんな感じか聞いてみたかったのよ。この子、家のせいであんまりお友達連れてこれなくてね」

「なるほど。うーん・・・皆に優しくて、勉強も出来る素晴らしい人だと思ってます」

「へぇ!!良かったわね、有希子。貴方にそんなこと言ってくれる子がいて!」

「く、九澄くん。そんなに、言わなくても・・・」

 

俺の答えに神崎さんのお母さんは嬉しそうにそう言って、神崎さんは慌てた様子でそう返してきた。紛うことなき本心なんだけどなぁ。

 

「あ、そういえば九澄君本当に大丈夫だった?無理矢理連れてきちゃったけど、ご両親が心配してないかしら?」

「えっと・・・実は俺、孤児院で暮らしてまして」

「そうなの!?ごめんなさいね・・・」

「あ、いえ。言ってなかったのは俺の方ですから、気にしないで下さい」

 

申し訳なさそうに頭を下げられたら、逆に俺の方が申し訳なくなっちゃうよ・・・

 

「ありがとう。

・・・この辺りの孤児院ってことは、「ひまわり」かしら?」

「はい。よく知ってますね?」

 

普通、孤児院なんて知らない筈だけどな・・・

 

「フフ、噂でよく聞くのよ。「ひまわり」の子達についてね」

「うっ・・・あんまり良い噂じゃ無いですよね?」

「確かによく聞くのは、不良の人達と喧嘩したとか、数十人を怪我させたとかそういう噂ね」

「す、すみません・・・」

 

俺は下を向きながらそう謝るしかなかった。事実だしな。

 

すると、神崎さんのお母さんは穏やかな口調で話し始めた。

 

「でも、良い噂の方が多いわ。商店街の掃除とかもよく手伝ってくれたり、元気よく挨拶してくれるって。何より、弱いものイジメとかをせず、むしろ守ろうとする優しい子達だってね」

「・・・」

「現に今話してても、君に悪い印象なんて少しも感じないわ。自信持って」

「・・・ありがとうございます」

 

微笑みながらのその言葉が何よりも嬉しかった。そんなこと言ってくれる人がいるとはな・・・

 

「九澄君は将来の夢とかあるの?」

「なりたい職業は今の所は無いです。でも、将来「ひまわり」を継ぎたいとは思ってます」

「孤児院を継ぎたいの?」

「はい、実は・・・」

 

俺は神崎さんのお母さんに過去を話した。両親が借金を背負った事、「ひまわり」で待っていていてほしいと言われた事を。

 

「それで、「ひまわり」で待ち続けるためにも継ぎたいんです。

・・・まぁ、孤児院の皆の世話が好きなのもありますけどね」

「そう・・・また、会えるといいわね」

「はい!!」

ガチャッ 「ただいま・・・ん?お客さんか?」

 

その時、玄関の方のドアが開いて、黒髪の中年男性がそう言いながら入ってきた。ただいまって言ったし、神崎さんのお父さんかな?

 

「お帰りなさい、お父さん」

「あら、お帰りなさい。今ちょうど有希子のクラスメイトの子が来てるのよ」

「あ、初めまして。九澄 大賀です」

「よろしく、有希子の父だ。

・・・君は、将来何を目指してるのかね?」

(えっ、初対面でそんなこと普通聞くのかな・・・?)

 

いきなりの質問に、そう考えながらも俺は答えた。今は特に決まってはないが自分が暮らしている孤児院をいつか継ぎたいと。すると・・・

 

「孤児院で暮らしている?フー・・・あまりいい人間関係とは言えんな。孤児院で暮らしている奴なんかに禄なのはいないだろう」

ピクッ (「ひまわり」の皆を・・・)

 

その言葉に、俺はムッとなった。別に俺はどれだけバカにされてもいいんだが、「ひまわり」の皆が侮辱されるのは正直見過ごせなかった。

 

ギュッ 「ゴメンね、九澄くん・・・

「! ・・・大丈夫、気にしないで

 

しかし、神崎さんが俺の手を握りながら申し訳なさそうに小声でそう言ったのを見て、俺は我慢した。まあ、ここで怒ったら逆効果だしな。

 

