太陽とひまわりの仲間達との暗殺教室   作:籠野球

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皆さんどうも籠野球です。

あー・・・寒い・・・作者の職場は夜勤中はかなり冷え込む為、かなりしんどいです。



・・・ま、だからこそ家に帰ってからのコタツが格別なんですけどね(笑)

それでは、どうぞ!!


六十六時間目 泥棒の時間

太陽side

 

ペラ・・・ペラ・・・ 「んー・・・やっぱり高いな」

 

 夕飯も終わった夜9時頃、俺は自室で雑誌を読んでいた。

 

スッ 「太陽、お風呂空いたよ・・・って、珍しいね。太陽がそんな若者向けの雑誌読んでるなんて」

「まあな」

 

その時、頭を拭きながら部屋に入ってきた登志が、俺が手にしている雑誌を見て目を丸くした。確かに俺も普段はこんなのは読まないんだが・・・

 

(後1ヶ月ちょっとしか無いからな・・・せっかくこんな良い物くれたんだもんな)

 

首元のペンダントに触れながら俺はそう考えた。つっても夏休みのバイト代はまだ残ってるけど、手持ちじゃちょっと不安だなー・・・

 

(バイトすりゃいいんだが、普通にやったらバレちまうし・・・うーん・・・・・)

「どうしたの?太陽」

「いや、何でもねえよ」

 

黙り込んだ俺を不思議に思ったのか登志が声をかけてきたが、俺は笑いながらそう返した。まあ、また考えればいいや。

 

 

 

「ふあぁ・・・あー、ダリい」

「ま、月曜日はそんなもんだろうよ」

 

 翌日・・・欠伸をしながらそう呟いた威月に俺は下駄箱に靴を入れながらそう返した。今日は4人での登校だ。

 

「また1週間頑張れば休みなんだし、頑張ろうよ」

「へいへい、分かってるさ」

ガラッ!! 「皆、おはよー・・・!?」

 

教室の扉を開けると同時に固まった大賀を不思議に思いながら教室を見てみると、無言で集まっている皆の姿が見えた。

 

「・・・? どうしたんだ?皆、やけに殺気立ってるが・・・」

「あ、おはよう4人共。これちょっと見てくれないか?」

「新聞?」

 

磯貝に手渡され、訝しみながらめくる威月の横から覗くと・・・

 

―――多発する下着ドロ!!

 

―――犯人は黄色い頭の大男!!

 

―――ヌルフフフ・・・と笑い、現場には謎の粘液を残す!!

 

「「「「・・・」」」」

 

そう書かれた記事に、俺達は皆と同じ様に無言になった。この特徴にバッチリ当てはまる人物(?)を1人、俺達は知っているからだ。

 

「ふっふふふ~ん、二学期も順調ですねぇ。ますます生徒達との信頼関係も強固になってますし(ガラッ!!)おはようございます!!皆さ・・・って何で皆さん汚物を見る目で私を!?」

 

とその時、鼻歌を歌いながら入ってきた第一容疑者候補(殺せんせー)は俺達の視線にテンパりながら聞いてきた。

 

スッ 「3枚目の右上見てみな」

「にゅや?(パラッ)・・・・・」

 

威月によって突き出された新聞をめくった殺せんせーは、冷や汗を流しながら震え始めた。

 

「それ、殺せんせーだよね?」

「そんな事してたなんて・・・」

「ちょ、ちょっと待って下さい皆さん!!先生、全く身に覚えがありませんよ!!」 ブンブン!!

 

三村や岡野の問いかけに、殺せんせーは慌てて手を振りながら否定した。まあ、どんな犯罪者も最初は否定するしな。

 

「じゃあ一応聞くんすけどアリバイはあるんすか?」

「アリバイ?」

「この事件があった昨日深夜、殺せんせーどこで何をしてたの?」

 

クラスを代表して、俺と速水が尋ねた。アリバイがあれば無実だしな。

 

「何って・・・高度1万メートルから3万メートルの間を上がったり下がったりしてましたよ。シャカシャカポテト振りながら」

「それがどうやったらアリバイになると思うんだ!?つーか、誰が証明すんだよ!!」

 

わざわざシャカシャカポテトの為に宇宙に行くのはアンタぐらいだっての・・・

 

「てか、そもそもアリバイなんざ、あってないようなもんだろ」

「どこいても、一瞬でこの町に大体は戻って来れんだしね」

 

吉田や狭間の言う通り、今回は殺せんせー自慢の速さが仇となったな。

 

