今回は大賀の戦闘です。
果たして大賀は、殺し屋相手にどんな戦いを見せるのか・・・
それでは、どうぞ!!
有希子side
ガッ 「・・・たいした蹴りだ。とても中学生とは思えない」
スタッ 「それはどうも」
跳び蹴りを受け止めながらのマジシャンと呼ばれた男の賞賛に、距離を取りながら大賀君はそう返した。その間もお互い戦闘態勢を取ったままだ。
「・・・すまないな」
「えっ、何がです?」
「君のような中学生と戦いたくは無いんだが・・・依頼されてる以上は仕方なくてな」
申し訳なさそうな顔で大賀君にそう話す辺り、殺し屋だけど話が通じない人では無いのかな・・・
「・・・俺、貴方の事、嫌いでは無いですね。それに・・・別に気にしなくてもいいですよ」
「む?」
「俺には守らなければいけない人が、貴方はプロとしてやらなければいけない事がある。どちらにも譲れないものがあるなら戦うしか無いですよ」
「それに、」とひと呼吸置いて大賀君は少しだけ笑い、
「貴方みたいな強そうな人と戦うのは初めてですから、ちょっとだけワクワクしてます」
「・・・フッ、若いな。だが、誰よりも真っ直ぐな良い目をしている。」
笑いながらマジシャンは構え直し、
「君の本気を全力で受け止めよう。かかってきなさい」
「はい!!・・・貴方はその腰の銃を使わないんですか?」
確かに男の両腰には、ホルスターが1つずつ付いているけど・・・それは使わせない方がいいんじゃ・・・?
「すまんが、これは本気を出す時に使う物でな。これを使わせることが君に出来るかな?」
「なるほど・・・でも、使う前に倒されないといいですね!!」
そう話すと同時に、2人は再び接近した。
ブンッ ガッ
ヒュッ スカッ
それは素人の私から見ても凄い戦いだった。男のローキックを大賀君が足で止めたと思ったら、間髪入れずにもう一方の足で繰り出した大賀君の蹴りをバックステップで男は躱した。
「「フッ!!」」 ガキィ!!
(・・・でも、大賀くんは勝てるのかな・・・)
2人の蹴り足が空中で交差してそんな音を立てる中、私はそう考えていた。勿論、大賀君が強い事は知ってるけど、本物の殺し屋相手に大賀君の蹴りは通用するの・・・?
ガッ 「うおっ!?」
「! 九澄くん!!」
「貰った!!」
その時、男の足払いで体勢を崩された大賀君に、そう言いながら拳で追撃しようとした男を見て、私は思わず声を上げた。
タンッ 「何っ!?」 スカッ
しかし、大賀君は強引に両手を地面に着きながら躱し、
「
クルン 「はあ!!」 バキィ!!
逆立ちの要領で身体を起こしながら男の無防備な顎へと蹴りを放った。一瞬だけ宙に浮いた男を大賀君はそのまま身体を捻って、男を蹴り飛ばした。
(凄い・・・殺し屋相手でも、大賀くんの蹴りは通用するんだ!!)
「ゴホッ・・・何て身体能力をしてるんだ、君は・・・」
「・・・立てるなんて驚きました。綺麗に顎に入ったのに・・・」
す、凄い戦いだな・・・驚いた様子でやりとりをする2人をそう思いながら見ていると、
グラッ 「くっ・・・」
「!! やっぱり、平気な訳無いですよね」 ダッ!!