「すみません」

「まぁ、ゆっくりしていくといい」

 

頭を下げながらの俺の言葉にそう言いながら神崎さんのお父さんは対面のソファーへと座った。

 

(・・・神崎さん、お父さんが厳しくて遊びに逃げたって言ってたよな。確かに肩書きとかに厳しそうな人だな)

「・・・そういえば有希子。もうそろそろ進路は決めたのか?」

「えっ・・・」

 

そう考えていると、いきなり直球で話を切り出した神崎さんのお父さんに、神崎さんは言葉を失っていた。

 

「ちょっと貴方。お友達のいる前で話す事じゃないでしょ?」

「もう8月なんだ。決めないといけない頃だろう?で、どうなんだ有希子」

「・・・前言ったよね。私、介護士になりたいって」

 

絞り出すようにそう言った神崎さんにため息をつきながら神崎さんのお父さんは話し出した。

 

「まだそんなことを言っているのか?介護士なんてくだらない夢捨てて弁護士や看護師のようないい仕事があるだろう?」

(! くだらないだと・・・!?)

 

その言葉に俺はキレかけた。神崎さんがどんな思いで介護士になりたいかを聞いたからこそ我慢できなかった。

 

ギュッ (! 神崎さん・・・)

「私は介護士になりたいの!お願い、お父さん!!」

 

しかし、再び俺の手を掴みながらそう必死に訴える神崎さんを見て、俺は堪えた。

 

・・・しかしその声は届いてなかった。

 

「だから言っているだろう!!介護士なんて肩書き、決して誇れる職業ではないんだ!!夢ばっかり見てないで、もっと現実を見なさい!!」

(・・・)

 

正直、俺はその考えは間違ってると思う。誇れる職業かどうかは本人が決める事だと思うからだ。

 

(・・・でも、「ひまわり」の皆には「余所の家庭には余所の考え方や育て方がある。それに口を出したらダメだ」・・・そう言われてるし、どうすれば「・・・何で・・・分かってくれないんだろ・・・」・・・っ!!)

 

そう考えていたその時、うつむきながら絞り出すような声で呟いた神崎さんの頬から涙が落ちるのを見て、俺の中の何かがはじけた。

 

「・・・だから介護士なんてくだらない夢「・・・何で、そんな事が言えるんですか・・・!?」・・・む?」

 

話し続ける神崎さんのお父さんの言葉を遮った為、全員の視線が俺に集まるのが分かったが俺は止まれなかった。

 

―――もちろん、神崎さんの家には神崎さんの家の育て方や考え方があるのは分かってるし、俺なんかが口出ししてはいけない事も分かっている。

 

バンッ!! 「何でそんな事が言えるんですか!?」

 

―――・・・でも、自分の言いたい事が分かってもらえず、涙を流す神崎さんを見て黙っているなんて俺には出来なかった。

 

突然テーブルを叩きながら立ち上がり、そう言い放った俺に3人は驚いた様子だったが、俺は勢いそのままに話し続けた。

 

「神崎さんがどんな思いで介護士になりたいかも聞かずに、何でくだらないなと言い切れるんですか!!それが親の言う事なんですか!?」

「・・・親だからこそ娘に正しい道へと進ませるのは当然だと思うが?」

「違う!!あなたのやってる事は、神崎さんに無理矢理自分の思い通りの道に進ませようとしてるだけだ!!

・・・仮に神崎さんが間違った道へと進もうとしてたら止めるべきだと思います。でも、神崎さんの夢は困ってる人を助けてあげられる優しい夢な筈です」

「・・・」

「なのにあなたは、神崎さんの夢を否定するばかりで応援一つしてあげない!!親ならまずは子供の夢を応援してあげるものじゃないんですか!?誇れる誇れないなんて本人が決める事だ!!」

 

無言で見つめてくる神崎さんのお父さんの視線は正直かなり怖い。でも、ここで止まりたくはなかった。

 