「ちょ、ちょっと落ち着けよ、皆!!」」

「そうですよ、いくら何でも決めつけるのは可哀想ですよ!!」

「おお!!磯貝君に登志君!!」

 

E組の良心とも言える磯貝や登志の制止に、殺せんせーは感動した様子だった。劣勢の殺せんせーにとっては、この2人が頼りだろうな。

 

「殺せんせーは確かに小さな煩悩ありますけど、今までやった事なんて・・・」

 

「エロ本拾い読みしたり・・・」

 

 

 

「水着写真で買収されたり・・・」

 

 

 

 

 

「「手ブラじゃ生ぬるい。私に触手ブラをさせて下さい」って応募ハガキ出したり・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「・・・・・」」

 

ダメだ・・・聞けば聞くほど殺せんせーが犯人としか思えなくなってくる。2人もそう思い始めているのか、苦しそうな表情を浮かべ始めていた。

 

「えっと・・・えっと・・・」

「(ぽんっ)もういいんだ、2人共。お前らだけ苦しむ必要はない。思いきり、ぶちまけちまえ」

「・・・先生、自首をお勧めします」

「今なら罪は軽くて済むかもしれません・・・」

「ふ、2人まで!?」

 

威月に肩を叩かれ、2人はそれぞれそう呟いた。いやー・・・よく頑張った方だと思うぞ。この2人は。

 

「先生は潔白です!!準備室に来なさい、机の中のグラビアを全て捨てて、先生の理性の強さを証明してみせましょう!!」 

(教師が学校にグラビア持ってきてる時点でおかしい・・・ってツッコミは無駄だな)

 

教室の扉を開け放って出ていった殺せんせーを、内心溜め息をつきながら追いかけると、殺せんせーは既に捨て始めていた。

 

ばさばさっ!! 「見なさい!!机の中身全部出し・・・て・・・・・」

「なっ!?」

「おいおい・・・マジか・・・」

 

そんな殺せんせーの手に握られていたブラジャーに、俺達は驚きを隠せなかった。まさか・・・本当に!?

 

「ちょっと皆!!これ見てよ!!」

「クラス名簿?」

 

その時、岡野がそう言いながら見せてきた()()の正体を威月が聞き返した。

 

「女子の胸のカップ数調べて、横に書いてある!!」

「テメェ何、教師の分際で人の彼女エロい目線で見てんだ!?エロタコ!!」

「てか、何で私の所は永遠の0なのよ!!」

 

俺と茅野の怒りのツッコミに、殺せんせーは今までに無い位テンパっていた。

 

「いいい、いや違うんです太陽君!!これは教師として生徒の成長を確認しようと・・・」

「どんな確認だ!?つーか、教師が何で生徒の胸のサイズを知る必要があんだ!!」

「うぅ・・・たーくんにそんなの知られるなんて・・・」

「殺せんせー酷いです・・・」

「・・・タコはまず急所の眉間の間を刺して締め、内臓を取った後塩でぬめりを・・・」

「ひいぃぃぃ!?落ち着いて下さい、大賀君!!」

 

犯人かどうかなんて関係なく、やっぱりコイツは殺しとかなきゃいけないな・・・

 

「(パラッパラッ)・・・しかもコレ、最後のページには街中のFカップ以上の女性のリストがあるぞ」

「「「「・・・」」」」

「え・・・いや・・・・・その・・・・・・・ああ、そうだ!!」

 

名簿を見ていた威月のそんな言葉に、全員が一斉に殺せんせーを冷ややかな目で見た。そんな俺達の視線に耐えられなくなった殺せんせーは、何かを思い出した様子でクーラーボックスを机の上に置いた。

 

「今からバーベキューしましょう!!放課後やろうと準備してたんです。ほら、見て下さい!!美味しそ~・・・で・・・しょ」

「うわー・・・」

「さいてー・・・」

 

クーラーボックスから出てきた串に刺さったブラジャーを見て、今度こそ全員がドン引きしたのだった。

 

 

 

登志side

 

キーンコーンカーンコーン・・・ 「き、今日の授業はここまでです・・・」

 

 元気なくそう言い残して、殺せんせーは教室を出て行った。ここまで元気ない殺せんせーは初めて見るなぁ。

 

「アハハ、今日1日針のムシロだったね」

「居辛くなって逃げ出すんじゃねえか?ありゃ」

 

そんな殺せんせーを見て、カルマ君や威月はそんなやりとりをしていた。そんな2人に渚君が何とも言えない表情をしながら入ってきた。

 

「でも、本当に殺せんせーやっちゃったのかな?」

(確かに・・・どう考えても犯罪だよね)

「地球破壊よりは可愛いっしょ」

「まあそれはね・・・」

 

