太陽とひまわりの仲間達との暗殺教室   作:籠野球

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皆さんどうも籠野球です。

やっと休みだー!!この1か月、マジでキツかった・・・

この休み中、何話投稿出来るかは分かりませんが、最低でも今あるストックの分は出そうと思ってますので、暇な時にでも読んで下さい!!

それでは、どうぞ!!


五十五時間目 過去の時間

登志side

 

「ハァ・・・」

「まあ落ち込むなよ、杉野」

 

 殺せんせーの準備が済むまでの間、僕達は洞窟の入り口で待機していた。

 

そんな僕達の話題は大賀と神崎さんの事だった。大賀は気づいてないみたいだったけど、どう見ても神崎さんが大賀に好意を抱いているのはすぐに分かった。

 

今も大賀が調理器具を厨房に返しに行くのにも、自分から手伝ったしね。

 

(というか、あれで気づかない大賀も凄いな・・・)

「いや、落ち込んでるんじゃ無くて、悔しいんだよ。

・・・でもさ、1番悔しいのは、」

「ん?」

 

杉野君は苦笑いを浮かべながら、

 

「あんま悔しくねーんだよ」

「え?」

「大賀ってすげー良い奴じゃん。だからさ、アイツに負けるならしょうがねえのかなって思えてくんだよ」

 

杉野君・・・

 

「かー!!漢だぜ、杉野!!」 バンッ!!

「痛って!!強すぎだろ、威月!!」

 

威月にしては珍しく、テンション高く杉野君の背中を叩いていた。そう言う杉野君も笑ってるし、本当にそこまで落ち込んで無いんだろうな。

 

「杉野君にも、いつか好きになってくれる女の子が出来る筈だよ。自信持って!!」

「おう!!サンキューな、伊勢」

 

さて、とりあえず僕もペアを決めないと。

 

「威月、ペアにならない?」

「ああ悪い、俺は中村と行くよ」

「あ、そうなんだ。じゃあ・・・「伊勢くん」え?」

 

振り返ると、そこには矢田さんが立っていた。

 

「矢田さん」

「伊勢くん、ペアいないなら私と一緒に行かない?」

「・・・はい、いいですよ」

 

矢田さんからの誘い、勿論嬉しかったけど矢田さんの顔がこれ以上無いくらい真剣だったのが気になった。

 

 

 

「・・・そろそろ行きましょうか、矢田さん。僕らが最後ですし」

「うん、あんまり待たせちゃうと悪いもんね」

 

 威月と中村さんが入ってから10分は経ってるし、そろそろいいだろう。

 

「結構涼しいですね、中は」

「何か雰囲気不気味-・・・」

 

確かに何か出そうな雰囲気ではあるかな。

 

「まあ、お化け役は殺せんせーだし、僕がぶった斬りますから大丈夫ですよ」

「アハハ、ありがとう」

 

そんなやりとりと共に僕達は中を進んでいった。

 

 

 

「・・・何にも出てこないね」

「殺せんせー何やってるんですかね・・・?」

 

 恐らくは半分くらいは歩いてきた筈なのに、殺せんせーは1回も出てこなかった。これじゃあ、只の洞窟散歩だよ・・・

 

(・・・龍志)

 

・・・こんな暗い雰囲気で無言で歩いていると、どうしても考えてしまうな。

 

(今、どこにいるんですか・・・?「・・・そういえば、傷は大丈夫?伊勢くん」・・・僕は、もう一度貴方と会って止める為に強く「伊勢くん?」・・・!!)

 

その時、矢田さんに声をかけられている事に気づいた。

 

「あ・・・すいません、何でしたか?」

「あ、いや、肩の傷はもう大丈夫かなって・・・」

「ああ・・・問題ないですよ、肩を刺された訳では無いですからね」

 

右肩を触りながら、僕は心配かけないように笑顔で答えた。でも、矢田さんの顔は優れなかった。

 

「矢田さん?」

「・・・ねえ、伊勢くん。よかったら話してくれないかな?龍志って人について」

「!!」

 

そういう事か・・・

 

「・・・だから、僕とペアになったんですね」

「うん、ごめんなさい。でも伊勢くん、あの時から時々様子がおかしいから・・・」

「・・・」

「話したくないって言ってたのに、無理に聞き出そうとしてゴメンね。でも・・・伊勢くんは私を助けてくれた。だから、私も助けてあげたいんだ。どうかな?」

「・・・」

 

恐らくは、ここで絶対に話したくないって言ったら矢田さんは納得してそれ以上は聞いてこないだろうし、適当に誤魔化す事も出来た。

 

(・・・でも、)

 

理由は分からない。でも、真剣な顔で向き合ってくれるこの人に僕は何故か隠し事をしたくなかった。

 

「・・・分かりました、いいですよ」

「!!・・・ありがとう。ちょうどあそこに椅子あるし、座ろっか」

 

指差した先を見てみると、何やらハートマークの付いたベンチがあった。・・・何であんな所にポツンと置いてあるんだろう。

 

(まあ、座れるならデザインはどうでもいいか)

 

そう思いながら僕と矢田さんはベンチに座った。

 

