太陽とひまわりの仲間達との暗殺教室   作:籠野球

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皆さんどうも籠野球です。

今回は登志の過去の続きです。

なかなか最新話が書けなくて苦戦してますが、頑張っていきたいと思います!!

それでは、どうぞ!!


五十六時間目 否定する時間

登志side

 

3月3日 兄さんの誕生日・・・

 

キーンコーンカーンコーン・・・ 「終わった~!!」

 

 四時間目が終了した事を告げるチャイムに、僕は伸びをした。

 

「さーて、早く帰らないと」

「ずいぶんご機嫌だな、伊勢」

「あ、九澄君」

 

ランドセルに教科書を放り込んでいると、クラスメイトの九澄君が笑顔で話しかけてきた。

 

「今日ずっと機嫌が良いし、何かあったのか?」

「へへー、分かる?実は今日、兄さんの誕生日なんだ」

「へー、いいなー!!俺、お兄ちゃんとかいないから羨ましいよ」

「おーい、大賀」

 

その時、教室の扉付近からそんな声が聞こえてきた。

 

見てみると、そこには別のクラスの神木君と水守君が立っていた。

 

「何、話してんだ?」

「いや、伊勢が機嫌良いから理由聞いたら、今日お兄さんが誕生日なんだってー」

「そうか、おめでとう」

「うん、ありがとう!!それで今日のお昼ご飯にお蕎麦を御馳走してあげるんだー!!」

「伊勢はお兄さんが好きなんだな」

「そりゃ勿論!!」

 

兄さんは僕の憧れそのものだって自信持って言えるもんね。

 

「ま、邪魔しちゃ悪いし、俺達も帰ろうぜ。昼飯は何だ?大賀」

「うーん・・・手っ取り早く炒飯とかかな?」

「おー、そりゃいいな!!」

 

九澄君達3人は同じ孤児院で暮らしているらしい。この3人も僕と兄さんと同じくらい仲良いなぁ。

 

「っと、急がないと!!またね、皆!!」

「おー」

 

僕はランドセルを背負って帰り道へと急いだ。

 

―――この時は、この後すぐに3人と一緒に暮らす事になるとは当然思ってなかった。

 

 

 

タッタッタ 「ハァ・・・ハァ・・・フゥ」

 

 家の敷地内に着いて、僕は走るのを止めた。少しだけ疲れたな。

 

キョロキョロ (兄さんは・・・自分の部屋かな?)

 

お昼ご飯食べに行こうって言っておいたし、流石に稽古はしていないだろう。

 

ガラッ!! 「ただいま、兄・・・え?」

 

家の扉を開けながらの僕の言葉は、床に付いている赤い液体が目に入った事で自然と失われた。

 

「これって・・・血?」

 

よく見ると、血の跡は家の中から外に出ているのだった。まさか・・・泥棒!?

 

僕は玄関に立てかけられた木刀を手に家の中へと入ると、血の跡にゆっくりと付いていった。やがて血の跡は、刀の飾ってある部屋に入っていった。

 

「・・・」 スゥ

 

僕は、恐る恐る襖を開けた。そんな僕の目に飛び込んできたのは―――

 

うっ・・・

「!? 母さん!!」

 

血まみれになって仰向けで倒れている母さんの姿だった。

 

「しっかりして、母さん!!」

と、登志・・・

 

よく見ると、母さんの身体は刃物で斬られた様な傷が肩から1つだけあった。こんな大きな傷は、日本刀の様な物じゃなきゃ付く筈が無い!!

 

「誰にやられたの!?」

「りゅ、龍志が・・・」

「えっ・・・」

 

に、兄さんが?何で!?

 

「龍志はあの人と道場に・・・急いで・・・登・・志・」 

「か、母さん!?っ!!」

 

そう言い残して母さんの身体からは力が抜けた。奥歯を噛みしめたが、僕は母さんの言い残した通り道場へと急いだ。

 

(嘘だよね・・・兄さん!!兄さんがそんな事するわけ無いよね!?)

ガラッ!! 「兄さん!!」

 

―――そう考えながら道場の扉を開けた僕の目に入った光景を、僕は忘れた日は無かった。

 

「「・・・」」

「兄さん、父さ(ブシャァ!!)!?」

 

お互いに真剣を持って背中を向け合っている2人に声をかけた次の瞬間、父さんの身体の様々な場所から血が勢いよく噴き出した。

 

「父さん!!」

「(キンッ)・・・登志」

 

慌てて父さんに駆け寄った僕を、兄さんは刀を鞘に収めながら呟いた。

 

兄さんの手に握られていた刀は、床の間に飾られていた2本の内の1本だった。

 

「に、兄さん・・・何で・・・!?」

「・・・」

 

何で黙ったままなの・・・いつもみたいに笑って頭を撫でてよ・・・兄さん!!

