太陽とひまわりの仲間達との暗殺教室   作:籠野球

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皆さんどうも籠野球です。

申し訳ありません。ストック自体はあるんですが、若干のスランプで最新話があまり進んでないので日曜日だけにさせてもらいました。

来週からどうなるかは分かりませんが、とりあえず読んで頂けたら嬉しいです!!

それでは、どうぞ!!


五十時間目 黒幕の時間

太陽side

 

スー・・・きゅっ 「ふうぅ~・・・まだ力半分だが、ようやく体が動くようになってきた」

「力半分ですでに俺らよりも強え・・・」

「やっぱりあの人だけで良かったんじゃ・・・」

 

 10階の階段付近に立っていた男の首を絞め落とした烏間先生を見て木村と片岡が呟いた。一発で男の意識刈り取ってるし、やっぱりあの人化けモンだな・・・

 

「・・・伊勢君、どう?肩ちゃんと動くかな?」

「(くいっくいっ)はい、ありがとうございます。茅野さん」

 

階段の踊り場では茅野に包帯を巻いて貰った登志が、肩を動かしながらお礼を言った。本人は大丈夫って言ってるが・・・

 

(利き腕の肩を切られてる以上は、あんまり戦わせない方がいいだろうな)

ごそごそ・・・ 「・・・ん?コイツは、カードキーだな。何で見張りのコイツが持ってるんだ?」

「どうやら、最上階のVIPルームの部屋の鍵みたいだな」

 

俺達が階段から来ることを本気で警戒してなかってか・・・舐めやがって・・・!!

 

「いや、舐められていた方が好都合だ。敵の油断を誘えるからな」

「・・・そうですね、隙を突けるならいくらでも舐められてやりますよ」

「フッ、その意気だ」

 

俺の言葉に烏間先生は微笑みながら立ち上がると、

 

「さあ、もう時間が無い。少しも動きが無ければ、流石に相手も警戒を強めるだろう。今から各自に役割を指示していく、まずは・・・」

(・・・ん?寺坂の奴、やけに足がふらついてるな・・・)

 

特にダメージを受けた訳じゃ無い筈なのに・・・

 

ぴたっ 「! 渚ッ・・・」

「・・・すごい熱だよ、寺坂君・・・」

 

!! 熱だと!?まさか・・・

 

「まさか、ウイルス(バッ)んっ」

「もしかして、お前もあのジュースを?」

「・・・黙ってろよ、お前ら・・・」

 

やっぱり・・・そんな状態でここまで来たのか!?

 

「俺ァ体力だけはあんだからよ、こんなモンほっときゃ治るんだよ」

「そんな、無茶だよ・・・」

「未知のウイルスな以上、簡単に治る訳がねえ。下手すりゃ死ぬぞ、お前!?」

「烏間の先公がガス浴びちまったのは・・・俺が下手に前に出ちまったからだ。ましてや俺は、前にクラス全員殺しかけたこともある。

・・・これ以上、足引っ張れるかよ・・・!!」

「寺坂君・・・」

 

そこまでの覚悟を、踏みにじる事は出来んか・・・

 

ぽんっ 「無茶だけはするなよ?戦闘は烏間先生と俺がやるからよ」

「おう・・・」

 

・・・何としても、治療薬を奪わねえと!!

 

 

 

 約束の時間まで5分くらいにまで迫った頃、ようやく俺達は最上階の扉の前に辿り着いた。

 

(ようやく、ここまで来たな・・・)

「太陽君、カードキーを。」

「はい」 スッ

 

 

烏間先生の指示を聞いて俺は扉の横に取り付けてある端末にさっきのカードキーを通すと、いとも簡単に扉のロックは外れた。

 

スウッ 「・・・結構だだっ広いですね。VIPルームだけはあるな」

「だが、遮蔽物は多い。気配を殺せば、かなり至近距離まで近づける筈だ」 くいっ

 

烏間先生はそう言いながら手でサインを出してきた。俺達全員は頷き、授業で習った歩き方に切り替えた。

 

スッ 「おお、"ナンバ"ですか!!実に綺麗に出来ている!!」

 

忍者も使ったとされる、手と足を一緒に前に出す事で服や靴の擦れる音を軽減出来る歩法。コイツを覚えてから音を立てる暗殺は減ってきてるもんな。

 

「行くぞ」

((((コクッ))))

 

決して慌てず、悲観せずに一部屋ずつゆっくりと確認していき、そして・・・

 

(いやがった・・・!!)

 

1番奥の部屋、標的(ターゲット)は背を向けて椅子に座っていた。男の脇には爆弾の様な物が付いたスーツケースが置いてあり、男の手元にはそれの起爆スイッチらしき物があった。

 

(こんな奴のせいで陽菜乃や皆は・・・)

チラッ (!! フー・・・落ち着け、打ち合わせ通りに行動するんだ)

 

俺達に確認するような烏間先生の視線に、俺は冷静さを取り戻した。

 

―――まずは可能な限り接近して、取り押さえられればベスト。

 

―――もし、遠い位置で気づかれた場合は烏間先生が男の手元を撃つ。それと同時に俺達が一斉に飛びかかる!!