(さてと、まず何から話せばいいのかな・・・)

「・・・やっぱり、5年前の事件からかな」

「一族が全滅した・・・って言ってたよね、悪鬼さんは」

 

僕は矢田さんの言葉に頷いた。

 

「5年前、1人の男が最後の飛天御剣流の一族を斬殺して、そして・・・姿を消したんです」

「それが・・・龍志さん?」

「はい・・・そして、僕がこの世で最も尊敬している人でもあります」

「!?・・・伊勢くんは、龍志さんって人とどういう関係なの?」

 

恐る恐る聞いてきた矢田さんに、僕はその言葉を吐き出した。

 

「伊勢 龍志は、僕の()()()で、僕や兄貴にとっての両親を殺した人です」

 

 

 

5年前・・・

 

(僕のご先祖様は、日本最強の剣士だったらしい)

 

床の間に飾られた2本の刀を見ながら、僕はそう唱えた。

 

(でも、見た事も無い人のことなんて僕はどうでもいいんだよね)

 

正直、僕は剣術自体は好きな訳では無かった。・・・けど僕は剣術をする事は大好きだった。

 

何故なら・・・

 

「登志はその刀を見てるのが好きね」

「あ、母さん」

 

その時、襖を開けて()()()を持った母さんが入ってきた。確かに、この刀を見てるのは好きなんだよな。

 

「お父さんが稽古の時間って言ってるわよ」

「あ、もうそんな時間だったんだ!?」

 

早く行かないと!!そう思いながら、僕は玄関へと駆け出し家のすぐ横に建てられた道場へと走った。

 

ガラッ 「・・・来たか、登志」

「また刀を見てたのか。好きだな、登志は」

 

そこにいたのは、同じく黒髪のお父さんと・・・

 

「よろしくお願いします!!お父さん、()()()!!」

 

僕と同じ()()()()()()()()の兄さんが立っていた。

 

 

 

タンッ 「飛天御剣流 龍槌閃!!」

 

 僕は思いきり跳躍すると、真下にある藁を丸めた目標に竹刀を振り下ろした。

 

スカッ!! 「あっ!?」

 

しまった!!振り下ろすのが早すぎた!!

 

ゴンッ!! 「へぶっ!?」

 

バランスを崩した僕は、顔面から床へと落下した。

 

「と、登志、大丈夫か!?」

「うう・・・痛い」

 

そんな僕を見て、兄さんが慌てた様子で駆け寄って来てくれた。兄さんはそのままペタペタと僕の顔を触り、

 

「・・・鼻血とかは出てないな、よかった・・・」

「ありがとう、兄さん」

「登志、少し休んでなさい。龍志、次はお前の番だ」

 

父さんに僕達は頷くと僕は道場の端っこに、兄さんは自分の木刀を持って真ん中へと歩くと・・・

 

タンッ 「飛天御剣流 龍槌閃!!」 ドカンッ!!

 

思い切り跳躍して、同じように目標に木刀を振り下ろした。

 

兄さんの一撃を喰らった俵は大きく揺れた後、ゆっくりと時間をかけて止まった。

 

(やっぱり兄さんは凄い・・・)

「うむ、完璧だ。やはり龍志は、人斬り抜刀齋に1番近いかもしれんな」

 

兄さんは、僕達が使用する飛天御剣流を作り出したご先祖様――人斬り抜刀齋と呼ばれた最強の剣士の生まれ変わりとまで言われるくらい強かった。

 

「龍志が登志くらいの年には、一通りの飛天御剣流を使えたが・・・やはり登志には難しかったか」

(うぅ・・・)

 

父さんの言葉に僕は思わず俯いた。確かに兄さんには勝てないからな・・・

 

「父さん、そんな言い方は無いだろ。登志は俺よりも抜刀術は上手いし、ちゃんと真面目に頑張ってるじゃないか。いつか、ちゃんと出来るようになるよ」

「む・・・そうだな。すまない、登志」

 

しかし、それを否定した兄さんの言葉に、父さんはちゃんと謝ってくれた。

 

「ありがとう、兄さん」

「(ぽんっ)大丈夫さ、登志。お前は強い、自信を持て」

 

僕が剣術をする理由、それは今も僕の頭に手を置いて笑ってくれる兄さんがいたからだった。

 

「ほら、登志。もういけるか?」

「うん!!」

 

―――兄さんは、僕にとって憧れそのものだった。強くて、優しくて。

 

 

 

・・・あ、剣術を続ける理由はもう一つあった。それは・・・

 

「はい、お待ち。龍志君、登志君」

「ありがとう、田中さん」

 

月に1回、他の剣術道場への出稽古の帰りに兄さんと食べる蕎麦、これが僕は何よりも大好きだった。

 

「「いたただきまーす」」 パチンッ

ズルズル・・・ 「美味いか?登志」

「うん!!」

 

兄さんも僕と一緒に食べるこの蕎麦は大好きらしく、いつもよりも機嫌は良くなるのだった。

 