男の人が急にふらついたのを見て、大賀君はそう言いながら突進した。
ブンッ ガシッ
シュッ スカッ
男は大賀君の攻撃を何とか防御していたが、少しずつ後手になってきてるのが私にも見てとれた。そして、その遅れが致命的な隙を生んだ。
ブオン!! ガッ 「うっ・・・」
今度は大賀君のローキックによって、男は体勢を崩した。
「
当然、大賀君がそんな隙を見逃す筈も無く、そう言いながらハイキックを男に放ったのを見て、私は当たるのを確信した。
パシュッ・・・
スカッ!! (えっ・・・)
その時、突然そんな音と同時に
「九澄、後ろ!!」
「何!?(バッ)」
「フッ!!」
「(ドカッ!!)ガッ・・・」
杉野君のそんな声に反応して、素早く振り返った大賀君のお腹に男の蹴りが入り、今度は大賀君が吹っ飛ばされた。
「だ、大丈夫か!?」
「ゴホッ・・・ゴホッ・・・サンキュー、杉野。お陰で致命傷は避けられた」
杉野君の声に咳き込みながらも返した大賀君はそのまま身体を起こし、
「杉野、見てたなら教えてくれ。あの人どうやって避けて俺の背後に回ったんだ?」
「・・・すまん、速すぎてどうやったのかは分からなかったけど、これだけは言える。アイツ・・・
「なっ!?」
空を飛んだ!?普通の人間にそんな事出来るはず無いのに!?
「認めよう、君は強い。だからこそ、ここからは敬意を持って俺も本気でいかせてもらう」
(・・・えっ、あの銃・・・)
両手に銃を持ちながらそう言った男に違和感を感じた。よく見てみると、その銃は普通の拳銃とは形が違ったからだ。
「・・・迷っても仕方ないな。行くしかねぇ!!」
「! 九澄くん!?」」
しかし、私が教えるよりも先に大賀君は突っ込んでいってしまった。男の人は構えもせず、ダラリと両腕を垂らした状態で大賀君を見据えていた。
「ハアッ!!」 シュッ!!
そんなかけ声と共に放たれた大賀君の後ろ蹴りはお腹に向けて一直線に飛んでいった。絶対に当たると思えるくらいの速さだった。
パシュッ スカッ 「くっ・・・なっ!?」
しかし、再びそんな音がしたと思ったら大賀君の攻撃は外れた。しかし、今度は別の意味で大賀君は言葉を失った。
―――何故なら、男は
スタッ 「・・・驚いたかい?この拳銃を模した道具からアンカーを打ち出して空を飛ぶ。これが、俺が"マジシャン"と呼ばれる
そう言いながら男は左手を大賀君に向け、
「これを無効化させるには、何も無い平地に出るしか無いが・・・そんな事させるつもりは無いぞ?」
「っ・・・」
「悪いがいたずらに長引かせるつもりは無い。俺の動きを捉えきれるかな?」 パシュウ!!
男は左手で銃からワイヤーを屋根へと打ち出して空へと飛んだ。そのまま右手で少し横に打ち出して位置を調整すると、
パシュゥ!! シャアァァァ!! 「フッ!!」
「!? 危ね!!」 ゴンッ!!
大賀君の近くへと打ち出し、落下のスピードを合わせた強烈な踵落としを放ち、大賀君は辛うじて躱した。大賀君がいた場所の板は粉々に粉砕されていた。
「・・・流石だな、良く躱した」
「ハァ・・・ハァ・・・当たってたらタダじゃすまなかった・・・」
確かに躱せたけど、明らかに大賀君の方が疲れてる・・・このままじゃ・・・
「なら、これはどうかな?」
そう言うと男は再び天井にワイヤーに打ち付けると、空を飛びながらさっきと同じように位置を調整し、
パシュ!! (またさっきと同じ!?)
ゴオォォォ!! 「何度も同じ手食うか!!」 ブンッ!!
さっきと同じように大賀君の近くに打ち付けて急接近してくる男に、大賀君はそう言いながら迎撃しようと足を蹴り上げた。
「フンッ!!」 カッ!!
「何!?」 スカッ!!
しかし、攻撃が当たる直前でもう一本のワイヤーを天井に打ち付けてスピードを落とした事で、大賀君の蹴りは空を切った。
「ハッ!!」 ドカッ!!
「ガハッ!!」 ガシャアァァァン!!