「・・・君のような孤児院で暮らす者ではまともな感覚で話す事は出来ないだろう」

「!! ・・・・・確かに俺は孤児院で暮らしてます。貴方みたいな優秀な人間ではないと自覚しています」

 

「でも、」と言いながら俺は右手の親指で自分を指し、

 

「俺は「ひまわり」で育ってきた事を誇りに思ってる!!「ひまわり」の皆を誰よりも誇りに思ってる!!そんな俺の大切な()()を、独断や偏見でバカにするような貴方なんかに、神崎さんの夢をバカにする資格なんて無い!!」

「!!」

 

俺の言葉に神崎さんのお父さんは目を見開いた。でも、それは怒っているわけではなさそうだった。

 

「それくらいにしましょう、貴方。確かに九澄君の言うとおりだわ」

「お母さん・・・」

「! す、すいません」

 

その時、ずっと黙っていた神崎さんのお母さんが口を開いた。俺がソファーに座り直したのを確認すると

 

「有希子。確かにお父さんの言うことは間違っているわけでは無いと思うわ。介護士は体力的にも精神的にもかなり過酷な職業だと思う。それでも、やりたいの?」

「・・・覚悟はあります。夢だけで出来る仕事じゃない事も分かってる。でも、やりたいの!!お願い、お父さん、お母さん!!」

「・・・俺から言っても意味ないですが、お願いします。認めてあげてください」

 

そう言いながら神崎さんと俺は頭を下げた。そんな俺達を見て神崎さんのお母さんはクスリと笑うと、

 

「ここは有希子を信じましょう、貴方。この子の為にこんなに真剣になってくれる子もいるんだから、きっと大丈夫よ」

「・・・あぁ、そうだな」

「! ありがとう、お父さん!!お母さん!!」

 

2人のその言葉に目に涙を浮かべながらも満面の笑顔でそう言った神崎さんを見て、俺は心から安堵した。

 

 

 

 

 

カチ・・・カチ・・・

「・・・・・」

 

 

 

 

 

カチ・・・カチ・・・

(き、気まずい・・・てか俺、神崎さんのお父さんに勢いに任せてぼろくそに言っちゃってたよな)

 

全員が無言になってから恐らくまだ数分も経っていないだろうが、俺はもういっぱいいっぱいだった。

 

神崎さんのお母さんは微笑んでるし、お父さんはじっと俺を見ているのが尚更キツかった。

 

「・・・」

(神崎さんも何か俺をチラチラと見てるし・・・ど、どうしよう・・・?)

 

この状況を打開する方法を無い頭目一杯振り絞り、ようやく思いついた案は、

 

「・・・あ、じゃあそろそろ失礼します」

 

この場から逃走する事だった。

 

「あら。もう少しゆっくりしていってもいいのよ?」

「い、いえ。もう4時ですし、そろそろ帰らないと」

(これ以上いたら胃に穴が開くよ・・・)

 

そう思いながら俺はソファーから立ち上がり、玄関に向かおうとした。

 

「・・・九澄君。」

「は、はい!!」

 

その時、神崎さんのお父さんにそう呼び止められ俺は直立しながらその方向を向いた。内心、冷や汗を掻いていると、

 

「さっきはすまなかった。

・・・弁護士になって10年以上経つが、法廷以外で完璧に言い負かされたのは君が初めてだよ」

「い、いえ・・・こちらこそ失礼な事、言っちゃってすみません」

 

すると、神崎さんのお父さんは笑みを浮かべると、

 

「またいつでも来なさい。歓迎するよ」

「あ、ありがとうございます」

 

その言葉に俺は頭を下げた。また来る事あるのかな・・・?

 

 

 

「今日は本当にありがとう、九澄くん」

「いや、こっちこそゴメンね。お父さんにズバズバ言っちゃって・・・」

 

 数分後、俺を見送るためについてきてくれた神崎さんと家の前で話していた。少し空が赤くなり始めていた。

 

「ううん、そのお陰で私が介護士を目指す事を許してくれたんだもん!!本当にありがとう!!」

 

満面の笑顔を浮かべながらそう言ってくれるけど・・・

 

(でも、もし俺がやった事のせいで神崎さんがご両親と仲が悪くなって最悪離婚とかなっちゃったら・・・うわぁぁぁ!!俺のせいでーーー!!!)