カルマ君のそんな返しに、渚君は苦笑いを浮かべていた。そりゃあテロ行為に近い行動に比べたら、下着ドロは小さいけどさ・・・

 

「だが・・・正直、引っかかるな。お前はどう思う?太陽」

「・・・まあ冷静になってみりゃあ確かに疑わしい点は沢山あるが、そもそもマッハ20がそんなあからさまな証拠残す筈ねえわな」

(うわあ、太陽すっごい嫌そうな顔してる・・・)

 

と、とりあえずは無罪の可能性を信じてくれてるんだし、いいか。

 

「さっきさあ、コイツを体育倉庫で見つけたんだけどさ(スッ)」

(バスケットボールに女の人の下着が巻いてある・・・)

「こんな事したら、先生として死ぬ位分かってる筈じゃん」

「ああ、殺せんせーからしたら俺達からの信頼が無くなる事、そんなの殺される位辛え筈だからな」

(・・・僕も同意見だな。やっぱり殺せんせーがやったとは僕には思えない)

 

カルマ君や威月のやりとりを聞きながらそう考えていると、

 

「フフフ・・・なら、考えられるのは1つだけね」

「不破さん?考えられる事って・・・」

「ズバリ偽殺せんせーよ!!ヒーロー物お約束、偽者悪役の仕業だわ!!」

「殺せんせーの姿や話し方を真似してるって事は、犯人は殺せんせーについて詳しい奴で間違いない。

・・・律、何か手がかりや次に犯行が起こりそうな場所を調べておいてくれ」

「はい、太陽君。お任せ下さい!!」

「偽者のせいで、あのタコにE組去られて百億パアは困るし、ここは1つ貸しを作っとこーじゃん?」

 

寺坂君の肩に腕を載せ、カルマ君は不敵な笑みを浮かべながらそう言った―――

 

 

 

太陽side

 

タンッ 「(スタッ)フフフ、身体も頭脳もそこそこ大人の名探偵参上!!」

「やってる事は只の不法侵入だがな」

 

 夜・・・イキイキとした顔で壁を乗り越えた後そう宣言する不破に、俺は呟いた。つーか、烏間先生もこんな事させる為にフリーランニング教えたんじゃ無いと思うがな・・・

 

「んで、不破。何で真犯人はこの建物を選ぶと?」

「律に聞いたんだけど、ここ某芸能プロ合宿施設なんだ。しかもここ最近は巨乳の子ばかりのアイドルグループが練習してる。しかも合宿の終わりは明日、その洗濯物は極上の獲物の筈よ!!」

(なるほど・・・殺せんせーの偽者なら、逃すわけ無いな)

 

寺坂と不破のやりとりを聞きながらそう考えていると、最後の見張り役の登志が壁を越えてきた。

 

タッ 「大丈夫、皆が侵入した所は誰も見てなかったと思うよ」

「サンキュー、登志」

 

ちなみにメンバーは渚・茅野・カルマ・寺坂・不破に俺と登志の7人だ。俺と登志はもしも犯人が逆上して襲いかかってきた時に皆を守る為に付いてきたのだ。ま、カルマと寺坂で充分だとは思うが、念の為だな。

 

「ま、とりあえずはここに犯人が現れる事を祈るしか・・・ん?」

「どうしたの?太陽君」

「あれ見ろよ」 スッ

 

聞き返してきた茅野に、俺はある草むらを指差した。そこには、ほっかむりにサングラスをした殺せんせーが洗濯物を見張っていた。

 

「殺せんせーもここが怪しいって思ってたんだね」

「いや、どー見ても盗む側のカッコだろ」

 

渚の呟きに、寺坂がツッコんだ。どう見ても不審者だよな・・・

 

「見て!!真犯人への怒りのあまり、下着を見て興奮してる!!」

「不審者よりもやべぇ奴じゃねえか!!」

 

やっぱ殺せんせー犯人でいいんじゃ・・・そう考えていたその時だった。

 

「・・・!! 来たよ、皆。向こうの壁」

 

カルマが指差した方向の壁から、今まさに黄色いヘルメット()の大男が侵入してきた。

 

スタタタッ!!

(速い・・・相当慣れてんな)

「あの身のこなし、ただ者じゃ無いですね」 ガシッ

「みたいだな、奴が下着手に取った瞬間に行くぞ」

 

竹刀に手を掛けた登志にそう返しながら俺達は男を観察していると、男は迷いなく洗濯物へと近づき手を伸ばし、俺は男に声をかけようとした。

 

「おい、アン「捕まえたー!!」 って、いきなりかよ!?」

 

しかし、そんな俺の制止よりも早く、殺せんせーが男に飛びかかっていた。だからお前はいい加減自分が国家機密な存在だって自覚しろ!!