 

「すまない・・・」

「ま、待って兄さ(がしっ)「待つんだ、登志・・・」と、父さん!?」

 

そう言い残して道場をを出ていった兄さんを追いかけようとした僕の腕を、父さんが掴んで止めた。

 

「今のお前では、龍志には勝てない・・・絶対にだ」

「っ!!」

 

そ、そりゃ、兄さんに勝てる自信は無いけど・・・

 

「剣の腕の問題じゃ無い・・・飛天御剣流の在り方、人斬り抜刀齋の血が流れる自分自身の生き方を龍志なりに定めているからだ。今のお前では、人斬りとして生きる事を決めた龍志に勝つのは不可能だ」

「じゃ、じゃあ、僕はどうすれば・・・!?」

「・・・一昨日、話した事を覚えているか?登志」

 

一昨日の話って・・・確か、兄さんが怒鳴って出ていった後での話か・・・

 

「あの時のお前の考え方。あれこそが、飛天御剣流の正しい在り方そのものだと思っている」

「えっ・・・」

 

僕の考え方が、飛天御剣流の正しい在り方・・・

 

「ゴホッ・・・もう時間が無い・・・よく聞け、登志」

 

血を吐き出しながらも、父さんは真っ直ぐ僕を見据えると、

 

「床の間に飾ってあった2本の内、龍志が持っていった刀は人斬り抜刀齋が使ったとされる刀だ。そして、もう1本の刀。あの刀の名は「登龍(とうりゅう)」と言って、人斬り抜刀齋が後世に残したとされる伝説の刀だ」

「登龍・・・?それって僕と兄さんの・・・」

「そうだ・・登志(お前)と龍志の名前は、その刀から一文字ずつ取ったんだ・・・あの2本の刀のどちらを渡すか、それがあの時の龍志との話だったんだ」

「!!」

「正直あの時は迷っていた。だが、すぐ後のお前との会話で確信した。「登龍」は登志、お前が持つのがふさわしい」

 

僕が・・・人斬り抜刀齋が残した刀を・・・

 

「だが登志。お前があの刀を抜く為には、2つの条件がある」

「2つ・・・?」

 

父さんは頷くと、

 

「1つは、大切な人を守りたいと思った時。そして、もう1つ。こっちの方が、重要だ」

「な、何ですか?」

「・・・それは―――」

 

 

 

桃花side

 

「・・・そこで僕は気を失い、次に気がついた時は「ひまわり」の布団で寝かされていたんです」

 

 伊勢君の壮絶な過去に私は言葉を失いながらも恐る恐る聞いた。

 

「・・・伊勢くんのお父さんが言ったもう1つの条件は何だったの・・・?」

 

伊勢君は私の質問に答えなかった。どうしたんだろう?

 

「伊勢くん?」

「・・・覚えてないんです」

「覚えてない?」

「はい・・・聞いたのは間違いないんですが・・・」

 

伊勢君はその時9歳だったんだし、ご両親が目の前で死んじゃったショックで忘れててもおかしくは無いかも・・・

 

「兄貴と呼ぶようになったのはその頃からです。憧れてるだけの存在じゃ止める事なんて出来ませんから」

「そうなんだ・・・」

「僕は兄貴を止めたくて、飛天御剣流は人斬りの道具じゃ無いって否定したくて剣術を続けてきました・・・何より、僕達は人斬りとして生きる必要は無いって証明したくて・・・」

「・・・伊勢く「でも、やっぱり無理なのかもしれませんね」え?」

 

私の言葉を遮った伊勢君の顔は、悲しげな顔を浮かべていた。

 

「太陽達を傷つけてから、2度と人斬り抜刀齋の血を呼び起こさない。そう決めていたのに、僕は・・・」

「そんな・・・伊勢くんは、私を助けようと!!」

「どんな理由でも、僕が人斬り抜刀齋の血を呼び起こしたのは変わらないですよ。あの時・・・矢田さんが声をかけてくれなければ僕は恐らくは悪鬼さんを・・・」

 

私の言葉を否定しながら伊勢君は椅子から立ち上がると、

 

「太陽達は、「僕にも平穏な暮らしが出来る」・・・そう言ってくれたけど、僕の流れる血は平穏に生きるには余りにも危険すぎる。悪鬼さんの戦いで僕はそう思っちゃいました」

「伊勢くん・・・」

 

振り返った伊勢君の顔は困った様な、諦めた様な笑みを浮かべているけど・・・

 

「簡単に人斬り抜刀齋の血を呼び起こしてしまう僕じゃ、やっぱり人斬りになるしか「伊勢くんは人斬りなんかじゃ無いよ」・・・え?」

 

そんな伊勢君を見るのが辛くて、何よりもそう思う()()()()()()()()()()・・・私は伊勢君の言葉を遮った。

 

当然、伊勢君は私を見てきたので、私は笑顔で自分の考えを告げた。

 