「「九澄(くん)!!」
男はそのまま無防備の大賀君へと蹴りを放ち、大賀君は横に吹っ飛ばされた。テーブルや椅子を壊しながら止まった大賀君に、私と杉野君がそれぞれそんな声を上げた。
ガラガラ・・・ 「痛て・・・あんな使い方もあるのかよ・・・」
「九澄くん、血が!?」
「ちょっと切っただけだよ・・・」
テーブルや椅子だった物の残骸の中から立ち上がった大賀君の頭からは血が流れていて、私は思わず息を呑んだ。どう見ても、平気そうには見えなかった。
「・・・九澄君というらしいな。これ以上は危険だ、負けを認めてくれ」
「・・・・・」
「九澄くん・・・もういいよ・・・逃げて」
男の提案に私も同じ気持ちだった。これ以上私達の為に傷つく大賀君を見たくなかった。
「・・・それは出来ません」
「!! 九澄くん!?」
「ゴメンね、神崎さん。神崎さんが俺を心配して言ってくれてるのは分かってる」
「でも、」と言いながら振り返った大賀君はニコリと笑っていた。
「ここで約束守れないようじゃ、俺は一生両親と会うことなんて出来ないんだよ」
「や、約束?」
「うん、必ず助けにいくって約束。約束だけは・・・死んでも守る!!」
大賀君は再び男へと向き直り、
「皆を守る為にも、俺自身の為にも、貴方は・・・俺が倒す!!」
「・・・そうか。なら、俺も何も言わない。全力で仕留めるぞ!!」
大賀君の宣言に、男はそう言いながら再び天井に銃を向けた。
パシュ!! パシュ!! パシュ!! パシュ!!
空に浮いた男は横に下にと様々な角度にワイヤーと打ち付けて、縦横無尽に空を飛び回って大賀君をかく乱し始めた。
「くっ・・・(ドカッ) っ!!」
その動きを追いきれずに攻撃を受けた大賀君は一瞬だけ膝をつきかけたが、すぐに体勢を立て直した。
「へへ・・・さっきの一撃に比べたら威力は低いな。やっぱり、威力を犠牲にスピードが上がっても全く怖くねぇ」
「確かにな。だが、何発も連続で喰らえば、流石に無事ではすまんだろう!!」
確かに、いくら弱い攻撃でも何回も当たって大丈夫な筈が無い!!
「確かに君の身体能力は中々の物だ。だが、空中戦において俺に勝てる奴なんていない!!」
ドカカカッ!! 「ガ・・・ハ・・・」
「もう止めて、九澄くん!!このままじゃ死んじゃうよ!?」
そんな言葉と共に繰り出された連続攻撃に、遂に大賀君は膝を着いた。私は何とか止めようと声を上げた。
「大丈夫だよ・・・神崎さん」 ふらっ・・・
「く、九澄くん!?」
「・・・どうやら、意識を完全に絶つしかなさそうだな・・・」
ふらふらになりながらも立ち上がってみせた大賀君に男はそう言ってワイヤーを天井に放ち、
「次の一撃で決めるつもりだ。・・・最後にもう一度聞こう、負けを認めてくれないか?」
「・・・すみませんが、そのつもりはありません」
大賀君はそう言いながらニコリと笑い、でも目だけは真っ直ぐと相手を見つめながら再び宣言した。
「勝つのは・・・俺ですから」
「・・・覚悟ありか。分かった、ならせめて一撃で終わらせる!!」
そう言って男は天井付近まで飛ぶと同時に大賀君の近くへと打ち出し、
「これで終わりだ!!」 シャアァァァ!!
「ハァ・・・ハァ・・・フゥー・・・」
(目を閉じた!?)
急降下してくる男を気にも止めずに目を閉じた大賀君に私は驚愕してしまった。その間も男は大賀君に近づいてきていたからだ。
「ハアァァァ!!」 ブンッ!!
「避けて、大賀くん!!」
「・・・剃!!」 ドンッ!!
・・・思わず大賀君の名前を呼んだ私の耳に入ってきたのは、そんな呟きと攻撃の音だった。
「・・・どういうことだ?」
「・・・えっ?」
しかし、男のそんな呟きで、私は大賀君の姿が無い事に気づいた。大賀君はどこに・・・?