 

「よくも私に罪を擦り付けようとしてくれましたね!!押し倒して隅から隅まで手入れしてやりますよ、ヌルフフフ!!」

「・・・何か下着ドロよりも危ない事してるよね」

「笑い方も新聞通りになってますしね・・・」

 

犯人と取っ組み合いしている殺せんせーを見て、渚と登志がそれぞれ呟いた。これ大丈夫か・・・?

 

「顔を見せなさい!!偽物(ガボッ)・・・えっ?」

「!! 鶴田さん!?」

 

ヘルメットの下から出てきたのは、間違いなく烏間先生の部下の鶴田さんだった。どういう事だ!?

 

バッ!! 「何っ!?」

 

その時、洗濯物を干してあった竿が上へと伸びながら白い布が垂れ下がってきた事で、殺せんせーはその中に取り残された。

 

「これはいったい・・・「君達が南の島でやった戦法さ、当てるよりまずは囲う」 !! シロ!!」

 

思わず立ち止まった俺達の前に現れたシロはそう言った。コイツがいるって事は・・・

 

「さあ、最後のデスマッチを始めようか。殺せんせー」 バッ

「! イトナ!!」

ドドドドッ 「うおおおっ!?」

 

布の上に現れたイトナは、そのまま殺せんせーへと奇襲を仕掛けた。そんな突然の攻撃に、殺せんせーは防御で手一杯の様子だった。

 

「なるほどな・・・今回の下着ドロ、テメエらの仕業だったって訳か」

「彼には感謝しないとね。計画の仕上げとなるこの場所(ポイント)への誘導だけは他の人物を使う必要があったから」

「すまない・・・手伝いたくはなかったが、烏間さんの更に上からの命令では断れなかったんだ」

「生徒からの信頼が落ちそうなら、あの怪物はすぐに動く。そこへ合宿という偽情報を流せば、見ての通りというわけだ」

 

チッ・・・またしてもコイツの想像通りって訳か。

 

「クソ・・・俺らの標的(エモノ)だぞ」

「いつもいつも裏から手を回して、褒められた物じゃないですね」

「それが大人というものさ。そうだ!!中の様子が分からないだろうし、私が細かく説明してあげよう」

 

寺坂や登志の批判混じりの物言いにも、どこ吹く風と言った様子でシロは語り出した。

 

「あの布は対先生繊維を強化した物で、戦車の突進でも破るのは不可能だ。独特の臭いは洗剤でごまかした」

(嗅覚の対策もバッチリって訳か・・・)

「そしてイトナの触手には、刃先が対先生物質で出来たグローブを装着してある。高速戦闘に耐えられる様に混ぜ物をしてあるから君達が使うナイフとよりは劣るが、触手同士がぶつかるだけで、こっちが一方的にダメージを与える事が出来る」

「・・・本当だ。イトナ君、触手の先に何か付けてる」

 

イトナの髪を見ながら登志がそう呟いた。一方的にダメージを与えられたら、確かに有利だわな。

 

「そしてイトナに常に上を取らせて標的を逃がさないようにする。これで仕留められないのではね、ククク・・・」

「・・・なぁ、アンタ」

「ん?」

 

今も攻撃を続けるイトナを見ながら愉快そうに笑うシロに、俺は声をかけた。確かに凄え巧妙な作戦だとは思う。だけど・・・

 

「アンタさ、殺せんせーの事舐め過ぎちゃいないか?」

「何?」

「これでも俺、殺せんせーと5ヶ月以上一緒にいるから分かるんだ。殺せんせーは煩悩の塊だし、そう言った部分は何も信用してねえけどさ・・・俺達を裏切ったりするような真似はしないし、何よりこんな程度で殺せやしないってな」

「何だと(キュウゥゥン!!)!! な、何だこのパワーは!?」

 

その時、布の中がそんな音と共に眩しく光り始めたと思った次の瞬間、とてつもない衝撃と轟音が辺りに響き渡った事で俺達は思わず目を覆った。

 

「う・・・って、何だこりゃ!?」

 

ようやく視界が回復した俺の目に飛び込んできたのは、殺せんせーを覆っていた布が吹っ飛ばされ、建物の窓ガラスも割れた庭の真ん中でイトナを抱えた殺せんせーの姿だった。

 

「殺せんせー!!今のは・・・?」

「皆さんに注意を促す前に使用してすみません。触手のエネルギーの一部を圧縮して取り出しました。要するに、南の島での完全防御形態を応用したのです」

 