 

(皆をあんな目に遭わせた恨み、一発ぶん殴ってやる!!)

 

そう思いながら握り拳を作ったその時だった。

 

「かゆい」

 

いきなりそう言った男に俺達全員が固まった。

 

「思い出すとかゆくなる。でも、そのせいかな。いつも傷口が空気に触れるから・・・感覚が鋭敏になっているんだ」

(てか、コイツの声・・・まさか!?)

 

すると、男はスイッチを大量にばらまいた。

 

「元々はマッハ20を殺す準備で来てるんだ。超スピードで奪われないよう、リモコンの予備くらい作るさ」

「・・・烏間先生」

「・・・連絡がつかなくなったのは―――殺し屋の他に()()にもいる。防衛省の機密費―――暗殺に使う筈の金を抜いて・・・俺の同僚が姿を消した」

 

憎悪が増してるがこの声、それに烏間先生の同僚・・・間違いない。

 

「・・・どういうつもりだ、鷹岡ァ!!」

「悪い子達だ・・・恩師に会うのに裏口から来るなんて、父ちゃんはそんな子に育てた覚えはないぞ」

 

顔にひっかき傷を大量に作った鷹岡は笑みを浮かべながらそう言った―――――

 

 

 

登志side

 

 僕達は鷹岡に言われるがまま、屋上へとやってきた。危険だけど、治療薬がかかっている以上は言う通りにするしかない。

 

「気でも狂ったか、鷹岡。防衛省から金を盗んで殺し屋を雇い、ましてや生徒達をウイルスで脅す愚行・・・」

「おいおい、俺は至極まともだぜ!!これで地球の危機は救えるんだからな」

「地球の危機を、救える・・・?」

 

僕のそんな呟きに鷹岡は渚君と茅野さんを指差し、

 

「俺の計画では、そこの茅野とかいう女を使う予定だった。部屋のバスタブに対先生弾を敷き詰め、そこに賞金首を抱えて入ってもらう。その上からセメントで生き埋めにするのさ」

「なっ・・・」

「対先生弾に当たらないように元に戻るには、爆発で吹き飛ばす必要がある。生徒思いの先生は、そんなことせずに大人しく溶かされてくれると思ってな」

 

悪魔か・・・この人!?あまりにも狂気じみた計画に、誰もが言葉を失っていた。

 

「・・・許すと思いますか?そんな真似を、私が」

「・・・これでも人道的さ。お前らが俺にした仕打ちに比べたらな」

 

仕打ち・・・?

 

「屈辱の目線とあの時の騙し討ちのナイフが頭ン中ちらつく度にかゆくなって、夜も眠れなくてよォ!!」

 

渚君との一騎打ちの事か・・・中学生に負けたとなれば、評価が下がるのは当然だろうな。

 

「ホントは俺に踵落としを喰らわしやがった九澄 大賀にも用があるが・・・潮田 渚、俺の未来を汚したお前だけは絶対に許さん!!」

 

水色の髪の男子ってわざわざ指定したのは、渚君に用があったからか!!

 

「完璧な逆恨みじゃねえか・・・」

「テメーが作ったルールで勝手に負けただけだろーが。言っとくが、俺等は渚が勝ってようが負けようが、テメーの事大っ嫌いだしな」

「ジャリ共の意見なんて聞いてねェ!!俺の指先1つでジャリが半分減るって事忘れるなよ!!」

「上等だ、お前がスイッチ押すのと俺がテメーをぶん殴るの。どっちが速えか試してみるか?」

 

額に青筋を浮かべながら太陽は指をボキッと鳴らした。太陽はそのまま一歩近づこうとして、

 

「!!」 ピタッ

「? どうしたの?太陽」

「誰だ?ヘリポートの上にいるのは?」

 

太陽の言葉に僕達は一斉に上を見た。すると、

 

「・・・ほう、もう一歩近づいたら頭をぶち抜く気でいたが・・・悪鬼を倒した辺り中学生離れしているとは思っていたが、ここまでとはな」

「なっ!?貴方は、石動(いするぎ) 万朶(ばんだ)!?」

「誰ですか?烏間先生」

 

拳銃を太陽に向けながらそう言った茶髪の男を見て、烏間先生が驚いた様子でそう言った。この人・・・強い!!

 

「通称"万屋(よろずや)"、日本で最強と呼ばれる殺し屋だ。そして、日本政府からの依頼は必ずこなす事を条件に特別に殺しを許可されている唯一の殺し屋でもある」

「なるほど・・・道理で強そうな筈だ」

「だが、一般市民を巻き込む仕事を許可されてはいない筈だ!!なのに何故ここに!?」

「この男が多額の金を積んできたからさ。日本政府の依頼は金にならん」

 

お金で裏切ったって事か・・・

 

「・・・鷹岡。あの男と戦いたい、アイツもここまで上がらせろ」

「ああ・・・潮田 渚と神木 太陽!!治療薬が欲しけりゃここまで上がってこい!!」

「渚、行ったら危険だよ・・・」

「・・・行きたくないけど、行くよ(ひょい)あれだけ興奮してたら何しでかすか分からないし、話を合わせて治療薬を壊されないように渡してもらうよ」

 

殺せんせーを茅野さんに預けると、渚君は鷹岡の方へと歩いていった。

 

登志。お前、あそこの資材でヘリポートまで跳べるか?