「確かに伊勢くんには人斬りの血が流れているかもしれない。でも、今こうやって目の前で話す伊勢くんが人斬りなんかじゃ無い事を私は知っているよ」

「矢田さん・・・」

「私はそんな優しい伊勢くんにこのE組にいてほしいな。それに、もしまたああなっても、今度は私が止めてみせるから!!」

 

・・・言ってて気づいたけど、何の根拠も無いなあ。恥ずかしさから伊勢君の顔を見れずにいると・・・

 

「・・・ありがとございます、矢田さん」

「え?」

 

顔を上げた私の目に入ったのは、さっきまでの笑い方とまるで違う安心した様子で微笑む伊勢君だった。

 

「僕は誰かから、その言葉を言ってほしかったのかもしれません」

「よかった・・・本当に止められるかは自信ないけど・・・」

「いえ、その言葉だけで充分です」 スッ

 

そう言うと、伊勢君は私に片手を出し、

 

「そろそろ行きましょう。僕達が最後ですし、皆、待ってますよ」

「そうだね、行こうか」

(ゴメンね、伊勢くん。私、伊勢くんの事、何にも知らなかった・・・伊勢くんの悩みも、目的も)

 

私なんかが伊勢君を止められるかは分からない・・・でも、頑張ろう。

 

そう心の中で唱えながら、私は伊勢君が差し出してきた手を受け取った―――

 

 

 

登志side

 

「・・・あ、やっと外が見えてきましたね」

 

 矢田さんに聞いて貰ったお陰か、スッキリした状態で歩いていたその時、弱い光が差し込んでくる穴があった。

 

「結局、殺せんせー1回も出てこなかったね」

「そうですね・・・どうしたんでしょう?」

 

僕達はそんなやりとりと共にその穴から外に出た。するとそこでは・・・

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

「「「「・・・」」」」

 

荒く呼吸をしながら地面に突っ伏している殺せんせーを、皆が呆れた様子で見下ろしていた。

 

「・・・何、この状況?」

「おー、2人共。遅かったな」

「うん、ちょっとね。それより、どうしたの?」

「聞いてりゃ分かるよ」

 

僕にそう返しながら、太陽は再び殺せんせーを見つめた。

 

「要するに・・・怖がらせて吊り橋効果でカップル成立を狙ってたと」

「結果を急ぎすぎな上に、狙いがバレバレなんだよ」

「だって・・・だって見たかったんだもん!!手ェ繋いで照れる2人とか見てニヤニヤしたいじゃないですか!!」

 

泣きながらキレた・・・どれだけゲスいんですか、殺せんせー・・・

 

「というか、威月君!!何で大賀君と神崎さんの観察を邪魔したんですか!?あの後、お2人はお付き合いし始めたみたいですし、絶好の小説のネタになったのに!!」

「アンタがそんな考えだと思ったからだよ・・・そうじゃなくても、家族の大事な状況に茶々入れられてたまるか」

 

殺せんせーの非難に威月は額に青筋を浮かべながらそう返した。確かに僕も威月と同じ考えかなぁ。

 

その時、中村さんが諭す様に話し出した。

 

「・・・あのさぁ、殺せんせー。うちら位だと色恋沙汰とか変にちょっかい出されるの嫌がる子多いんだし、そっとしときなよ。皆が皆、ゲスい訳じゃないんだからさ」

「うう・・・分かりました」

(やれやれ・・・まあ、とりあえず一段落「何よ、結局誰もいないじゃない!!怖がって歩いて損したわ!!」・・・ん?)

 

その時、洞窟の方からそんな声が聞こえてきて、僕達は洞窟の方を向いた。そこから出てきてたのは、

 

「だからくっつくだけ無駄だと言ったろ・・・徹夜明けにはいいお荷物だ」

「うっさいわね、男でしょ!!美女がいたら優しくエスコートしなさいよ!!・・・『Stupid』」

 

烏間先生の腕に抱きついているビッチ先生だった。ビッチ先生は最後に何かを呟いた後、僕達の視線に気づいて無言で烏間先生から手を放した。

 

(・・・ビッチ先生のあの反応・・・まさかビッチ先生)

「・・・なあ、やっぱりビッチ先生って・・・」

「・・・うん」

 

皆の反応からしても、やっぱりそうなんだなぁ。

 

「・・・どうする?」

「明日の朝までまだ時間あるし・・・」

((((くっつけちゃいますか!?))))

「結局、全員ゲスいのかよ・・・」

「ハハ・・・」

 

目を光らせる僕達に、威月が呆れた様子で呟き、太陽が乾いた笑いを漏らした。




いかがだったでしょうか。

前話と今話の話は、登志を書くに至って1番最初に思いついた話です。

両親を殺されても、誰よりも尊敬する兄を止めるために戦う弟、それが登志の基本的な設定です。

矢田さんに支えてもらいながら、登志がどう進んでいくか楽しみにしていただけたら嬉しいです!!

それでは、また次回お会いしましょう!!
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