 

と、そんな風に脳内でわちゃわちゃやっていると、神崎さんが少しだけ顔を暗くしながら呟いた。

 

「・・・私、九澄くんに助けられてばっかりだね」

「えっ、そうだっけ?」

「うん・・・修学旅行や鷹岡先生の時、プールでも助けてもらったし、今日は私の夢まで助けてくれたね」

「あくまでそうなっただけだよ。鷹岡の場合は助けた訳じゃないと思うし」

「でも・・・(ぽんっ) えっ」

 

暗い顔をしたままそう呟いた神崎さんの頭の上に手を置いた。顔を上げた神崎さんに俺は笑いながら宣言した。

 

「このE組にいる限り俺が何度でも助けてやるさ。神崎さんは大切な仲間なんだからね」

「九澄くん・・・」

「あ、ゴメンね・・・もし、心配なら、(スッ)指切りしよっか」

「指切り?」

 

頭に乗せていた左手の小指を差し出しながらの俺の言葉に、神崎さんはそう聞き返してきた。

 

「俺は両親との約束が守られる日を待ってる以上、約束を破る事だけは絶対にしねぇ。ここで約束したら次に神崎さんが「助けて」と思った時、必ず助けにいく事を約束するよ」

「・・・ありがとう」

スッ (・・・指細いなぁ。流石、女の子)

 

俺の言葉に神崎さんは笑顔でそう言いながら俺の小指に指を絡めてきた。

 

「「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます。指切った!!」」

「よし!!これで約束したな。安心してていいからね」

「うん、頼りにしてるね」

 

微笑みながらそう言ってくれた神崎さんは夕日のせいか、少しだけ赤い気がした。

 

(・・・うん?夕日?)

ゴソゴソ・・・パカッ 「げっ!?もう5時だ!!急いで飯作んねえと!!じゃあね、神崎さん!!」

「あ、うん。バイバイ」

 

そう言いながら手を振ってくれた神崎さんに手を振り返しながら俺は帰り道を走った。今日は気分がいいし、豚カツにでもしよっかな~

 

 

 

有希子side

 

「・・・ふフゥ」

 

 九澄君の姿が完全に見えなくなったのを確認してから、私は家の壁へともたれかかった。そうしないと崩れ落ちそうだったからだ。

 

「・・・頭に手を乗せるのは反則だよ///」

 

頭に手を当てながら私はそう呟いた。

 

あの瞬間から心臓のドキドキが止まらなかった。正直、夕方じゃなかったら顔が真っ赤なのがバレていたと思う。

 

・・・そう、私は今日1日で完全に九澄君に心奪われてしまった。ゲーム中ニコニコと笑ってくれたあの笑顔や、両親を待ち続けてるという強い心。そして何より私の為に両親に真正面から立ち向かってくれたあの姿に。

 

こんな気持ちになったのは生まれて初めてだったから、どうしたらいいのか分からないけど・・・

 

「・・・」

 

私はジッと九澄君と指切りをした小指を見た後、その指をギュッと握りしめながら呟いた。これくらいなら、いいよね?

 

「・・・約束だよ、()()くん」




いかがだったでしょうか。

というわけで、大賀×神崎のカップルでした。正直下手な恋愛ゲームみたいになってしまいましたが、大賀にはこういうのが似合いそうだったのでこういう形にしました。

それと作中で介護士について酷く書かれていますが、これは酷く言わせようと書いただけです。
不快になられた方は本当に申し訳ございません。
m(_ _)m

ちなみにですが、大賀はこの段階では神崎さんに全く好意を抱いてません(笑)あくまでクラスメイトだと思ってます。
なので、このカップルは神崎さんに積極的になってもらいます(・・・じゃないと一生大賀は気づけないと思うので・・・)

というわけで、次回よりいよいよ夏合宿の時間に入っていきます。
物語が大きく動く予定なので是非読んで頂けたら幸いです!!

それでは、また次回お会いしましょう!!
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