えっ・・・

 

その時、太陽が僕にしか聞こえないように声をかけてきて僕は周りを見渡した。

 

すると、ヘリポートのすぐ近くに鉄骨がブルーシートをかけられて置かれているのが見えた。

 

・・・ああ。うん、あれくらいなら

そうか・・・いざとなったら渚を助けてやってくれ

 

僕にそう言うと、太陽も鷹岡の方へと歩いていった。2人とも、気をつけて・・・

 

 

 

ブンッ 「これでもう、だーれも登ってこれねえ」

 

 鷹岡はヘリポートに上がるための階段を下へと放り投げた。ヘリポートにいるのは太陽と渚、それに鷹岡と万屋と呼ばれた男だけだ。

 

「潮田 渚、足元のナイフを取れ。この前のリターンマッチだ」

「待って下さい、鷹岡先生。闘いに来たんじゃ無いんです」

「だろうなァ。この前みたいな卑怯な手が使えない以上は、一瞬で俺にやられるのは目に見えてる」

 

・・・そこだけは、あの人と同意見だな。

 

「だが、一瞬で終わっても俺の気がすまん。だからこそ・・・今やってもらう事がある」

 

そう言うと鷹岡は指を地面に突きつけ、

 

「土下座しろ。卑怯な手で勝ってしまってすいませんってな」

「・・・」

 

渚君・・・

 

「・・・(スッ)僕は「それが土下座かァ!?頭こすりつけて謝んだよォ!!」

ぎりっ (太陽・・・)

 

膝をついた渚君に激昂しながらそう言う鷹岡に、太陽は今にも殴りかかりそうだった。恐らく、渚君が我慢しているからこそ、辛うじて堪えられてるんだろう。

 

「・・・僕は、実力が無いから卑怯な手で奇襲しました。

・・・ごめんなさい」

「おう、あと大人に偉そうな口、叩いた事もだ。生徒が教師に向かってだぞ!!」 グイ

「っ・・・生徒のくせに先生に生意気な口を叩いてしまいました。本当に、ごめんなさい」

 

土下座をした渚君の頭に足を載せる鷹岡に僕も思わず刀に手をかけた。それでも、何とか治療薬の為に渚君が我慢しているのに、僕が飛びかかる訳にはいかなかった。

 

「・・・(ニコッ)よーし、やっと本心を言ってくれたな。先生は嬉しいぞ」

「・・・」

「・・・ん?おい、何だその顔は神木?言いたい事でもあるのか?」

 

太陽は、さっきからずっと鷹岡と万屋を見ていた。その顔は、いつもよりもずっと険しかった。

 

「いや・・・あんな強い奴連れてきたアンタが、そう簡単に治療薬渡してくれるもんかと思ってな・・・」

(えっ・・・)

 

太陽の言葉に僕はギクリとなった。そうだ、僕達はあの人が渚君がああすれば助けてもらえると思ってたけど・・・

 

「フッフッフ、正解だ。神木」 ブンッ!!

「「「「なっ!?やめ・・・」」」」

 

笑みを浮かべながら投げられたスーツケースに僕達は思わず声を上げたが、その言葉が最後まで言い切られるよりも先に・・・

 

 

 

ドゥゥゥン!! (そ、そんな・・・)

 

・・・スーツケースは鷹岡の仕掛けた爆薬によって木っ端微塵になってしまった。皆を助けられる唯一の希望が・・・!!

 

「あっはっは!!そうだ、その顔が見たかったんだ!!あのウイルスで死んだ奴がどうなるか知ってるか!?全身がデキモノだらけになって顔面がブドウみたいに腫れ上がるんだ!!」

(・・・許さない!!あの男!!)

「はーっ・・・はーっ・・・(カチャッ)殺して・・・やる・・・!!」

 

!!渚君もナイフを拾った!!

 

「おーう、ようやく殺る気になったか。そのためにお前にはウイルスを盛らせなかったからな。何せおま(ドカンッ!!) グハッ!?」

 

そんな鷹岡の言葉を、太陽がぶった切った。鷹岡の顔面を殴り飛ばした事で鷹岡は吹っ飛ばされた。

 

「テ、テメエいきなり(ゴゴゴゴゴ・・・)・・・あ?」

「な、何だ!?太陽君の身体から何かが・・・あれは、蒸気?」

 

あ・・・あれは!!

 

「皆はここにいて下さい!!僕は太陽を止めてきます!!」

「なっ!?登志君!!」

(こんな所でアレを使わせたら・・・太陽は!!)

 

烏間先生の声を横に、僕は鉄骨に向けて走り出した―――――!!




いかがだったでしょうか。

というわけで、渚と太陽がそれぞれ戦います。

・・・しかし、いよいよ南の島編も終盤になってきました。南の島編が終わったら、1回小説を見直そうかなーとも考えています(今見ても誤字とか脱字多そうなんで)

それでは、また次回お会いしましょう!!



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