「(モグモグ・・・)しかし、兄さんには何回やっても勝てないなぁ。今日も何本も試合取ったのに、1本も取れなかったし」

「(ズーッ・・・)確かに俺には勝ててはいないが、道場の他の奴らには全員勝てるじゃないか。中学生相手でも、あっさり勝ててるしな」

 

中学生で道場主にも圧勝出来る兄さんに言われてもな・・・

 

(・・・僕も兄さんみたいな髪色(どうやら、ご先祖様の髪の毛もこんな色だったらしい。)なのに、何でこんなに違うのかなぁ・・・)

「(ぽんっ)お前は、きっと強くなれる。大丈夫さ」

「兄さん・・・うん!!」

 

―――兄さんと一緒に父さんに稽古をつけてもらい、兄さんと一緒に出稽古に行き、兄さんと一緒に蕎麦屋で蕎麦を食べる。こんな生活がずっと続いていくものだと、僕は頭を撫でられながら当然思っていた。

 

 

 

「(ブンッ)484・・・(ブンッ)485・・・」

 

 月日が流れて、僕の10歳の誕生日まで20日となった3月1日。僕は家の道場の中で、日課の素振り500回を1人で行っていた。

 

「(ブンッ)499・・・(ブンッ)500!!ふー・・・終わりっと」

 

脇に置いてある手拭いで汗を拭いながら僕はひと息ついていた。身体を動かすのはやっぱり気持ちいいな。

 

「・・・さて、兄さんの誕生日プレゼント、何にしようかなあ・・・」

 

僕は草鞋を履きながらそう呟いた。

 

実は兄さんは3月3日が誕生日なのだ。雛祭り(女のこの日)が誕生日なのを兄さんは気にしてるけど、僕は別にいいと思うけどな。

 

(・・・でも、兄さんも15歳なんだ。「元服」って言うんだっけ、確か)

 

父さん曰く、昔の武士は15歳で一人前扱いされたらしく、兄さんも楽しみにしているもんなあ。

 

ガラッ 「・・・ま、蕎麦でも御馳走しようかな、僕は」

 

道場の扉を開けながら僕はそう決めた。3日は土曜日で学校は昼までだし、昼ご飯に食べに行こっと。

 

カラリ 「・・・

・・・

(・・・ん?茶室で誰かが話し合ってる?)

 

玄関の扉を開けたその時、奥の茶室から話し声が聞こえてきた。お客さん来るなんて父さん言ってなかったけどなあ。

 

スタスタ (いったい誰が・・・)

 

お客さんならとりあえず挨拶しておこうと、僕は茶室の入り口へと近づいて襖を開ける為に取っ手に手を掛けようとした。

 

「何でですか!?」

「!?」 ビクッ

 

その時、中からそんな怒鳴り声が聞こえてきて、僕は思わず硬直した。この声、兄さん!?

 

「誰だ!?」 ガラッ!!

「あ・・・えっと・・・」

「!! 登志・・・」

 

いきなり襖を開けながら兄さんは、立ちすくむ僕を見て息を呑んでいた。茶室の中では、父さんが座って僕を見ていた。

 

「・・・驚かせてゴメンな、登志(ポンッ)」

 

兄さんはいつもの様に頭に手を乗せた後、歩いて部屋へと戻っていった。

 

「・・・あ、邪魔をしてすみませんでした、父さん」

「こっちこそ驚かせてすまんな、登志」

「いえ・・・じゃあ、僕も戻ります。」

 

何を話していたのかは気になったけど、恐らくは話してくれないだろうし僕も部屋に戻ろうとした。

 

「・・・登志」

「はい?」

「・・・少し、話せるか?」

 

父さんは、少しだけ笑みを浮かべながら僕にそう言ってきた―――――

 

 

 

カラリ 「・・・ん?」

 

 兄さんの部屋の襖を開けると、兄さんは部屋の真ん中で座禅を組んでいた。僕の存在に気づいた兄さんは、優しげな笑みを浮かべながら僕に話しかけてきた。

 

「どうした、登志?」

「さっきはゴメンね、兄さん。お話、邪魔しちゃって・・・」

「わざわざ謝りに来てくれたのか?気にしなくて大丈夫さ」

 

本当に怒ってないみたいだな、よかった・・・

 

「・・・」

「? まだ何かあるのか?」

「兄さん、さっきは父さんと何を話してたの?」

「!!」

 

僕のそんな質問に、兄さんは一瞬だけ目を見開いた後・・・

 

「(クシャッ)・・・たいした事じゃ無いさ、気にするな」

 

いつもと同じ様に笑いながら僕の頭を撫でてくれた。いつもと変わらないそんな兄さんの行動に、僕は安心して撫でられ続けた。

 

―――今でも僕は、この時の事を悔やんでいる。

 

―――もしもこの時・・・兄さんの僕の頭を撫でる力がいつもよりも強い事に気づけていたら・・・

 

―――もし、兄さんの心の内を少しでも理解できていたら・・・後の悲劇は起こらなかったのかもしれない・・・と。




いかがだったでしょうか。

というわけで、登志の過去でした。過去は次回で終わりですが果たして、どうなっていくのでしょうか・・・

それでは、また次回お会いしましょう!!
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