「・・・そこにくると分かってる攻撃、避けるなんて簡単だよ」
「!? 「
すると、そんな声と共に現れた大賀君は男の右肩を蹴った事で、鈍い音を立てると同時に男が苦悶の表情を浮かべた。
「この・・・」 ブンッ!!
しかし、着地した大賀君を素早い後ろ蹴りで迎撃しようしたが・・・
スカッ!! 「バカな、また!?」
(消えた!?)
「
バキ!! 「ガハッ!!」
その時、突然男の背後に現れた大賀君はそのまま男の腰に蹴りを放った。そんな予測不可能な動きに男は完全に翻弄されていた。
タンッ 「
「
ダメージで動けない男に大賀君は跳躍する事で素早く前に回り込み、そのまま2連撃を叩き込んだ。これは・・・修学旅行の時と同じ!!でも、蹴る場所と名前が違う!?
「ぐ・・・お・・・」
「まだまだぁ!!」
タンッ「
思いがけない大賀君の反撃で動けない男に、このチャンスを逃さないと言わんばかりに大賀君は地面に手をついて回転しながら追撃した。
「く、くそ・・・」
「
「
ダメージが蓄積する中、連続で足を蹴られた事で遂に膝を着いた男を蹴り上げようと、大賀君は足を地面に手を着きながら足を振り上げた。
パシュゥ!! シャアァァァ!!
スカッ!! 「っ!!」
「ハァ・・・ハァ・・・空中に逃げてしまえば君では手出しできまい」
(あんな状態でまだ動けるなんて・・・)
でも確かに、空中では大賀君は・・・
「・・・1つ勘違いしてる事がありますよ、マジシャンさん」
「何だと?」
ぐっ・・・ 「空中戦が得意なのは、貴方だけでは無いですよ」
そう言いながら大賀君はしゃがみ込むと、
「月歩!!」 タタタタンッ!!
(ええっ!?)
次の瞬間、大賀君は
「バ、バカな・・・その技はまさか!?」
大賀君のその行動に動揺した男に大賀君はトドメの一撃を放った。
「
「ガ・・・ハ・・・」
全力で放った大賀君の
スタッ 「ハァ・・・ハァ・・・これで倒れないなら、もう俺に勝ち目は無いな・・・」
着地した大賀君も、いつ倒れてもおかしくない状態だった。お願い、もう動かないで・・・
ふらっ・・・
(!! そ、そんな!?)
ふらふらの状態で立ち上がった男は大賀君をじっと見据えていた。そんな男の視線を大賀君は逃げる事無く受け止めていると、
「・・・フッ、見・・・事だ・・・」 ドサッ・・・
一瞬だけ笑みを浮かべた後、今度こそ男は倒れた。その顔は実に晴れやかだった。
「か、勝った・・・」 ふらっ・・・
「! 九澄くん!!」
「だ、大丈夫。何とか動けるよ」
すると今度は大賀君が倒れかけ、私は思わず声をかけたが大賀君はそう言いながら私達の方へとゆっくりと歩いてきてくれた。
「ハァ・・・ハァ・・・約束は守ったよ、神崎さん」
「うん・・・ありがとう・・・!!」
ボロボロの状態で、それでも笑いながらそう言ってくれた大賀君に私も泣きそうになりながらも笑顔でお礼を言った。本当にお疲れ様・・・
ガシャアァァァン!!
「きゃあ!?」「!! 何だ!?」
その時、いきなりそんな音がして私は思わず耳を塞いだ。ま、また敵!?
「・・・え?」
「い、いったいどうしたの?九澄く・・・」
音のした方向を向きながらそう呟いた大賀君に話しかけながら私もその方向を向き、そして言葉を失った。
そこには、余裕な表情で立っているボマーと呼ばれた人と、テーブルの残骸にもたれかかったボロボロの水守君がいた―――――
いかがだったでしょうか。
マジシャンの道具のイメージは、勿論あの巨人を駆逐する漫画のアレです(笑)
殺し屋とは少し違う気もしますが・・・まあいいでしょう(笑)
それでは、また次回お会いしましょう!!