すっげえ破壊力だな・・・やっぱり殺せんせーの強さは底が知れねえな・・・

 

そう考えていると、殺せんせーはイトナを下ろした後、シロの方へと向き直り、

 

「分かりましたか、シロさん。彼らに教えれば教える程、先生も強くなっていくのです。もうこの手の奇襲は、先生には通じませんよ。今すぐイトナ君をE組に預けて大人しく去りなさい、私が下着ドロという誤解を解くのもお忘れなく」

「わ、私の胸も正しくはBだから!!」

「それ今言う事かよ・・・茅野」

「何言ってるの、寺坂君!!殺せんせーの下着ドロ疑惑なんかよりもよっぽど重要でしょ!!」

「にゅやっ!?何かとは酷いですよ、茅野さん!!」

 

・・・敵を目の前に、こんなにギャーギャー騒いでていいのか・・・?

 

「う・・・ぐ・・・」

「・・・?」

「あ、頭が・・・痛い・・・脳みそが裂ける・・・!!」

「い、イトナ君!!大丈夫!?」

 

その時、いきなり頭を抑えながら苦しそうに呻きだしたイトナを見て、登志が慌てて駆け寄った。どうしたんだ!?いきなり・・・

 

「・・・ここいらが限界かな、ここまでやっても殺せないのではね」

「おい、テメエ!!イトナに何が起こってんだ!?」

「度重なる敗北のショックで触手が精神を蝕み始めたのさ」

「な、何だと!?」

 

触手ってそんな危険な物だったのか・・・つーか、何でコイツはこんな平然としてんだ?

 

「さよならだ、イトナ。ここまで結果を出せない以上、1ヶ月維持するのに火力発電所3台分のエネルギーがかかる君の触手なんかに、組織は金を出してはくれないよ。私自身、次の素体を運用する為にも、どこかで見切りをつけないとね」

「なっ!?」

 

こ、コイツ・・・こんな状態のイトナを放置するってのか!?

 

「待てや!!こんな状態のイトナほっとくなんて、それでも保護者か!?」

「壊す事しか能のないモンスターに教えられてる君なんかの説教に、耳を傾ける気なんて無いよ」

「んだと、テメエ・・・!!」

 

そのあんまりな言い方に思わずキレそうになった俺をシロは見据え、

 

「私は認めないし許さない、殺せんせー(そいつ)の存在そのものを。どんな犠牲を払ってでも、そいつが死ぬのだけが私の望みだ」

「ま、待ちなさい!!」

「いいのかい?大事な生徒をほっといて。教育ごっこして楽しんでるモンスターさん」

ドンッ!! 「ぐあっ!?」 

 

その時、俺達の後ろからそんな音が聞こえて思わず振り返ると、イトナに吹っ飛ばされて地面を転がる登志の姿があった。

 

「伊勢君!!大丈夫!?」

「ゲホッ・・・な、何とか大丈夫です、不破さん・・・」

「イトナの様に人体に触手細胞を植えつけた者は、毎日適合処置を行わなければ地獄の苦しみを味わう。まあ、せいぜい3日程だ。それ以上経てば、常人なら狂い死ぬから気をつけな、殺せんせー」 タンッ

があああぁぁぁ!!」 ドンッ!!

 

シロがそう言い残して壁を乗り越えるのと同時に、明らかに普通の目じゃないイトナは、そう叫び声を上げながら去っていった。

 

「待ちなさい、イトナ君!!」 ブオン!!

 

そんなイトナを殺せんせーは追いかけていき、辺りは静寂へと包まれた。

 

「うっ・・・僕はいいから、太陽はシロさんを・・・」

「バカ言うな、そんな状態のお前を置いていけるかよ。それに、こんだけ騒音出したんだ。俺らも此所を離れた方がいい」

 

傷が痛むのか、登志は顔を歪ませていた。とりあえず、早く手当てしてやらねえと・・・

 

「まあ、そうだね。今警察に見つかったら厄介だし」

 

カルマも同じ事を考えていたらしく、他の皆もすぐに頷いてくれた。

 

「ゴメン、太陽・・・」

「気にするな。

・・・それに、もっと厄介な事が起こっちまったしな」

 

背負った登志にそう返しながら、俺は心の中で舌打ちした―――




いかがだったでしょうか。

というわけで、イトナ回での始まりです。

作者も仕事が忙しく、これからしばらく6連勤が続きそうですが、何とか地道に書いていこうと思います!!

それでは、また次回お会いしましょう!!
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